それでは、紆余曲折もありましたがいよいよアニゴジ最終章の感想です
ここまでずっと追いかけてきたしねぇ
カエルくん(以下カエル)
「ほぼ1年くらい追いかけてきたコンテンツだし、最後くらいは仲良く笑顔で終えたいけれど……うちはずっと酷評してきたので、それも難しいのかなぁ」
主
「ここから巻き返すってことはほぼほぼ不可能だとは思うから、あとはどこまでやりたいことができたのか? ということに注目しようか」
カエル「ちなみに、予告編を見ての印象は?」
主「宮野真守ってすごいよねぇ。
ほぼ毎週のようにアニメ映画に出演しているんじゃないの?
もしかしたら山寺宏一と宮野真守が出演しているアニメ映画って、日本でも半分超えていたりして」
カエル「……まあ、その程度の興味しかないってことはよく伝わるんじゃないかな。
うちはここまでほぼ酷評なので、仕方ない面もあるかもしれませんが……果たして今回は今までの評価を巻き返せるのか!
キングギドラやモスラは出てくるのか?
では記事を始めましょう!」
作品紹介・あらすじ
ゴジラシリーズの初のアニメ映画である『CODZILLA』シリーズ3部作の完結編となる作品。今作ではファンに人気の高い最強の怪獣、キングギドラも登場することが予告されており、注目を集めている。
監督は『名探偵コナン』シリーズなどの静野孔文と『BLAME』などの瀬下寛之、脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』などの虚淵玄が担当する。
前作にてゴジラアースを倒すために武装要塞都市『メカゴジラシティ』での決戦を目論んでいたビサイルドの面々と決裂してしまったハルオは、またゴジラを倒す手段を一から模索することになる。
そんな中、エクシフの大司教メトフィエスは生き残った隊員たちに布教活動を行い、大きな影響力を発揮していた……
【11.9 完結】『GODZILLA 星を喰う者』予告①(『GODZILLA:The Planet Eater』 Official Trailer① )
感想
まずはtwitterの短評からスタートです!」
#GODZILLA 星を喰うもの
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年11月9日
おぉ…ここまでダメダメになるのか…
新しいものを作ろう、予想を裏切るものを作ろうとして、結局期待を裏切るものになってしまっていた
悪い意味で #アニゴジ の集大成にふさわしい作品に
スタッフ陣の悪いところが出まくった作品なんじゃないかなぁ pic.twitter.com/7vny18MHPX
まあ、こんなものじゃないんですか? 悪い意味で予想通りですよ
カエル「まだ公開直後だけれど、東京国際映画祭でも上映されていたこともあってチラホラ噂は聞こえてきたけれど、あまりいいものではなかったよね」
主「『新機軸のゴジラを作る』という志は確かに素晴らしい。
だけれど、それは『新しいお寿司を作る!』といってご飯にホワイトソースをかけたものを出すようなもので、それならば素直にドリアを食べたほうがいいんじゃないの? って気分だよ」
カエル「うん、例えが独特過ぎてかえって伝わらないけれど、結局はゴジラとして描くのではなく、新しいSF作品として描けばよかったんじゃないか? ってことだね」
主「この作品の公開前に、ハリウッド版ゴジラの新作の予告が流れたけれど、たった1分でも本作よりも満足感が高かった。まあ”KING OF MONSTER”の文字に、ゴジラをモンスターとして扱うのは変わらないのねって気分ではあるけれど。
正直、1800円払った価値としては、あの予告を見たことの方が大きい」
カエル「……まあ、うちはゴジラ保守派みたいなところがあるからこそ、厳しい評価になってしまうのかもしれないけれど……」
主「自分に言わせてもらえばゴジラ映画をみんな観にきているんだから、当然のことだと思うけれどね。
しかも、根本的に考えが浅すぎる描写も多くて、これをNetflixで世界に公開するということに対して不安もあるよ。
あまりにもひどすぎる」
スタッフ陣の悪いところがでた?
今回の監督を勤めた静野監督、瀬下監督と脚本を勤めた虚淵玄への文句になるのかなぁ
結局、怪獣への愛なんて一切ないのはよくわかったよ
カエル「その辺りは監督などのトークイベントの様子からも伝わってきていて、2章のコメンタリーで怪獣映画の王道などを『中学生が考えたような』って発言をしてしまい、プチ炎上していたね」
主「それをいったら怪獣映画、SF映画、ヒーロー映画なんて学生の妄想みたいな物語じゃない。
それをどこまでリアリティを込めて、そして溢れんばかりの愛を込めて表現するか、というのが重要だと思うんですがね。
特に両監督ともにCGアニメ映画を監督することも多いけれど、やはり SFが好きなのは伝わってくる。
それは今作からも伝わってはくるんだけれど、でもそれがゴジラに求めたものではないという……」
カエル「ちょっと過去のゴジラに対する言及みたいなものもあったじゃない?」
主「あの程度で? 誰が満足するのよ、そんな作品。
特に静野監督はアニメがもつ派手な演出に対してこだわりがあり、アクション映画としては面白い作品を製作している。だけれど、お話がついてこない監督という印象が自分の中で強く、今作もそれは抜けきれていない。
瀬下監督は静野監督ほどではないけれど、アクション重視な印象もあるかな」
カエル「そして今作は脚本を虚淵玄が担当していて、物語としてはかなり強い影響があると思うけれど……」
主「……う〜ん、虚淵玄も人気脚本家だけれど、結構劇薬だよね。
特に本作は難しい言い回しが多いけれど、まさしくザ・虚淵という印象を抱いた。それから中盤の衝撃的な展開を匂わせる描写などもぽいといえばぽいけれど……
でも、まあ作品全体を魅力的なものにはできなかったな」
虚構が多過ぎるアニゴジ
もっと簡単にいって、アニゴジ失敗の要因はどこにあるの?
単純に虚構が多すぎることじゃない?
主「本来、怪獣映画というのは”日常というリアルな空間に、怪獣という強力な存在が現れる”というバランスで成り立っている作品が多い。初代ゴジラ、シン・ゴジラは特にその要素が強いよね。
よく”物語で大きな嘘は1つのみ”と言われていて、例えばドラえもんはドラえもんやひみつ道具という大きな嘘は1つだけれど、それ以外はのび太の生活とか心情などは割とリアルに近いものに描かれているじゃない。
自分は1つである必要はないとは思うけれど、でもあまり多すぎると制御ができなくなるわけ」
カエル「特にSFやファンタジーだとなんでもありになっちゃうもんね」
主「その意味で、このアニゴジは何でもありにし過ぎた。
そもそも第1作目からそうで、ゴジラをああしました、でも実は……ってやってしまったら、その先どうするのよ?
どれだけゴジラに対して効果的な攻撃をしても、それが無意味な可能性もでてきてしまった」
カエル「今回は大きさもさることながら、バリアを貼ったりして過去最強であることは疑いようがないんだけれど、だからこそ制御ができなくなった印象も拭えないよね」
主「そこに宇宙人やら地球に居続けた人やらという設定がモリモリになり、もともとある怪獣映画の成分も入って、もう収拾不能ですよ。
この時点でもうどうしようもなくなっていき……残念ながら、もはやSFというよりも単なる中学生の何でもありな妄想を見せつけられている気分になってしまった」
カエル「……中学生の妄想といって否定したスタッフが、中学生の妄想を作ってしまったというのは皮肉なもんだね」
主「頑張って虚淵玄は現実的な描写を模索しただろうけれど、元々が超化学やら何やらと滅茶苦茶な作品だからね。余計に机上の空論が並び、物語として一切の面白さやリアリティを提示することができなくなり、ジエンド。
怪獣映画ってそのリアリティが大事なのに……そこをこだわったシン・ゴジラの後でにこれかぁ……」
以下ネタバレあり
作品考察
今までのお話を否定する冒頭
では、ここからはネタバレありで語りますが……
最初から目が点になってしまいましたよ
カエル「えっと、一応ここまでのお話をおさらいするように、会話ではあるけれど説明があるんだよね。メカゴジラシティが何たら……とかさ」
主「自分が愕然としたのは、前回あれだけ頑張って救ったユウコさん(花澤香菜)が、まさかあのような状態になっていることですよ。
いや、確かに前回頑張った理由は他にもあって、ナノメタルシティを回避するため、という大義もあったけれど、ハルオ(宮野真守)自体はユウコを救うためというのもあったでしょ?
でも、それも全て報われていない……ハルオのあの行為は何だったんだろうね?」
カエル「まあ、でもそれは救いのないリアルさを追求した結果かもしれないから……」
主「で、そのあとがあの展開になるわけでしょ?
いやー、ここまでユウコをあそこまで描いてきた意味って何だったんでしょうね? ただのウザい女ってだけで終わってしまっているし、ハルオくんがちょっと優しくされたら誰にでも惚れてしまう童貞男子のように描かれているだけじゃないですか。
確かにユウコさんに比べたら、何倍も魅力的ですが……」
カエル「驚愕の展開については劇場やNetflixでご確認ください」
主「そして唯一リーダーとして狂信的に祭り上げられた部下もいたのに、それも全てわけわからん宗教野郎に取られてしまい、哀れ涙のハルオくん……ほんと、彼の今までの戦いって何だったんでしょうね」
カエル「この3章の物語を盛り上げるために獲得してきたものを全て取り上げただけじゃなくて?」
主「それにしてはキャラクターも思想、心情も薄っぺらいからなぁ」
静野監督作品というと、この辺りを連想するかなぁ
宗教映画より宗教映画
今年は某宗教団体が製作したアニメ映画も鑑賞したけれど、ちょっとびっくりしたね
こっちが宗教団体が作っているのかと錯覚したよ
主「まあ、わかるんだけれどね。
元々科学は神の存在を証明しようとして始まったと言われている。今でも科学と宗教は対立関係にあり、例えば進化論を認めるのか、それとも全ての生命は神が作ったと教えるのかという点において、諸外国では論争が巻き起こっている。
1章が人類の化学、2章が人類を超越した超科学とすると、3章は神学というのは、まあ妥当かもしれないけれど……」
カエル「実際、科学のレベルが低いから神の存在を感じることができないだけであ流といわれたら、まあそんな気はするかなぁ。150年前に原子力なんて発見できるはずもないわけだし、このあと100年後に神や宇宙人、天国などを発見する可能性だって0というわけではないし」
主「でもさ、そこまで行くともうただの妄想話でしかないよね。
今作は2つの宗教がぶつかり合っていて、エクシフ側のメトフィエス(櫻井孝宏)を中心とする宗教と、元々地球にいた土着的なマイナ達の宗教がぶつかり合うわけだ。
で、どっちが正しいのか? っていうと、まあどちらも宗教だから正誤では語れないというめんどくさい状況になる」
カエル「途中から話がわけがわからないというか、どうでもよくなったよねぇ」
主「最初にうちは文明批判とか、ある種の共産主義的な考え方とかも入っていたけれど、それもどうでもよくなってしまった。
あとは精神世界のお話は勝手にやっていてください、ということだな」
ゴジラが見たい!
これはずっといってきたことだねぇ
ゴジラ映画を見にきたんですよ、こっちは!
カエル「ゴジラ映画なのに、やっていることの8割は人間同士のゴタゴタであり、今回ゴジラの蚊帳の外感が半端なかったねぇ」
主「なんか、この辺りは虚淵玄らしいなぁって思ったよ。結局人間同士のゴタゴタになってしまうというのがね。まあそれが魅力の脚本家でもあるけれど……
今回、キングギドラもゴジラもびっくりするくらい活躍しません!」
カエル「いや、まあ活躍するはするけれど、ゴジラファンが望んだものは一切ないというか、これならば2章が一番ゴジラ映画をしていたというか……。
キングギドラのCGとかはとても綺麗だったんだけれどね」
主「もうさ、キングギドラの造形とかびっくりだよね。
あれだったら3匹である必要あるんですか? しかも攻撃が噛み付くだけであり、ゴジラの攻撃は全て無効です……って小学生かよ!
手遊びで攻撃されたら『はい無効!』ってのとレベルが変わらねえって!」
カエル「一応理屈はあるけれど、宗教的な展開と超化学により『はぁ、そうですか』ってなっている後なので……」
主「もはや怪獣バトルとして、史上最低のゴジラVSキングギドラといわざるを得ません。
新しい怪獣映画がこれって、本当にこの路線で後に続く作品やスタッフがいると信じているのか、不安になるレベルですよ。
もうさ、一言で語れば”人間たちの御託はどうでもいいから、さっさと怪獣バトルを見せてくれ!”って悲鳴だよ……」
まっっっっっったく配慮を感じない描写
これは存分に叩かなければいけないのかなぁ……
本作では女性に対する扱いが非常に問題がある描写があります
カエル「そりゃ、まああの状況だからそうなっていくのはわかるけれど、描写に気をつけないと『女性は産む機械』発言と全く同じようなことになってしまうという配慮は、本当にないのかな?」
主「現地の人々と結びつくのはいいとしよう。実際、それしか道がないわけだしね。
だけれど、その描き方があまりにも問題がありすぎて、女性や部族の人々に対する偏見があるといわれても仕方ない。
例えばさ、生き残ったメンバーに女性がいて、その人が前面に出ていて部族の男性と子供を育むシーンがあれば、この問題はある程度見え方が変わる。でも女性ばっかりのハーレムのように描くことが、果たして正しいのか?
恋愛至上主義や、産めよ増やせよの家族主義からの脱却を訴えている今の物語作品の流れや状況を本当に知らないの?」
カエル「これをNetflixで国際的に放送されることは怖いよねぇ」
主「もしかしたら、これは偏見だけれど虚淵玄が18禁ゲーム出身者だから、この手の描写に緩いのかもしれないけれど、もっと色々な配慮が必要なのではないでしょうか?
物語自体も文明批判であり、それが果たして観客に共通するハッピーエンドなのだろうか? ということも考えねばならず、本当にモヤモヤする」
ハルオの最後の選択について
直接的には語りませんが、ハルオはある選択をしますが、それについては?
できの悪い『スカイクロラだなぁ』としかいいようがない
カエル「結構あの展開ってうちの好みではあるんだけれど……そこまでの描き方があまりにも適当すぎるから、あの行動もねぇ」
主「ハルオがいっていることもわからなくはない。自分は悪党が好きだし、散りゆくものの美学もある。むしろ正義の味方よりも悪党に感情移入をすることも多い。
だけれど、ハルオはただの無謀な行動ですから。
しかも、戦略的にはなんの意味もない、最低の行為」
カエル「しかも、その場に連れていくのがあの人っていうのがねぇ」
主「あれは本当に残されたあの子に対する最低の行為、浮気とか不倫以上の行いですよ。自分の最大の選択に連れていくのが、あの人というのは最大の裏切りでしょう。
もちろん、情以外の意味もわかるよ?
先にあげた文明批判の部分があり、文明を復活させないため、とかね。
でもそんな行為になんの意味もなく、ただハルオがやりたかっただけであり、最後もなぜゴジラをああすることができたのか全くロジックがない。
それまでの『ゴジラを倒すには神を超えなければ……』みたいな話なんだったの? あの冒頭の会話、全く意味がないじゃん。あのハルオがそうだって言いたいのかね?
ここまで無駄にロジックを組み上げて、1番重要な物語の肝のロジックがないって、それこそ最低の物語じゃないですか!?」
まとめ
はい、ヒートアップしてきたのでここいら辺でまとめます!
- アニゴジ最終章にふさわしい、期待を裏切る作品に
- 宗教論や文明論が続きすぎてゴジラ映画なのにゴジラが見たくなってくる
- あまりにも配慮にかける描写が多数
色々語ったけれど、でも今年最低とまではいわないかなぁ
カエル「天敵のように語ってきたけれど、それでも最低ではない?」
主「もっとひどい作品はあるから。
確かに新機軸のゴジラではあったよ……それはご飯をのけったパスタみたいなわけのわからんものではあったけれど、でもゴジラの可能性を切り開くという意図はあった。CG表現自体はそこまで悪くないし、特に2章の戦闘シーンは自分も褒める部分もある。
でも、シン・ゴジラの次の日本のゴジラがこれとなると、絶望感があるのも事実だよ」
カエル「……複雑な感情なんだね」