カエルくん(以下カエル)
「じゃあ、2016年最後の記事だよ!」
ブログ主(以下主)
「……まだまだ感想を書けていない作品が溜まっている」
カエル「え? やり残しているの?」
主「『ヒトラーの忘れ物』は絶対書きたいし、年始1発目はこれになるのかな? あとは……『映画 クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃 』も書きたいし、『ブルックリン』もあるし……
それから見たい映画で言ったら、まだまだ山のようにあり、しかも漫画もあれば小説もあって……ここ最近新作小説も書けていないし……」
カエル「……忙しいんだね」
主「師走だからね。師は忙しんだよ、いつの世もさ」
カエル「……はいはい、わかったわかった。
じゃあ来年もいっぱい書いて、バリバリアクセス数稼ぐんだよ。
それでカバネリの話題だけど……今回は総集編ということもあって、最初からネタばれ込みで語っていくので、それが嫌な人は……映画を観てから読んでください」
主「そうね。ネタばれなしで感想を語るとすれば『映画館の大スクリーンで見る価値は間違いなく有るし、未見ならテレビシリーズではなくて、こっちを見た方がいいかも』と言っておこうかな。
映像もきれいだし、お話もスッキリとまとまっているよ」
カエル「それでは、感想記事スタート!」
1 テレビシリーズを劇場で見る意味
カエル「じゃあ、まずは前編だけの感想だけど……」
主「まあ、予想通りだよ。誰もがわかっていることだけど、全12話の前半なんだから、6話までをまとめて2時間弱にして公開しているわけ。
テレビアニメ6話分というと本編が約22分として×6の、132分、つまり2時間12分の作品をまとめたわけ。ということは、実際は総集編と言いながらも1話分の短縮であって、果たしてそれを総集編と呼べるのか? という疑問はあるけれど……」
カエル「テレビシリーズを少し縮小しましたって話ではあるから、総集編には間違い無いんじゃない?」
主「そんな作品だから、普通の総集編みたいに『お話のテンポが早すぎる!』とかはないわけ。むしろ、1週間待たなくていいことと、余計なシーンがカットされてスピーディに物語が展開していくから、わかりやすくなっている」
カエル「元々1クール作品だったから、そこまで冗長なシーンは少ないけれどね」
主「だけど、やっぱりこれだけのアクションを誇る作品だから、一気に見た方がいいよね。だいたい1つのお話が2話で片づく構成だったけれど、それがまとまったことでいい流れができた。
あとは6話で3つのエピソードをまとめることで、自然と『序破急』などの3段構成に仕上がっているから、映画としてみていて気持ちいいんだよね。それぞれのボスもドンドン強くなっていくし……」
カエル「じゃあ、テレビシリーズよりも?」
主「テレビシリーズよりいいよ! まだテレビシリーズを見ていなかったら、こっちを見た方がいいとオススメしたいくらい!」
映画館の大画面で!
カエル「元々テレビシリーズの時から作画が異常にいいということで話題だったもんね」
主「そうそう。
ほとんどテレビシリーズの使い回しなんだけど……総集編だから当たり前だけどさ、でも一部止まっている絵とかは当然あって、そこはカメラとか演出でどうにかしているけれど……テレビシリーズでいうところの1話の無名の戦闘シーンとかは、劇場で見ると鳥肌が立つね!」
カエル「屍がやってきて、下駄で攻撃→ゆっくりと足を引き抜くところね」
主「あのシーンは感動する。また無名の描き方がエロチックな部分もあるし、劇場公開映画のクオリティとして他作品に全く負けていない。
というか、作品名は言わないけれどこれより疑問符がつく作画のアニメ映画もたくさんあったから」
カエル「じゃあ、この作品の評価は……」
主「結構高いよ。もちろん、後編ありきの尻切れとんぼな終わり方なのは間違いないし、他の映画と比べることはできないけれど、変な映画を見に行くくらいだったらこっちがいいんじゃないかな?
カバネリがそんなに好きじゃないって人でも、このアクションは楽しめると思う」
2 アニメスタイルを読みながら
カエル「今回はこのために大きな資料を1冊買っているんだよね」
主「そう! それこそがこの秘密兵器……
アニメスタイル 010だ!」
カエル「あ! これは監督をはじめとしたスタッフのインタビューに加えて50Pを大きく超えるカバネリ大特集! そして設定資料やら原画などが載った、アニメ専門誌でもコアなアニメファン向けのアニメスタイルだ!
しかも今回は『ポケットモンスターXY&Z』や『NEW GAME!』『モブサイコ100 』『映画 聲の形』も監督をはじめとしたインタビューも載っていて、すごくお得な1冊になっているね!」
主「よし! 完璧な宣伝だろう! 別にまわしものでもなんでもないけれど、アフィリエイトのために買ってもらわないと……」
カエル「…………」
主「冗談っぽいけれど内容がいいのは本当。
そこいらのアニメ専門雑誌とは一線を画すし、内容もメチャクチャ濃いから、買っておいて損はない。普通はイメージボードとか、原画とか見る機会ないしね」
生駒が意味するもの
カエル「で……主はこの雑誌を読んでどこに注目したの?」
主「自分みたいな『にわかオタク』だと技術的なところはよくわからないから……絵も描けないしさ、そういう人間からすると『生駒=荒木哲郎監督』という視点に注目した。
その視点で見るとさ、この作品も中々面白い」
カエル「というと?」
主「テレビ版からカバネリを見ていて思ったのが『なんでこの主人公ってこんなに熱いんだろ?』ってことで。
結構説教くさいことを言うしさ、人を責める発言もするじゃない? だけど、割と自己評価は低かったりするわけだ。うじうじ系主人公の毛色もあるし……」
カエル「今時珍しい主人公像というのは言われていたよね」
主「だけど、端から見ているとそんなにうじうじする理由ってないんだよね。いや、妹関連はあったにしろさ……『俺を蔑んだ奴ら!』みたいなことを言うけれど……いうほど蔑まされているか? という疑問があった」
カエル「武士が偉そうなくらいじゃないかな?」
主「生駒のキャラクター像がつかみにくかったんだよね。魅力もそんなにないし……いうなれば『熱血系根暗』という、中々な特殊な、そして面倒くさい性格をしていたわけ。
もっと単純化すればよかったのに……とか思っていたけれど、その謎がようやくわかった。これって、生駒=荒木監督だから、相当面倒くさいことになっているんだね」
キャラクターに投影されたもの
カエル「よく主人公は作者の分身ってことがあるけれど、このアニメもそうなんだね」
主「監督インタビューの後に脚本の大河内一楼インタビューでもそのことを語っているけれど、誰が蔑んだのか、よくわからないけれど、監督にはその気持ちがあるんだって。
その曖昧模糊としたものが……もしかしたらカバネという、ゾンビたちが象徴するものなのかもしれない。
『見えないけれど、存在する悪意』みたいなものかな。
現代でいうとSNSを中心としたネットの声とか。どこの誰だかわからないけれど、確かに存在するものとして、ね」
カエル「へぇ……そう考えるとカバネリって……」
主「生者とカバネの中間だから、カバネリなわけじゃない? と考えると、その悪意を受けながらも制作を続けて、発表を続ける荒木監督そのものになるんじゃないかな?
どれほどの悪意があっても、噛みつかれたとしても、生者のように純真じゃなくても、カバネにはならずに戦っていく、という決意みたいなものが現れている、と見ることもできる」
カエル「なるほどね……」
主「無名が攻撃力の高い『最強の爪』ならば、生駒って防御力の高い『最高の盾』みたいなものだと思うわけ。単純な戦闘力ならば無名の方が圧倒的に強いけれど、相手にしたら厄介なのは生駒で……接近戦しかないカバネからすると、近づくと攻撃を食らうし、噛み付いても攻撃しても倒れない存在なんて、相当厄介だしね。
そういうキャラクター性にも監督の『決して負けない思い』が詰め込まれたんじゃないの?」
カエル「それっていいことなの?」
主「いや、それ自体は割とよくある話だよ。映画監督が自分の自伝的な物語を撮る、主人公に自分を投影するなんてよくある話。
SWはジョージ・ルーカスの父親との問題を、宇宙規模のスペクタクルドラマとして表現したって評論もあるし。
だけど……今作に関してはそこが『話の作り方』として足を引っ張った部分もあると思う」
3 見えてきたもの
カエル「悪いところ?」
主「これってテレビシリーズ放送中も語ったと思うけれど、基本的にピンチに陥る理由が誰かの失策なんだよね。
最初にカバネに突入させるのも、いくら時間通りだからって、上げ橋を最初におろすか? 甲鉄城は一時停止してからのだったのに……」
カエル「それは時間より早くきたからであって……」
主「他にも山道を選んだ理由とか、その経緯。あとはあの駅での無名の失敗とか……そういうのが全て暴走や頭の悪い失策に見えてくる。
それが極限の緊張感の中だから、ということもできるよ? でもそれが続くと、結局『物語のための展開』いわゆるご都合のための失敗に見えてくる。
この作品の中でしっかりと自分の責任を果たしているのって、来栖と操舵手のお姉ちゃんくらいじゃない? 主要キャラは何らかの失敗をしているよね」
カエル「それは仕方ない部分でもあると思うけれど……物語を動かすために重要なことだし」
主「それが1つとかならいいと思うけれど、続いちゃったのがなぁ……まあ、わからなくはないんだけどね。
あとは……これは後編の話にもつながるんだけど、やっぱり敵が強すぎるよね」
カエル「集合群体だっけ? あんなのになられたらどうしようもないよね」
主「しかもゾンビものだけど、相手がめちゃくちゃ早かったり、数も多いし……あれだけガンガンひいていると、もっと異常が出てくると思うけれど……」
カエル「そこはほら、アニメだから」
主「そういうところが気にはなったかな……」
最後に
カエル「後編もあるからここいら辺にしておくけれど……」
主「でもさ、間違いなく言えることとして、この劇場版は成功だと思う。むしろ、テレビシリーズよりも格段に良くなっている。
『その短剣で何を刺すんですか?』の伏線への回答がしっかりと出ていたし。ああいうのが数週間あくと、伏線忘れちゃうんだよね……」
カエル「個人の問題だね。でも、まあ今は放映しているアニメの本数も異常に多いから、そういう人も多いのかな?」
主「だから、それを考えると……勢いが大切なアクション系とかは、こうしてまとめてみたほうが面白いし、ありがたいね。
逆に日常系はまとめるときついから、今のテレビスタイルが合っているかもしれない。そう考えると日常系の流行とかって、テレビアニメというスタイルに合致するようにできているのかもね……」
カエル「じゃあ、この続きは後編で」
主「はい、後編も見にいくので、楽しみにしています。
少しは改変があるかな? 走った部分もあるから、そこをどう修正してくるのかも含めて楽しみだわ」
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