えー、今更と言われそうですが『ゴジラマイナスワン』を鑑賞したので、そのレビュー記事となります
公開から5ヶ月、アカデミー賞さまさまじゃな
カエルくん(以下カエル)
思えば、半年近くまで上映してくれるっていうのも奇跡といえば奇跡だよね
亀爺(以下亀)
大作が必ずしもヒットするわけでもないし、ゴジラとはいえプレッシャーは大変じゃったろうな
カエル「うちも一応ゴジラファンの端くれではあるので、鑑賞しようと思っていましたが……このタイミングになってしまいました」
亀「逆にアカデミー賞で話題になったタイミングだったから、良かったかもしれんの。
いや、何がいいのかわからんが……
それでは、早速記事を始めていくかの」
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感想
それではXの短評からスタートです!
#ゴジラマイナスワン
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2024年3月27日
めっちゃ遅くなりましたがようやく鑑賞しました
ふむ……これはなかなか不思議な映画ですね
まず映画の”商品”としてとても優れていますね… pic.twitter.com/nWOPmVhEtn
Xに投稿した感想
めっちゃ遅くなりましたがようやく鑑賞しましたが…
これはなかなか不思議な映画ですね
なんとも言い難い映画じゃったな
カエル「当然、うちは半年近く過ぎて鑑賞したので、もうあれこれと語られ尽くされた後で鑑賞しているので、ほぼ後出しジャンケンみたいな感想になってしまうんでしょうけれど……
物語について
今作は日本アカデミー賞で脚本賞を受賞して、それも賛否があったけれどうちの評価としては?
まあ、こんなものではないかの
山崎貴監督は映像作家
あくまでも作家性やゴジラらしさを追求する作品ではなく、娯楽作であることを徹底したということだね
特に山崎貴監督作品は、どれもこの視点が重視されている印象じゃ
空っぽっていうのは、褒め言葉なの?
目的がはっきりとしている脚本だという意味では褒め言葉とも言える
映像面について
なぜ本作が昭和の物語なのか?
じゃあ、映像面について語っていきましょうか
さすが、素晴らしい映像じゃったの
それは東京の建物が大きいとどんな弊害があるの?
単純に比較対象が大き過ぎて、恐怖がよくわからなくなってしまうわけじゃな
それだと、確かにゴジラの大きさがわかりづらいよね……
だからこそ昭和の建物なんじゃな
では、大きくしすぎると、今度は縮尺が合わせづらかったり、迫力を出すのに難儀したりとさまざまな弊害があるわけじゃな
海のシーンの多用
あとは海のシーンも多かったけれど、これも同じ理由なの?
かなり海を用いるのはハリウッドでも使われる常套手段じゃからな
そう考えると、かなりゴジラを撮ることに考えられたシュチュエーションなんだね……
わしはそこまで踏み込んで考えれば、脚本賞を受賞するのも選択肢としてありじゃと思う
以下ネタバレあり
世界的なヒットの考察
アメリカでなぜヒットした?
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
まあ、亀爺はああいうふうに語っていたけれど、自分は今作の物語は普通にダメだと思うけれどね
ちなみに、超後出しジャンケンにはなるけれど、なんでアメリカでヒットしたと思う?
レジェンダリーのモンスターバースがヒットしていたからでしょ
そこの意見は変わらないんだね
というかさ、元も子もない話をすると、どんな名作でもIPに魅力がない作品はヒットしないよ
その意味ではゴジラというIPを世界……特にアメリカで売れるものにしたという意味では、東宝の勝利だ
初めから海外に向けて作られていた?
これも完全に後出しだけれど、なんか海外向け感が強かったんだよねぇ
多分、アメリカの方向を見ながら作ったのはあるだろう
- ゴジラというIPのパワー
- 帰還兵のPTSDの物語
- アメリカ軍不在
ゴジラのIPについては、先ほどの話をしたよね
不思議な山崎貴ワールド
ノンポリ? 保守? リベラル?
ここはXでの短評でも語っていたことだよね
山崎貴って、本当に不思議な人なんだよね
非常に失礼な言い方をすれば、AIが書いた脚本って感じ
本質的には保守? 言動はリベラル?
その辺りをより掘り下げると、どういうことになるの?
う〜ん……不思議な監督だけれど、保守のテーマが入ると途端に感動的な評価が高くなる印象がある
実は潜在的には保守っぽい思想があるのかなぁ…なんて思いがある
カエル「原作者の印象かもしれないけれど、そういう作品になると途端に力を発揮するってこと?」
主「いやーどうだろう。
単純に昭和が好きだったり、この時代の価値観が好きなだけで、それが保守っぽく見えているような気もする。
だからこの映画もさ、映像ややっていることは割と保守気味なんだよ。
だけれど、セリフで完全に保守を否定して、戦前を否定している。
でもさ……いや、これでマジで? ってなる。
だから不思議なんだよね……ノンポリだからどーでもいいや、っていう感じじゃないと、この映画って撮れない気がするんだけれど、どう思う?」
カエル「いや、ボクに聞かれても……」
今回のゴジラは何を意味していたのか
じゃあ、そこを掘り下げる意味では今回のゴジラって何を意味していたのかを考えていきましょうか
個人的には以下の3つだと感じている
- 戦争の象徴
- 核兵器の象徴
- 米軍
上2つはゴジラの典型だよね
カエル「うちはいつもゴジラ映画、あるいは怪獣映画の時に語っていますが『怪獣を通して何を描きたいのか』ということを重要視しています」
主「怪獣映画っていうのは、ディザスタームービーなんだ。天災と同じように、人間の力では制御することのできない存在。
それでいうと、今作は新海誠作品とかなり似ていて……新海誠もディザスタームービーで、特に近年の大作はその傾向がある。それが天災なのか、怪獣という明確な存在なのか、という違いだけ、なんならば人間の行動で運命が変わるというのも同じ」
敷島は何に怒っていたのか?
敷島は何に怒っていたって……ゴジラにじゃない?
だから、そのゴジラは何を意味していたのかってこと
カエル「それは……戦争だったり、核だったり?」
主「ゴジラに部隊を全滅させられたけれど、あれは明らかに米軍のメタファーじゃない?
日本兵が全滅させられるってことは、相手は米軍だと思うわけだよ。そう考えるとこの作品ってわかりやすくて、ゴジラ=米軍だったら、東京・銀座に核爆弾を落としたら? というシュミレーションになっている」
それはなんだか、不謹慎な気が……
核はゴジラの象徴だからいいけれどさ、戦争という抽象的なものの具現化だとしたら、出てくるべきものが出てこない
カエル「それが米軍だと?」
主「そういうこと。
これがいがみ合っていた米軍と手をとっていきましょう、という物語だったら戦争をゴジラのメタファーとして、それを倒して平和になるという物語だということもできる。
だけれど、今作は不自然なまでに米軍は出てこない……いや、実は出ているんだよ。それがゴジラとして。
だから敷島が本来怒るべき相手は、自分の家族を奪い、仲間を奪った米軍であり、そのメタファーとしてゴジラが存在している……としか、思えない。
だから核を連想させる熱戦で恋人を奪われた時、怒りに燃えているけれど、あれは米軍に対する怒りなんじゃないのか?
ということは、本作は日本兵が米軍に一矢報いるという物語になっている」
ゴジラを倒す時のポーズの不思議
ここは目次としてはネタバレ防止のために曖昧にしていますが、要は敬礼ってことだよね
あれ、何に敬礼したのかも意味不明だよね
カエル「えっと……ゴジラに?」
主「いや、今の今までゴジラを害獣の延長線上で駆除していたじゃん。
あの時のゴジラはなんのメタファーなのか?
戦争? 米軍? 英霊?
そこらへんがマジで意味がわからなくて、混乱した。
あの人たちが敬礼する相手としてわかりやすいのは英霊だけれど、じゃあ英霊を日本人の手でぶっ倒したってこと?
それはそれで意味がわからんし……」
う〜ん……
そこまでいく話の流れが、保守の理想のような戦争描写だったんだよね
主「船に乗って決死作戦をする、生きるか死ぬかわからんって……それ、戦時中の特攻精神と何が違うのか?
いや、セリフでは否定しているよ?
否定しているけれど、やっていることは完全に特攻。
しかもそこに多くの船がやってきて……っていうのを美談にしているけれど、それこそ軍隊で増援がきたよって話で、全体主義みたいな話を美談化しているようにしか見えない。
その意味で鑑賞中にグロテスクな映画だなって思いすらよぎるんだよ」
全てを否定していくセリフ
だけれど、その行動を全部セリフで否定するんだよね?
ここがマジで意味がわかんない
カエル「あの野田博士の演説とか、とても感動するシーンだったよね」
主「だから、めっちゃ不思議。
さすがに保守的すぎるってことで、セリフだけはいじってバランスをとったのかなぁ……でもそのバランス感覚がある人が、ここまで保守的な行動ばかりの映画にするか?
特攻精神を肯定しているのか、否定しているのかもわからない。
あのとってつけたようなラストに関しても、確かに戦前を否定しているんだよ。
だから意味がわからない」
ここまで行動と言動とラストがチグハグな映画って、あんまり記憶がない。
主「そもそも、ノンポリなのかも怪しくなるんだけれど、ノンポリじゃなかったとしたら保守的な行動を描きながらも、セリフやラストは全部リベラルっぽくできるという、それは信念があるのかないのかが、全くわからないというね。
思想性が超強いのに、それを全部否定できるっていう。
多分無意識だとは思うけれど……全部計算だとしたら、本当にどうでもいいと思っているノンポリか、あるいは実は用意周到な計算家の、どちらかなんじゃないかね」
最後に
それでは、今回の記事はここまでとなります
あり得ないけれど、これが意図的な作りだとしたらすごいよね
カエル「……どういうこと?」
主「大和魂がメリケンに一泡吹かせるぜ! って映画が、アメリカで評価されて最高権威の1部門を獲得しちゃった ってことがさ。
まあ、そこまでは考えてないと自分も思うけれど……それくらい、へんな映画だったなぁ」
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