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今回は『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』の紹介記事になります!
長くて噛みそうなタイトルじゃな
カエルくん(以下カエル)
今回は試写会で鑑賞しましたが、登壇された方たちも、よく噛まないでいけるなぁ……と感動するよね
亀爺(以下亀)
さすがプロじゃのう…わしならば、デデデ大王と同じイントネーションで喋ってしまうかもしれん
カエル「今回は紹介を中心とした記事となります。
なお、後半には感想を載せています」
亀「公開前に執筆したので、紹介が中心となっておる。
感想は後半になるぞ」
それでは、紹介記事のスタートです!
後編はこちら
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作品紹介・あらすじ
紹介マンガ
プロデュース・脚本 井中カエル(物語る亀)
キャラクターデザイン 卯月凪沙 様
作画担当 東条えてろう 様
(漫画の責任は井中カエルにあります)
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
紹介漫画
X(旧Twitter)の短評
#映画デデデデ #PR
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年2月27日
3月22日公開
試写会で鑑賞しました
原作既読、浅野いにおファンです
まず映像化が相当難しいであろう浅野いにお作品のアニメ化で、しかもデデデデに挑戦したことに拍手👏ですね… pic.twitter.com/UeZN0CYFAY
詳しい紹介
浅野いにおについて
まず、原作者である浅野いにおについて少し説明しましょうか
うちは浅野いにおファンなので、この作品も原作を読んでおるぞ
浅野いにおはとても有名な漫画家ですが、ご存知でない方向けに説明します
カエル「浅野いにおは1980年生まれの漫画家で、2001年に商業デビューを行いました。
漫画の特徴は……とても精緻な背景や人物描写と、共感を呼ぶキャラクター像でしょうか。実写映像化も果たしており『ソラニン』は多くの映画ファンが褒め称えるタイトルですし、近年では他にも『うみべの女の子』や『零落』が実写映画化しています」
共感性が強い作品を多く生み出す漫画家じゃな
亀「うちも影響を強く受けている作家でもあり、特に『おやすみプンプン』は歴代でも全表現の中でTOP10に間違いなくランクインするほど、優れた名作じゃ。
2000年代の社会と若者の時代感覚を的確に掴み、その心境の表現とプンプンの人間ドラマに強烈に惹きつけられた。いまだに田中愛子というヒロインのについて考えることすらあるほど、心情をぐちゃぐちゃにするほどの力がある。
また主人公像が極端にデフォルメ化されているのも特徴で、漫画でしか表現不可能な名作として名高い作品じゃな。
読んでいない方はぜひ読んでほしい。
うちもプンプンの感想記事を書きたいが……あまりにも偉大な名作すぎて、書く手が止まるほどじゃからな」
『デデデデ』について
では、原作の紹介と行きましょう
『デデデデ』も浅野いにおらしさがある作品になっているの
カエル「浅野作品は緻密な背景描写や社会描写が特徴的です。今作も宇宙船など、これを手書きで表現するのが大変だろうなぁ……と感じさせるほど!
その絵だけで惹かれていきます」
今作で言えば、この緻密な背景描写に若干ギャグ寄りにデフォルメされたキャラクターが載るので、そのインパクトの差がすごいの
亀「また社会論としても面白い。
連載が開始された2014年は当然ながら東日本大震災後となる。あの時の空気感を覚えている方も多いじゃろうが……原発問題をはじめ、あるいは2015年ごろの安保法案などの政治的な問題が絡む問題があった。
漫画にも反映されており、そのような活動に熱中する人もいる。
しかし同時に、そのような極端な状況でありながらも、普通の生活を送る市井の人々も描いており、むしろメインの描写はそちらと言えるかもしれん」
……最近だと、やっぱりコロナ禍を思い出す人も多いかもね
2010年代も若干遠くなるほど、色々なことがあったからの
カエル「時代感覚と人物感覚を的確に捉えているので、その意味でも面白い作品です」
亀「こう語ると難しい作品のようじゃが、それだけではない。基本はコメディを挟みながら進んでいくので、ある程度娯楽として読める部分も多い。
さすがに小学生などにオススメする作品ではないが、一定の年齢以上の方であれば……むしろ大人の方が、のめり込むことが多いのではないかの」
スタッフについて
次にスタッフについても紹介しましょうか
かなり豪華なメンバーが起用されているの
カエル「黒川智之監督は監督作は少ないですが、絵コンテ・演出などの演出業ではベテランです。
『ぼくらのよあけ』の監督を務めていますが、こちらはあまり話題になっていませんが、うちではとても高い評価をした、少年少女たちにオススメしたいジュブナイルSFでした」
作品を支えるスタッフも豪華じゃな
亀「まずキャラクターデザイン・総作画監督は伊東伸高が務めており、日本を代表する湯浅政明監督の重要スタッフとして有名じゃ。日本を代表するクリエイターの1人でもある。
また脚本には今や日本アニメ界でNo1という呼び声もあるほど……まあ、これは勝手にうちが言っているかもしれんが、名作・ヒット作を量産している吉田玲子が担当している。
アニメーションスタジオのProduction +h.は2020年に設立され、まだ若いスタジオじゃが、だからこそのこの映画を映像化しようという気概と挑戦を感じさせるスタジオじゃな」
キャストについて
そしてキャストについてです!
主演には人気者の”幾田りら”と”あの”が起用されておる
カエル「演技について語ると……もう、すごい組み合わせだよね!
2年くらい前にオーディションを行っていると語っているけれど、ホントにブレイク前夜みたいなタイミングだったんだね!」
亀「幾田りらは『竜とそばかすの姫』でも声優を務めており、タイミング的にはその前後ということになるのじゃろうが、やはり際立つものがあるんじゃな。
同時に”あの”は……やはりあの声が素晴らしい。
声優でないのが信じられないような声質であり、確かに奔放な性格のおんたんの役にピッタリだと感じた。
もしも声優業界に本格的に挑戦していたら、天下を取れたのかもしれないと感じるの」
役とピッタリに合っているんだね
芸能人声優の中でも、かなり上位に入るハマりっぷりじゃったな
カエル「挨拶の場で浅野いにおが『幾田りらとあのちゃんの組み合わせがピッタリだった』などのような説明をしていたけれど、とてもよくわかるよね。
『デデデデ』はバディものではないけれど、2人のコンビネーションが大事で、ここがピッタリと組み合わさった印象だったよ」
亀「芸能人声優について色々な意見があるじゃろうが、今作に関してはそこがむしろハマっているので、他の人では代役不可能というレベルになっておる。
この衝撃をぜひ、劇場で味わってほしいの」
ChatGPTによる感想のまとめ
- 原作の高い描写力と実写に適した質感がアニメとしての動かすことのハードルの高さを示していると感じ、浅野いにお作品のアニメ化の難しさ感じた
- 原作の思想性や緻密な描写を表現することに苦慮している印象もあるが、驚きのある構成をしているので初見の方に強烈な印象を与えることに成功しているのでは
- メディアミックスとして原作の再現をするよりも、もっと尖って劇場アニメ版だからこその魅力を発揮できるように後編に期待したい
原作ファンゆえに、ハードルは高めです
以下感想パート
感想に入る前に
それでは、ここからは本音の感想のパートといきましょうか
う〜〜〜〜〜〜ん……難しいなぁ
カエル「まず、先に言っておかないといけないのは、試写会だからというのもあるでしょうが、他の方の評価はかなり良い方だと思います。
だから、これはあくまでも個人の感覚によるものかもしれません。
当たり前な話ですが、大事なことなので言わせていただきました。
あとは、原作ファンというのもあるかもしれません」
……そもそも論を言うと、試写会って会場によっては微妙な時があるからなぁ
主「そりゃ、先に見させていただくメリットはとても大きいから参加しているけれど、正直映画を観る環境じゃない場所もある。
今回もメインは主演声優を務めた2人を呼んで、スペシャルゲストに原作者の浅野いにおを呼んで、ニュースに流すための話題を作るためのエンタメの場だからね。
映画を観ることがメインの自分としては、かなりスクリーンも小さいし、音響も悪かったから、作品のポテンシャルを最大限発揮しているとは全く思えなかった」
それも含めての試写会だよね
もちろん、当選したりお呼ばれしたら、興味がある作品、特にアニメはほぼ必ず行くけれどさ
主「無料で観れるから来ていますって人もいるのはわかるけれど……むしろ、自分は公開前に観れるんだから3000円くらい金取って、その代わりちゃんとした設備のある劇場で観られるようにしてほしいね。
それだったら、いくらでも参加する。
今回はキャスト&歌も歌っているからスタッフでもある2人と、原作者の登壇ということで会話の内容もあったけれど……たまにあるんだけれどキャストが集まってちょろっと話して、適当なゲームしてって試写会イベントの虚無感はホントに勘弁してほしい。
せめて監督は必須じゃないかなぁ……
正直、家でVR使ってオンラインで観た方がいい会場もたくさんあるよ。
オンラインはオンラインでコピーガードが入るけれど、それでも擬似的な大スクリーンとヘッドフォンつけて、時間も場所も制約されないほうがいいってことがあるからなぁ」
感想
なんでそんな話から入ったかというと、この映画のポテンシャルを120%浴びた感覚がなかったということですね
……やっぱり浅野いにお作品のアニメ化って難しいなって印象
カエル「もちろん罵倒するとか、この映画は時間の無駄とか、そういうことではないです。
浅野いにおファンからの視点で、ということになります」
主「そもそも『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』をアニメ映画化するって発表があった時に、かなり心配はあったんだよね。
そしてそれが当たったような印象だった」
その心配というのは……?
単純に、絵の密度が高すぎてアニメという媒体に全く向いていないんじゃないかってこと
主「浅野いにお作品って全部そうだけれど、背景描写から日常の小物に至るまで、その描写力がとても高い。精緻だし、とても生活感や親近感を覚えて、まるで読者もその世界に本当にいるかのように感じてしまう。
実際、浅野作品の映像化って『ソラニン』『うみべの女の子』『零落』にしろ、実写作品でしょ?
実写の方が、より映像化を想像しやすい原作なんだよね」
物語もアニメ・漫画的な誇張表現が少なくて、実写を漫画にしているようだからっていうのもあるのかな?
代表作の『おやすみプンプン』も今作も、漫画だからできる内容だと思った
主「『おやすみプンプン』は、漫画でないとできないことを突き詰めて、それで時代性をキャッチしたまさに伝説的名作であり、さらにいえば純文学ならぬ純漫画的なるものだった。
そして『デデデデ』も、そうといえばそうなんだよね」
『デデデデ』という作品の魅せ方と構造
話を『デデデデ』に絞って、その難しさっていうのはなんのかっていうのを考えていきましょう
自分の感覚で話すと……デフォルメ化された中に現代社会を投影するっていうのかな
カエル「それまでのリアルなタッチのキャラクターデザインだったり、プンプンのような絵画表現であるからこそのデザインではなく、より漫画的な……それこそ藤子F不二雄のような、デフォルメ化されたキャラクターの魅力ってところだよね」
主「今作はハードSFで絵柄もポップ、まさに漫画・アニメ的な内容だと思うかもしれない。
だけれど背景などの絵柄は相変わらず精緻だし、日常劇でもある。言うなれば戦争が起きても何も変わらない日常という、まさに日常系へのアンチテーゼのような要素も併せ持ち、さらに当時の……原発問題、安保問題などの分断化した社会に対する批判精神も持ち合わせたような内容だった。
デフォルメ化することで、より伝わる社会感情があるのではないか? という思いもよぎるような内容だったね」
参考画像
キャラクターのデフォルメ感と背景や美術の緻密さの融合が見事で、生活感があり現実らしさをさらに強くする
原作と比較して
そういう原作を持つ作品だということを前提として、語っていきましょうか
正直、全くワクワクも驚きもなかった
カエル「えっと……映画としてダメっていう意味なの?」
主「ダメというか……個性が薄れたというか。
なんか、中途半端に感じたんだよね……切りに行ったのか切られに行ったのかがわからないというか。
精緻さを増しているわけでもなく、デフォルメ化された可愛らしさをより強調するのでもなく、とても淡々としてしまった印象。
劇場アニメだからこその個性というのもさほど感じられないし、本当にただ動いただけという印象だ」
世界観の表現の難しさ
さっきの話とも被るけれど、世界観の表現がされていないと
というか、できないよね
主「素人考えだけれど、この作品を成立させるには……例えば実写を取り入れるとか、あるいはもっともっと抽象的な、アート表現を取り入れるなども必要なのかもしれない。
それくらい、この原作の作品内で語られていることのリアリティラインは特別なんだよ。
嘘のような戦争という世界(宇宙船描写)があって、現実とリンクするようなデモや政府の表現があって、日常表現があって、そこでもおんたん達はネットとゲームの話をする日常があるという……超絶複雑なことをしている。
そこが全部フラットに映画版は混ざり込んでいる。
漫画では絵で背景や描写で、嘘のような世界観に現実味を持たせながら、キャラクターが漫画タッチにコメディや崩しをやっているという手段で成立しているけれど……劇場版は良くも悪くも、そこが調和してしまった印象だ」
どんな思想を語るのかが不在なのでは?
メディアミックスのあるべき形ってやつだね
ただ単に映像化するのがメディアミックスではないだろう、ということかな
主「浅野いにおという個人が作り上げた世界と思想が、表面的にしか創出されていない印象。
そして何が悔しいかというと、脚本ならば吉田玲子、総作画監督ならば伊東伸高のような、業界のトップクリエイターを引っ張ってきて、この中途半端さというのが気になった。
この作品を通してプロデューサーや監督は何を語りたかったのか、というのが、全く伝わってこない。
なぜ『デデデデ』なのか、どうして2部作なのか……確かに前章しか観ていないからまだ総合評価はできないけれど、少なくとも、今のところは全く伝わってこない」
もっと端的に言えば思想がないんだよ
主「これだけ日本社会を斬ろうという意図が感じられた作品なのに、その思想性が弱くなっているように感じられたのは、自分にとってはショックだったね。
もっともっとそこを強めないと、本当にただ原作を動かしただけですってことになる」
映像表現と演技について
最後に、前章の映像表現についても語っておきましょうか
ここもなぁ……イマイチなんだよ
カエル「先ほども語ったように、映像表現と音響に関しては試写会場の問題もあったかもしれませんが……」
主「圧倒される部分が少なかったというか……おんたんと門出の初登場シーンは、かなり力が入っているのが伝わってきたけれど、それ以外で印象に残ったシーンがいくつあっただろうか?
マッシュアップされるとは聞いたけれど、やはり実質4時間級の作品を仕上げるのは、相当大変なんじゃないか? とは感じる。悪くはないんだけれど、逆に言えれば、悪くはないから抜け出せないかなぁ。
もしかしたら原作を知らなかったら、かなり衝撃の展開が続くから、それで引っ張れるだろうし……もっともっと引き込まれているかもしれない。
でも原作ファンとしたら……なんだか、イマイチだったし、やっぱり『デデデデ』のアニメ化はハードルは高すぎたとも感じたかな」
ちなみに演技に関しては
キャストは本当に良かったよ
カエル「あ、そこは紹介記事で書いたことが嘘じゃないんだ」
主「というか、自分は誤魔化しはしても嘘ついたつもりは一切ないけれどね。
ただ、気になったのは……あのちゃんと幾田りらですら、演技のラインがずれているような印象……というか、あのちゃんが独特すぎるのかなぁ。
結局さっきの話と繋がるけれど、アニメ的にしたいのか、リアリティがある演技にしたいのかがわからない。で、あのちゃんはもう、完全にアニメ的で、おんたんにぴったしだった。一方で幾田りらは、ちょっと現実寄りのラインだった。もしかしたら本職声優ならばそこを合わせられたのかもしれないけれど……
他の声優陣とも……どうだろう、そのラインはちょっとズレていたのかなあぁ。
どっちが上手いとか下手とかではなくて、その調整が自分としては、違和感があったということかな」
最後に
といわけで、感想記事でした
あくまでも個人の感覚ですから
カエル「それはまあ、当然だけれどね」
主「一応ネタバレはしないように語ったよ。
でもネタバレした方が優しいかもしれない記事になったけれど。
重ねて言いますけれど、試写会だからというのもあるかもしれないけれど、評判はいいですので、あまりこの記事の内容だけを気にしないでください。
というわけで……逃げよう!」