大人気シリーズの劇場版作品が公開です!
シャフトもなんだかんだで年1くらいで劇場公開しているよなぁ
カエルくん(以下カエル)
「賛否が別れやすい会社ですが、うちは結構好きな作品が多く、注目している会社でもあります!」
主
「人を選ぶのはわかるけれど、あのエッジが効いた演出ができるアニメ会社も決して多くなしな」
カエル「特に前回のアニメ化した『傷物語』はちょっと他に類がない作品だったしね」
主「あれはあれでいろいろ思ったけれど、面白かったよ。
流石にあのレベルは難しいだろうけれど、今回も期待したいね。
というわけで記事を始めましょう!」
感想
ではTwitterの短評からスタートです!
面白くはあるけれど、これは長いよなぁ
カエル「本作は全編で約150分近くある、近年のアニメ映画でも類を見ない長丁場だからね。
普通はアニメ映画って子供向けが多かったり、あとは単純に上映時間が伸びるとその分作画などの手間がかかるから、ここまで長くはならないんだけれどね。
とか色々考えていたら、そう言えば最近も『フリクリ』があったかぁ」
主「つまりテレビシリーズなど用の作品を劇場で上映する場合には、長くなることもあるって話だよね。
まあ流石に劇場映画で2時間40分を作ったハルヒは特別だったということで、あんな作品がコロコロ生まれても観客側も困るのですが!」
カエル「この手の作品って編集点というか、物語の切れ目がはっきりとわかってしまって萎えるものだけれど、そこいら辺は結構カバーされていたね」
主「もともと1つの物語をいくつかに分けて放送していた形態というのもあるだろうけえどね。
劇場で一気見しても特に問題がないどころか、むしろ元々劇場上映を前提に作られていたのでは? と思うほどだった。
変なCM前のアイキャッチもないし、001などのシーンの切り替わりはあるものの、それは物語シリーズの伝統だからあまり気にならない。
まあ、強いて言えばいくつか『ここで来週に繋がるんだな』とわかる決めポイントがあったけれど、それは別に気になるポイントでもないしね」
本作の長所① 色々なキャラが大集合
今回はあまりネタバレしない方向で語っていきます
まずは長所から挙げていこうか
カエル「ほぼ主要キャラクターは登場していたんじゃないかなぁ?
それこそ劇場上映にふさわしい、ある種のオールスター感もあったよね」
主「もちろん印象的なキャラクターも非常に多い作品だから、全てのキャラクターが、とまでは言わないけれど、でもメインどころや、人気のある女子キャラクターの多くは出演していた。
一部キャラクターの出番の多い少ないなどはあるけれど、これだけ出ていれば満足度も高いんじゃないかな?
特に物語シリーズは一部のキャラクターに焦点を当てるお話なので、これだけオールスターの物語は珍しいのでは?」
カエル「しかも、今回はとある事情によって各キャラクターの意外な姿もたくさん見ることができます!」
主「特に八九寺あたりはすごくよかったなぁ……登場した途端に一気に引き込まれていった。加藤英美里もいつもとは違う演技をしていて、最初に聞いたときは誰だかわからなかったほどだし。
他にも一部キャラクターはその魅力を発揮することができなかったけれど、でも大筋でどのキャラクターのファンでも納得してもらえる作品に仕上がっているんじゃないかな」
本作の長所② 圧倒的にキャラ萌え重視!
これは1にも繋がるけれど、キャラクターの魅力がいつも以上に爆発しています!
なにせPG12ですから……逆に、よくR15にならなかった
カエル「物語シリーズと言えば、エロティックな表現も非常に多いです!
あとはグロ描写が多いイメージがある方もいるかもしれませんが、本作はそのような描写は抑えられているので、ご安心ください」
主「逆にこれは劇場の方がいいかもね。ほとんどいないとは思うけれど、あのお色気描写を家族で見てしまった日には、食卓が凍ること間違いなしですよ」
カエル「……その一家は物語シリーズを見たことないのかなぁ?」
主「今作は先ほど述べたように非常に長いけれど、それをカバーするような工夫として……まあこの上映形式を考えると劇場用にするために計算したわけではないだろうけれど、結構お色気などの描写を多くしている。
それによって飽きることが少ないようにしているし、自分の好きなキャラクターはいつ登場するのかなぁ? と胸と股間をドキドキさせながら見ることもできるね」
カエル「……うちって下ネタはあまり言わないようにしているはずなんだけれどなぁ」
本作の長所③ 挑戦的な演出手段
シャフトと物語シリーズというと、やはりここに注目する人も多いのでは?
本作もエッジの尖った演出がいっぱい!
カエル「もう演出の尖り具合に関しては言葉にしても通じないと思うので、是非とも劇場やテレビアニメになった際に鑑賞して欲しいね」
主「紙芝居になったり、突如作画をデフォルメにしたりと、1つ1つは特別珍しいものでないにしても、多くのシーンでそういったものを突如として入れることで、全体のバランスがとても面白い作品に仕上がっていたな」
カエル「今回もイヌカレー空間を使用していたり、あの独特な映像感覚で酩酊感が味わえるなどの、物語シリーズ独特の魅力に溢れています」
主「特に先ほどから挙げているようにとても長い作品だから、その演出の切れ味などが重要になってくる。
なるべく飽きないようにキャラクターの魅力と演出の力でこの物語を魅せようとすごく工夫されているのは伝わってきた」
本作の欠点について
本作の欠点① 長い!!
続いて欠点ですが……まあ、これはどうしてもね
あまりにも長すぎて疲れるわ!
カエル「流石に150分近い物語を休憩なしで見るとなると相当疲れるものがあるよねぇ。
隣の席に座った人は途中で2回トイレにいったし、それもよくわかるというか……僕も覚悟していったから飲み物は最小限にして、上映前にトイレにいっておいたけれど、何も知らないで観ていたらと思うと震え上がるよ」
主「特に物語シリーズの特徴としてあるのが、会話がメインで進んでいく物語ということもある。
元々が西尾維新の小説を原作にしているから当然と言えば当然だけれど、神谷浩史の独特の歯切れのいい言葉使いと、各キャラクターとの掛け合いが高い人気を読んだ作品だ。
だけれど、それは30分のテレビシリーズや小説だからこそ楽しめるものであり、流石に映画で一気に観させられると結構辛いものがあるというか……
正直、西尾維新の小説ですら、時々物語が動かなすぎて退屈に感じる時もあるのに……」
カエル「まぁまぁ……その独特の言語感覚が話題を呼んで人気になった作家だし、ほぼ趣味で書いているということだから、その作家性が全開になるのもね?」
主「その会話自体もシリーズを通して観ていると色々と腑に落ちるのかもしれないけれど……いや、自分も一応全部見ているけれど、もう長いシリーズだから初期以外はところどころ忘れていて、あのキャラクターって誰だっけ? みたいなこともある。
そう言えばこいつってなんでこんな状況になったんだっけ? とかね。
そのレベルの人間にはついていくのも大変だったから……残念ながら完全初見さんには全くオススメしません」
カエル「初見で見にいくって相当なチャレンジャーだよねぇ」
本作の欠点② 物語の展開について
続いての欠点②は物語の展開に関するものです
単純に展開が遅すぎるし、アニメとしては退屈になるんだよなぁ
カエル「今作もある事件が起きてそれを解決する、という単純な物語になっていますが、その解決への過程が先ほども述べたように会話がメインになるので、どうしても物語としてのメリハリがつけづらいというか……」
主「この辺りは他のシリーズでもいいから、劇場版のアニメをよく見ている人ならわかると思うけれど、普通は上映開始15分以内くらいに大きな事件やアクションがあって、それで観客を引き込むんだよね。
そして一定の感覚でさらに見所となるシーンをぶち込んでいく
……でも、残念ながら本作はそうならない」
カエル「まあ、これも原作の縛りと共に元々テレビアニメをイメージしているというのもあるんだろうけれど……」
主「それにしても退屈な描写があまりにも多すぎる印象だった。
もちろん、先ほどから語るようにそれをカバーするためにキャラクターのお色気シーンや面白い掛け合いもある。演出も尖っている。
でもそれではやっぱり限界があるわけで……よほどの神谷浩史のファンでもない限りは、どこかしらで飽きはきてしまうんじゃないかな?」
カエル「この2つの欠点は物語シリーズ全体にも言えることかもなぁ……どうしても原作の面白さに引っ張られてしまい、面白い話とつまらない話がはっきりしてしまうというか」
主「今回も面白いは面白いけれど、物語シリーズ全体でも1番というほどではないんだよねぇ……つまらないというわけでもないんだけれど、良くも悪くも評価はしづらい作品かなぁ」
シリーズの時間と観客の時間
では、長所と欠点を踏まえた上で感想を語りましょうか
……なんかアララギくんの気持ちもわかるんだよ
カエル「今回は高校を卒業して間もない時期のお話となっており、アララギくん(漢字変換が難しいのでカタカナ表記させていただきます)は卒業して進路も決まっていない(大学の合否発表前)という状況の物語になっています」
主「本作を見終わった後に、ちょっと過ぎ去った時間について言及するような描写があるんだけれど……元々物語シリーズが始まった時は2006年に連載が開始されて、その当時から西尾維新は『戯言シリーズ』が大ヒットして人気ラノベ作家だったんだよね。
もちろん自分も好きで読んでいたんだけれど……そこからアニメが始まったのが2009年だから、今から10年弱前の事になる」
カエル「そう考えると長寿作品だよね。
数年に1度にテレビ放送されて、その度に根強い人気を発揮していてさ」
主「本作が面白いのはさ、決してサザエさん空間のような、作中での時間が止まっている作品ではないんだよな。
時系列は簡単に入れ替わりながらも、同じ時間は2度と存在しない……基本的にはね。
そしてそのアララギくんが高校を卒業する……その成長と、それに伴う爽やかな喪失感もある作品に仕上がっているんだよ」
カエル「卒業式の後に迎える、あの独特の感覚だね。作中で語られている高校卒業は特別っていう感覚もなんとなくわかるかなぁ」
主「これはちょっとメタ的な見方だけれど……物語シリーズはこれ以降も実は刊行が続いているから、本作でアニメシリーズが終了ではないと思うけれど、でもここで約10年かけて卒業したアララギくんの表情などが、こちらにも爽やかに伝わってきて。
なんだかよくわからないけれど、自分も何かを卒業したような気持ちになって、ちょっとアンニュイになった。
今作は時間や後悔をテーマにしており、それが観客とも共有する瞬間が確かにあって……
長いし、会話ばかりで退屈な部分もあるけれど、それでも決して非難されるような駄作ではないと感じたかなぁ」
まとめ
ではこの記事のまとめです!
- 物語シリーズらしさに溢れた作品!
- オールスターのようなキャラクターの魅力や演出が面白い!
- ただし長い! そして会話劇に疲れていく!
- 物語シリーズと共に歩んできた時間を思い返し、アンニュイな感情に…
ファンであれば劇場で鑑賞するのもアリではないでしょうか?
カエル「テレビシリーズでも放送されると聞くとちょっと億劫になる気持ちもわかるし、特別劇場向きとも思えないけれど……でもこんな機会もそんなにないしね」
主「もちろんファン向け映画ですが、これはこれで面白い作品に仕上がっています。
なるべく水などを飲むのを控えて、観る直前にはトイレに行って鑑賞してみてはどうでしょうか?」