物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』(2016) FFファンじゃない人の感想 

 カエルくん(以下カエル)

「FFの新作もいよいよ発売だね! 世界的なニュースだよ!」

ブログ主(以下主)

主「近年はCMを見てもスマホアプリゲームばかりで、据え置き機のゲームは衰退する一方だから、このFFの売り上げや人気によって据え置き機の一つの流れが決まるのかもしれないな」 

 

カエル「新作が発売する前に映画を作って公開するゲームなんてFFぐらいかな? あとはテイルズが発売後に公開だったかな? 任天堂は映画を作る気があまりないみたいっていう事情はあるけれど、やっぱりそれほどの注目度を集めるゲームも他にないよね。主はFFは何が好き?」

「……チョコボの不思議なダンジョンと、チョコボレーシングかな

カエル「……え?」

主「あ! 他にもあるぞ! チョコボスタリオンは凄くハマってな、当時人気だったK-1選手の名前をつけたりして遊んでいたなぁ……ダビスタに比べて初心者向けと言いつつも、血統を考えたりするのが大変で……」

カエル「……いや、FFの話をしようよ?」

 

 

 

どれだけFFを知らないか紹介します

カエル「実際、主のFF歴ってどんなもんなの?」

主「どんなもんって言われてもな……やったことあるのは9だけで一応クジャとの対決までは行った。クリアは……してないかな? あとは7、8、10の内容は話を聞いて知っているって程度かな。あとライトニングが坂本真綾ってとことか。10-2はギャルゲーみたいってことかな」

カエル「え!? FFを1作しかやったことないの!?

主「う〜ん、不思議とね。元々FEとか信長の野望とかのシュミレーションが好きなのに加えて、同じ作品をずっとやる人間だから、未だに昔のFEやパワプロ15(2008年)とかプロスピ2012とかをやっているし。ドラクエとかテイルズは何作もやっているけれど、FFは通ってこなかった。

 逆にいうとこの作品を語るときにFFっていうバイアスはかからないと思う。特に思い入れがないから、『FFらしくない!』っていうのもわからないし。ファンでもアンチでもない意見になるね」

 

 

全体の感想

カエル「まず全体の感想として上がるのが、迫力満点の映像だよね! こりゃすごいって腰を抜かしちゃったよ!」

主「ここ数年のゲーム業界のCGはここまで来たかという印象だな。『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』が発売された時もこれは映画だなと言われたもんだが、それを2時間やるとここまでのクオリティの映画になるんだな」

 

カエル「もう人間と区別がつかないってレビューもよく見るね」

主「個人的にはそれはまだまだ言い過ぎだと思うけどな。CG特有の人間の硬質感があるし、人間と見間違えることはないと思う。ただし建造物や車になるとうますぎて、もうどっちが本物か全くわからない。日本のCGもここまで来たんだなって感激したよ

カエル「主は未だに日本映画におけるCG技術は『イノセンス』がトップかもしれないって言っていたけれど、その認識は変わる?」

主「やりたい表現が違うからなんとも言えないけれど、『APPLESEED』が目指したCG表現の正統進化だと思う。正直、アニメでCGを使う場合はこの路線はもう終わったと思っていたけれど、そうか、ゲームで生きていたんだなって再発見したよ」

 

序盤について

主「序盤は少し走っていたな。場面と場面の間のシークエンスがなくて、違和感がある出だしだった」

カエル「これは昨年の今頃公開された『GAMBA ガンバと仲間たち』もそうだったけれど、尺に収めるために仕方なくってところなのかな?」

主「そうだと思う。後半になるとしっかりと尺も取れていたし、間もあったから。正直序盤を見ている最中は、ゲーム画面の間にあるムービーシーンを繋げただけなのかな? って少し不安に思ったからな」

 

カエル「いきなりド派手な戦闘シーンから始まったね」

主「こう言った映画の常套手段だけど、派手なシーンを見せて観客をその世界観に連れて行くっていうのやっぱり効果的だな。戦闘シーンについては後ほど感想を書いていくけれど、あれがいきなり入ると観客は度肝を抜かれるよな。今のCGはここまで来ているのかって」

カエル「あれで息を飲んだし、こっちも相手も相当やばい技術を使って戦っているというのがよくわかったよ」

 

声優について

カエル「何と言っても豪華声優陣による夢の共演だよね! もうさ、藤原啓治はザ・藤原啓治って感じで! 多分ゲーム本編じゃ裏切るんだろうなぁ……とか思わせてくれそうなキャラクターだったし!!」

主「もうどこから聞いてもいい声のオンパレードでさ、ちょっとした役ですら関智一であったり、高木渉であったりとどこかで聞いたことのある声のばかり。FFというシリーズの偉大さを思い知った気分だよ。

 しかも映画吹き替えの多い面々でもあるから、外画を見ている気分にも浸れる

 

カエル「でさ……賛否を巻き起こしている芸能人声優だけど、そこまで悪くはなかったよね?

主「元々個人的には芸能人声優にはそこまで反対ではないけれど、アニメなどの場合は上手い人と下手な人が混ざると露骨に下手な人が浮いてしまうから、そこは配慮が欲しいんだよね。その意味では綾野剛も忽那汐里も損しかしない中でよくやったよ」

カエル「十分うまかったよね」

 

主「上手いというか、役には合っていた。特に綾野剛は主人公とはいえそこまで感情の起伏がないキャラクターだから演じやすかったんじゃないの? 問題は忽那汐里だけど、正直棒ではあったと思う。感情を表さなけれないけないシーンも同じ調子だったし、襲われても『アァ……』ぐらいでさ。文字にするとわかりづらいけれど『ああ……!!』とならなきゃいけないところが調子が同じだったから。

 でもそれは演技力の問題で、個人的には『ゼーガペイン』時代の花澤香菜とか、『風立ちぬ』の庵野と同じで、地声は魅力的だったし俗に言う『良い棒』だったと思う。

 あとは現場を重ねることで、すごく魅力的な声を使えると思う。まあ、そんな経験不足な人を使うなと言われればその通りなんだけど。個人的には早見沙織あたりで聞いてみたかったかな

 

 

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以下ネタバレ……あり?

カエル「じゃあ、これから作品本編のネタバレ込みで語っていこうと思うけれど……あれ、主、急にやる気なくしてない?」

主「……いや、だってさ。この作品で何も語ることがないんだよね

カエル「えぇ!? ここまで来てそれってないでしょ!?」

 

主「いつも映画を見るときってノートにメモを取りながら見るけれど、それも真っ白でさ。あんまり語ることがないんだよね。

 というのもさ、本作はゲーム本編に対する序章であり、前日譚なわけじゃない? ということはこの作品で全てが明かされたら意味がないから、謎は謎のままで放っておくべきなのよ。だから指輪のことも過去の王のこともわからなくて正解。世界観もわからなくていいかも。

 しかもゲームは映画を見ていない人も対象にしなければいけないから、ある程度推測しやすい簡単なストーリーにしなければいけないでしょ? そうなるとさ、語ることなんて何もないわけよ。特にFFに思い入れがないし」

 

カエル「いや、でもCGがすごいとか色々あるでしょ!?」

主「だから、結局この映画の意義って何かというとゲームの催促なわけでさ、そうなると映画らしいテーマ性と深いストーリーなんて欲していない。それはゲーム本編で解決する話だから。そうなると映像技術がいかにすごいかっていう技術のお話になるわけで、もちろんそれはすごいけれど、すごい以上の感想が中々出てこないのね」

 

CGについて

主「だからCGについて素人がある程度語ろうとするならば、砂嵐や夜の描写によって……言葉が難しいけれどよく言うならば『工夫』しているっていうのかな。全体像や輪郭を見えづらくしている。悪く言うならば『誤魔化している』とも言えるんだけど、これは今のCG技術では仕方ないことだけどね。

 例えばCGがすごかった作品としてはハリウッド映画だと『パシフィック・リム』や『GODZILLA ゴジラ』や『ジュラシック・ワールド』があるけれど、だいたい海辺や夜の対決なわけじゃん。なんで海辺や夜かというと、波しぶきや水の表現によって大きさが伝わりやすかったり、夜の暗さでCGぽさを消しているから、と言われているのね。

 今作はその水を砂や煙に変えて表現しているわけよ。その代わり、絵が暗くなってしまうし、暗色の服のせいで見づらくなってしまうけれどね。

 あとはカットが次々と早々と変わることでスピード感を演出しているけれど、これが3D酔いしやすい人には少しきついかな。そのシーンは長くはないから大丈夫だと思うけれど」

 

カエル「そうだね、画面とカットの早さもあって少しだけ見づらいかな、って印象はあった」

主「それでいいのよ。結局はCG技術を取り入れて、作品世界への導入であり、技術を見せつけるための映画だから。今のゲームってこんなにすごいんだよっていうさ。逆に言うと、普通の映画だったらここまで出来ないと思う。FFという世界規模の成功が求められる作品だからこそできた映画だろうね。

 ……その意味では映画というべきか、ゲームムービーというべきか迷うところでもあるけれど。

 あとは逃げ回るシーンはなんとなく『アンチャーテッド』を思い出したな」

 

 

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催促映画として

主「催促映画としては何度も言う通りに成功しているし、この映画で相当な数がゲームとして売れると思う。PS4の売り上げにも影響するだろうし。脚本も世界観を損なわない、いい塩梅だったし、大きな疑問はない。すごく計算されて抑制された映画だった

カエル「……じゃあ主は買う?」

主「買わない」

カエル「……また天邪鬼発動かよ!」

 

主「そうじゃなくてさ、そもそもPS4が高い上に、FFファンじゃないから映画一本くらいじゃゲーム機を買ってまでプレイしようとは中々思わないよね。でも、やりたい! と思った人もいるだろうし、何より大きいのが昔ながらのFFが好きだけど新作は買おうか迷っている層がFFクラスだったらゴマンといる。それが動き出すと考えると、相当大きな効果を生むよ

カエル「じゃあ、主はお金があってPS4があったら買うの?」

主「多分買わない」

カエル「何だよ!!」

 

主「なんというかさ、楽しみにしているファンには申し訳ないんだけど、FF好きじゃない人間からすると、あれだけ男臭い軍隊の映画から、ホストみたいな男に主人公が変わって感情移入ができるかというと、少し難しいところがある。仲間も含めてかっこいいとは思えなかったかな。これは最近のFFだけにいうことではないけれどね。テイルズもホストっぽいし、FEもね。流行だけどさ」

 

世界観について

主「その意味では世界観がバラバラなのがすごく気になったかな

カエル「その声は聞くよね。時代性がわからないって」

主「現代兵器を使っているようであって、魔法を使うから仕方ないんだろうけれど、ファンタジー調な内装なのに街並みは新宿みたいな大都会。しかも中国みたいな下町もあって、車も走っている。だけど服装はファンタジーぽい上に、カウボーイもいる……街の外は森が生い茂るファンタジー調ときたもんだ。

 極め付けは中世風のマントや甲冑もいる中で、スーツを着た黒服達の存在。このバラバラ感が面白いといえば面白いけれど、なんというか、統一感のなさが気になるよね」

 

 

最後に

カエル「……なんか全体的に文句が多くない?」

主「いや、面白いよ! 頭からっぽにして観れるし、先の展開も全て予想がついてほぼ100%その予想を裏切らないけれど、面白い! それは間違いない!」

カエル「……とってつけたようで嘘くさいなぁ」

主「嘘じゃないって! 面白いは面白い! あとヒロインかわいいし、おっさん渋いし、みんなカッコイイって! ただ、深いこと語ろうとすると向いてないってだけでさ、一本の映画としては評価できないっていうか!」

カエル「……もうチョコボコレクションでもやってろ!!」

 

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