物語る亀

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物語愛好者の雑文

『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジ LOVE キングダム』ネタバレ感想&評価! 映画のうたプリはアイドルもので見たかったものを見せてくれた!

 

今回は男性アイドルアニメの代表的な存在の1つであるうたプリの映画について語っていきましょう!

 

 

 

 

テレビシリーズは見た事ないんだよなぁ

 

 

カエルくん(以下カエル)

「もちろん楽曲は有名なので知っているし、なんなら何回かカラオケで歌った事があるけれど、物語自体は見た事ないんだね」

 

 

「ただ、それってアイドルアニメとしてすごい事だと思うんだよね。

 普通アニソンって”アニメを見て作品を好きになる→主題歌や挿入歌も好きになる”という形が多いと思うのよ。

 だけれど、見た事がない人でも楽曲を……しかも有名バンドのタイアップとかではなく、そのアニメのオリジナルユニットの歌うアニソンを知っているって、相当な知名度や人気がないと無理だよ

 

カエル「それこそ『エヴァは見たことなくても残酷な天使のテーゼは歌える』ってレベルの話かもね」

主「しかも、うたプリの場合はその音楽やダンスが1番の魅力であるわけじゃない。

 その魅力が120パーセントしっかりと発揮されておりクオリティも高く、さらに多くの人に伝わるように演出や宣伝も工夫されているという証拠であるわけで……

 この辺りは他の男性アイドルアニメと比べても、異例の人気とすら言えるんじゃないの?」

 

カエル「もちろんそれぞれの作品にはそれぞれの魅力があるとは思いますが、カラオケでも人気楽曲ランキング上位に入るなど、少なくとも音楽面では誰もが認める作品でしょう」

主「では、そんな作品の劇場版作品に対する感想記事を始めましょう!」

 

 

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作品紹介

 

 2010年に発売された人気女性向け恋愛アドベンチャーゲームを原作として、テレビアニメも4期にわたって放送された『うたの☆プリンスさま♩』シリーズ初となる劇場版作品。

 『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレジェンドスター』で監督を務めた古田丈司が総監督を務め、2019年でも注目のメガヒット作品である『名探偵コナン 紺青の拳』の監督である永岡智佳が監督を担当する。

 キャストはテレビシリーズでもおなじみの寺島拓篤、鈴村健一、谷山紀章、宮野真守、諏訪部順一などの演技力はもちろん、歌唱力やルックスでも高く注目を集める男性声優陣が揃う超豪華な声の共演が楽しめる。

 

 


劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム 予告編 第2弾

 

 

 

 

感想

 

それでは、いつものようにTwitterの短評からスタートです!

 

 

これはとてつもないアニメ映画ですよ!

 

 

カエル「ほぼ全編コンサート会場でのライブをそのまま上映しているということで、物語を楽しむような映画ではありません。その意味では他の作品とあまりにも違うから単純に比較はできないけれど、とても面白い作品だったね」

主「正直、うたプリファンは羨ましいなぁ……と思ったよ。

 だってさ、アイドルアニメにおいて『ライブシーンをずっと見ていたい!』というのは、みんなが思うことではないじゃないですか。自分なんかはアイマスとか、あるいはマクロスFのシェリルの歌唱シーンを見た時に、手間暇考えると不可能とわかりながらも本気でそう思ってましたよ。

 それをこれほどのクオリティでやり遂げてしまったこと、これはもう偉業ですよ!

 

カエル「うちはうたプリは初心者だけれど、それでもかっこいい音楽とダンスに惚れ惚れとしてしまったもんね」

主「ライブシーンはCGが使われていて、その動きなどは少し違和感があったのも事実。

 だけれど、そんなこと関係ないんだ! というように多くの演出などの工夫が凝らされており、見所が多かった。

 また、これはネタバレにはならないと思うけれど……というか、本作のネタバレってなんだ? って話なんだけれど、エンドクレジットで”セットリスト”という名目で使われた楽曲が紹介されており、その歌手欄に(CV〇〇)といような表記もなかった。

 これは観客を実際にライブの世界へ案内しよう! という意図そのものであり、その試みは120パーセント成功している

 

カエル「お客さんの中にはすっごく泣いている人もいて……その気持ちもわかるなぁ。

 それだけ愛に溢れた作品でもあったもんね」

 

 

永岡監督について

 

さて、永岡監督作品は2作目ですがどのような印象を抱いた?

 

やっぱり、ファンサービス精神が非常に強い人だな、とは感じた

 

カエル「『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレジェンドスター』では副監督や演出、絵コンテなどを担当されており、中心的な役割を担われていたようです」

主「コナンの時も感じたけれど、キャラクターを前面に押し出してファンに対してサービスする精神が強い監督だな、という印象だ。

 もちろん、この2作がそのような意図が強い作品であることは間違いないけれど、その作家性もあまり見えてこないというのが実情かなぁ」

 

カエル「そこまで強くファンサービスをする、ファンを意識するというのが最大に作家性なんじゃない?」

主「結局、今のところはそういう話になるのかもしれない。

 ただコナンの時も音楽演出なども冴えていたし、キャラクターの魅せ方や音楽の合わせ方に関しては高く評価される監督なのかもしれないね。

 この2作品ともポイントをしっかりと押さえているようにも感じられたし、それでいてエンタメとして多くの人に届く作品に仕上がっていることからも、今後も注目していきたい監督の1人であることは間違いないな」

 

 

 

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一方で欠点もはっきりと……

 

えっと……それでも欠点はあるんだ

 

演出面が限られるんだよなぁ

 

カエル「音楽シーンは特にいいけれど、約90分弱音楽シーンだけで貫き通すことはできないから、トークパートもちょいちょい挟まれているんだよね」

主「そのトークパートの演出がどうしても映像としてつまらないものになってしまう。

 多くがカメラの角度を変えるだけでキャラクターが話しているだけで……もちろん、そのキャラクターたちに愛がある人ならばそれだけで伝わるのはわかる。

 全員に見せ場を作ろうとしていたし、この作品に関してはそこは欠点ではない、という意見も多くあるだろう。

 ただ、うたプリ初心者からすると少し退屈なものに見えてしまった感もある。それは物語映画のような様々な場所を映すこともできず、トークパートも含めて”現実のライブを”という意識が強すぎたから、アニメ的な誇張した映像表現もなかなかできないために生まれてしまったものだろう。

 トークパートの長さもあり、そこが大きな欠点だったと思う」

 

カエル「トークパートは手書きにしたりして”いつものうたプリ”を見せようという気概を感じたんだけれどね」

主「ライブパートも動きのカクカク感は気になったけれど、映像と音楽と演出が一致しており高い満足度があった。

 全体としては文句が少ないだけに、この”ライブをしないパート”をいかに盛り上げるのか、というのが大きな課題になってきそうだね

 

 

 

アイドルアニメに対する考察

 

物語がないことが1つの物語

 

本作は物語性が薄い……というか、物語がないけれど、そこに関しては?

 

アイドルを追いかけるって特別な意味があるんだよ

 

主「うちは男性アイドルアニメはあまり得意ではないけれど、女性アイドルキャラクターのアニメやゲームは好きでよくプレイしているんですよ。

 端的に言ってしまえばアイマスシリーズなんですが。

 初代アイマスはゲームは1つくらいですがプレイしており、アニメも視聴して……デレマスが1番はまっているし、ミリマスも楽曲の良さで惹かれていて、シャニマスも最近プレイしていた。

 SideMに関してはプレイはしていないけれど、興味はあるし、やっぱり好きなんですよ」

 

カエル「……アイマスシリーズを知らないと何が何だかわからない説明でしょうね…」

主「もちろん、アニメやゲームのキャラクターは成長しない。

 声優さんは色々と……例えば歳を重ねたり、より大きな舞台に立って成長したり、あるいは結婚するということはあるけれど、キャラクターはそれがない。

 アイドルというのは1つの物語だと思っている。

 そのアイドルがデビューしからビックになっていく姿を応援するということが娯楽性のあるコンテンツである。

 では、成長しないキャラクターにその物語は宿らないのだろうか?

 答えはNO。

 アニメやゲームのキャラクターでも明確に成長するんですよ

 

 

 

アニメやゲームならではのキャラクターの成長 

 

ハァ……その部分ももう少し詳しくお願いします

 

ちょっとうたプリとは離れる意見になるけれどね

 

主「例えば……自分はアイマス好きだから例えがアイマス、特にデレマスになるけれど、キャラクター総選挙ってものがあって、そこで1位になるキャラクターにはドラマがある。今年もメインキャラクターの1人である本田未央がシンデレラガール(総選挙1位)を取って話題になった」

カエル「AKB総選挙みたいにファンの中では盛り上がって、Twitterのトレンド1位とかになったりしたよね」

 

主「確かにゲームやアニメキャラクター自体は成長しない。

 だけれどコンテンツ自体が成長したり、公式が生み出す物語やキャラクター相関はもちろん、同人誌などを含む二次創作分野などもあってキャラクターは少しずつ変化し、成長していき、そのドラマを観客は楽しむんだ。

 その楽しみ方を公式とファンが共有したししながら、新たな設定などが付け加えられ、ファンの中でお気に入りの仕草や性格が増していく」

 

カエル「カップリングなんて言ってファンの間では揉めたりするけれど、それもキャラクターの変化の1つではあるのかな」

主「この映画自体には物語性はないけれど、ここまで追いかけてきたファンにとってはうたプリというシリーズそのものを総括する大きな物語となっている。

 だから”作品としての物語性がない”とはいっているけれど、”うたプリとしての物語性”が如実に表れている。

 こういう方法での映画もあるんだなぁ……と感心したよ」

 

 

近年の映画館の変化〜女性向けアイドルコンテンツの今〜

 

近年、映画館は”映画を観る場所”から”ライブ感を楽しむ場所”に変化しつつあります

 

もちろん、主流派黙って映画を観るというものだけれど、それだけではない

 

カエル「今作もそうですが応援上映などの発声可能上映はすっかりおなじみとなり『ボヘミアン・ラプソディ』などはその効果もあって100億円を超える大ヒットを記録しました。

 また映画館でライブ映像を楽しんだり、お笑い芸人のコントを生中継で楽しむというような、それこそ”ライブ性”を楽しむ場所にもなっています」

 

主「映画の弱さってこの”ライブ感”だった思う。

 当然ながらあらかじめ撮影された映像を楽しんでいる時、そこには観客の存在はない。画面の奥とこちら側では流れている時間も何もかも違うわけだ。

 近年はゲームが顕著なんだけれど、映画のような派手で壮大な作品も増えてきて、しかもプレイヤーが主人公を操作できる……つまり”物語を観る→物語を体感する”という点において、映画のライブ感不足が少しずつ感じられるようになってきた。

 そこで日本のアニメ分野が近年力を入れるのが”ライブ感のあるアイドルアニメ”なのではないか

 

カエル「体験する映画を提供する場としての映画館ってことだね」

主「もちろん多くの作品が応援上映を採用しているけれど、応援することが前提で作られた作品は……キンプリと、昨年公開された『少年ハリウッド』など少数な印象だ。

 一方でアイドルものであれば全て応援上映向きということではなくて、例えば2019年公開の映画だと『ラブライブ! サンシャイン‼︎』の映画があったけれど、あれは基本としてドラマがある作品であった。

 

カエル「そういえば応援上映が話題になるアイドルアニメって女性向けが多い印象かなぁ……キンプリとかもそうだし」

主「この形式自体は”多くの人と共有する”という劇場という箱に向いていることもあり、これからも増えるのではないだろうか?」

 

 

ガラパゴス化する日本

 

この変化って日本独特のものだよね?

 

少なくとも海外のアニメではディズニーのようなミュージカルはよくあるけれど、ライブは少ない印象がある

 

カエル「なんで日本だけこんな独特の進化をしているんだろう?」

主「やっぱりアイドル大好き民族だからじゃない?

 自分は注目し知恵る2019年春のアニメで『キャロル&チューズデイ』があるけれど、アニメ至上屈指と言ってもいい音楽と演奏シーンがありながらも、そこまで話題になっていないような印象がある。もちろん、それはライブシーン以外にも問題があるのかもしれないけれど、1つ大きいのは日本のオタクが注目するような”アイドル的な可愛らしさのあるorキャッチーな楽曲の作品ではない”ということなのかもしれない。

 萌え文化ってアニメオタク特有のものとされがちだけれど、可愛いもの大好き文化は日本全体のものなんだろう

 

カエル「日本のアニメの大きなウリだけれど、ガラパゴス化は進んでいるもんね。

 新千歳空港国際アニメーション映画祭でも2018年に長編コンペで『少年ハリウッド』が日本代表で上映されたけれど、ほぼ満員のだったけれど外国人のお客さんがいないことにびっくりしたなぁ…

 他の長編コンペ作品ではいっぱい見かけたのに…」

 

主「そういった場のコンペに興味があるような人から見たら、日本のアニメやこの手の作品はあまり好みではないのかもしれない。

 それは日本国内でもそうで……例えば『プロメア』とか『海獣の子供』に比べたら、今作を観る層は偏っているかもしれない。

 だけれど、他国に比べて日本は”ライブ感”を大切にしようとする作品は増えているし、音楽と映像のグルーブなどは日本のアニメ作品を語る際には絶対に欠かせない。

 2019年ではアイドルアニメでなくても『響け! ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』が吹奏楽演奏シーンで高く評価され、他にも前述の『プロメア』や『海獣の子供』は音楽も重要な意味を示していた。

 また『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン! 失われたひろし』でも懐かしい音楽を流すことで観客の涙腺を刺激する。

 それは海外でもディズニー/ピクサーやイルミネーションエンターテイメントなども行っているけれど、日本はライブという形でその音楽との融合に特化させようとしている」

 

カエル「……やっぱりガラパゴス化しているねぇ」

主「これはいいガラパゴス化だと感じているよ。

 音楽シーンやライブをアニメのキャラクターが演じることで大きな物語を創り出すことができる。

 歌って踊るアイドルキャラクターが、より実体感を持つと思うんだよね。

 アニメだからこそできる突拍子もないような演出もできるし、やはり容姿の変化やスキャンダルの可能性がないことなどは、大きな魅力にもなってくるだろうし、何よりも快楽性があるアニメが作れている。

 できればこの路線は女性キャラクターが多く登場する作品でも作って欲しいなぁ……是非見たい」

 

 

 

まとめ

 

では、この記事のまとめです!

 

  • アイドルアニメの最大のウリであるライブを約90分やりきる偉業!
  • ただし会話シーンなど動きの少ないシーンは改善の必要も感じた…
  • 日本の音楽とアニメの使い方を考える上で参考にしたい作品の1つ!

 

 

後半はあまり作品とは関係なくなりましたが、個人的には重要な話です

 

主「やっぱり、日本のアニメファンやアニメ映画ファンは『プロメア』とかは見ても本作は見ない気がする。

 だけれど……令和の時代のアニメを考える上で今作と、今作の翌日に公開した『ガルパン2話』って結構重要な意味があると考えている。

 こういったグルーブ感のあるアニメ映画とでもいうのかな?

 そういった作品は今後日本のアニメ界では重要な位置になるのではないか? ということをより強く感じたな」

 

カエル「それだけ魅力があったってことなんだろうねぇ」

 

 

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