今回はテレビアニメ『メイドインアビス』の総集編映画です!
話題になったのは知っているけれど、実はテレビシリーズは見れてなかったんだよなぁ
カエルくん(以下カエル)
「ちなみに、原作も既読ですが……ちょうどこの映画が描いたところまでだよね?」
主
「ナナチのお話が一区切りついたところまでしか読んでいないんだよね。その後も気にはなるけれど、アニメで見たいなぁ、という思いもあって」
カエル「原作も引き込まれたし、特にナナチのシーンは感動したねぇ」
主「それが映像で動いているだけでも、楽しみだな。
では、早速記事を始めましょう!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#メイドインアビス
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年1月19日
後編鑑賞
前編は展開の遅さに眠気もあったが、今作は原作でも感動した展開を中心にグイグイと引き込む
痛みや悲鳴にドン引きしながらも引き込まれ、終盤の展開に涙する…ナナチ可愛い
後編はしっかりと映画として見せ場もあり、人生について考えさせられる作品に仕上がっていた pic.twitter.com/wOoQZPdX9O
総集編ながら、見所の多い作品です!
カエル「テレビアニメの総集編というと、どうしても作画的には劇場アニメと比べると見劣りしてしまったり、ドラマがあまりにも走りするぎて『ああ、総集編だなぁ』という、ちょっと斜に構えてしまうところがあるけれども、この作品の場合はそこまで違和感がなかったね」
主「一昔前は映画としてはクオリティが高いとは言い難かったテレビアニメの総集編映画も、最近は良作が増えてきている
特に近年は『響け! ユーフォニアム』が音楽シーンを大幅に追加してテレビアニメではできないクオリティのものを表現したり、また2期目の前半部分を大幅にカットして1作の物語として面白い作品に構成している。
もちろん、メイドインアビスは1クールのテレビアニメを前後編に分割しており、単純に他の総集編と比べることはできないけれど……お話が走りすぎているという感じはなかった」
カエル「特に素晴らしいのは作画などの映像美だよね!
劇場で見るとやっぱり見劣りしてしまう作品も多い中で、アビスはそう言った瞬間は一切なかったような気がするなぁ」
主「ものすごくアニメ向けの題材ということもあるけれど、原作を超えているんじゃないかな?
というのも、アビスを冒険するワクワク感であったり、生き物たちのグロテスクさやしたたかな強さがとても表現されている。世界観がしっかりとしているし、映像クオリティが高いから見ていて飽きることがないんだよね。
確かにこれがテレビ放送されたと考えると、とても話題になるのがわかる。
かなり痛いシーンもあって、正直引いたくらいだけれど……それだけの映像に仕上がっていた」
前編について
それでは、前編について語っていきましょう
残念ながら前編は若干評価が低くならざるをえないかな
カエル「あれ? ちょっと前まであれだけ褒めていたのに……」
主「これはもうしょうがないだろうけれど、物語としての盛り上がるポイントがない印象がある。
前編だけで2時間弱使われているけれど、これだったら……どうだろう、90分くらいにまとめて欲しかったというのが本音かな」
カエル「ちなみに前編が119分、後編が108分の上映時間となっています」
主「おそらく、テレビアニメの6話までを映画にしているのだろうけれど、序盤のアビスへの説明やその呪い、そして本当の恐ろしさを知らせるためには重要なのは、とてもよくわかる。そこを丁寧に描いたという印象もある。
だけれど、普通の映画などの2時間の物語であれば出発というのは、だいたい全体の1/4で終わらせる印象がある。
そして中盤までの1/4で冒険と数々の苦難、1/4で最大のピンチを迎えて、1/4で最後の決戦に向かい、エピローグという構成が多いかな。
それはアビスの劇場版の全体で見ればそれがちゃんとできているし、面白いんだけれど……前編の”1作の映画”としてだけ見れば、やはり冗長な印象も受けた」
カエル「テレビアニメと劇場アニメの違いかもしれないねぇ」
主「だけれど、前編と後編では受ける印象が全く違うからさ、この構成自体はうまくいっているんだよねぇ。
この辺りはリコとレグがどれだけ幸せな状況にいたのか、ということも含めて後編につばがっているし、多くの人に響くような優しい出だしで良かった。
やっぱり単体では評価ができないかなぁ」
後編について
次に後編について語っていきましょう!
こちらは1本の映画としても評価します!
カエル「総集編の後編だからスタート自体はすでにアビスの中にいるし、さすがにご新規さんに”ここからでも大丈夫!”とは言えないけれど、でもこの後編は是非とも見てほしい作品だよね!」
主「まず序盤に訪れる状況や、大きなピンチの描写の迫力が凄まじい……あれは原作を読んでいても若干引いた部分ではあるけれど、さらに動く映像と、さらに声優陣の迫力の演技もあってそのピンチがさらに増している。
正直、ドン引きしたよ。
だけれど、それは映画や物語しては大正解で、この冒険が全く遊びではないことが観客に伝わった形だ」
カエル「もちろん、主人公サイドでリコもレグも物語として考えたら絶対欠けてはいけないから助かるというのはわかるけれど、でも”どのような形で助かるのか”ということが全くわからなくて……」
主「しかも、その後に描写されるナナチについてがとてもつもなく重くて、ズシンと響いた。ここは原作を読んだ時も驚愕し、涙を流した部分でもあるけれど、その衝撃が何倍にもなって伝わってくる。
だけれど、決して辛いだけの物語ではなくて……日常的な幸福な描写であったり、コメディチックに笑える描写もあって、ほっこりする。
アビスはキャラクターデザインがまるで子供向けようで頭身も低いからこそ、残虐な描写はさらに際立ち、日常の描写の安心感がある」
カエル「それを聞くと『まどかマギカ』みたいだね。キャラクターデザインが可愛らしいからこそ、物語の過酷さが際立つという意味では同じかな」
主「ギャップもあったし、ナナチなんて可愛いの塊みたいなキャラクターだしね。
とにかく、この前後編は総集編映画ですがオススメしたい作品です!」
以下ネタバレあり
作品考察
2つの状況
ここからはネタバレありで語っていきます!
この前後篇ではリコとナナチの状況の違いについて、対比になっていたね
カエル「孤児院にいるような環境にいたという意味では、境遇がほとんど同じように似通っている2人になのに、その結果が全く違うことになっていたもんね……
ナナチもミーティという相棒がいたことも、リコとレグのコンビをちょっとだけ連想させるし……」
主「同時に白笛の2人……黎明卿のボンドルドとライザの対比にもなっているのかなぁ、と。なんだかんだ言ってもオーゼンは人間性自体は最悪に近いところがあるけれど、実際にはいい人……という言い方が正しいとは思わないけれど、リコたちを助けてくれるわけだ。
ボンドルドは態度は丁寧だけれど人間としては全く尊敬の欠片もできないような人間である。
だけれど、ライザとボンドルドを比べると……まだライザの描写が少ないこともあるけれど、どちらも”アビスの底を見たい”という意味では全く同じ目的を持つ2人である」
カエル「……なんか人間の深い欲望をのぞいているような気分だね」
主「前編は明るくて、ちょっと厳しいけれど子供たちをしっかりと守ってくれる秩序のある優しい世界で育ったリコの物語であり、アビスの浅いところで人間たちの発展に重要な遺物たちについて描写していた。
一方で後編は暗く、アビスの深い部分の過酷な状況を描いており、底を見たいという人間の飽くなき欲望に翻弄されてしまう子供たちと、ナナチの覚悟を描写していたね。
その対比効果もきっちりと上手かったし、1作にまとめてしまうとこの味が損なわれてしまうような感もあったから、これでよかったと思うよ」
人生を描く
そういえば、ある作品を思い出したということだけれど……
近年の漫画原作で、テレビアニメも話題になった『少女終末旅行』だね
カエル「テレビアニメとほぼ同じぐらいの時期に原作漫画も終了した作品だよね。
簡単な線で描かれていたけれど、それが独特の魅力があって”終わり行く世界でどのように生きるのか?”という哲学的な問いかけあるように感じた作品でした」
主「アビスは下に潜り、終末旅行は上に登るという違いはあるし、ファンタジーとディストピアもののSFという意味でも、この2作品は全く違うという意見もあるかもしれない。
もちろん、それは納得する。
ただ、この2作品に共通するのが”人生の描きかた”のようにも思えるんだよ」
カエル「これはまた大きく出たねぇ」
主「アビスの場合は1度深い場所に潜れば戻ってこれる保証はない。命を失う可能性は増していき、6層より下になるとちょっと上がるだけでアビスの呪いにかかってしまい、人間性は喪失する。
そうでなくとも……白笛の人々を見ればわかるように、まともとは言い難い人間性の人物になってしまう可能性は高い。
それでも人は下を目指す。
これは飽くなき冒険心や好奇心によるものだと言える」
カエル「……近年でも好奇心が科学などを発展させた、という意見の物語もいくつも見たね」
主「これを他の欲に変えても同じかもしれない。
それこそ科学やスポーツ、芸術や学問などなんでもいいけれど、のめり込めばのめり込むほど、その深みにハマっていく。その結果、家族をないがしろにしたり人間性を喪失するかもしれない。場合によっては心身に異常をきたしたり、倫理的に問題のある行為……人体実験とまでは言わずとも、ドーピングや研究資料や結果の捏造などに手を出すかもしれない。
それでも人は深淵を目指す……それが名誉のためなのか、それとも純粋な興味のためなのかは人によるだろうけれど。
そういった罪深さや人間というものを描くことに成功した作品ということもできるんじゃないかな?」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 1クールテレビアニメを前後篇に分けたこともあり見応え十分!
- ただし、前編は若干冗長な気も……
- 作画や演技、音楽が素晴らしく、単なる総集編映画を超えた出来に!
メイドインアビスを見ていない方は、特に一見の価値があります!
カエル「それこそ、テレビアニメシリーズの入門編として最適な作品でもあるしね!」
主「前後編ということに加えて、公開劇場数も少なめであり、今はもう前編を公開していない劇場もあるかと思いますが、ぜひ鑑賞してほしい作品です。
新作も映画という話なので、それを楽しむための予習としてもいいのではないでしょうか?
少なくとも、損はしないと思います」
カエル「以上、メイドインアビスの感想記事でした!」