物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『パラサイト 半地下の家族』ネタバレ感想&評価! 大絶賛の嵐も納得も、韓国映画の苦手な部分もちらほら……

 

今回は話題騒然の韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の感想記事です!

 

 

 

先行上映で鑑賞しました

 

 

カエルくん(以下カエル)

 「先に語っておきますが、今作は『ネタバレ禁止令』が出ていますが、記事の性質上どうしても触れなければいけない部分もあります。

 だから、お話の展開には極力触れないようにしながら語っていきます」

 

「いつも通りのやり方ですね。

 なるべく真っさらな状態で見て欲しいかな」

 

カエル「色々なご意見があるでしょうが、内容の直接のネタバレ、あるいは展開をバラす意図はないとご了承ください。

 それでは……感想記事のスタートです!」

 

 

 

映画チラシ パラサイト 半地下の家族 ソン・ガンホ

 

 

作品紹介・あらすじ

 カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得するなど、世界中で高い評価を受ける韓国映画作品。

 監督は『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『オクジャ』などのポンジュノが脚本も務める。

 主演はポンジュノ作品ではタッグを組むことも多いソン・ガンホのほか、イ・ソンギョン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシクなどが脇を固めている。

 

 家族全員が失業中でピザ屋の外箱を組む内職で細々と生計を立てているキム一家は半地下の建物の中で狭苦しく生活していた。そこで長男のギウが友人の紹介により、IT企業の社長であるパク氏の娘の英語の家庭教師を行うことに。

 そしてキム一家はパク一家の中へと”パラサイト”していくことになるのだが……

 

 


第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

 

 

 

 

感想

 

では、Twitterの短評からスタートです!

 

 

ちょっと言い過ぎたかな……とりあえずは、劇場で向かうべきでしょう!

 

カエル「鑑賞直後の感情をいつも書いていますが、冷静になってからここまでいうほど大っ嫌いなのか? と考え込んでしまいました。

 というわけで『自分とは相性が悪い』程度に考えてください」

 

主「でも、今この映画を見るか迷っている人がいるのであれば、悪いことは言わないからすぐにこのページを閉じて映画を見にいきましょう!

(先行上映が見れない地域の方は、公開されてから鑑賞してください)

 間違いなく2020年の主役であり……1月にしてベスト1位が決定するかもしれません。

 少なくとも技術面においては完璧と言える。

 物語の組み方、映像の見せ方、間の使い方、演技、社会性……何をおいても超がつくほど1級品。ぶっちゃけ、今作を超える完成度の映画は2020年に登場することないのではないか? と思うほど。

 それこそ……『ROMA』とか、それクラスの映画がでないと太刀打ちできなんじゃないのかなぁ……世界中でも絶賛を集めるのも納得です」

 

カエル「あれ? 手放しで絶賛しているじゃん」

主「だから、この映画の技術面については大絶賛なの!

 でも、どうしても受け入れがたいものがある。ただしそれは……自分の趣味嗜好の問題だから、そんなものは気にしなくてもいい。この映画の価値は自分ごときが何を言っても、絶対に揺らぐことはないから。

 ……まあ、自分のいうことで評価が揺らぐってどういうことなんだ? って気もするけれどさ。

 それはどうしてもネタバレになってしまうので、後々に語っていきます

 

殺人の追憶(字幕版)

 

”どんでん返し”を煽りすぎ? な映画

 

今作は『ネタバレ禁止』という監督のコメントなどが話題を集めているね

 

……なんか、それが一人歩きしている印象なんだよねぇ

 

カエル「もちろん、サスペンスとしても一級品の内容となっていますし、なるべく真っさらな状態で見た方が楽しめるとは思います。

 だけれど、そのせいで”最後にすんごい展開が待っているんだ!”という期待を込みで行くと、ちょっと違うというか……」

主「みんなハイキックを期待しすぎなんだよ

 

カエル「……はい、もっとわかりやすくね」

主「なんかさ、1発逆転の凄技を見に行こうとしている印象なのね。

 ピーター・アーツのハイキックとか、マイティ・モーのサモワンフックとかさ、そんなわかりやすくて、一気に試合を決める必殺技を見にいっているような。

 でも、この作品は違うんですよ。

 試合開始からジャブとか打って、間合いをしっかりとコントロールして、相手に攻撃させて体力を消費しつつ全てガードして、時に寝技をかけて自分の体力を温存しつつ、少し観客を沸かせるパフォーマンスとトリッキーなことをして、でも最後はきっちりと極めて結果的に完勝……そんなタイプの映画」

 

うん、もうちょっとわかりやすく喩えてよ

 

つまりさ、相手(観客)をコントロールして、きっちりと勝つタイプ

 

主「全部といえば全部が伏線。

 演出、セリフ、演技、展開……その全てが考え抜かれている。自分レベルでもはっきりわかる、この映画は全ての場面で意図があるカットを、しかもわかりやすく描いている。

 もしかしたら、映像演出を考える上ではすごくいいお手本なのかもしれない。

 特に開始10分くらいかなぁ……ここは本当に無駄が1つもない。

 あまりの巧さにびっくりするほどだった。

 それらが積み重なった先での展開だから、注目すべきはそこじゃないかなぁ?

 

 

 

 

作品の見どころについて

 

本作の巧さ① 空間の見せ方

 

あんまりネタバレにならない範囲で、どういうところが上手いの?

 

まずは舞台となる家の空間の使い方、見せ方です

 

カエル「実は、今回この映画を見ながら連想した作品がこちらです」

 

未来のミライ
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細田守監督の『未来のミライ』ですね

 

主「物語としての評判は賛否両論だけれど、細田守一流の演出がなされている。の中でも、舞台となる家の空間配置能力と、その見せ方が圧巻の巧さだった。

 ただし、それが”映像を見せるための家”になってしまっていて、子育てをするのに向いていないことも批判のポイントだったかもしれない。

 今作もそれは同じで、ファーストカットからバリバリにうまかった」

 

カエル「その建物の見せ方であったり、なぜこの位置関係を使っているのか? というのが、バリバリに伝わってくるもんね」

主「カットの全てに意味があるって、こういうことなんだなぁ……とよくわかる。

 半地下の家の窓の見せ方、干してある靴下……日本でもそうだけれど”山の手”にある上流階級の家、上がる階段、降る坂道、全てに意味がある。

 また顔のアップ、あるいは2人で会話する様子、その場に何人いるのか、なぜこの画面でその人がカメラのフレームに出たり入ったりするのか……それが全て意味が伝わるようにできている。

 ちょっと主張しすぎなくらい、あざといくらいにね。

 それくらい途轍もない演出能力を見せ付けています

 

 

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この映像だけでも語りかけてくるものが多い……

(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 

本作の巧さ② 娯楽性優先の物語

 

次に上手いのが”娯楽性優先の物語”です!

 

今作はエンタメ作品として優れているんだ

 

カエル「こういうツイートも、つい最近しているね」

 

 

主「自分はインド映画と韓国映画は”エンタメ性優先の物語””社会批評性を内包した物語”という点において共通するものがあると思っている。

 例えば、日本やアメリカ、ヨーロッパだと今作のようなテーマの作品は、もっと社会派の一面を強調するのではないだろうか?

 でも、今作はエンタメ映画として完成されている。

 何よりも見ていて”面白い”んですよ。

 だからこそ多くの人に響くし、届くメッセージ性を内包している」

 

あとは、この日は同じく貧困を扱ったケン・ローチ監督の『家族を想うとき』を見たのも大きかったかもね

 

映画チラシ『家族を想うとき』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚 ケン・ローチ

 

主「2作とも現代の貧困を描いているけれど、イギリスなどのヨーロッパ映画である『家族を想うとき』はリアルテイストに描くから、ガツンときつく染みるんだよね。一方で今作は貧困とは言っても、どこか物語感が強い印象を受ける。

 やりたいこととやり方が違うから、別にいいんですが。

 この2作を比べるとヨーロッパの描き方と、韓国の描き方……どちらも巨匠だけれどその演出術の違いがはっきりわかって面白いね

 

カエル「ここで日本代表として是枝監督を入れると、さらに面白いかも……

 というのは別として、本題に戻りましょう

 それでいうと、この映画は映画に大切なものの多くが入っているのかもね。

 キャラクターの魅力、物語のわかりやすさ、 サスペンス、意外性、コメディ、社会性……とかさ 。

 韓国社会の問題を扱っているのに、全くお国柄とかを感じさせない作品でもあるし。

 日本人だからといって、理解できないとか、人ごとってことは一切なくて……」

主「……そこが個人的には気になった部分でもあるんだけれどね」

 

 

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この家の使い方なども見事

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本作の巧さ③ 巧さを感じさせすぎないように”外す”見せかた

 

そして何よりも”巧すぎない”というのが、本作のすごさではないでしょうか?

 

巧さが気になるんだだけれど、鼻につかないんだよなぁ

 

カエル「うちではよくいうんだけれど”上手すぎる”って話もあるんだよねぇ。

 これは萩本欽一が『舞台の稽古はやりすぎない』と語っているのと同じ理由であって、上手さを見せれば見せるほど、その技術を見せ付けるような動きになってしまったり、あるいは裏で頑張っている姿を連想させてしまい、感心させてしまい笑えなくなってしまう、という理論です」

主「これってすごく怖くてさ、頑張ればがんばるほど、作り込めば作り込むほど、その努力が出てきてしまう。

 それが観客ののめり込みを阻害することだってあるんだ。

 だけれど、本作はそれだけうまい画面を構成しておきながら、そんなことを感じさせない。

 それは、この映画はうまく”外す”んだよ」

 

カエル「えーっと……野球で例えると、投げる前に牽制を入れたり、ロージンバックに触れたり、あるいはタイムを入れたりして一息入れる、ということかなぁ?」

主「そんな感じ。

 グッとのめり込みすぎるかと思いきや、きちんとコメディを入れて間を外す。

 そして、また巧みな画面や物語を語り始める……いや、これは圧巻です。

 正直、参ったというレベル。

 『上手すぎる!』と不満を出そうかと思ったけれど、こうやってちゃんと外されると、それも言えなくなるんだよ……そのあたりのコントロールも見事。

 パーフェクトな映画でしょう、絶対見るべき映画です

 

カエル「……これだけ言っているのに、これから不満大会が始まるんだねぇ

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

本作の違和感

 

韓国映画のエンタメ性

 

では、ここからは致命的な部分は避けつつ、ある程度ネタバレも込みで語っていきます!

 

韓国映画のエンタメ性って、どこにあるんだろうね? ってことかな

 

カエル「先ほど語った”インド映画と韓国映画は似ている”って話にも繋がるの?」

主「まあ、そうかなぁ。

 どちらも”エンタメ重視の物語”というのは変わらない。ぶっちゃけて言えば、話の展開や整合性に無理があるだろう、という、いわゆるご都合主義な映画もたくさんある。

 というか、今作も色々と無理は多いんだけれど、力技と演出力でカバーしていくんだよね。

 それでも物語としての面白さを追求していく……その姿勢は間違いじゃないし、むしろ自分は好感が持てる。

 じゃあ、どうやってそのエンタメ性を維持しているのか? という部分だね

 

とりあえず、以下のようになるのかなぁ

 

  • インド映画→歌と踊り、派手なアクションで観客を引き込む
  • 韓国映画→予想外の展開と過激なアクション、バイオレンスで観客を引き込む

 

ここで語っているのは、かなり乱暴な話です

 

主「もちろん、上記のような演出を施さずにエンタメ性を確保している映画もたくさんあります。あくまでもそういう印象、あるいは傾向にあるのではないか? という程度の話です。

 誤解を恐れずに言えば……インド映画は王道、韓国映画は邪道で攻める、ということができるのかな?」

 

 

 

で、このTweetに繋がるのね

 

 

やっぱり、韓国映画は苦手だなぁ……と思ったよ

 

主「アニメ映画とかインド映画って、もちろん作品にもよるけれど過激なバイオレンス描写は……0ではないよ、でもそんなに多くない。その中でエンタメ性重視の物語を作ってくれる。

 一方で韓国映画ってバイオレンス描写が強い作品が多くて、それが苦手

カエル「それこそホラー映画もそうだし、園子温とかも嫌いだもんねぇ」

 

主「で、この映画もバイオレンスな描写が始まるんですよ。

 それが気持ち悪かったし、その展開にしなくてもいいんじゃない? って思った。

 それで観客を釣ろうとするのは、自分は苦手なんですよ。気持ち悪さを出す方向ではなく、美しさを出す方向のバイオレンスやホラー演出ならばいいんだけれどね」

  

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(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 

 

終盤の展開への疑問

 

ちょっと濁しながら語っていきます

 

終盤の展開にかなりの疑問があるんよ

 

カエル「えっと、中盤くらいの展開が一気に回収されていくところだよね」

主「そこまでの話の組み方もうまかったし、匂いを軸に物語を作っていったのも良かった。テーマ性もはっきりと伝わってくるし、あの展開にした意味もわかる」

 

 だけれど……なんでそうなるのか、そこがわからない

 

カエル「それは……社会情勢を踏まえて上流階級への反感とかさ」

主「いや、だってキム一家とパク一家って対立関係にないじゃん。

 むしろキム一家がパク一家にパラサイトしているわけでさ。

 しかも関係は色々あったにしろ、良好だった。パク一家はキムさんたちのことは、比較的好きだった。

 じゃあ、なんでああいうことになるのよ?

 自分たちだってパク一家を散々コケにしてきたでしょ?

『人のいい家族だ〜』とか言ってさ、あれだけ色々好き勝手やってきて、なんで最後そうなるのよ」

 

その不条理感を出すのが目的だったのかも……

 

それならこの映画のテーマ性がおかしくなるじゃん

 

主「この映画のテーマって、要は格差社会なわけでしょ?

 だけれどあの展開だったら、明確な理由もないために『下級階級は嫉妬に狂っているだけだ』とも言える。経済状況は大きく違うけれど、家族を思いやり愛しているのはどちらも一緒。本質的にはそこまで変わらないよ、どちらも。

 戦う相手があまりにも違いすぎる

 

その辺りが韓国映画の合わない部分に思えてくるんだよ

 

主「あのオチをやりたいのもわかる。

 そして観客を引き込むためにバイオレンス描写を使うのも韓国映画らしいな、と思う。そのせいで、物語としての整合性というか、そういうものは壊れて雑味を生じてしまったように感じた。

 さらに言えば、ああいう展開じゃないと本当にダメだったわけ?

 いや、あのオチは本当に上手いと思います。

 思うけれど、だからこそ、その間はもっと別の形でやって欲しかった。

 これじゃ経済格差間の分断を煽るだけじゃないのかな? って。

 だったら最後にさ、パク・ダヘをうまく使って希望を見せるのも手だと思う。あれじゃ……あまりにもあの家族が可哀想だ」

 

カエル「……ダヘちゃんが可愛くてめっちゃのめり込んだからこその感想なんじゃないの?」

 

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ダヘちゃんがヒロインとしてもいいキャラクターであり、可愛すぎるからこの疑問?

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 成功者は恨まれる対象なのか?

 

う〜ん……なかなか過激な話になってくるのかも……

 

『ジョーカー』などでも思ったけれど、成功者って恨まれる対象なの?

 

ジョーカー(吹替版)

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カエル「それだけ社会状況の格差が激しいということでもあるよね……」

主「もちろん、その怒りがあるのはわかる。

 富裕層と貧困層は対立するもの、当然だ。でも現代の成功者って王侯貴族ってわけではないよね。きっちりと勉強して、努力して、リスクも背負って成功している。

 そりゃ、運だって当然あるし頑張っても頑張れない人がいるのもわかる。だから富の再分配とか、税率の話になるのもわかる。それは理解も納得もしますよ。

 だけれど、成功者って人生を失敗した人に傷つけられ、家庭を破壊されなければいけないような存在なんでしょうか?

 

カエル「そこを描いたからこそ、この映画も高い社会性をもったんじゃないかな?」

主「わかるよ、わかる。

 フィクションとしては正統、現代の御伽噺としても全然あり、物語のあるべき形とも言えるだろう。

 でもさ、この映画からは”格差間差別”を解消する可能性を感じたんだよ。

 だから”幸せなロミオとジュリエット”でも良かったんじゃなかなって。

 一流の悲劇よりも三流の喜劇の方が……自分としては好きだし、手放しで称賛した。それでも残るものを見せて欲しかったな」

 

 

 

 

まとめ

 

というわけで、この記事のまとめです!

 

  • 世界中が絶賛も納得! 圧巻の映画!
  • 家の造りや見せ方など、映像的演出も絶賛!
  • エンタメに凝っており社会性も抜群!
  • ただし、一部描写には疑問も……

 

まあ、後半は自分の個人的な趣味嗜好なので気にしないでください

 

 

カエル「ちょっと煽り過ぎな感はあるけれど、こういう映画にある程度慣れていたら、そこまで気にならないのかもしれません。

 ただ、子供とかにはオススメしないかな……バイオレンス描写が辛い人は、ちょっと覚悟した方がいいかも?」

主「いい作品だと思うし、自分も高く評価すると思います。

 ただ”好き嫌い””上手い下手””意義のある無し”とかは、また違うので……ってところかな」

 

 

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