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物語る亀

ネタバレありの物語批評

『君の名は。』がこれほどまでに評価が良い理由を考えてみた

新海誠関連 アニメ 映画

カエルくん(以下カエル)

「……ああ、これってまたあのパターンね。1週間くらい君の名は特集として、いろいろな記事が続くパターン」

 

ブログ主(以下主)

「しょうがないじゃん。2回目見たらさ、それだけでも大きな発見がいくつもあったし、そんな発見があったら書きたくなるし。案外備忘録としても重宝しているのよ、このブログ」

 

カエル「この前もあったもんね、『あれ? こんな映画見たっけ……あ、あったあった!』ってことが」

主「やっぱりこれだけ色々見て書いていると忘れるもんだよねぇ」

カエル「そうだよね。たまに見返して『へぇ、こんな意味があったんだぁ』とか自分で言っているもんね。まだブログ開設して1年も過ぎてないのに!」

主「まあまあ……それはそれとしてさ、今回は『君の名は。』がこれほど大ヒットしている理由を探るとともに、2回目を見て発見したことをつらつらと書いていくよ

カエル「今回は短めにしようね」

 

 

 感想記事はこちら

ネタばれ込みの評論記事はこちら

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 1 君の名は。の評価

 

カエル「まずは主は何をもって高評価としているの?」

主「まずは何と言っても口コミとTwitterの反応かな。ブログの記事へのアクセス数も多いんだよ、これは高評価の作品に多い現象だからね

カエル「注目作なのは間違いないよね」

 

主「あとはYahoo映画レビューだよね。これを書いている現時点において、1700件のレビューがあって評価が5点満点中4,6と非常に高い!

カエル「それってどれくらい高いの?」

主「普通は4を越えれば名作だよね。わかりやすく宮崎駿作品だと『千と千尋の神隠し』で3,9、『天空の城ラピュタ』で4,3『ルパン三世 カリオストロの城』が4,4だから、4,6が相当高いのがわかる。

 このレベルになると『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかの評価の固まった思い出補正も込みの過去の名作か、評価数自体が少ない作品でないと、中々ここまではいかない。オススメして、今年一番のアニメ映画とはずっと言ってきたけれど、正直ここまで高くなるとは思わなかった」

 

評価されやすい作品

カエル「なんでそんなに高いの?」

主「まず、名作と言われる作品は2つのタイプがある。

 

 1つは誰にでもオススメできて、100人中80人が80点以上をつけるタイプ

 もう1つは人を選ぶ作品で、100人中2,30人は40点以下をつけるけれど、残りの7,80人が100点をつけるタイプ。

 

 例えば、シン・ゴジラは後者の典型でさ、大絶賛か、大批判のどちらかが多いわけだ。

 君の名は。は前者だね。誰にでもオススメできる名作」

 

カエル「それだと評価が上がりやすいの?」

主「Yahooレビューの評価方法は1から5までの星を付けて、その平均を出しているけれど、4,5を獲得しようとしたら1を1人が付けたら5を9人が付けないと、ここまでの高評価にはならないんだよね。

 だから高評価を得るためには1をとらないで5をたくさんつけてもらうのが良い方法なんだよ。だからシン・ゴジラが4,2止まりなのは、1をつける人が一定数いるから。でも、君の名は。は合わない人でも3とかをつけてくれるから、相対的に評価は上がりやすいよね。

 あとは、とてもわかりやすくて優しいラストだからこの作品で新海作品に初めて触れた人も楽しめるし、過去作のセルフオマージュも多いからコアなファンほど悪く言えないというジレンマもある。どの層に向けてもいい作品だよね」

 

 

2 アニメにおける『物語の嘘』

カエル「へぇ……そんな理由があるんだ」

主「あとは、アニメって基本的に評価が高めで安定するような気がする

カエル「それはオタクな人達が高評価をするから?」

 

主「人気キャラクター映画の場合はファン補正があるけれど、今作のようにオリジナルだとまた違うかな。もちろん新海誠ファン補正はあるけれど、それは実写の監督も同じだし。

 これは確証があまりないんだけど、やっぱりアニメって多種多様な人が絡むから品質が安定するっていうのはあるかもね

カエル「いろいろな意見を取り入れて、作品を安定化させるってことね」

 

主「あとは、もともと絵が動くという、ある種の『嘘』で成立している表現方法じゃない? だから、許容される『物語の嘘』の幅も広いと思う

カエル「……物語の嘘?」

 

主「例えばさ、実写だと『こんなセリフ言わないよ』とか、『こんなやついないよ』とかいう、物語のためのご都合主義設定が目に付いたりする。それはリアルを売りにすればするほど、現実と……観客の常識から外れた人物の異常性が際立たされるよね? そこが違和感として残ると、一気に冷める。『ああ、これは作り話なんだなぁ』って気持ちになっちゃう。

 だけどアニメはある程度キャラクターデザインなどで取り繕うこともできるし、さらに言えば、誰も本当にあったことだと思って見ているわけではないじゃない? 

『ここでこんなこと言わねぇよ』『こんなやついないよ』という違和感も、アニメという表現技法がすでに……違和感というか、嘘があるから、それをすんなりと受け入れることができる。だから作劇がしやすいんだよね」

 

表現技法による『物語の嘘』

カエル「……わかるようなわからないような」

主「例えばさ、舞台演劇を思い浮かべてみてよ。あんなにハキハキと、説明台詞を喋り、大きな身振り手振りで話す人なんていないじゃない? 歌舞伎なんてリアリティを感じていない。

 だけど、だからこそ『物語の嘘』が許容されるから、大きなハッタリとか嘘をつぎ込んでも気にならないんだと思う

 

カエル「ふぅ〜ん。脚本とか、設定とかそういうこと?」

主「そうそう。だからさ、例えば……『時をかける少女』のアニメって結構ストーリーが辻褄合わないし、そもそもあんなタイムリープなんて起こりえないじゃない?

 宮崎作品なんて整合性がある作品なてほとんどなくて、脚本という視点で見れば結構辛口になるんだけど、そこを『アニメ表現』によってカバーできる力がある。

 なんで漫画やアニメを実写化するとコケるかと言えば、それが実写向きのストーリーになっていないからだよ。名作漫画やアニメをそのまま実写化すると、やっぱり『物語の嘘』の粗が目につくんじゃないかな?」

 

カエル「そこをカバーできたらいい作品になるのね」

主「そう。漫画やアニメの実写化が悪いんじゃなくて、そのまま実写化するのではなく実写よりの脚本にするか、アニメ的に撮るか、どっちかにすればいいんじゃないのかなぁと思うけれど、結局中途半端にするから駄作になる。

 これがアニメが評価が高くなる理由。だから、君の名は。も無理な設定や展開やキャラクター描写もあるけれど、それがアニメという表現技法に紛れて、『物語の嘘』として処理されるし、さらにエンタメ性を感じる抜群の部分でコントロールされているからだろうね」

 

追記 RADと新海誠の相性

 

カエル「さて、今回追記するのはRADと新海誠の相性ということだけど……これはもう映画の評価がこれだけいいから、抜群に良いに決まっているよね

主「結論を言うとそうなんだけどさ……元々、新海誠とRADが表現したことって、そんなに離れていないと思うんだよね

カエル「……? アニメ映画と音楽の違いがあるのに?」

主「例えばさ、RADを知らない人に勘違いされるのがBUMPでさ、よく似てると言われるけれど……あ、一応言っておくけれど自分はRADもBUMPもライブに行くほど好きだから、どちらかを贔屓するとか堕とすつもりはないと言っておくけれど……確かに似ている部分はあるかもしれないけれど、まったく違う『世界観』を持っているんだよね

カエル「『世界観?』音楽に?」

 

主「そうそう。BUMPって今の20代から30代くらいの人にどハマりしたバンドで、その影響下にあるバンドって沢山あるけれどさ……個人的には『BUMP系』って言いたいくらいなんだけど、RADとBUMPだと歌詞が全然違う。

 こういうとなんだけど、自分は作曲の良し悪しとか上手い下手がよくわからなくて、歌詞に注目する人間なんだよ」

カエル「ブログもそうだけど、言葉の表現が好きな人だしね」

 

主「歌詞を聴くとよくわかるけれど、BUMPって……というよりも作詞作曲をしているボーカルの藤原基央は、結局自分のことを歌っているんだよね。自分のことを物語調にしたりして歌っているわけで、そこが個人の内面的部分と、物語の普遍性を音楽に載せて歌うから多くの人に届きやすい。

 これを言うと誰にも理解してもらえないけれど、中島みゆきとさだまさしと BUMPは似たような存在なんだよ。個人の思いを物語調にして、音楽に載せて歌っているからね」

 

カエル「……これ、アップして大丈夫かな?」

主「あくまで1ファンの戯言だから。それで、肝心のRADの話だけど、こちらもほぼ作詞作曲をしている野田洋次郎の世界観はさ『僕と彼女の世界』で構成されている。

 じゃあ、洋次郎が誰に向けて作曲しているの? って言われたら、それは多分、ファンじゃない。たった一人の彼女なんだよ。その思いを寓話的に語ることなどによって世界観を構築されている。

 で、これって新海誠と同じじゃない?」

カエル「まあね。どの作品も恋愛作品といえば恋愛作品になるし」

 

主「だからさ……もちろん前前前世とかは当然映画のために作られたから完璧な曲なんだけど、『オーダーメイド』とかさ、『有心論』をこの映画でも、過去の映画でも使っても違和感はないだろうね。

 例えば今作のOPも……そうだな『最大公約数』とか『ふたりごと』でさ、一番盛り上がるところで『25コ目の染色体』とか『トレモロ』でもそこまで違和感はないと思う」

カエル「いや、さすがに違和感はあるでしょ。しかも有心論だったら映画の内容が大きく変わるし」

 主「それは完成版を知っているし、しかも既存の曲を基に映画を作り上げたからであって、少しアレンジするだけうまく行く気がするけれどねぇ……『星を追う子ども』なんて、オーダーメイドが主題歌だったら評価が大きく変わったんじゃない? 後味が全然違うけれど」

 

カエル「まあ、戯言は置いておいて、まとめるとRADと新海誠は同じようなことを表現しているから、相性が抜群にいいってことね?」

主「そうそう。表現していることは似たようなものだよ」

 

 

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3 二回目の鑑賞で気がついたこと

カエル「じゃあ、2回目の鑑賞の感想はどうだった?」

主「まず、1回目よりも確実に感動した。意外と先がわかっていた方が、ゆっくりと感情移入できるからなのか、感動したね」

 

カエル「どんなことに気がついたの?」

主「まずはさ、多くの感想にあった『糸が赤い』ということだよね。ここがロマンチストな新海監督らしくてさ、面白かった。だけど、この『赤い糸』が色々と大切なキーアイテムでもあるわけじゃない? そう考えるとさ、その後の……山のシーンとか相当涙腺にくるよね」

カエル「3年前に渡したものを返してもらって、8年過ぎて大人になってもそのリボンをつけているんだもんね

主「そういう細かい技もキラリと光っているんだなぁ、このリボンだけで二人の想いを表現できているんだなぁって思うと、目頭が熱くなるよね

 

メリハリのついた構成

カエル「意外とOPが早い気もしたよね」

主「最初に見た時は3分くらいしてからOPが始まったかなぁと思ったけれど、実際に鑑賞すると1分もないまますぐにOPになったから、ここは驚いた。『あれ、こんなに早かったっけ?』って」

 

カエル「やっぱり音の使い方とか、場面展開のうまさが引き立っているよね」

主「山の上での音楽や盛り上がりが一気に消えてしまうとかね。ここでさ、瀧が忘れてしまったという絶望感を、こちらも味わうことになるんだよね。

 改めて見返してみると、こういった演出上の話のメリハリがしっかりとしていてさ、本当にうまいなぁって感心した。

 あとRADの曲をしっかりと歌詞を聴くと、ちゃんとお話にリンクしているから、これもグッとくるよね。さすが、この作品のために書き下ろしたというだけのことはある」

 

小ネタ色々

カエル「あとは……テッシーのオカルトマニア設定か」

主「そうね。なんでこんなに物分りがいいんだろ? 好きってだけじゃないぞ? と思っていたけれど、元々オカルトマニアだから、三葉の話をすんなりと聞く素養はあったのね」

 

カエル「それから突っ込みどころも幾つか、ね」

主「あのお父さんと瀧の男2人暮らしの朝食にしたら、さすがにしっかりとしすぎじゃない? って気がした。あんなに立派な朝ごはんなんて、仕事をしているお父さんと高校生が作るものではないでしょ。

 あとさ、三葉の携帯に電話した時に、最初にコール音がなっちゃたのはおかしいよね。それで別人が取るならともかく、現在使われていない電話だったらコールはかからないんじゃない?

 まあ、そこはさ、演出上の都合だと思うけれど」

 

メッセージ性

カエル「ここも2回目で展開を知っていると、グッとくるものがあるよね」

主「まずはさ、序盤で『文字は消えても伝統は残さんといかん』という台詞があるんだけど、その行われていたことの意味が失われて、なぜそうしているのかわからないけれど、伝統は残そうというのが、なんだか震災とかと被ってさ。

 あれで色々な記録は無くなったけれど、我々の普段の生活だったり、色々な伝統は残していこうっていう言葉にも思えて、考えるものがあるよね

 

カエル「あとは何と言っても『生きていて欲しかった』という台詞だよね」

主「311という規模の大きな災害を経た後だと、やっぱりこの言葉と現実をリンクして考えちゃうよね。このことについては別記事でまた書こうと思う」

 

 

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ラストの秒速とのつながり

主「今回不思議だったのが異様に扉の開閉のアップが多いんだよ

カエル「そうねぇ。電車の扉の開閉とかならまだわかるけれど、家の扉の開閉とかでもたくさん描写されていたからね」

主「秒速でも印象的なシーンだったわけじゃない、電車の扉の開閉って。あそこで一歩踏み出して、山崎まさよしの歌が流れる瞬間に一気に引き込まれるというか……こうじっくりと伏線を張っていたという意味なのかな?」

 

カエル「ラストのポエムも秒速オマージュだったしね」

主「そうそう。『ずっと誰かを、何かを探している』というのはさ、秒速における『この数年間、とにかく前に進みたくて……』から始まる部分と全く同じように重なるんだよね。ただ、違いがあるとすれば就職しているか、就活中かということだけでさ。

 何かを探し続ける貴樹と瀧は同じような存在だったんだなぁということがより強調されていてさ、そこも含めてグッときたね」

 

 

最後に

カエル「よし、長くなる前にここで終えるよ!」

主「そんな、生放送で時間に追われるアナウンサーじゃないんだからさ……そんなに頑張らなくても……」

カエル「何を言っているの! これでも結構長くなっちゃったから、早く締めないと!」

主「そんな文字数制限があるわけじゃないし……

 まあ、最後に言いたい事といえば、2回以降見ても感動作品だよって事かな? 特に中盤の作画がすごいシーンでは2回目でも鳥肌がたった。よくもまあ、こんな映像を作ったもんだなぁと感心したよ」

 

カエル「これで大体5000文字かぁ……結構書き足りないような気もするけれど、これぐらいがちょうどいいのかなぁ?」

主「……多分、一般的なブログと比べたら相当多いと思うよ。そして次の記事もまた多くなる予定だし」

カエル「語りたいことが多いから、書く方も読む方も大変だ!」

 

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