……よくよく考えてみると、もしかして今回が初ロック様じゃない?
あー、確かにロック様が出ている映画を扱ったことって1度もなかったかも
カエルくん(以下カエル)
「結局、ジュマンジ2も観ていないしねぇ」
主
「これだけたくさんの映画に出ているけれど、まだ取り上げたことながないというのも珍しいかもね。
ちなみに、うちではドウェイン・ジョンソンではなく、この後も全部ロック様で呼称していきますのでご了承ください。
やっぱりあの時代のWWEを好きだった人間には、特別な人物だからねぇ」
カエル「今でもアメリカプロレス界のレジェンドの1人だしね。
では、感想記事を始めましょう!」
作品紹介・あらすじ
1986年に発売されたアーケードゲーム『RAMPAGE』を基に製作されたアクション映画作品。
監督は『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』なども製作したブラッド・オペイトンが務め、脚本は『トレイン・ミッション』などを手がけたライアン・イングルを始め、4名で担当している。
主演はいま最も忙しい俳優とも称されるドウェイン・ジョンソンが務めるほか、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン、ジェフリー・ディーン・モーガンらが脇を固めている。
宇宙で研究されていた遺伝子操作の実験の事故により、地球に巨大化を促す薬が落下してしまう。
動物博士のデイビス・オコイエ(ドウェイン・ジョンソン)は絶滅危惧種であるゴリラの保護を行っていた。中でも染色体異常によって白い毛並みを持つゴリラ、ジョージとは手話で会話ができるほどの仲に。
しかし、そんなある日、温厚なはずのジョージが突如として暴れ出してしまう。
その頃各地で巨大化した生物が報告されていた……
感想
ではTwitterの短評からスタートです!
#ランペイジ鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年5月19日
普通に怪獣映画をやっている怪獣映画で普通に面白く、普通に退屈なシーンも
色々と上がる場面はあるものの『ランペイジでしかできない!』という新機軸は見出せず
好きですけどね
普通に面白い怪獣映画だったけれど……
カエル「えっと、ちょっと文句があるの?」
主「いや、文句というほどでもないよ? 怪獣映画としてよくできているし、とても面白いと思う。娯楽映画としても成立しているし、ある程度はヒットすると思う。
ただ、近年素晴らしい怪獣映画が続いたじゃない?
『シンゴジラ』や海外からは『キングコング 髑髏島の巨神』と続いて、自分はこの2作品がものッッッッッッすごく好きだからさ、その分ハードルがガンガン上がっているというのもある」
カエル「まあ、両者ともに鑑賞直後のテンションは年間トップレベルだったからね。
相手が悪すぎるような印象も……」
主「だからさ『普通に面白い』のレベルは超えてこなくて……普通に良作って印象かな」
本作の売りとは?
カエル「その評価はどのようなところが原因なの?」
主「単純に、本作の売りが見当たらなかったんだよね。
例えば、予告にもあるようにゴリラが巨大化して都会を暴れまわる……それは誰がどう見ても怪獣映画の金字塔である『キングコング』を連想するじゃない?
さらに言えば、動物が科学の力で暴走するというのは『ジュラシック・パーク』でもあるわけで、ワニの見た目はアンギラスに近いようにも見える。
物語自体も結構あるある要素が多いように見えて……ランペイジでないとできない新しい怪獣映画、というものは、中々見受けられなかったかな」
カエル「強いて言うならば、ロック様の大活躍かな?」
主「あそこまで人間が絡んできて、とんでもない大活躍をするバディ怪獣映画というのは中々ないかも。その意味では確かに新しいと言えるのかも……しれないのか?
あとは人間同士のうだうだとやっているシーンがそれなりに退屈で……怪獣が暴れ出すと面白いんだけれどね。
結構計算されて落ち着いた怪獣映画だったと思うけれど、近年制作された怪獣映画が数多くいるオタクの中でもとりわけ濃い面々だったからね。それと比べられるのもかわいそうではあるものの、とてもうまくまとまった分、面白みに欠けたようにも見えたのかな」
ムキムキマッチョでありながらいい人感バリバリ!
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
本作の見どころ
カエル「本作の見どころは、やっぱり怪獣同士の大乱闘バトルだよね!
特に3匹ともに得意な戦い方が全然違うから、いろいろな個性があってワクワクしてくるし!」
主「外国人はゴリラが好きだよなぁ……なんて思ったりもするけれど、ゴリラが怪獣だと最大の武器として両手や武器が使うことができる、というのがある。何かを掴んで投げる、ぶん回す、盾にする……いろいろな物の使い方ができる。
それでいながらも人間が戦うよりも荒々しく、そして力強い。
このあたりで、単なる嚙みつき合戦になりがちな怪獣映画の中でも、1つ大きなアクセントになってくる」
カエル「特に今作ではゴリラのジョージがものすごくいい仕事をしています!
もちろん主役はロック様だけれど、この作品のMVPは間違いなくジョージだよね。
彼の魅力が色々と出ているからこそ、本作はシリアスになりすぎないで軽い気持ちで観ることもできるし!」
主「もちろん色々な役者がいるけれど……ジョージとロック様、あとはラッセル捜査官役のジェフリー・ディーン・モーガンの3人が特にいい味を出していたのではないかな?
ナオミ・ハリスなども悪いわけではないけれどね」
カエル「怪獣&ロック様の大乱闘を楽しむ、それだけの映画と言えばそれだけなんだけれど、だからこそわかりやすく面白い作品です!」
以下ネタバレあり
超人ロック様!
ここからは作中に言及しながら感想を語っていきましょう!
本当、この映画のロック様がすごすぎるわ……
カエル「何から何まで超人的活躍! これぞロック様! というような働きだったね。
前半からとんでもないけれど……ゴリラと手話で会話ができるって設定、誰が考えたんだろ? トンデモすぎてかなりびっくりしちゃった」
主「しかも、あれだけ体がデカイからさ、ゴリラと対等に戦えてしまうような気がしてくる。そりゃ他のガリガリの男たちと違って、あれだけ鍛え抜かれていたら自信満々にゴリラと接することができるよなぁ」
カエル「今、ハリウッドでは欠かせない最も忙しい俳優の一人だけれど、どんな存在だと思っているの?」
主「それこそ、古くからいるアメリカのマッチョなヒーロー像の象徴的存在でしょう。イーストウッド、シュワちゃんなどと同じような、アメリカアクションスターの系譜。ただ、ロック様の場合は白人でないというのがとても大きなポイントでもあって、人種問題に敏感な今の時代だからこそ、支持されるスターでもある。
あとは労働者階級にファン層が多いと言われるWWE出身ということもあって、多くの一般庶民に愛されているんじゃなかな?」
カエル「銃で撃たれても何も怪我していないかのようにピンピンしているもんね……」
主「あのシーンはさすがにどうかと思ったけれど、あの筋肉を見ると確かにありえそうな気もしたなぁ」
こいつが登場した瞬間はテンション爆上げ!
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
本作のドラマについて
カエル「じゃあ、ちょっと苦言を呈した『つまらない』と思ったドラマ部分についてだけれど、それはどんなところがダメだったの?」
主「う〜ん……やっぱり、ジュラシックパークが引き合いになるのかなぁ。
本作って科学の暴走などのテーマもありそうだけれど、それがあまり強調されているようなところがない。
極め付けが本作の敵でさ……あれ、何よ?
あいつらさすがにバカすぎない?」
カエル「人間の動きに関しては突っ込みどころ満載だったよね。あまりにも敵も味方もノープランな計画に対して、てんやわんやしていて……あそこまで酷いことになるとは予想もしていなかったのかもしれないけれど……」
主「そのドラマの1つ1つがどうにもありきたりなものに見えてしまったのが、本作をあまり楽しめなかった理由の1つかなぁ。
ヘリコプターを盗むくだりも避けせぬ事態とはいえ、鍵の存在を忘れていたり……それってどうなの? と思う部分も多かった。
ラストでさ……なんであんなにみんなジョージの存在を簡単に受け入れているのかわからなかった。
いや、軍人はテレビで見ていたとかならわかるけれど……あんなゴリラの手のひらに乗りたいと思う一般人いる?
人命救助はわかるけれど……そういう部分の1つ1つが細かい疑問となったりして、そこまで楽しめなかった理由かなぁ」
白いゴリラの意味するものは?
カエル「今作最大の特徴の1つがジョージが白い毛並みということだよね。世界に1頭しかいない、それこそ特別なゴリラで……この設定についてはどうみた?」
主「う〜ん……やっぱり本作って白人と黒人の対比ってあるような気がしている。
主人公サイドがロック様とナオミ・ハリスと有色人種の主人公とヒロイン像でしょ? そして敵は白人である。もちろん、協力者であるラッセルなどのように味方をする白人もいるけれど、基本的にはそこまで活躍しない。
その中でもジョージの毛並みが白いというのは、やはり意味があるように思えてくる」
カエル「人種による差別問題って、かなり過敏な問題だもんね……」
主「やっぱり初代のキングコングって、黒人差別の意識の元に生まれた映画だろう。
奥地に暮らしてきたキングコングをアメリカに連れてきたら、白人女性を攫ってアメリカの象徴であるエンパイアステートビルに登って大暴れする。
つまり、黒人がアメリカを支配するかもしれない、という恐怖を描いた映画でもある。
他にも……最近では『SING』というアニメ映画があったけれど、あの作品は人種差別を暗喩していると自分は睨んでいるんだけれど、やはりゴリラが強盗団の一員であったりして、ここは黒人がそのような犯罪に手を染めやすい環境にいる、ということを示している」
ジョージの白い毛並みは白人の意味を持つ?
(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
怪獣(モンスター)映画に大切なメッセージ
カエル「まあ、ゴリラとあだ名を呼ぶことは差別的な表現かもしれないしねぇ。
本来のゴリラはおとなしくて、戦わなすぎて絶滅の危機に瀕しているとも言われているけれど……」
主「だからこそ、本作はゴリラの毛並みを白くしたのではないか?
つまり、ゴリラを黒人の象徴ではなく、白人のように描いた。
そしてロック様という、非白人のトップクラスの大スターと組ませることで、バディ映画を作ってしまった。
これが黒いゴリラだと黒人と黒人の映画に受け取られかねない。多分、一昔前の映画であれば、全く同じ話でも白人主人公と黒いゴリラにした。それを真逆にしたことが本作の最大の意義と言えるのかもしれないな」
カエル「そう考えると、ラストで2人の融和を描いたというのも大きな意味があるね。例え人間同士でも仲違いをするかもしれないけれど、ゴリラであっても同じ志を持つ人間であれば融和を果たすことができる……ということかな。
あれ? そう考えるとランペイジだからできる表現ってあるんじゃない?」
主「……確かに。
いつも語るけれど、怪獣映画やモンスター映画はその表現の中にどんなメッセージ性を込めるのか? というのが重要になってくる。ゴジラであれば反核、反戦のメッセージでしょ?
それを考えると、本作は怪獣映画、モンスター映画としての強いメッセージ性が込められた作品だったのかなぁ……鑑賞中は全く気がつかなかったけれど」
まとめ
では、最後にまとめになります!
- 何と言ってもロック様&ジョージの魅力爆発!
- 物語自体は予定調和なところもあり、退屈な場面も……
- 白い毛によってそれまでのゴリラ映画とは違うメッセージ性を宿す!
よくまとまった作品でしょう
カエル「今週オススメするならば、この映画になるのかな?
5月はあまりハリウッドアクション大作が見当たらない中で、注目を集める作品だったけれど……」
主「怪獣映画ファンにも一定の受け入れ方をする作品に仕上がっているのではないかな?
改めて思い返すと色々な発見もあったりして……B級映画テイストではあるけれど、実は結構考えられているのかもしれない。
まあ、面白い作品ですし、映画館が映える作品なのは間違いないので、ぜひとも劇場で鑑賞してください」