物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『君の名は。』考察と評論 作品タイトルに込められたテーマとは? ※ネタバレあり!

亀爺(以下亀)

「ここからは選手交代じゃ、カエルに変わってわしが担当するぞい」

ブログ主(以下主)

「いや、この記事から読み始めた人が意味不明だから、そういう紹介やめろよ」

 

亀「最近、わしの出番が少ない気がするからの。こう言う評論系の記事で存在感を出しておかねばならぬからな」

主「はいはい……まず、『君の名は』を未見だったり、レビューというか、ネタバレなしの感想が知りたい人は下の記事を参照してね。

 

blog.monogatarukame.net

 

 

 評論の記事は『君の名は』という作品、それから新海誠という人物と過去作に対して、

ガッツリとネタバレありで評論していこう

と思っているので、そこは気をつけてね。嫌な人は感想記事の方を読んでね。そちらはネタバレなし……というか、予告編レベルのネタバレしかしてないから。(一部スタッフの話はあり)」

 

亀「それでは相当長い評論を始めていこうかの」

 

 

 

 

 1 出だしについて

 

亀「まずは、スタートから順を追って話していくがの、主はどの段階を持って今作を名作と思ったんじゃ?」

主「体感として5分くらいかな。シン・ゴジラが開始10秒で名作認定したけれど、それは異常だから除くとして『心が叫びたがってるんだ。』とかも開始5分くらいで名作だと思ったから、大体そんなもんだよ」

亀「5分くらいというと、どのあたりじゃ?」

 

主「あのOPからのタイトルかな。今までの新海作品とは全く違って、ポップさがすごく強調されていたんだよね。そこに明るい曲調と、コメディタッチな絵作り、あとは崩したキャラクターデザインとか、色々なものがあった瞬間に一気に引き込まれた。

 映画における出だしって如何にその世界観に引き込むかっていうことが大事だから、この音楽を使った出だしは良かったよね。その時点で名作だな、と思った。大体、ここができているとあとはうまくいくからね

 

 

スタートについて

 

亀「あの大人の状態からの始まり方は『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』と同じじゃな」

主「そういうところが今回、結構多く感じるんだよね。過去作のオマージュが本当に多くてさ、記事を書くために過去作を見直しておいてよかったわ……特に『星を追う子ども』を見ておいてよかった。結構内容を忘れているし、語られない割には、この作品には大事な部分が多かったから

 

亀「入れ替わった後の作画も良かったの」

主「特に瀧が女の子の演技をするというが良かったよね。男の子の体格をしているけれど、動きが女の子というのがよく出ていた。

 それから作画でいうとさすがなのが、巫女の踊りと糸を紡ぐシーン。この2つってこの作品における、大きな肝なわけじゃない? この先に繋がる重要なシーンを、これだけ美しい作画で描いてくれるのも、すごくいいよね。

 あとはユキちゃん先生がいい感じでサプライズだった。花澤香菜好きだよねって笑いすらあるけれどさ」

 

 

2 中盤以降について

 

話の展開

 

主「東京と岐阜の話を何度も繰り返して『ああ、田舎だなぁ』『都会っていいなぁ』とか、二人の交流を描きながら、さらに電車から見える風景の景色とかもすごく凝っているわけじゃない?

 長澤まさみ演じる奥寺先輩の大人の女性としての魅力もあって、それが今までの疲れたOLではないんだけど、影を感じさせる『最高にいい女』になっているわけだよね。ここまでの運び方はすごくいい。

 そして、この後の話の展開だよ」

 

亀「あの隕石がどうのってやつじゃの」

主「そう。ここは秒速の反省をしっかりと活かしている。

 この入れ替わりネタの問題点は、お互いがお互いの住所だったり、居場所を知っているわけじゃない。それこそ何度も見てきた光景だからさ。会いに行きたかったから、会いに行けばいい。

 でも……製作者側の都合を話すと、会っちゃうとそこで話が終わるんだよね。この作品は、夢の中でしか会えない人を探す物語だから。

 だから会わない理由が欲しいんだよ。秒速の場合はそこを説明せずに、個人の感性に頼った。個人的には好きだし、気持ちがわかるけれど、わからない人は出てくるよ

 

亀「新海誠は必ず恋人同士を引き離すからの」

主「そう。そのやり方が『ほしのこえ』は距離『雲のむこう、約束の場所』は昏睡(別の世界)『星を追う子ども』は死別とそれなりの理由があったけれど、秒速はそれがない。言の葉は……観客の想像力に任せる終わりかただった。

 でも、今回は明確に会えない理由を作ってきたわけだよね。しかもその理由が『距離』『別の世界で会っていた』という2つの壁を乗り越えた後に『死別』という、それまでの作品で別れた理由を踏襲しているんだよ」

 

 

展開の重要性

 

亀「この展開に関しては新海誠の課題として主があげておったことじゃな」

主「長編映画、物語を作る上で『話の展開』って大切なことだけど、新海誠はそれができていなかった作品もある。分かりやすいのが『雲のむこう』と『秒速』で、なぜ時間軸が一気に飛ぶのかというと、地続きの話だと理想の物語に展開させることができなかったからだと思う。

 『星を追う子ども』は時間軸とかは飛ばなかったけれど、今度は作品内容にメリハリがないんだよね。展開が弱いから、あれだけ長くなるとダラけてきちゃう。

 だけど『言の葉の庭』において、この展開という技法を身につけるわけだ。

 それまで単なるOLと高校生でなかった二人が、ある一瞬において意味合いが大きく変わる。この二人の関係性が劇的に変わるんだよね。これができただけで、個人的には『言の葉の庭』を評価するよ」

 

亀「……相変わらず偉そうじゃの」

主「それはそうだけど、課題をクリアすることなく作品を量産する人もいるからね。そこを改善していく姿は、本当に尊敬する。

 観客から課題だと指摘されたものが、その人の売りだったりするから難しいところでもあるけれど

 

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『2つの世界』

 

主「この流れで語ると、新海作品って必ず恋人同士を『2つの世界』に分けてきたんだよね。

 『ほしのこえ』は宇宙と地球、『雲のむこう』は現実と空想(夢)、『秒速』は距離……これは物理的な距離もあるし、心という意味もある。

 そして『星を追う子ども』は地上と地下、そして何よりも生と死の2つの世界に分けてきた。

 『言の葉の庭』は少し意味合いが違うけれど、大人と子どもというのも住む世界が違うよね。ほら、あの2人って単なる大人と子ども以上の壁があるじゃない。そういう風に2つの世界に分けることで、ドラマを作ってきた作家なんだよ

 

亀「それは今回も同じじゃな」

主「でも、その意味合いが複合的でもあり、また大きな意味を持ってくるんだよね。この2つの世界って、スタート時の観客にしたら単なる距離の差でしかなかったのが、実は違う大きな意味を持つ。

 ここは『星を追う子ども』だよね。

 

 

 片方は過去の世界であり、ある種の死者の世界であり、神秘的な世界=田舎

 片方は現在の世界であり、生者の世界であり、現実の世界=都会

 

 

 ここを初めから開示せずに、物語を作ってきた。これが後半生きてくるんだよ」

 

 

中盤の回想シーン

 

亀「今回で一番注目すべきなのが、この回想シーンじゃろうな。ここを中盤というか、終盤というかは別にしても、大きな印象に残る場面じゃった」

主「ここで瀧が過去に戻って、四葉の生まれた頃などの映像を見るんだけど、ここの作画が本当にすごい! 他の場面とは全く違っているんだよね。まずはさ、このシーンを見てもらいたいっていうのが一つあるんだけど、それ以外にも注目する理由があるんだよ」

 

亀「ほお? それはなんじゃ?」

主「別にこの作品に限ったことではないんだけどさ、作画カロリーが高い場面ってどういうシーンだと思う?

亀「それは、やはり重要なシーンじゃろうな。そこに注目してほしいという思いがこもった部分じゃな」

主「そう、その通り。つまり、このシーンはこの物語を読み解くのにとても重要なシーンだから、これは覚えておいてほしい。この後の評論に出てくるからね」

亀「? まあ、いいじゃろう。了解じゃ」

 

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3 終盤について

 

瀧と三葉

 

亀「そしていよいよ再会からの、街を救うために行動が始まるわけじゃな」

主「ここからはもう、ノンストップだよね。これも『ここさけ』の時に語ったけれど、町を救うために走り始めるんだよ。

 走るシーンはこれから先のクライマックスに向けての助走でさ、例えば『時をかける少女』もそうだけど、ここで一気に観客は高揚感を味わいながらも、少し焦らさせれるわけだ。だから、走るシーンがあるアニメは名作なんて言われるけれど、ここがあるかないかによってクライマックスの意味合いは大きく変わるよね

 

亀「しかし、それにしても超展開といえば超展開じゃな……あのテロ行為はどうかとも思ったが……」

主「そう? 個人的にはそこまで気にならなかったんだよね。だってさ、このまま放っておけばこの町は壊滅することが分かっているし、1番大切なのは住民の命を救うことじゃない。

 そのためのテロ行為なんて、すっごく面白くてむしろ高揚感すらあったけれどね。それまでの伏線も一気に回収したし」

 

亀「それからの……ここからさらにファンタジー色は強くなってしまうの。事の重大さに比べて、友人たちの手助けなども軽すぎるような気もするしの」

 

主「多分、そう言った批判もあるかもしれない。入れ替わりの理屈がわからないとかさ、彗星がどうのとかっていうのも、ね。そこだけ抜き取るとSF的でもあり、ファンタジー的でもあるし、まあ、正直『物語の嘘』として許容できる範囲を超えているかもしれないね。これから評価できないという意見として、そこはあがると思う。

 だけどそこをいうのは野暮な気もする。紅の豚』で豚になる呪いの意味がわからないとか言わないでしょ? そもそも豚である必要がないとかいう、作者に対する文句ならばわかるけれどさ。

 まあ、お父さんを説得するシーンがなかったのは少し残念だけどね。ないと決定的にダメというわけではないけれど、あっても良かったんじゃないかな?」

 

お父さんの謎

 

亀「? 主よ、そこはそれでいいのではないかの?

主「え? なんでよ。お父さんがなんで納得したのか、その理由は描かれてないじゃない?」

 

亀「確かに直接的に表現はされておらんが、きっちりと描かれておるではないか。

 お婆ちゃんも過去に入れ替わっていた経験を持つ人じゃろ? ということは、お父さんと二葉……お母さんも入れ替わっていたと考えるのが普通じゃ。じゃが、瀧と同じようにそのこと自体は忘れておる。

 じゃが、瀧が中に入った三葉の説得で少しだけ記憶の扉が開かれて、迷いが生まれるじゃろ? そこに三葉の説得があるんじゃから、いよいよ本格的に思い出すわけじゃ。

 そうなると、過去の自分の経験から、未来の情報ということがわかるのだから、防災訓練を開始するじゃろう?

 

主「…………」

亀「さらに言うとの、これは想像の話じゃが……おそらく、お父さんも未来から過去へ行き、二葉さんの死を知ってその未来を変えようとしたのかもしれん。『救えなかった』という台詞からも、入れ替わりを示唆されているように思う。じゃが、二葉さんの死の原因が何かは語られておらんかったと記憶しておるが……(何かで語られておって明確に違うと否定されたら申し訳がないがの……)四葉ちゃんが産まれたことと関係があるのならばと仮定しよう。

 そうなるとお父さんは四葉ちゃんと二葉さんの二択を迫られる。

 それは……究極の選択じゃろうな

 

主「…………」

亀「この作品の入れ替わりの面白いところは、『記憶は失われても感情は失われない』ということじゃ。お父さんも同じ状態とするならば……妻を救えなかったオカルトや、家の運命を、入れ替わりを恨むじゃろうな。

『入れ替わりなどなければ、こんな苦しみはなかったのに……』と。

 だからこそ、お父さんは町長という『現実』を望んだのではないかの?」

 

主「…………」

亀「そう考えると、このお父さんは過去の作品で好きな女の子を追いかけず、自己完結してしまった秒速の貴樹などのようなキャラクターと同じような立ち位置なのかもしれんなぁ。

 そこをあえて語らなかったことに、この作品の『深み』というものは宿るのではないかの?

 まあ、勝手な深読みかもしれんし、真相は違うかもしれん。

 じゃが、いつも主が語っておる『説明しすぎない余白』として、機能していると思うがの」

 

主「……もちろん、それぐらいわかっていたさ! これから解説しようとしていたのに、亀爺はせっかちだなぁ! ハハハハ!!」

亀「……都合がいい奴じゃの」

  

 

 

ファンタジーの『永続性』

 

主「でもさ、そこも含めたこの作品の根幹に流れるファンタジー性は明らかに『星を追う子ども』を意識しているけれど、むしろそのファンタジー性を重視したのは良かったと思う。

 アニメにおけるファンタジーってノスタルジィが強くてさ、世界規模で愛されやすいし、永続性があるんだよね。だから昔ながらのディズニーアニメとか、ジブリ映画って時代に残る。最近見たアニメ映画だと『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』という公開中の、すごくいい映画があるんだけどさ、やっぱり永続性がある映画なのね。

 まあ、今作は現代日本を舞台にしているために完璧なファンタジーではないから、それらの作品と比べると永続性は少し弱まっているね。

 多分計算はしていないかもしれないけれど、そういうところを意識してのファンタジーなんじゃないかな?」

 

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全てが終わってから……

 

亀「そして全てが終わってから現代劇へと舞台は戻るわけじゃが……」

主「明らかに秒速を意識しているよね。夜の東京の歩道橋で2人がすれ違ってから、お互いに振り返るけれどタイミングが合わなくて、そのまま立ち去るなんてのはそのまんま秒速だよ。

 そして……ここで雨が降り始めるんだよね。この場面は『言の葉の庭』じゃないかな。この雨が雪になる。雪は秒速において、重要な意味を持つよね」

 

亀「そうじゃの。そのあとの電車のシーンとかも既視感があるものが続いたの」

主「2人が出会って降りるのも代々木の駅だったと思うけれど、これは秒速で貴樹が明里に気がつきながらも、電車が走り去ることで別れてしまうシーンのセルフオマージュだよね。

 今作はそこで2人が電車を降りて、お互いに走って会って終わる。今までの過去作は『別れ』だったり、会ったところでその先は……という別れを連想させるように終わっていた。それは『雲の向こう』でも同じだよ。あれは冒頭に戻るから」

 

亀「しかし、本作は2人が出会って終わるという、かつてないハッピーエンドじゃったな

主「そう! だから新海誠が一気に変化したんだよね。これが新たなる新海誠ワールドの始まりでもあるというわけだ!!

 さて、と。ここまでは他のブログとか、感想でもある話だと思うけれど、ここから本格的に評論を始めていこうかな」

 

亀「ここまではまだ評論ではないのか?」

主「ここまではこれから始まる評論に重要なことを並べていっただけだよ。ここからが評論開始。

 ……ここまで言っておいて『はあ? このレベルかよ?』って言われるのがすごく怖いけれどね」

亀「それなら、そんな大言壮語もせんでよかろうに……」

 

 

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4 『君の名は。』の評論開始

 

これまでの新海作品について

 

亀「では、まずどこから始めるかの?」

主「まずさ、これまでの新海作品を考えた時、実は多くの作品の影響が指摘されているんだよね

 

亀「分かりやすいところでは『星を追う子ども』はジブリの影響下にあるとかいうやつじゃな」

主「そうそう。どこまで新海監督が意識したかはわからないけれど、『ほしのこえ』においてはマクロスやエヴァ、『雲の向むこう、約束の場所』は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』や『最終兵器彼女』などの世界系作品の影響が指摘されているね。

 もちろん、新海監督が全く意識していないで似てしまった可能性もあるし、模倣として取り入れただけの可能性もある。パクリだ!! なんて糾弾するつもりは一切ないけれど、影響はあるんじゃないかな?

 

亀「現代劇の2つはどうじゃ?」

主「これが似ている! という作品自体はないけれど、あの作品群は『One more time, One more chance』や『Rain』という曲ありきでの製作だからさ、影響下にあるのは間違いないよね。

 テーマソングを後から作ってもらったり、合うものを探したわけじゃなくて、元からあるものを使ったわけだからさ。PVと言われる所以だよね。

 じゃあ、亀爺。今回は何の作品に似ていると思う?

 

亀「何の作品と言われても……しいて言うならば、他の新海作品に似ておるが、それは新海監督が作っているから当たり前の話じゃが……」

主「そうなんだよね。この作品はさ、あまりにも過去の新海作品に似過ぎている。

 むしろここまでいくと似ているんじゃなくて、同じなんだよ。それは構図といいさ、見せ方といい。

 つまり、過去の作品のセルフオマージュをしているわけだよ。

 じゃあ、ここで問題になるのはなんでそんなことをしたかって話なんだけど、それはちょっとだけ置いておくことにしよう」

亀「……なんかノリノリになってきのぉ」

 

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力を入れた作画

 

亀「この小タイトルは……先ほどいった『力を入れた作画には意味がある』というやつじゃな」

主「そう。この作品は特に力を入れた作画に意味があるんだよね。じゃあさ、いろいろな部分があるけれど、より印象に残った部分をあえてあげるとしたらどこになる?」

 

亀「主がずっと言っておったのは瀧の体の動きかの?」

主「……いや、まあそれもそうなんだけど。そこだけじゃなくてさ、力がこもったシーンがあったじゃん!!」

亀「そんなのたくさんあるからわからんぞ! それこそ、あの神楽のシーンも糸紡ぎのシーンも力が入っておったし……

 

主「そう! そこなんだよ。言いたかったのはその部分。

 この作品における神楽や糸というのは、過去から現在に至るまでの様々な縁とか、そういうもののモチーフでしょ? 

 セリフにもあるよね。小説版から引用するけれど

 

『糸を紡ぐのもムスビ、人をつなげることもムスビ、時間が流れることもムスビ、ぜんぶ同じ言葉を使う。それは神様の呼び名であり、神様の力や。わしらの作る組紐も、神様の技、時間の流れそのものを表しておる』

p88より

 

 先ほども言った通り、四葉が生まれてからのシーンというのは、より力が入っていたわけだ。

 さらに劇中での決め台詞がある。

 

『お母さんや先祖たちも過去に入れ替わりをしていた。その意味がわかったような気がする』

『全てはこの時のためにあったんだ!!』

 

ってね」

 

亀「そうじゃな。そういう意味があったの……ということは!」

主「そうなんだよ!

 

 セルフオマージュをこれだけ重ねて、

『過去から現在への入れ替わり』だったり、

『全てはこの時にあったんだ』というのは、

 

 これまでのすべての作品はこの1作を作るためにあったという、新海誠の集大成である宣言なんだよ!

 

 

 

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『君の名は。』の意味

 

主「その心はさ、『君の名は。』というタイトルにもちゃんと出ているよね。

 じゃあ亀爺、このタイトルで不思議なことがあるじゃない?」

亀「……この『。(句点)』かの?」

主「そうそう。最近は『心が叫びたがってるんだ。』とか。がつくタイトルの作品も多いから見過ごされがちだけど、今作はちゃんと意味があるんだよね。

 じゃあ、この句点ってどんなときにつけるもの?

 

亀「それは文章の終わりを示すときにつけるもので……

主「そう! 

 だからさ、このタイトルの句点の意味って、

『ここで一つの区切りですよ』

『一つの集大成ですよ』

という意味になるんだよ!

 だから本作には句点がついているんだよね」

 

亀「……なるほどの。最後のセリフである『君の名は』と云うセリフに句点をつける。ただそれだけのタイトルひとつをとってみても、集大成という意味を示しているのか」

主「だからさ、この作品は新海誠にとって非常に重要な意味があるし、ターニングポイントでもあり、代表作なんだよ。だからこそこれだけのアニメーターを集めて、過去の作品をセルフオマージュしたわけだ。そして今作がSFでもあり、ファンタジーである理由も過去の作品のセルフオマージュだと思う。

 考え方によるとさ、ジブリやIGや最近のアニメで欠かせない人を集めて、日本のアニメとしての一つの集大成を作ろうという野望もあるんじゃないかな? そしてそれは、自分はある程度成功していると思う」

 

 

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5 これからの新海誠に望むもの

 

亀「では、これから先の新海作品はどうなるのかの?」

主「全くわからないよね。これだけのものを築き上げてしまったら、多分世間は普通の作品を望まない。

 またさ、マスコミが『宮崎駿の後継者』とか『ポスト細田守』とかって言いだすよ。宮崎駿はともかく、細田守はまだまだ現役なんだから『ポスト』なんて言い出したら失礼なだけだよね!

 

亀「主は『宮崎駿の後継者』という煽り文句が嫌いじゃもんな」

主「そりゃそうだよ。じゃあ、『黒澤明の後継者』がいたのか? 『小津安二郎の後継者』がいたのか? 『ウォルト・ディズニーの後継者』がいたのか? って話でさ。ジブリが怪しいながらも存続している中で、『宮崎駿の後継者』なんてものを誰かに背負わせるなって思う。

 それだけ日本アニメ映画界が宮崎駿を中心に回っていたことの証明なんだけれど、ちょっと待てよと。押井守もいれば、今敏もいれば、出崎統、富野由悠季のような大ベテランも名作を残し、さらには現役バリバリの原恵一、湯浅政明、吉浦康裕とかも創っているんだよね。

 宮崎駿だけがアニメじゃないでしょ?

 それを望むのはわからないでもないけれど、宮崎駿の幻影という……あえて言うけれど、『呪い』を次の世代にまで投影はしないでほしい」

 

亀「では主は新海誠の次回作は何を望むのじゃ?」

主「やっぱりさ、この路線も好きだけど『リアル路線』も大好きだから、『秒速』『言の葉』に次ぐリアル路線の映画を見てみたいね。これは難しいよ、どう料理するのか……

 それもそれで新海誠の売りだからさ。『アニメらしいアニメ路線』『リアル路線』の2つの道を進んでほしいというのは、さすがにファンのわがままかな?」

 

 

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6 災害映画として

 

亀「やはり災害映画としての語り口もあるの」

主「今回はあまり語らないけれど、やはり311以降ということは影響があると思う

亀「となると、シン・ゴジラとセットで語るべきかの?」

 

主「そうなんだけど、ほとんどの人が見たことはおろか、名前も聞いたことがないかもしれないけれど、個人的には『ちえりとチェリー』もセットで語りたいんだよね。

 あらすじを簡単に言うと、お父さんが亡くなった女の子が、それを受け入れるまでのお話なんだけどさ。

 

 シンゴジラが『311以降の日本』という非常に大きなものを扱い、

 ちえりとチェリーが『家族が亡くなった後の喪失感』という非常にミニマムなものを扱っている。

 その中間としてこの作品はあると思う

 

亀「町1つという、日本とまでは行かずとも、それなりの規模の災害じゃからな」

主「確かにさ『田舎っていいな』という意味合いもあると思うけれど、死者を出さずに避難させるにはギリギリの規模なんだよね、この町って規模は。

 それがちょうどいい形でハマっているんだよね。

 あとは

 

『特撮のシンゴジラ』

『アニメーションの君の名は。』

『パペットアニメーションのちえりとチェリー』

 

という、表現技法の違いも面白いからさ。いつか別記事で語りたいね」

 

こちらがその記事です。

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最後に

亀「というわけで、長くなったがこれで『君の名は。』の評論記事も一度終わりじゃの」

主「いやぁ、大変だったね。今回も力作だった。これで全くアクセス数がなかったり、『トンチンカンだ!!』と怒られたらショックだよね。1日は立ち直れないかもしれない」

亀「……毎日更新ということを考えると、案外切り替えが早いの」

 

主「……ああ、やばい。そう考えると『こんなこと誰にでもわかるんじゃね?』って言われそうな気がしてきた……怖いよぉ!」

亀「……さっきも言ったが、もう少し下から発言すればいいにの……」

 

主「でも、やっぱりこの作品は名作だと思うよ。これからさ『聲の形』もあるからなんとも言えないけれど、多分今年の邦画アニメNo,1になるんじゃない? シンゴジラに次ぐ事件だよ。

 もしも、このクラスの作品がさらに出てくるようなら、日本アニメ界も明るいよね」

亀「少し穴があるのも事実じゃがな。そこがどれだけ受け入れられるか……」

主「まあ、穴がある名作なんてアニメ、実写問わずいくらでもあるから。そこを無視してしまうくらいの力はある作品だし、一定以上の評価は受けると思うよ」

 

 追記、聲の形も素晴らしい作品でした。

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亀「それでは新海誠の次作にも期待しながら、この長い評論を終えるとするかの」

主「次作も楽しみだなぁ、どこまで進化するんだろうか、新海誠は……」

亀「……最後はダジャレか」

 

  

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