カエルくん(以下カエル)
「……それでは、発表していきます」
亀爺(以下亀)
「……緊張の瞬間じゃの」
ブログ主(以下主)
「これより、第1回、物語る亀で賞、映画部門作品賞の発表です!!」
カエル「この賞は2016年に公開された新作映画の順位をランキング形式で発表していきます。
今年は非常に高クオリティの作品が数多く発表されたこともあり、第1回にして激戦の様相を見せており、どのようなランキングを組んでも文句が上がるでしょう」
亀「特に主に関しては映画評論を本格的に開始したのは下半期に入ってからじゃからな。上半期の名作……『アイアムアヒーロ』『オデッセイ』などは見ておらんし、また個人的に苦手ということから『葛城事件』などのおどろおどろしい作品、さらに『デッドプール』なども見ておらんからの」
(追記、デットプールは鑑賞。この作品はDVDで見ては面白さ半減以下のため、このランキングの対象外とします)
主「ただ、言い訳させてもらうとアニメ映画はたくさん見ているから……そちらでカバーということで。
ランキングは今日発表するけれども、上記のような注目作品は後々見る予定なので、その際に変動があれば随時更新していきます。特に昨年末公開の『クリード チャンプを継ぐ男』なんて、ハマる要素しかないんだよなぁ……」
カエル「公開初日に観に行こうか迷っていたもんね。長いからやめたけれどさ」
主「それが間違いだったわ……来年以降は改めよう。
というわけでランキングスタート!」
各部門賞はこちら
事前説明から
カエル「まず、状況説明です。
このランキングを作るためにピックアップしたところ23作品が選出されました。そこから3作品を抜いて、20作品に絞り込んだため、今回はベスト20という形式での発表になります」
亀「弾かれた3作品は……
『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』
『マジカル・ガール』
『 手紙は覚えている』
の3作じゃな。妖怪ウォッチなどは一般的な観客が見ても楽しめないじゃろうが、主のような考察をする人だと、すごく深いテーマに思えてくる映画じゃった。その意味でも、当然のように個性が出る結果になるじゃろう」
主「まあ、ここから先は……特に20位から10位まではほぼ同率だし、どれも面白かったのは変わらないので、順位はそこまで気にしないでください。
明日同じランキングをつければ、変動する可能性は非常に高いです。TOP10は多分変動しないかな?」
20位〜15位の発表
カエル「それでは順位と共に作品を発表していきます。なお、15位までは各論は書きませんので、一気に発表させていただきます」
亀「第20位
『ドント・ブリーズ』
第19位
『世界の果てまでヒャッハー』
第18位
第17位
第16位
以上じゃな」
主「ここまでの評としては……基本は団子状態で、個人の好みが反映された結果になったかな」
カエル「ドント・ブリーズはよくできたホラーだけど、一部惜しいのとホラーが苦手だからこの順位『好きにならずにいられない』『築地』なんかは個人の好みと趣味が合致した形だね」
主「だからこの2作は多分他の人より高く評価していると思うよ。逆にドンブリは他の人はもう少し高くするかな?
ここもランキング付ける時に迷ったんだよね……うまさ=面白さでもないし、好き=オススメでもないしさ……」
亀「それも加味してのランキング記事じゃからの、その中で如何に個性を出すかじゃな……」
15位〜11位の発表
カエル「ここからは15位から11位までの発表になりますが……各作品に一言選評がつきます」
亀「では発表じゃ。
第15位
『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』
主「この映画は子供向けアニメ映画として面白い出来だったし、配信版を見なくてもワクワクできる内容でした。1本の映画としてはケチがないわけではないけれど、やはりこの順位を獲得できるだけのものはあったでしょう」
第14位
『少女』
主「賛否が分かれると思うし、この順位を信じられないという人もいるだろうけれど、個人的には『何者』よりもこっちの青春の方が理解しやすかった。何よりも特徴的な演出と、美少女2人にたまらなく惹かれたのでこの順位です」
第13位
『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』
主「はっきり言えば、満足度ではこの順位の映画ではないと思います。ただ、テレビアニメの総集編ということで映画としては辛いことを考慮しました。でも2016年のアニメ映画大豊作の1つとして、間違いなく名を連ねる1作でしょう」
第12位
主「ハンズ・オブ・ラブでこの順位かぁ……と今年の層の厚さを感じています。地味な映画ですが、今年の病気もの映画の中ではNo,1の評価をつけました」
第11位
主「年末にやってきたダークホース。名作ぞろいのナチスドイツものの中でも、決して劣らぬ名作でしょう。『サウルの息子』を見てもこの順位のままか、私の中で非常に楽しみです」
(追記、サウルの息子はランキング外。つまらない、駄作、という意味ではなく、独特だしトンデモなさすぎて比較にならない。
唯一無二の傑作でした)
ここまでの評
カエル「じゃあ、ここまでの総評としてだけど……」
主「アニメ映画の2本はテレビや配信版があったから、映画としての評価となると少し不利な部分もあるからしょうがないよね。それでもこの順位は大健闘だと思う。
あとの3本がTOP10に入ってこないかぁ、とビックリするよ。何度も言うけれど、上半期の名作があまり見ていないでこれだからなぁ……」
亀「見ていない映画はこの連休中などに厚くしていくとするかの」
10位〜6位までの発表
カエル「それでは10位から6位までの発表といきます」
亀「第10位
『キャロル』
主「本当にキャロルの記事があれだけ薄い記事になってしまったことが申し訳なく思うくらい、しっかりと丁寧に作られた作品でした。もっとどこが良かったか、どこが上手かったかなどをしっかりと語る知識と技量がないといけないなぁ、と痛感した作品でもあります。
派手さはないかもしれないけれど、脚本、演出、演技などが非常に高いレベルで安定していると思います」
配信版はこちらからご覧になれます
第9位
『ヒメアノ~ル 』
主「最初に語った通り、この手の映画は苦手です。残虐だし、見終わった後も暗い気持ちで怖い思いをするときもある。
それでも認めざるをえないほどの完成度の高さ! 森田剛をはじめとした役者陣の好演と、演出の巧さが見事にマッチした、今年の邦画大豊作において間違いなくその名を刻んだ1本でしょう。
なぜ苦手だとわかっているのに観に行くのか?
その答えは『こういう作品に出会わないのはもっと嫌だから』です」
第8位
『ズートピア』
主「部門別でも脚本賞を贈らせてもらったほど、圧倒的な完成度! 何よりも子供からお年寄りまで安心して、楽しんで見ることができるという幅の広さも素晴らしい!
この記事も初期の記事なので、結構薄めです。今ならばズートピアの脚本のどこがうまいのか? ということを長々と説明したいのですが……それはまた別の機会とさせてください」
第7位
『SCOOP!』
主「見終わった後に涙を流すほどに好きな映画です。元々こういう『悪い男』が大好きなのもありますが、あのラストは本当に素晴らしい!(ピカレスクロマンが大好きなので)
演出も外連味に満ちていて、すごく突き刺さった作品です。前作の『バクマン』もそうでしたが、大根監督が撮りたい『男の世界』が自分の好みとマッチしているようなので、次回作も期待しています!」
第6位
主「シング・ストリートでTOP5入りならずか!
こういう『学生が無茶苦茶な夢を持ち、突っ走る系映画』って大好きで……『遠い空の向こうに』とか。
しかも楽曲も最高で、サントラもすぐに買ったほど。彼らは拙いかもしれないけれど、表現し続ける道を選んだ。その道がこの先どうなるかわからないけれど、それでも……! という思いに胸を打たれます」
ここまでの評について
カエル「さて、色々と語りながらのここまでのランキングになったけれど……」
亀「趣味が出ているの。ユーフォやシング・ストリートは『それでも表現を続ける』という……ある意味では現実に抗い、夢を追う子供達のストーリーじゃし、そういう音楽映画が大好きなんじゃろうな」
主「まあ、そうね。正直に言えば、ズートピアは好きか嫌いかの2元論でいったら、そこまでかな? ユーフォとかの方が好きだけど、そんな思いを粉砕するほど上手い映画なんだよね。
だから7位以上は『上手い』と『好き』を兼ね備えた映画ばかりになってくるよ」
亀「……まあ、このブログを読んでいる人には大体想像がつくと思うがの」
5位、4位の発表
カエル「では、ここからは5位と4位の発表といきます。
なお各評はさらに長くなります」
主「ここから先は『なぜこの順位なのか?』という説明を加えていくので、少し長くなります」
亀「第5位
『君の名は。』
亀「ここで2016年ベストヒット作品が来るか!」
主「これは新海誠を追っかけてきたという『知識』がよりブーストをかけている部分もある。それまでの新海作品を、CMまで追っかけていたファンだからさ、ここまで完成した作品を作り上げたことに賞賛のコメントしかないんだよね」
亀「色々と言われておるが……」
主「でもさ、200億円稼いだから言われるだけで、これが当初の目論見通り20億円くらいだったら『心が叫びたがってるんだ。』と同じような評価だったんじゃないかな?
今は叩かれすぎな部分もあると思うよ。やっぱり日本アニメのオールスターみたいなスタッフであるのは間違いないし。売れるってことは大変だよね」
亀「なぜこの順位なのじゃ?」
主「強いて言うならば、個人部門で受賞0のように、個人的に飛び抜けた武器はなかったかな? という印象なんだよね。でもこの評価は決して低くない。例年ならば1位もありうると思う」
第4位
『FAKE』
カエル「ここで佐村河内が来るわけだね」
主「自分が映画で……というよりも物語の快感として1番重要視しているのは『展開』なんだよ。つまり、それまで常識とされていたことが、一気にひっくり返るというどんでん返しの瞬間。
そういうとミステリーみたいな作品が連想されると思うけれど、この映画もその力を持っている」
カエル「世間の人が佐村河内守に抱いている印象を一気にひっくり返す映画だもんね」
主「今まで常識だと思っていた『佐村河内守』の姿、そしてマスコミ、メディアの姿、自分の価値観、考え方……そういうものを色々と揺さぶってくる。
その先にどういう考えを抱くのかは、個人的にはどうでもいい。だけど、こういう考え方もあるよっていうことは……大事だよね」
カエル「この順位の理由は?」
主「単純に上が強すぎるから。あと、この映画はそれだけじゃなくて……愛の映画でもあるからね。エンタメとしてもすごく面白いことが、君の名は。などを上回った理由かな?」
TOP3の発表の前に
カエル「さて、いよいよTOP3の発表だけど……」
主「もう、このブログを見ている人は作品タイトルはわかっていると思うよ。ああ、あの3作ねって」
カエル「じゃあここで……今回見ていない中で、ランキング入りしそうな映画はなんだと思う?」
主「そうねぇ……
一覧をパッと見ると『ヤクザと憲法』『グリード』『サウルの息子』『ロブスター』とかはランキング入りの可能性が高い。逆に『葛城事件』などは苦手だからどうだろう? 見る気なくすかも……
あとこれはみとけばよかったなぁっていうのは『同級生』かな。完全に『お呼びでない? こりゃまた失敬!』なのはわかるけれど、アニメだし、チェックはしていたんだよね。勇気がなかったけれど」
カエル「じゃあ、年末年始はその辺りの作品も注目してみようか」
主「……あれ? 自分っていつ休むの?」
カエル「ブログにお休みなんてないよ! さあ、いよいよTOP3の発表だ!」
TOP3の発表!
第3位
『この世界の片隅に』
カエル「ここでこの世界がくるんだ!」
主「……今年のすべての映画の中でも屈指の完成度じゃない? 11月公開だから、12月のランキングに有利というのもあるけれど、どの批評家、映画好きも上位に選んでいるしね」
カエル「逆に主はなんで3位なの?」
主「これは映画を見ることの難しさでもあるけれど……君の名は。の逆で知識が邪魔をしたね。原作が大好きだから、どこがそのまま、答え合わせをするように見ていたのね。
だから……面白かったけれど、衝撃度は多分他の人に比べて少なかった。それでも劇場で涙を流すんだから、大したもんだよ」
カエル「原作を知るからこその難しさか……」
主「それもわずかな違和感だけどね。もしかしたら……原作を知らずに見ていたら、大号泣の1位かもしれない。公開直前に予習までしたのがまずかったかな?
でもこの作品を推す人の気持ちもよく分かるし、名作だと思う。今までの戦争映画を全て過去のものにしたかもね」
第2位
『聲の形』
亀「ここで聲の形か」
主「今年のアニメ映画でNo1の評価をつけさせてもらいました。このアニメ映画大豊作の年のNo,1です」
亀「あれだけ色々と推していたというのもあるかの」
主「個人的な話をすれば……『物語と障害』ってすっごく難しい関係だと思っていたのね。テーマとしても重いし、タブーが少ない日本においても、安易に物語に登場させられない存在が障害だし。
それは……今年起きた悲惨な事件を見てもわかるじゃない? もうマスコミもほとんど報道しないし、被害者のことを報じない」
亀「それは高度な判断が求められる、シビアな問題じゃからな。仕方ない部分も多い」
主「もちろんそうだけど……日本において障害というテーマは本当に重いものだと痛感させられた。そんな思いを抱いているところに、この映画が飛び込んできたわけだ。
この映画は確かに『障害』や『いじめ』がでてくるけれど……それでも、硝子という少女を『1人の女の子』として描こうと苦心しているのがすごく伝わってきた。この作品は賛否を巻き起こしているけれど……自分はこの試みを高く評価したいし、しなければいけないと思う。
早見沙織の演技もあるけれど、2016年ベストヒロインは西宮硝子です」
亀「漫画の方がいい、という意見もあるがの」
主「それはしょうがないよね。自分もこの世界の片隅にでは同じことを言っているし。
自分は漫画は微妙かな? と思っていたから、余計にハマった形になったかも。
あとは宇多丸風に言うなら、この世界の片隅には友達がいっぱいだから。だったら自分がこの映画の友達でいてあげたい」
第1位
『シン・ゴジラ』
カエル「……まあ、このブログとしたらそうだよね」
主「他の映画では完成度とか、うまさとかごちゃごちゃ語ったけれど……この映画を超えるような映画体験はなかった。
上映が終わった直後に、無意識に拍手をしていて、映画館からダッシュで帰って、1万文字を超える記事を1時間足らずで書き上げた……それほどの熱量が巻き起こった映画なんだよね。こんなことがあり得るのか? って思ったよ。頭で考える前に指が勝手にキーボードを叩いているんだから」
カエル「誇張はあるにしろ、それだけの思いがあったということだね」
主「あとは……この映画を5回見たんだよ。
4回目は公開して1ヶ月以内に見たけれど、5回目はこの世界の片隅に、が公開した後に見に行ってさ……だいぶ熱が冷めた状態で見たんだよね」
カエル「それで?」
主「最高だった!
中盤の東京の街のゴジラと、ラスト付近の……みんな大好きなあの場面で、鳥肌が立って涙が出ているわけ。
いつもは『泣きました』って言っても比喩だよ? だけど、本当に涙の粒が頬を伝うというね……こんな映画体験は金輪際ないかもしれない。
そう考えると、この映画以外1位はありえない。
あと、やっぱりこの映画は『東日本大震災以降の日本』を描くことに成功していると思うからさ、そこもポイント高いよね」
総論
カエル「では、全体を振り返るとしようか」
主「なんというか……大衆迎合的なランキングになったなぁ……シンゴジ1位とかさ、聲の形がどう評価されるか難しいところだけど」
カエル「君の名は。も高順位だしね。この順位だけ見ると、FAKEはともかくとしてにわかくさいランキングだよね」
主「まあ、嘘偽りないランキングだから。特に上位は不動です。
一般の映画ファンと違って、アニメが好きなオタクらしいランキングになったんじゃないの?」
亀「しかしこうやってみると面白いものじゃの。
4位と2位が聴覚障害を真剣に扱った映画がランクインしておるということは、主の語った『物語と障害』というテーマに合致しておるかもしれんの」
主「……本当だ、今気がついた。まあ、FAKEがドキュメンタリーだけど……聴覚障害って目で分かりづらい障害だから『自分が自分である証明』みたいな難しさがあるのかもしれないね」
カエル「あとは……1、3、5位が大状況というか、大きな括りで語ることのできる……震災とかと絡めて話すことができる映画なのに対して、2、4位はコミュニケーションとか、自分の証明とかがテーマの映画だね」
主「そこも偶然だけど、そういった大きな事件を……国家的一大事を扱った映画と、小規模な映画が同じ競い合ったというのも面白い現象かも。
この上位5作の牙城を崩す映画は……中々出て来ないだろうな。もしかした10年後に10年分の映画ランキングやっても、TOP10には入ってくる映画だと思うし」
最後に
カエル「では最後に、ここまで読んでいただいた皆様に挨拶を」
主「2016年もたくさんの映画が公開されました。
そもそもこのブログは『映画評論ブログ』ではありません。『物語批評ブログ』であって、ここまで映画に特化するつもりはありませんでした。
なので上半期はテレビアニメ等を中心に語ってきましたが……まさかここまで自分でも映画にハマるとは思っていませんでした」
カエル「本当は小説をアップして、読んでもらうための客寄せだったのにね」
主「そっちの方がおざなりになっているのは由々しき事態ではありますが、来年もバリバリと映画を見て、書いていきたいと思いますので、何卒お手柔らかにお願いします。
あ、こういうと年内更新終了みたいだけど、31日に『甲鉄城のカバネリ』の総集編全編があるので、多分更新します。
そちらは通常営業になると思います」
カエル「……せっかく綺麗にまとまってたのに……」
亀「締まらんのぉ……」