物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『ちえりとチェリー』感想 子供に見せてあげたい作品!

カエルくん(以下カエル)

「さて、じゃあ、今回は『ちえりとチェリー』の感想記事なんだけど……そもそもどうしてこの作品を見に行ったの?」

ブログ主(以下主)

高森奈津美のファンだから!!

 

カエル「……え? それだけ?」

主「それだけ。あれだよ、芸能人声優を起用する人は、今時プロの声優にもファンが付いていることをもっと自覚したほうがいい」

カエル「……でもテレビでの宣伝力とかは違うよね?」

主「そこはほれ、なんというか、ね。うん」

カエル「大事なところでしょ! 誤魔化すな!!」

 

 

 

1 高森奈津美推しの理由(映画の感想とは関係なし)

主「見に行った理由を問われると一番大きいのは高森奈津美が主演っていうのがあるけれど、それ以外にもあるよ。それは後で話そうかな?」

カエル「そもそも、なんでそんなになつ姉推しなの?」

 

主「はじめはラジオの影響でさ、こんなに面白くトークできる女性声優がいるんだって、感心した。声優ラジオって面白いけれど、下ネタ言ってなんとかするパターンもあるじゃない? なつ姉はそこまで強烈な下ネタ話もしないで、ナチュラルトークで面白いから、一気に惹きこまれた。

『A&G NEXT GENERATION Lady Go!!』の卒業コンサートにも行ったんだよ。舞浜の夢の国の近くで、別の夢の国の住人たちが集まったイベント。ほぼ8割から9割男というでね、舞浜ということもあって異様な光景だったけれど。

 そこでの言葉が忘れられなくてね……

『女の子5人が集まったら1人くらいは絶対嫌な奴がいるし、そしたら全員いい子だったから、今度は1人嫌な奴がいたらうまくいかないこと全部そいつのせいにできるのにって思っていた』というのがね。もうさ、この感性が素晴らしいと思わない?

 なつ姉にはエッセイとか、小説を書いて欲しいよ。絶対買うから。こんなに声優の言葉で感動したのって、坂本真綾と高森奈津美だけ」

 

カエル「……気持ち悪いくらい熱いオタ語りだね

主「あとは演技力も当然素晴らしくてさ、個人的には30前の若手女性声優では上位だと思う。今回のちえり役もそうだけど、どちらかというと小さい女の子の役が多いけれど、低音ボイスも魅力的だし。色々な女性像を演じられる存在だよね」

 

他の声優陣について

カエル「さて、このままだとなつ姉の魅力語りで終わるから、他の声優陣に話を変えようか」

主「まず、星野源に関しては全く問題無し。元々歌手だから声質もいいし、お腹で呼吸をするとかいうこともできるんだろうね。しかも演技経験も豊富でしょ? 

 声質はそうね……癖の少ない中尾隆聖って感じかな? すごくうまかったよ。

 栗田貫一はやっぱりルパンで演技経験豊富だから、うまいよねぇ。ルパン以外の方がうまいかもしれない。サンドウィッチマンも浮いてなかったし。

 そして何より田中敦子姉さんですよ!

 久々に聞いた気がするけれど、やっぱりいいわぁ……」

カエル「まあ、オタ話はここまでにしようか……」

 

 

 

2 パペットアニメって何?

カエル「さて、前置きが長かったけれども、ここからようやく作品全体の感想に入ろうか。そもそも、なつ姉以外でこの映画に注目した理由って何?

主「元々パペットアニメって結構好きなんだよ。パペットアニメというと分かりづらいならば人形劇というか……いや、人形劇とも違うけれどさ……」

カエル「じゃあ、まずそこの説明から入ろうか」

 

主「人形劇というと思い浮かぶのが『サンダーバード』とか、『ざわざわ森のがんこちゃん』とかかな。人形を使って、人が操作する様を動画で撮影した表現。昔でいうと動画はないけれど人形浄瑠璃もそうだな。

 パペットアニメは人形劇と違って、動画的に撮らないんだよ。アニメだからさ、静止画の連続になるわけ。人形劇は糸とかを使って操るけれど、パペットアニメはそれがないのね。

 クレイアニメ……『ピングー』とかと同じ取り方だけど、あれは粘土だからまた違うのよ。人形と粘土という、材質の違いかな

 

カエル「パペットは日本ではあまり馴染みがないかな?」

主「海外だと『チェブラーシカ』とか『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』があるけれど、日本だとあまり聞かないなぁ……人形劇よりも表情や動きが自然になるし、クレイアニメとはまた違う可愛らしさがあって、結構好きなんだけどね。

 でも手間が大変なんだよ。簡単に言えば、人形を動かして写真を撮って、さらに少し動かして写真を撮って……これを何百、何千、何万と繰り返すわけだ。そしてそれを繋げて、アニメにするんだけどさ、手間がかかりすぎるから流行らないのかもね。

 日本製のパペットアニメって久々だから、とりあえず見に行こうというのも理由の1つ」

 

作品全体の感想

カエル「じゃあ、作品そのものの感想としてはどうだった?」

主「まずは、意外と重いテーマだったことにびっくりしたね。生と死、輪廻転生という、子供向けとは思えないテーマだった

カエル「そうだよね。同時上映だったチェブラーシカが、いかにも子供向けのNHKでやっていそうな作品だったのに対して、ちえりとチェリーはとても子供向けとは思えない作品だったから。

 それでも、全体に流れるテイストは子供向けだから安心して見られるよね

 

主「この辺りのバランス感覚は本当に難しいよぁ……あんまり子供向け過ぎるとバカにしているような退屈な作品になるし、大人向けにしすぎると子供がわからなくなるし……しかもパペットアニメという、日本ではあまりメジャーじゃないジャンルだし」

カエル「これはこの先、公民館とかで上映していくって聞いたけれど……

主「立派だよね。全国各地を回って上映していく、その土地の子供達と、大人に向けて上映するというのも、パペットアニメやアニメ業界のみならず、表現全体として大事なことだから。都市圏だけが表現発表の場じゃないからね

カエル「じゃあ、詳しい感想に入ろうか」

 

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3 『死と生』のテーマ

カエル「まずはちえりちゃんについて語るけれど、どうだった?」

主「高森奈津美がちえりを演じるという違和感が……という話は抜きにして、真面目に語ると、あの年頃(小学6年)にしては幼い気もしたけれど、でもわからないでもないかなって。

 あの子、多分ずっと1人なんだよね。兄弟もいないし、片親で日曜も働くし、友達ももしかしら多くないかもしれない。いや、友達がいたとしても夜遅くまで遊ぶことなんてできないからさ、結局は空想上の友達に頼るしかない。

 子供の頃の人形遊びって、疑似家族を生み出すことによる将来への訓練という話もあるけれど、その寂しさがよく出ているよね。気持ちはわかるかな」

 

カエル「ただ、ちょっとわがままが過ぎるというか……」

主「あの子にとってみれば全てが敵なんだよ。お父さんは亡くなるし、お母さんは相手をしてくれないし。自分の中に物語を作るというのは、現実からの逃避行動だよね。

 あの子と自作小説や他人の作った物語の世界を語る自分を比べて何が違うのかって言われたら、人前でも逃避するか否かだけの違いだと思うから、余計に胸にくる。

 あのわがままさも気持ちはわかるけれどね」

 

カエル「このテーマの描き方はどうだった?」

主「う〜ん……わかるけれど、少し退屈だったかな? 脚本自体は丁寧といえば丁寧だけどね……なんというか、先が見えちゃったから。ただ、子供向け作品において、どこまで大人が口出しするかっていう問題もあるから、これはこれでいいと思う。

 こればっかりは子供に評価を聞かないとね」

 

カエル「これもまた震災以降だと特別な意味合いを持つよね」

主「別に親との死別というのは震災関係なく、どこの誰にでも起こりうる事態であるけれど、現代日本では子供のうちに親が亡くなるというのは珍しい現象になってきているかもしれない。

 特に先の震災などで親を亡くした子供もいるだろうし、作品そのものがどうこういうよりも、この作品を作ろう、この作品を見た子供たちを元気つけようという制作者の思いが伝わってくる作品だったね。

 本当に大切な思いのつまった1本だよ。上手いとか下手とか、そんなことを超えた作品だね

 

絵の作りについて

主「ここはすごかったね。パペットアニメとか、クレイアニメってそこまで背景は動かない……というか、美しくない印象があったけれど、それが全て覆された。CGと合わさることで、ここまで素晴らしい絵になるんだと感動したよ」

カエル「動きとかも含めて、素晴らしいを通り越して心配になるレベルだったもんね。これ、何枚撮っているの? って」

主「本当に怖いくらいだった。これでロングランで上映していくとはいえ、ほとんど儲けもないでしょうに……素晴らしいね。いや、ビジネスに関しては知らないけれどさ」

 

カエル「それに、恐ろしい場面においてはきちんと怖く思うように作れているもんね」

主「子供だったらトラウマになるんじゃないかな? 相手が相手だから、それくらいじゃないと意味がないのはわかるけれど、ここまで出来る表現力に恐れ入ったよ。パペットアニメの可能性を示してくれた作品だったね

 

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4 『チェブラーシカ 動物園に行く』について

カエル「ついでじゃないけれど、同時公開のチェブラーシカについての感想も書いておこうか」

主「いや、よかったよ。昔ながらのパペットアニメって感じがしてさ、想像する通りのアニメだった。これもまた動きが滑らかで怖いくらいだよね。

 やっぱり慣れしたんだ世界があるから、こっちの方が好みは好みかな? ただやろうとしていることが全然違うから、比べるのも無粋な気もするけれどね

 

カエル「あの世界観もよかったよね、平和そのもので」

主「ライオンが椅子に座っていたり、ワニが新聞を読むのはともかく、チェブラーシカがワニのふりをしても許される世界なのに、看板を変えるのは『紛らわしい』から NGと云うガバガバな設定だけど、そこも愛おしいよね。

 あと、今回は字幕版だったけれど、チェブラーシカ役のロシア語の声が低い声で演じる時の悠木碧に聞こえたのも面白かったかな」

カエル「……結局声優ネタかい!!」

 

主「でも、この夏休みとかの期間中に子供達を連れて見に行くにはいい作品だよね。特に女の子は喜ぶんじゃない? この2作品とも。いい作品だったよ」

 

 

最後に

カエル「意外と大人の観客の方が多かったよね」

主「やっぱりこれだけ宣伝されていないと、子供を連れてってことにはなりにくいのかな? 観客の多くが自分みたいな、『日本アニメの実力を知りたい!』っていう観客ばかりじゃないだろうし」

tカエル「でも、この作品は10年後に生まれてくる子供達も楽しんでほしいよね

主「そうね。時代にも残る普遍的な作品だろうし、時間も短いし、ピクサーやNHKだけがアニメじゃないってことを知ってほしいね

 

 

主「……よし、これで綺麗にまとまったか? 子供向けアニメをオタク臭を消しつつ、うまく応援するような記事になったか?」

カエル「……いや、初めの声優談義の段階でもうすでに無理だと思うよ」

主「何!? そんな馬鹿な! これだけ『いい話だなぁ』と思わせるように苦心して書いていたのに!?」

カエル「……こういうと嘘っぽく聞こえるかもしれないけれど、二作ともにいい作品だったので、ぜひ子供を連れて鑑賞してね!」

 

ちえりとチェリーの震災映画としての側面について語っています。 

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ちえりとチェリー<ちえりとチェリー> (角川つばさ文庫)

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