この記事はXに投稿した井中カエルの『夜のクラゲは泳げない』感想まとめ記事になります
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作品紹介・あらすじ
1話感想
夜のクラゲは泳げないの1話を見ました
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年4月21日
これぞ竹下良平監督‼️ という映像表現に溢れていてとてもいい1話でしたね
近年素晴らしい映像をたくさん生み出しているなぁ…と感じる監督の1人ですが、今作もその魅力がたくさんありました… pic.twitter.com/X24XdM1GN2
夜のクラゲは泳げないの1話を見ました
これぞ竹下良平監督‼️ という映像表現に溢れていて、とてもいい1話でしたね
例えばスマホ演出なども『呪術廻戦』のED2をはじめ多くの場面で使ってきましたが、本作の場合はネットのバズる、数字という意味で必然の演出になって演出から表現意図を感じるほどに昇華されています
またこの話そのものがMVとして制作された『DIALOGUE+「1000万回ハグなんだ」』を引き継いでいるようで、このMVの先を見たいと思っていたのでオリジナルTVアニメーションにされたのも嬉しいです
キャラクターをギャグで崩すところは崩しながらもイヤホンのやり取りの美しさなどにかなり惹かれました
音楽を通して絆が結ばれていく、その絆をイヤホンで可視化した表現なのでしょうね
竹下監督の演出からはキャラクターの感情がダイレクトに伝わってくることが多いのですが、今作はまさにその真骨頂でしたね
そしてここまで溜めていた感情が一気に爆発する演奏シーン
説得力もありますしとても引き込まれる1話だったと思います
唇の作画などのフェチ描写もあり、特に映像面でかなり引き込まれる1話でした
またバズを中心とした覆面バンドという設定も現代的で面白いのではないでしょうか
1つだけ苦言を呈するならば、冒頭のお色気描写は要らなかったかなぁ…😅
妹視点で一人称のカメラワークという点で面白かったのですが、その後の覗き込むようなアングルを含めてどうにもおじさん臭さを感じてしまいましたね
オリジナルTVアニメーションは活況になってほしい分野なので応援したい作品ですね
2話感想
夜クラ2話の感想
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年4月23日
今作で語りたい点を以下の2つに集約します
①ネットや推し活を通した現代的な音楽制作
②画面比率を調整する映像表現とそれによって描かれる感情
①ネットや推し活を通した現代的な音楽制作
現代の創作表現は「PGCからUGC」へと変化していっています
この意味について説明します… pic.twitter.com/0GWuPmTsSe
夜クラ2話の感想
今作で語りたい点を以下の2つに集約します
①ネットや推し活を通した現代的な音楽制作
②画面比率を調整する映像表現とそれによって描かれる感情
①ネットや推し活を通した現代的な音楽制作
現代の創作表現は「PGCからUGC」へと変化していっています
この意味について説明します
現代における音楽制作は変容していて、今作のイラスト×音楽という別ジャンルの表現と音楽を組みあせて発表するコンセプトはHoneyWorksや、小説であればYOASOBIが代表例として上がるでしょう
1話においてネット・スマホを用いた演出や物語になっていたのも初音ミクなどのボーカロイドが普及した、この10年ちょっとのネット上の音楽制作と発表シーンをTVアニメ化するという気概に感じます
2話においてはめいの推し活が出てきますが、2010年ごろまでは一部の商業クリエイターが多くのマス・ファン層へと作品を提供し、それをCDやDVDとして販売することで収益を得るスタイルが一般的でした
(PGCと呼ばれるスタイルで、ボトムダウンな表現)
しかし初音ミクなどのボーカロイドが登場&ニコニコ動画・YouTubeなど配信サイトが人気になることで一変し、音楽制作と発表のハードルが格段に下がったことで、今までと違ったスタイルが確立されました
以下の図式参照
左がPGC、右がUGC
今ではプロが制作した作品・商品を用いて二次表現を行う(歌ってみた、踊ってみた、イラストを描いて投稿など)ことが一般的に。
そしてその二次表現者の創作物を元のプロが活用する(歌ってみた・踊ってみた動画をリポストなどで宣伝、イラストをサムネイルに活用など)という構図が当たり前になってきており、双方向の応援スタイルが確立されていっています
ボクはこの二次表現者を「市井の天才」と呼んでいますが、まさに夜クラで描かれていることはこの形態であり、現代的な姿だと感じています
PGCとUGCについてはカバー株式会社のIRを合わせて読むと、より詳しくわかります
参考資料 P13~P22
夜クラ2話
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年4月23日
②画面比率を調整する映像表現とそれによって描かれる感情
竹下監督が絵コンテを務めていますが、映像的には特にここがわかりやすく優れていると感じています
竹下監督の演出で必殺技とも言えるのが画面比率を変更することによって、感情や日常感をより描き出す手法です… pic.twitter.com/iyoIpj6TyO
夜クラ2話
② 画面比率を調整する映像表現とそれによって描かれる感情
竹下監督が絵コンテを務めていますが、映像的には特にここがわかりやすく優れていると感じています
竹下監督の演出で必殺技とも言えるのが画面比率を変更することによって、感情や日常感をより描き出す手法です
1番わかりやすいのがスマホを用いた演出で、過去の竹下絵コンテ・演出だと『呪術廻戦』の1期2クール目のEDがとても効果を発揮していました
なぜこの画面がスマホだと誰でも直感的に理解できるのかと言えば、その画面比率でしょう
この縦長の画面比率を見れば、前後でスマホを構えている描写がなくても現代人の多くがスマホで撮影された映像と認識できます
そしてスマホで撮影する場面はどちらかといえば畏まった場や特別な空間というよりは、日常的な場面が多く、より日常の中の素の表情の印象が強まります
同じように2話では画面比率をシネスコに変更することで、それが今までのお話とは時間軸も感覚も異なるものだと印象付けています
シネスコはTVアニメで一般的なワイドと比較して、よりドラマチックで画面に引き込まれるものになっています
ここでシネスコに変更することで、はる→橘ののか、への推し活の情熱によっていかに救われたのかという感情の変化を臨場感を持って伝えています
最後に「木村と橘ののか」という関係から「高梨・キム・アヌーク・めいと山ノ内花音」という関係性の変化によって新しいグループに加入するというオチも含めて、とても良き回ですね
3話感想
夜クラ3話の感想
基本的な構造を積み重ねていくことで生まれた新しいチームと、キウイの状況に明日は我が身を感じてしまいド直球に感情移入してしまいました…🥹
ここまでの今作の構造は
『現実にうまくいっていないキャラクターが集まり、ネット上で表現活動することで私らしく表現をする』という構図です
人間には社会的な役割と自分の本心があり、求められている役割が本心と合致しないことはよくあること
その中でキウイはVtuberとして活動することを選びました
いちVtuberファンの視点からするとキウイみたいな人はVtuberに向いている気がしますし、むしろ天職かもしれません
ただ性格だと実際は学校でもそれなりに人気がありそうと思ういますが、どうなんでしょうね?
天岩戸とダンスという物語展開には強引さも感じますが、キウイを参加させるのには視聴者への説明も少なくて済みますし、いいアイディアでしたね
あとは3話に関してはEDに流れたMVがかなり高クオリティな動画編集っぽくて、とても好きでした
2話で説明した『現代的なバンド像』ともリンクしており、ここまでの集大成として優れたMVでしたね
夜クラ3話の映像表現に関してはクラゲの前にいるシーンにグッときましたね
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年4月23日
かつての表現とは自分から消さない限り残るものだと思いますが、そこを起点として現在の自分との対比で用いるという場面はボクにも覚えがあります… pic.twitter.com/DrKznMzG6V
夜クラ3話の映像表現に関してはクラゲの前にいるシーンにグッときましたね
かつての表現とは自分から消さない限り残るものだと思いますが、そこを起点として現在の自分との対比で用いるという場面はボクにも覚えがあります
1話でまひるが悩んでいたイラストが他の人から見ても差がついたと思うくらいに影響を持っていた、というのはグッと心に残ります
あとはバキバキのスマホ画面を用いることでキウイのネットの世界と心が壊れかけている、けれども画面が映る=まだ壊れていないことを表現しつつ、そこに映るまひるに惹かれるという心情の可視化がわかりやすくされているのも良かったです
ここまでを観ていると、丁寧に描写を積み重ねているので今後も期待したいですね