物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『シン・ゴジラ』の考察と批評、評論 ※ネタバレあり

カエルくん(カエル)

「さて、シン・ゴジラの評論記事だけど、少しは落ち着いた? 感想記事の時はあまりに熱すぎて、オタク特有のウザさがマックスだったけれど」

 ブログ主(以下主)

「……まあ、熱は冷めてきた。だけど、やっぱり胸に残る感動はすごく大きいね」

 

カエル「また土曜日に観に行くんでしょ?」

主「今度は人生初の4D体験をしてくるよ!! それがシン・ゴジラであることをありがたく思わなくちゃいけないな」(4Dは……うん)

カエル「……なんかおかしな宗教にハマったみたいだね」

主「これだけの作品だから仕方ないよね!! 2度じゃ収まらないと思うよ」

 

カエル「でもさ、実際評価は賛否両論だよね」

主「そこも含めてこれから評論をしていこうかな」

 

以下ネタバレありのため、未見の方は引き返してください!!

ネタバレがないほうが楽しめます!! 

 

 

感想記事はこちら

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 1 ゴジラシリーズの難しさ

 

カエル「これはもう過去の記事で何度も言ってきたことだけど、改めて聞くけれど、難しさってどういう意味なの?」

主「まずさ、ゴジラって一体何なのかって話だよ。正義の味方なのか、悪の化身なのか。地球の守護者なのか、人類を滅ぼす破壊神なのか。さあ、カエル、その答えは?」

 

カエル「え? え〜と……やっぱり作品によって違うんじゃないの?

主「正解! 

 その通りなんだよ。結局さ、ゴジラって第1作目は核が生み出した生物なのに、それが時代を経るにつれてヒーローになり、宇宙人や悪の怪獣と戦う地球の守護神となる。これを初代の『ゴジラは核兵器の象徴』というロジックそのままに使うならば、核兵器は地球を救う! というトンデモナイものになる。

 もちろん、そんな気は製作者には一切ないのは、確信を持って伝えることができる。誰もそんなこと思ってないよ。」

 

カエル「もちろん、それはそうだよね。大きいもの、強いものに対する子供の憧れがスターとしてのゴジラを生み出していったんだから。ゴジラ松井はその恐ろしさではなくて、力強さから子供達のスターとしてそのあだ名がつけられたわけだし」

 

主「その通り。だから、作品によってゴジラという存在に与えられた役割が全然違うんだよね。時にはモスラが善玉で、悪はゴジラだったりさ、時には宇宙怪獣が敵でゴジラは地球の守護者だったり。もう世代や好きな映画によって、イメージはゴチャゴチャなの。

 だから、どんな撮り方をしても必ず反感はあるし、酷評意見も出る。みんなの愛がそれだけ強い映画なんだよ。何せ60年以上も続く映画シリーズだからね」

 

カエル「今回は『ゴジラVS人間』という初代の戦いに戻ったね」

主「ここに違和感を覚える人もいるかもしれない。退屈といったりね。特に初代は古いから見ていなかったり、VSシリーズのファンだったら余計にね。あれは善玉としてのゴジラが強調された作品でもあったから。

 だから難しいのよ、どういう切り口でゴジラを撮るかっていうのは。はっきりと言わせて貰えば、新作のゴジラを作ることは、それ自体が無茶振りかもしれない。それだけプレッシャーが強いし、難しい」

 

ゴジラに望むもの

カエル「じゃあ、ゴジラに望むものが違うと、やっぱり意見は割れちゃう?」

主「そりゃそうだよ。怪獣同士の戦いを見たい人は、今回の人間劇は退屈に思えるだろうし。一応、今回のゴジラはゴジラだけじゃなく、それに立ち向かう『日本人』そして日本を代表して『東京』が主役だから、そういった映画を望んでいない人は退屈だね」

 

カエル「あとはやっぱり政治的な意見もあるようだけど……」

主「う〜ん……個人的には明言を避けたいところではあるけれど、軍隊が活躍する作品を書いた時点でついて回る話だからな。クリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』って名作があるけれど、あれも戦争賛美っていう人もいるけれど、それは無理のある意見といいたい。

 けれどさ、銃を撃つ、軍隊が出動する、それだけで政治的に強い心情がある人にはそう映るから、もう仕方ないよね」

 

カエル「主はどういうものを望んでいったの?」

主「大怪獣同士の対決系も好きだし、初代のような恐怖としてのゴジラも大好きだから、別にどっちでもよかった。だから、結局ゴジラが大好きなだけなんだよね。そこは多分、この記事を読む人と同じ。

 でも初代の奥深さは欲しかったかな。あと対決系と言っても、昭和のノリを現代に持ってこられてもね……あの当時は輝かしい未来を信じていた時代だから、超科学も信じられたけれど現代ではそれは難しいし、そこのディティール……『リアリティ』は望んでいたかな。

 さすがに宇宙人とか超科学が現代の映画で現れたら、『リアリティがない』って言われちゃいそうだし。ゴジラらしくはあるんだけど。そこも難しいところだよね」

 

 

 

2 今回のゴジラが示すもの

カエル「じゃあ、評論に入るけれど、今回のゴジラって一体なんなの?」

主「すごく複合的に色々絡み合っているね。『核』は当然含まれているけれど『戦争』『天災』そう言った人間の力ではどうしようもないものの象徴が今回のゴジラだというのは、過去と同じだと思う。

 あとは『神』というものもあるかな」

 

カエル「まずはスタートだけど、海からの船のシーンでスタートするね」

主「これは初代ゴジラのオマージュと見ていいよ。1954年のゴジラも海を撮ってからの船のシーンから始まるから『今回のゴジラは初代のオマージュですよ』っていうメッセージだね」

 

カエル「そして序盤だよね。謎の存在が現れて、日本中があたふたするっていう様を描いていたけれど」

主「これはもう分かりやすいよね。つまりさ、東日本大震災が突如発生して、日本中がどうすればいいのかわからない状態を描いている。

 なぜゴジラが川を遡上してくるかというと、あれは津波の象徴だから。そういう、部分も東日本大震災を連想するようにできている。だから記者会見とか、防災服、あとは『Trust You』とかさ、あの時代の民主党政権を揶揄している。

 でも民主党はどうしようもなかったという政治的メッセージはないでしょうね。あるなら、もっと全員を無能に描いていている。

 あれを見るとさ、政治的な評価はあるにしろ、実は当時の政府は頑張った方なのかなって気もしてくる。未曾有の大震災と原発事故なんて対処の方法がない。まあ、それは今回のテーマから外れるから、現実のことについて書くのはここで終わりにするけれど」

 

戦争とゴジラ

カエル「序盤だと『戦争中の楽観主義が敗戦を招いた』って言葉も出てくるね」

主「ゴジラというのは『戦争』のモチーフでもあるんだっていうことだね。その意味では機動警察パトレイバー2 the Movieの要素も感じるんだよ。東京を舞台にした、戦争のお話という点では一緒だから」

 

カエル「パト2か」

主「庵野総監督がどこまで意識したのかはわからないけれど、東京の街のカットが何度も出てくるじゃない。あれの意図としては『東京、日本が主人公』という意味があると思う。それはさ、押井さんがやろうとしたことと似ているんだよね。その街で戦争を引き起こすというのは、ゴジラを撮る上でも避けられない要素だったし、自衛隊と防衛というテーマも似ているから、自ずと似てしまったのか……?

 違いがあるとすれば、ゴジラは『人間ではない脅威としての戦争』であり、パト2は『ニセモノの戦争』という点かな」

 

 

現代の戦争

カエル「そこではTwitterだったり、テレビのニュースで政府も情報を知るっていうことが多く描かれているよね。それも現代らしい形だったね」

主「これだけの情報化社会になってしまうと、政府の情報統制はほとんど意味がない。何せ、日本中の一億人が目となり耳となり、情報を拡散してしまうから、制御のしようがないんだよね。

 現代の戦争は実際の戦闘だけでなくて、SNSだったり、ネットを使っての情報戦の様相もあるわけだ。ISなんて特にそう。そういう『現代の戦争』の形を示したのかな、という思いもあるね」

 

 

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3 ゴジラは子供の映画?

カエル「でもさ、今回の映画は大人向けすぎてよく分からないって意見も多いよね。明らかに子供向けではないし」

主「そこも難しいんだけどさ、じゃあゴジラって子供向け映画なの?

カエル「……え? 子供向けでしょ?」

 

主「少なくともさ、初代ゴジラは反核という明確なテーマがあって、あれだけの迫力があって、恐怖感もあった映画だよね。学校の授業で見に行くような映画でさ。その意味では子供向けではあるものの、そのメッセージだったり、奥深さは子供を相手にするような映画とは思えない。だから今でも名作として名高いんだけど」

カエル「じゃあ、ゴジラは子供向け映画ではないの?」

主「初代はね……言葉が難しいけれど、子供向けといえば子供向けなんだけど、誰にでも理解できるようにレベルを落としているわけではないんだよね。子供騙しで作っていない

 個人的には子供が見ても理解はできなくても、面白さはわかる映画だと思うよ」

 

誰のための映画か?

カエル「じゃあ、このシンゴジラって誰のための映画なの?」

主「それはやっぱり、『オタクによる、オタクのための、オタクの映画』だと思う。元ゴジラ少年・少女たちも含めて。すごく広い意味でのオタク。この言葉に違和感があるなら、ファンって言ってもいい。

 この作品で主にゴジラに対して戦うのは、もちろん自衛隊もいれば政治家もいる。だけど、その謎を解明し、研究していくのはオタクや鼻つまみ者たちなんだよね。尾頭ヒロミなんてステレオタイプのオタク象じゃない? 早口だったり、その仕草がさ。(個人的には石原さとみより魅力的)

 じゃあ、オタクって何? っていうとさ、好きなことに全力をかけられる人間たちってことじゃない。空想や妄想を相手に(鉄オタなどは現実を相手にしているけれど)日々考えて、人生の大半を費やしている存在なんだよ

 

カエル「……う〜ん、まあそういう見方もできるのかな?」

主「ゴジラってこのリアリティのある作品の中でも、一番大きな『虚構的存在』なんだよね。リアリティのない存在。進化は続けるし、武器の効かない化け物だし、止まらないし。メタ的にいえばありえない存在なんだよ。

 でも、そんな虚構を相手にするにはオタクってのは打ってつけなんだよ。だって、日頃からオタクはそんな虚構を相手に……遊んでいるというか、戦っているというか、そういう行為を繰り返しているんだからさ」

 

カエル「まあ、そうね。妄想の存在の処理にはオタクは打ってつけだね」

主「だからこの作品でゴジラを研究するのはオタクなんだよ。広い意味でのオタクね。さらにいえば庵野総監督や樋口監督、それだけじゃない、スタッフ全員がオタクとは言わないけれど、本作に関わっているほとんどのオタクの総意で作られた映画でもあるんじゃないかな。だから、オタク礼賛映画でもあるように感じたよ」

カエル「……自分に都合よく解釈しているだけのような気も……」

 

 

 

追記 虚構と現実

カエル「現実と虚構(夢)というとこの作品の中では核VS冷却ということも出てきたね」

主「この作品において、矢口蘭堂(長谷川博己)と赤坂秀樹(竹野内豊)の対立がよく出てくるけれど、この構図こそが『虚構VS現実』なんだよね。この言葉がどうかと思うなら、『理想 VS現実』でもいい。

 ……難しい政治的判断もあるけれど、正しいのは多分赤坂なんだよ。ゴジラという、地球規模の危機に対して、日本が消滅すれば対処できるから、大を生かすために小を見捨てるというのは政治的判断として必要な時もある。

 だから総理も納得せざるを得なかった。あの人も本心では反対でさ、

『避難っていうのは住民の生活を根こそぎ奪うことだ。簡単に言わないでほしいなぁ』

っていう言葉がそれを象徴している。でも国際世論や状況からすると仕方ないんだよね」 

 

カエル「そうだね。結局、最後は頭を下げてまでギリギリまで核を発射することを諦めなかったから。多分、退避するつもりもなかったのかな?」

主「どうだろうね。さすがに総理が巻き込まれる事態は避けると思うけれど……

 結局、この作品における赤坂の立ち位置は『現実』だとはさっきも書いた。もちろん、カヨコもアメリカ代表の立場だから、どちらかというと現実寄りの立場だね。

 だけど、この二人もまた『理想』を追う矢口の側に賭けたんだよね。

 最後の最後まで『理想』を、夢を追っかけたんだよ。

 それってさ、庵野総監督やオタクのことを思えば涙が出るよね。多分、現実においては理想は負けるけれど、映画の中くらいは救われたいじゃない。その意味でも、やっぱりオタク映画なんだよ」

カエル「……ゴジラを愛する人のための映画だね」

 

主「そして、大事なのは『これからゴジラを愛する人のための映画』でもあるということ。ここから改めてスタートするんだから、ゴジラは……スタートするよね?」

カエル「さあ? 僕に聞かないでよ。次があればって話は聞いたことあるけれど……」

  

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4 シン・ゴジラのテーマ

後半について

カエル「じゃあ、その後に話題を移そうか」

主「そうね。ゴジラはその後はやはり『核』の象徴になる。だから破壊することもできないし、冷温停止させるしかないんだよね。あの血液凝固剤を入れている姿なんてさ、個人的には石棺のように見える

カエル「あれだけ重機が登場すると、確かに流し込むものがコンクリートか血液凝固剤かの違いだけのような気もしてくるよね。じゃあ、やっぱり最後の固まったゴジラっていうのは石棺された原発事故の後処理なの?

主「そうだと思うけれどね。ここは後で繋がってくる」

 

進歩したテーマ

カエル「初代と比べてもテーマ性は大きく変化しているの?」

主「……あの時代はさ、核って単なる恐怖の象徴だったわけじゃない。原爆の影響もあるし、戦争の象徴でもあって、オキシジェンデストロイヤーって何かって言ったら、後の世に登場するかもしれない核より強力な兵器って意味でしょ。だから芹沢博士は一緒に死んでいったわけで。

 でもさ、ここは思想的な問題も入ってくるけれど、現代において核は……原子力は平和利用すると日常に欠かせないエネルギーでもあるわけだよ」

 

カエル「そうだね、原子力発電所は日本中にあるからね」

主「作中でも語られているけれど

『人類の脅威となるか、無限の恩恵をもたらす福音か』

みたいな台詞があったけどさ、これってそのまんま原子力のことを言っているんだよね。

 いつもはゴジラといえば大体海に帰るんだよ。でも、今回は固めて地上に残っているんだよね。その意味って何かといえばさ、台風とか、地震とかそういう脅威は時間とともに去っていくかもしれない。だけど、原子力っていう脅威……という言い方があれならば、リスクのある技術ってのはいつも我々の日常にあるんだよ。

 だけど、そこを怖いからといって海に返すことっていうのは、もう人類はできないんだよね。日本が原子力を排除したとしても、世界中では次々と作られているし。これだけ進化してしまった技術(ゴジラ)を倒すことはもうできないって意味なんだよ。

 それを補完するのが『核兵器がいつでも東京を狙っている』というセリフ。これは紛れもなく、核兵器の脅威を表している。どこかの国の首脳が、スイッチを押せば核戦争はすぐに始まってしまう、危うさも抱えているということだよね」

 

カエル「核が日常にあるから、スタートであんなに民主党政権を思い起こさせたのかな?」

主「多分ね。明らかに311を意識しているし、それはゴジラを撮る上では避けられない。だから、初代ゴジラは反核映画だけど、今回のゴジラは『知核映画』なんだよね。人類はゴジラという存在と……原子力という存在とどう向き合っていけばいいのだろうか、っていうね。もちろん、答えはないよ。多分正解もない」

 

ラストカットからのエンドロール

主「個人的に、ここが一番素晴らしい演出!

 そこまでは大音量で一気に駆け抜けたけれど、最後はゴジラの尻尾のアップで静かに終えて、初代のテーマソングが流れて終わるんだよね。このメリハリ、緩急のバランスが最高にいい!!」

カエル「あのラストの尻尾のアップの意味はなんだったのかな?」

 

主「まずは初代ゴジラのオマージュだよね。滅んでいってしまったゴジラをオマージュしているとともに、初代の『戦争の亡霊』としてのゴジラと、あとは『核で亡くなった方』を表しているのかなって思った。

 でも、この余韻のあるラスト、あんな風に色々と考察する余地があるラストだからこそ、これだけ話題になっているんだよね。だから答えは各々あるべきだと思う」

 

追記 博士の謎とその思い

 

カエル「やっぱりこの部分が一番盛り上がっているみたいね。多いのは『博士の恨みが籠っているから東京に上陸した』説が有力だよね」

主「う〜ん……それも間違ってはいないだろうけれど、個人的には納得できなっかたんだよね

カエル「え〜なんで? 初代だってゴジラの英霊の恨みって説もあるわけじゃない? 作中でも妻を失った恨みがどうとかって言っているし……」

主「まあ、それもそうなんだけどさ……

 じゃあ、なんで『折り紙』を残したのよ?

 

カエル「折り紙? それは試したんじゃないの?」

主「もちろん、作中ではそう言われているけれどさ、じゃあなんで折り紙なのよ?

カエル「折り紙の理由?」

主「折り紙ってさ、祈祷の際に折るものじゃない? 平和の象徴であり、病人とかだと完治することを祈るものでさ。鍵になる理論を示した紙を折ったというのは、それ自体が試したというのもあるけれど、やっぱり祈りという意味もあったと思うんだよね。だから、博士が恨みだけで行動したってのもは違うと思う。

 確かに恨みもあった。だけど、祈りもあったんだよね。そのグチャグチャの感情が『私は好きにした』の意味なんだよ」

 

カエル「核や原子力、さらに311をテーマにしているからそこを考えても『祈り』や『折り紙なんだね』」

主「それが鍵になってゴジラを止めた訳だし、その祈りの力ってすごく大きかったと思いたい」

  

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5 子供達へのメッセージ

カエル「でもさ、子供へのメッセージっていうのが少なくてわかりづらくない?」

主「そう? 少なくとも明確にメッセージを向けていた箇所が一つはあったじゃない?

カエル「え? どこ?」

 

主「最後の作戦を行う前に、これからそこに赴く自衛隊員に向かって言うじゃない。『日本の未来を君たちに託します!!』って。この場面は、直前まで首を振って自衛隊員に檄を飛ばしていたけれど、この言葉の直前にカメラをまっすぐに見つめるんだよね。

 

 現場の力ということも言っていたと思うけれど、じゃあ、映画における現場って撮影現場もあるけれど、劇場だって現場なんだよね。

 あの映画を作っている人はみんな、劇場という現場でゴジラを愛した元『怪獣少年、少女達』だよね。その人達が大人になって、過去から来たゴジラというバトンを受け取って作ったのが『シン・ゴジラ』なんだよ。

 だからあのセリフはこれから先の日本の未来もそうだし、原子力もそうだし、もちろんゴジラもそうなんだけど、そのバトンを後世を担う若者……そして子供達へ渡すよっていうメッセージだよ

 

カエル「『10年後の日本のために』か……」

主「そうだよね。その日本のために、子供達のために奮闘しているのが今回のゴジラであるわけでさ。

 あと少しメタのような見方もすると、約10年前に終わったミレニアムシリーズは『現代の技術で出来るものの集大成のゴジラ』として、技術が追いつくまで一時制作終了したわけじゃない。

 そして10年経って彼らもまた、バトンを受け取って、現代の技術でゴジラを作り上げたんだよ。だから、ゴジラの歴史を考えても感慨深いの。(正確には12年)

 感想があれだけ熱いものになったのは、そのメッセージだったり、庵野総監督の思いが伝わってきたからなんだよね。作品にこもる情熱が本当にすごい人だと思う」

 

カエル「だから、さっき言った『これからゴジラを愛する人』の中には、まだ小さい子供とかも含まれているわけだ」

主「今は意味がわかんなくてもいいよ。ジブリ映画もそうだし、ポケモン映画やクレしん映画もそうだけど、子供向け映画の中には相当深いテーマの作品も多い。

 だから今は、映像がすごい! ゴジラ強い! でもいい。愛して、大人になって、それから意味を知り、さらにその子供と見る……そうやってバトンは繋いでいくものだから」

カエル「……いいこと言った感がなければ、感動したかもしれないなぁ……文章からドヤ顔が透けて見えるんだよね」

  

震災映画としてのシン・ゴジラの立ち位置について語っています

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6 庵野秀明という男

カエル「あんまり長くなっても画像のないこのブログでは読みづらいだけだから、最後に庵野監督について少し語っておしまいにしようか」

主「……こう言っては何だけど、映像がすごい映画っていっぱいある。メッセージ性がすごい映画ってのもいっぱいあるよ。映画だけじゃないけれど、もっとメッセージ性の強い作品だっていっぱいあるのはわかる。

 だけど、『映像がすごくて、メッセージ性が強い』映画って……こういうとなんだけど、ないんだよね。

 娯楽でもあり、教育でもあり、映画的な映画でもあるから。

 それができたのは『ゴジラ』という枠がそれだけ複雑な構造をしているっていうこともあったけれど、やはり庵野総監督って人の影響も大きい

 

カエル「それはオタクとしての力がどうこうって話?」

主「そこよりもさ……ここからは個人的な思いになるんだけど。

 庵野総監督って他の作品もそうだけど、圧倒的な熱量と、技術と、知識と、センスという最も表現者にとって大切なものをたくさん持っている。だけど、それがあるんだけど明確なテーマ性というものがない作家だと思うのよ」

カエル「……というと?」

 

主「映像表現の革新だったり、そういったことはすごくテーマとして持っているけれど……今回のゴジラも『ゴジラ』という枠組みは当然あるけれども、『ガメラ』や『エヴァ』もあるし、岡本喜八監督の影響もたくさん入っているじゃない。もしかしたらさっきあげた『パトレイバー』もあるのかな?

 他にも自分なんかとは比較にならないほどの圧倒的な知識量がある人だから、多分他にも色々な影響があるんだと思う。それらの長所を組み合わせて物語を作ることができる人なのよ。

 だけど、その代わりに『本人の生涯のテーマ』っていうものが感じられない」

 

カエル「……宮崎駿や押井守が指摘していたことだね」

主「それはそれでいいんだよ。それで面白い作品もあるし。

 だけど、今回は『ゴジラ』という明確なテーマのある、しかも監督が最も敬愛する作品の一つを与えられてしまったわけだ。そんなの、誰よりもゴジラを知るんだから、テーマとか奥深さも交えて作るに決まっているじゃない。

 そうしたらさ、そのゴジラに内包されていたテーマがあまりにも強くて、いつものように他の作品からの影響を受けて作っても、一本の映画として強烈なテーマ性を含んだんだよね。天才だと思った。普通はこういう風にはいかないと思うから。

 映像に関してやりたいことは表現しきれないくらいあるだろうし、そこに明確なテーマを持つとここまで素晴らしいのかと思い知らされた

 

カエル「シン・ゴジラの『シン』ってなんだと思う」

主「これも面白いよね。はまちがいなくあると思うけれど、真、心、信、神と当てられる漢字はたくさんあるし」

 

カエル「じゃあ、この流れで最後にエヴァについて一言」

主「エヴァは完結しないことに意味が有る作品だから、ピリオドは打たないし、打てないと思う。だからシン・エヴァが公開してもまだまだ続くと思います。詳しくはいつか書くかな?

 あと、一つ言えるのはこの映画によってシン・エヴァのハードルはさらに上がったね」

 

 

最後に

カエル「いやぁ〜、長かった! 長すぎて疲れた!!」

主「これでも相当削ったけれどなぁ。また何回も見直して、その度に修正したとしたら、さらに長くなるのかな……」

カエル「実際、賛否両論あるってどうなの? 『なんでわかんねぇんだよ!!』って思う?」

主「いやいやいや、賛否両論ある映画はいい映画だよ。むしろそうなったら誇っていい。表現で一番悪いのは『どうでもいいわ』って思われることだから、明確に賛であれ、否であれ、そういった意見が巻き起こるってことは強く届いたってことなんだよね。

 表現者にとってそれは最高でしょう」

 

カエル「じゃあこの記事が否定されてもいいの?」

主「……さすがにコメント欄やTwitter、ブクマに『うざい、消えろ』とか暴言を吐かれたら嫌になるけど、基本的には素人の考察の一つとして受け止めてほしいね。その上で否定される分には構わないよ。賛同されたら嬉しいけれど。

 多種多様な考察を聞いてみたいね。

 それにさ、それだけ多くの人がゴジラを愛しているという事実だけで、ファンとしたら嬉しくない? 

 普通はこんなに反応がもらえるはずがないから」

 

カエル「じゃあ、今回は真面目に終えるけれど、これでいいね」

主「あと何回観に行こうかな!! すごく楽しみだなぁ!!」

カエル「……ゴジラ以外にもいい映画はたくさんあるから、そちらも見てね!!」

 

 

 

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