カエルくん(以下カエル)
「えっと……じゃあ、ここで1回2016年度のアニメを振り返るということで、ランキング記事を制作するんだね? もう5月に入って、GWも終わりそうなのに……」
ブログ主(以下主)
「いや、まあ、よく考えたら2016年のアニメを振り返る機会が無かったからさ……」
カエル「言っとくけれど、あなたは昨年のテレビアニメはあまり見ていないからね!? 秋葉原に行かなくても、ちょっと大きい街にいる大学生の方が多分アニメ見ているからね!?」
主「いや、でも自分より劇場アニメを鑑賞した人間も中々いないと思うんだよ。
テレビアニメと劇場アニメはまた違うんだけど、どちらも鑑賞するファンも多いけれど、劇場アニメはハードルが高くて……という人もそれなりにいるはず。それをまとめたランキングって実はそれなりに価値があるような気がするんだよね」
カエル「……まあ『アニメーション映画』と『アニメ映画』ってまた違うというのがこのブログの主張であって、その両者を兼ね備えた人ってそんなにいないかも。
わかりやすく言うと『劇場版ソードアートオンライン』と『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』を両方鑑賞した人がどれだけいるのかって話で……まあ、うちはテレビシリーズを見ないでSAOの劇場版を見に行ったから熱狂的なファンとはまた違う評価かもしれないけれど」
主「それだけをまとめてランキングをつけてみようかな。
なお、この時期なのはテレビアニメは冬(3月)で2クール目を終了する作品が多いから、ということもあります。
あと最初に言っておくと『けものフレンズ』『ユーリ on ICE』は鑑賞していないので入ってきません」
カエル「アクセス数のことを考えたらこのあたりは鑑賞しておきたかったねぇ」
主「何かと忙しいからさ! 仕方ないよね、全部のアニメを鑑賞できるわけじゃないし!
カエル「じゃあ、ランキングを始めようか」
対象作品の説明
カエル「では、まず対象作品の説明だけど……」
主「基本的には2016年4月から2017年3月に放映されて、完結した作品を対象にしています。
なので『リトルウィッチアカデミア』や2期が今年放映されることが決まっている『3月のライオン』は対象外です。
また、映画に関しては対象期間内に公開された作品全てが対象になりますが、まだ完結していない作品は対象外です。
なので『デジモンアドベンチャーtry』は対象外になります」
カエル「なぜそんな面倒くさいことをするかというと『完結していない作品は評価できない』からです」
主「完結していない作品はいくらでも評価が変わってしまうからねぇ。ラストはすごくいい! とか、オチが弱い! ということもあるし」
カエル「まあ、でも映画だけでいうとそういう作品は少ないような気もするけれどなぁ」
主「あとは当然ながら個人の主観バリバリなのでそこはご容赦を。
この手のランキングは最近鑑賞した作品の方が印象に残っているので強いです。逆に昨年の春に放映、公開した作品はそれだけ印象に残ったということです。
あとあれがない、これがないはキリがないのでご容赦を。
では、ランキング記事を始めます」
25位から20位
25位
血煙の石川五右衛門
24位
ちえりとチェリー
23位
傷物語
22位
GANTZ:O
21位
『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』
カエル「とりあえずここまでのランキングはこうなったね」
主「25位までは拡大したのは『これはランキング入りさせたいなぁ』という作品が多かったからで……
それでいうとこの5作品は『技術の挑戦』という意味ではすごく高い評価になる。特にパペットアニメーションのちえりとチェリー、CGアニメーション界でとんでもなく高いクオリティを叩き出したGANTZ、FFは素晴らしいよ」
カエル「この順位に落ち着いた理由を挙げていくと……ちょっと特殊な上映形態によるものもあるかなぁ」
主「石川五右衛門はまだ続くらしいし、複線を張っておしまいになって部分もあって1作としてみたら少し疑問が残る。
ちえりは子供向けすぎた印象があるかな。でもパペットアニメーションでこのクオリティは素晴らしいよ!
傷物語は3部作の難しさがあったし、GANTZは原作を知らないと少し話についていけないところもあるし、FFはゲームの前日譚だから映画として完結はしていない。
その辺りが評価を下げた理由かなぁ」
カエル「あくまでも1作の作品として評価すると辛い評価になる作品ということかぁ」
主「でも、どうしても紹介したいと思うほどに技術やチャレンジ精神にあふれた作品だから! 是非とも鑑賞してほしいね」
20位から15位
20位
ONE PIECE FILM GOLD
19位
アングリーバード
18位
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
17位
モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ
16位
甲鉄城のカバネリ 前編 集う光
カエル「20位から16位までを紹介したけれど……」
主「ランキングを作った時に1番迷うのがこのあたりでさ……例えばモンストの映画って自分はすごく好きなんだけど、ランキングを作るとしたらやっぱりこの順位かなぁ。
オルフェンズも自分は絶賛したけれどテレビシリーズとしては穴があるのもその通り。まあ1年続けたシリーズで穴が何もない作品ってそうそうないけれどね」
カエル「このランキングだと16位のカバネリの前編が異色かな? これは前編だけの評価んだよね?」
主「記事でも語ったけれど、カバネリの前半は6話までの前半の総集編なんだけれど、前半だけで見るとカバネリってすごく面白い。アクションも素晴らしいし、迫力もある。劇場で観る価値は大いにある。
問題は後編なんだけれど……いっそ、ここは映画だし独立した作品として評価したらこの順位になるよ」
カエル「……基準がガバガバなランキングだね」
15位から10位
第15位
ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
カエル「この作品はアイルランドでは『ポストジブリ』とも言われるトム・ムーア監督のアニメ作品だね。こちらも子供向け作品にだけど、表現の1つ1つが日本のアニメとはまた違っていて『アニメーション映画』のよさがあったよ。
結構萌えなキャラクターが受けやすい日本アニメ界だけど、こういう表現も一般的になるとまた別の面白さがあるんじゃないかな?」
主「『アニメ』と『アニメーション』だとまたちょっと違うけれど……世界のアニメーションはやっぱりいいものがたくさんあるな、と感じさせてくれた1作だったな」
第14位
91Days
カエル「夏アニメでは最も高い評価になった作品だね。作画はちょっと残念な回もあったし、決して派手な作品ではなかったけれど……」
主「オルフェンズもそうだけど、自分はこういうマフィアものがすごく好きなんだ。だけど最近はあんまり流行らないのかこともあって減少傾向だったけれど、こういう骨太な男の世界を見せてくれて嬉しかったなぁ」
第13位
劇場版 黒執事 Book of the Atiantic
カエル「今年に入って公開された黒執事の劇場版だけど、こちらも原作未読、しかもアニメ版もそこまで詳しくないけれど楽しめた1作で! 特にこの作品は3人のキャラクターが深掘りされていたけれど、田村ゆかり演じるエリザベスがすごく可愛くて!」
主「こちらもアクションも良かったし、EP0のような展開だから初見でもわかりやすかった。シエルとセバスチャンの出会いが明かされたり、ファンもたまらない1作に仕上がっていたんじゃないかな?」
第12位
映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃
カエル「もしかしたら12位でも低い! と怒られるかもしれない、クレヨンしんちゃんシリーズの中でも屈指の作品かも……
特に今回は普段と違って『母の思い』という点がテーマになっていて、ラストの展開は思わず涙が流れること必至だよ!」
主「クレヨンしんちゃんというとどうしても、ひろしの『父親と息子』という点に注目が集まりがちだけど、今作は母であるみさえなどに焦点を当ててきた。それがまた感動する物語でさ……
『夢』というなんでもありの空間とトラウマ、悪夢を見事に合わせた傑作だったな」
第11位
アニメ(ーター)見本市 作品
カエル「こちらは特別上映のために入れるか少し迷ったけれど、パトレイバーの新作短編が公開されるということで、劇場でアニメ(ーター)見本市という短編集の中から一部作品を上映したけれど、これがまたいい作品があったんだよ!」
主「全体としてはやっぱり短編アニメだからクオリティも多種多様なんだけど、その中でも『おちびちゃん』と『旅のロボから』が特に素晴らしい1作だった!
『おちびちゃん』はアニメーションの可能性が無限大であることを感じさせてくれる作品だったし!
『旅のロボから』も短編としてみたときの完成度はずば抜けていたなぁ……」
カエル「この短編で発表された作品が長編になったりもしていて、今後の発展が楽しみな作品が多いね!」
TOP10の発表、でもその前に
カエル「じゃあ、ここまでの振り返りだけど……見事にテレビアニメシリーズが少ないね」
主「でもさ、20位前後のテレビアニメを全部見るか? と言われると少し微妙なところもあってさ……
映画なら大体2時間で終わるじゃない? テレビアニメって1クールみようとしたら30×12として、約6時間……まあCMやOPのカットもあるけれど、それでも5時間弱はいくじゃない?
それだけの長い時間を鑑賞しようと思うと、相当面白い作品でないと難しいわけ。特に映画は料金が発生しているけれど、テレビアニメは基本無料だからいつでも切れるし、そもそも作品本数も多すぎて全部鑑賞なんて絶対できないし」
カエル「あ〜年をとるとアニメを見ることができなくなる理論だね」
主「実際、それって本当のことで、ただ見るだけなのに結構体力を消費するんだよね。
だからここまでのランキングを見てもわかるけれど……どうしても映画の方が鑑賞しやすいからなぁ。
多分、けものフレンズも自分は1話切りしていたと思う」
カエル「けものは少なくとも3話まで見て! ってよく言われるけれどね。
それじゃここから先、TOP10の発表を始めるよ!」
10位から5位
第10位
バーナード嬢いわく
カエル「ここで5分アニメーション作品の登場!
これは明らかに趣味が出た選出です!」
主「簡単に言うと『本好きのあるある漫画』なんだけれどさ、これが原作もツボだった!
原作の絵が若干癖があるんだけど、アニメ版になるとすごく可愛らしくなって、声もつくわけだけど、また喜多村英梨と小松未可子の演技が抜群にハマっていて!
本が好きな人なら絶対にハマる作品だと思う! 本が嫌いな人は……う〜ん、なんとも言えないけれど……」
カエル「キャラ萌えアニメとしても楽しめるんじゃないかな? ここ最近は5分アニメでもバカにできない作品が次々と生まれているけれど、本作もその中の1つとして後々にも語られるといいなぁ」
第9位
劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜
カエル「こちらは総集編映画の方です!」
主「総集編映画だから展開などが早いし、セリフで説明した描写もある。一部シーンはテレビ版の方が良かったりもするんだけれど……でも、全体的な満足度はテレビ版にも劣らないし、しかも2016年の映画の中でも屈指のものだった!
やっぱりユーフォって音楽映画でもあるじゃない? 映画館の音響で聞くと、その音楽シーンの迫力が一層増しているし……演奏シーンも追加カットもあったりして、満足度も高かった!」
カエル「元々作劇がうまい作品でもあったからねぇ。映画として2時間でまとめられたことにより、物語が分かりやすくなったよね」
主「一部のキャラクターの物語がカットされたりと不満点もあると思うけれど、総集編映画としてだけでなく、物語としてもレベルが高い1作になっているよ」
第8位
ふらいんぐうぃっち
カエル「ちょうど1年前の作品だけど、2016年の日常系アニメの中では屈指の満足度だったなぁ」
主「元々原作も大好きで読んでいたけれど、アニメになってさらに面白くなっていったよ。青森の町も美しかったし、キャラクターも一人一人がしっかりとたっていたし」
カエル「特に女の子のフォルムとか、足の描き方、ほんのすこしの体の動かし方の柔らかさが目立ったね。音楽もゆったりしていて、ずっと見ていたい作品だったね!」
主「2期も楽しみにして待っているけれど、しばらくは先なのかな? 原作もまだ4巻だけど楽しみに待っていたい1作だよ」
第7位 SING
カエル「3月公開、まだまだヒット中の作品がここで登場!」
主「SINGは字幕も吹き替えもどちらも素晴らしいよ。ユーフォもそうだけど音楽と絵の融合が本当に素晴らしかった。如何してもアメリカのアニメ映画というとディズニーやピクサーが語られがちだけど、それ以外の……イルミネーションの本気が見ることができた!」
カエル「色々な動物たちが出てくるけれど、その動物たちの1人1人が色々なメタファーにあふれていて、実はメッセージ性に溢れた1作だったしね」
主「実は細かい演出もしっかりとしていて、そういうところを読み取るとメッセージ性も強く発揮している。もちろん、名曲たちもその場面にあったもの、その登場人物にあった曲を選択しているし……実はすごく丁寧に作られている作品でもある。
また最近ポリコレに配慮した作品を多く作るディズニー作品に対して、ちょい悪な物語であるのも評価が高い。これはなかなかいいものを見せてもらったよ」
第6位 ズートピア
カエル「……と、まあこれだけSINGを褒め称えたあとでズートピアがその上にランクインするんだけど」
主「これはもうしょうがない。正直に言うと、自分はそんなに『好きな』物語ではないんだよ。だけど否定のしようもないくらい素晴らしい作品でもあってさ!
おそらく完成度だけならば2016年の全ての映画の中でも1番かもしれない。脚本、演出、音楽、しかも老若男女全ての人に受け入れられるストーリー……対象年齢は5歳から100歳までという幅広い層に受けれ入れられるはず」
カエル「子供向けの軽いお話だと思ったら、実はすごく重いテーマが隠されていて……いや、隠されていないか? これだけ色々なメッセージ性を取り込みながらも、ミステリーとしても中々な1作に仕上がっているし……」
主「バディものとしても、キャラクター人気も高い。
欠点があるとしたら『完璧すぎることが欠点』というような作品だからね。この順位なのも上位の作品の方が個人的に好き、という理由だけだし。
誰にでもお勧めできる1作なのは間違いないね」
TOP5の発表!
第5位
君の名は。
カエル「2016年の映画界の主役! とんでもない興行収入を叩き出し、誰もが大好きな1作がここで登場だよ!」
主「いろいろ言われたしさ、まあ賞賛も批判もどっちも理解できるんだけど、今作に関しては新海誠のこれまでの作品の全てが詰まった1作になっている。日本アカデミー賞脚本賞はさすがに疑問だけど……
でも圧倒的な背景の美もあったし、ロマンチックな物語でもあってさ、これだけ広く受け入れらたのも納得の作品だった」
カエル「ちなみに、なんでここまで流行したと思う?」
主「ポストジブリの後釜として万人が受ける日本アニメをみんなが探していたことと、新海誠の見えてこなかった人気がここにきて爆発した、というのもあるんだろうな。
あとは確かに脚本とかも突っ込みどころもあるだろうけれど、しっかりと考えられているだろうし、東日本大震災後の日本の状況なども鑑みてよくできた作品だと思う」
カエル「公開が8月でまだ上映している劇場があるというだけでもその人気がうかがえるね」
主「この作品が社会にこれだけ広く受け入れられたという事実だけでも、興味深い作品であることは間違い無いだろうな」
第4位
劇場版ソードアート・オンライン−オーディナル・スケール−
カエル「ここで劇場版SAOが登場するんだね!」
主「自分はSAOって一切見たことがなかった。劇場版が初見でもすごく面白くて!
あれだけの圧倒的な作画であったり、音楽を駆使した大迫力の物語というのも中々無いよ。君の名は。とはまた違った豪華なアニメとなっていて、これほどの作品はそうそう見ることはできないんじゃ無いかな?」
カエル「初見でもわかるほどの作品ってすごいよねぇ」
主「ここ最近、岩浪音響監督のTwitterを見ていても、劇場に足を運んで音の調整をしていて……映画における音って最大の武器の1つだけど、邦画はどうにもここに力を入れているという話はあまり聞かないねぇ。
アーティストが誰それとか、主題歌が有名なバンドという話はいくらでも転がっているけれど、じゃあ肝心の劇中の楽曲に力を入れました、その音の調整のために劇場に……というのはあまりない」
カエル「いい音響の劇場もハリウッド作品とアニメ作品ばかりだし……」
主「その差がはっきりと出たのがSAOと君の名は。だろう。どちらも大ヒットしているけれど……まあ君の名は。はまさしく桁違いだけどさ。そういう細かいこだわり1つ1つの差が出たんじゃないかな?」
第3位
響け! ユーフォニアム2
カエル「ここでテレビアニメの第2期ユーフォが登場だ!」
主「テレビアニメとしてここまでのクオリティに仕上げたというのは驚愕の一言。劇場版の総集編も決まっているし、こちらも楽しみな1作で!
神回連発だったし、5話の演奏シーンは歴史に残る名シーンだったんじゃないかな? 劇場版の絵を一部使い回していたりもしたけれど、それを考えてもとんでもないクオリティだった」
カエル「部活にかける青春だったり、それぞれの人間関係も含めて語ることが多い作品だったなぁ」
主「こちらも当然音響も良いし、サントラも癖になるような音楽がたくさん詰め込まれている。
テレビアニメとしてこれほどの作品が登場したというだけでも驚愕だし、京アニの本気をしっかりと堪能させてもらった1作だった。
普通はこのクオリティなら年間1位確定だよ。だけど、残念なことに2016年はさらに上をいく作品が2つあるからね」
カエル「……まあ、もうあの2作しかないけれどね」
第2位
この世界の片隅に
カエル「今更何かを話す必要があるのか? というくらい話題を席巻したとんでもない大傑作!」
主「年末の賞レースも大活躍だったな。まあ、公開時期が良かったというのもあるけれどさ。
頭一つってレベルじゃなくて、邦画界屈指の映画だろう。洋画で1番の完成度だったのが『ズートピア』だったけれど、じゃあ邦画では? と聞かれると、やっぱり『この世界の片隅に』になる」
カエル「もちろん、元々の原作が名作なこともあるけれど、なぜこれほどまでに深く愛される作品になったのかな?」
主「色々な条件が重なったのは間違いなく有る。例えば、これが『君の名は。』みたいに大資本が最初からバックについて、全国200館以上で公開されていたらここまでの盛り上がりはなかったかも。
クラウドファンディングでファンが支援し、そのファンが『俺たちの作品』として応援する。監督もすごく苦労して資金繰りをして、さらにその体験を知ったらさらに応援したくなる。
そういうサイクルができていたのもあるんじゃない?」
カエル「観客が制作サイドになった作品でもあるわけだ」
主「あとは扱っているのが『現実の広島』というのも評価が高くて、みんなこの作品を語るときは『リアルな広島、あの時代の広島』について語っているように思うんだよね。まるでドキュメンタリーのような扱いでさ。
ここまで徹底したリアリティを獲得した作品は絵空事な物語ではなくなる。その結果、作品と観客と現実が一体感を持って受け入れられる。
この作品は『作り手』と『観客』だけでなく『現実』と『物語』の垣根も超えた作品なんだろう。うまく海外に売り出せば、きっと海外の賞もたくさん受賞するだろうね」
第1位
聲の形
カエル「まあ、このブログでは当然のようにこの作品が1位になるよね」
主「今でも十分評価されている作品かもしれないけれど、自分は現状でも過小評価だと考えていて……
もっともっと高く評価されてもいいし、むしろ評価されないとおかしい作品だとも思うわけよ」
カエル「何がそこまで高く評価されるの?」
主「まずはアニメーションとしても繊細なのはもちろんのこと、音楽、物語、演出、人物描写も完璧なんだけれど……もっと素晴らしいのは、この作品の心意気にある。
日本の映画界において……というか、表現において障害というのはタブーなわけだ。暗黙の了解として非常に繊細に、センシティブルに扱わなければいけないことである。もちろん差別などの問題もあるから、これは当然のことだけどさ」
カエル「結構このブログだと障害を扱った作品は評価高い傾向にあるかな」
主「例えばこの世界の片隅にって誰にも否定のしようがない物語なわけ。戦時下に普通に生きていた主婦はいっぱいいるし、作中に明確な戦争賛美も戦争反対もない。あの時代では戦争に行くというのは当たり前のことだから、色々な思いはあるだろうけれど、明確に賛成も反対もないわけだ。
戦争の現実をひたすらに描いたから、誰もが自分ごとのように思い、過去に対して思いを寄せて涙を流す。これはこれで素晴らしい物語だよ」
カエル「『否定のしようがない物語』というように、アンチの意見をほとんど聞かないもんね。あまり好きじゃない、という意見くらいしか聞かないかなぁ……」
主「逆に聲の形って絶対に賛否両論なんだよ。障害をテーマにした時点で色々な配慮は求められるし、しかもいじめも絡んでくるは、自殺、コミュニケーションなどの辛い現実も描いている。否定したくなるのもわかる物語だ。
面倒くさいだろうね。こういう作品には触れない、作らないというのも賢い……とは言わないけれど、1つの手だよ。テレビなどの多くのマスメディアは触れないという選択をしているし。
だけどそこから逃げることなく、真正面から作ってその賛否両論を一身に浴びているというだけでも、やはり素晴らしい心意気だろう。
この映画以上にチャレンジャーな作品はない……と言いたいけれど『無垢の祈り』があるからなぁ。
アニメでは最も挑戦した志の高い作品だと思うね」
総評
カエル「そんなわけで、2016年のアニメを振り返る意味でもランキング記事を作ってきたけれど……」
主「あーー疲れた!
すっごい悩んだ!
多分、明日になればTOP3はともかくとして、ランキング自体は変動するかも! それくらい差がない作品だし、単純に好きな映画ランキング、もしくはお勧め映画ランキングになればまた順位は変動するよ。
このランキングは
『好きじゃないけれど技術的にすごい』
『いろいろあるけれど志は評価しないと!』とか、そういうことも考えて作成したので!」
カエル「本来はランキングなんて簡単にできることじゃないもんね」
主「特にテレビアニメに関しては不満点も多いと思うけれど、とりあえずこのようなランキングになりました。
2017年はテレビアニメもチェックしたいけれど……春アニメの様子を見るとどこまでいけるか……」
カエル「春は『月がきれい』がすごく面白いね! 意外とラノベ原作ものも面白いし、タイトルはバカみたいだった『エロマンガ先生』もありだし!」
主「2017年度も色々な作品が放映、公開されると思うけれど、2016年並みの豊作になることを祈ってこの記事を終えたいと思います」