今回はトリガーを代表する今石洋之監督の最新作『プロメア』の感想記事になります!
熱いドラマとアニメ技術に期待が大きい作品だな
カエルくん(以下カエル)
「特に今作は久々の今石監督、中島脚本という組み合わせだから、アニメファンの注目度は高い作品だよね!」
主
「『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』にハマった人であれば、あの熱さに期待するところも大きいだろうな」
カエル「うちもグレンラガン、キルラキルなどの今石監督作品は鑑賞しており、TRIGGERの前に在籍したガイナックスの作品から、気がついたらずっと追いかけてきたということになるもんね」
主「そして今石監督作品としては『グレンラガン』はテレビシリーズの総集編の趣も強いことを考えると、オリジナル劇場アニメは初になるんだもんなぁ。
これは期待値が高いし、大規模試写会なども行われていて興行的にも盛り上がって欲しいね」
カエル「という訳で、そんな期待値MAXな今石監督作品の感想記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
『天元突破グレンラガン』などの話題作を多く生み出してきた今石洋之監督と、脚本家の中島かずきが再びタッグを組んだオリジナル劇場アニメ作品。本作の制作期間は5年かかっていると語るように、今までのアニメにないような表現を多く取り込む一方で、2人の作品に欠かせない熱さのこもった作品となっている。
主人公ガロ役には松山ケンイチ、ライバルでありもう1人の主人公とも言えるリオに早乙女太一が起用されている他、堺雅人、ケンドーコバヤシ、佐倉綾音などが脇を支える。また今石作品で印象的な演技を披露した檜山修之、小西克幸、小清水亜美、吉野裕行、新谷真弓などの出演も話題に。
突然変異により火を操ることができる人類である『バーニッシュ』が誕生してから30年が経過した。未曾有の大災害である『世界大炎上』を乗り越えて、再び復興した人類たちであったが残っていたバーニッシュたちの火を鎮火する高機動救命消防隊『バーニングレスキュー』に所属する新人隊員であるガロは、マッドバーニッシュのリーダーであるリオと対峙することになるのだが……
映画『プロメア』ロングPV 制作:TRIGGER 5月24日〈金〉全国公開
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映画レビュー『プロメア』感想&解説語り!/カメガタリ#5〜物語る亀〜
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#プロメア
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年5月23日
熱い! 突き抜けた熱さが画面から飛び出してきて観客の魂を焦がしつくす!
観たことのないアニメ表現が最先端技術として目に焼き付いて離れない、なんと豪華な作品か!
声優陣の熱演も作品を盛り上げ今石作品を追いかけてきたファンは胸が高鳴ること間違いなし!
脚本の粗? いいんだよ! pic.twitter.com/8nU2gHNeb7
TRIGGERらしさが感じられ、熱さが天元突破で突き抜ける1作!
カエル「本作を語る際に誰もが”熱い”という単語を連発するだろうけれど、それが1番わかりやすくて多くの人に届くのではないかな?」
主「それこそ『グレンラガン』や『キルラキル』が好きだった人にはたまらない作品だよ。
これらの作品だってさ、決して粗が全くない物語って訳ではない。むしろ、冷静に考えてみれば何を言っているのか全く意味がわからないようなシーンだって山のようにある。
だけれどそんな道理なんてどうでもいいんですよ!
それこそ『無理を通して道理を蹴っ飛ばす』物語であるわけであり、冷静に考えてしまったらその時点で負けとも言える!」
カエル「物語としては理解不能な面だってたくさんあるんだけれど、でもそんなことってこの作品の演出などを考えたら野暮ってものかもね」
主「アクションシーンの迫力はもちろんのこと、静かなシーンも味があって自分は好きだなぁ…
また今石作品をずっと追いかけてきたらご褒美のようなシーンだってたくさんあるんだよ。
そんなファン目線込みではあるけれど、これぞ今石×中島コンビ! と拍手を送りたくなるね」
カエル「これだけ熱いと言いつつも、でも欠点もあるんだよね?」
主「詳しくは後ほど語るけれど脚本としては巧みさはあまり感じなかった。
勢い任せな部分はあるし、それがノレない人であったら違和感も大きいかもしれない。
またこのコンビの作品は名作揃いだから、そちらと比べてしまうと……という点もあるだろう。
その意味ではやはり演出や音楽、作品全体に流れる”熱さ”を感じるべきなのだろうな」
圧倒的な絵の力に魅了される
今作を語る際で欠かせないのはビジュアルの魅力です!
この炎のエフェクトなど、見たことないよ!
カエル「今作では色使いも原色に近い独特なものとなっており、見ているだけで楽しい作品になっています。
また、炎をはじめとした様々なエフェクトなども外連味があり、他では見たことのない立方体や三角形のようなもので表現するなど、日本のみならず世界中の他のアニメ作品と比較しても独特なものとなっています」
主「いつも語ることではあるけれど、アニメ表現というのは実に多様性に満ちたものである。
だけれど、今のアニメ作品はどれも同じような画面や映像になりがちという問題点があるんだ。
その意味では今作は2019年のアメリカアカデミー賞でも話題を呼んだ『スパイダーマン スパイダーバース』のように、日本のアニメ表現の新境地を目指すようなものになったのではないだろうか?」
カエル「それにアクションシーンだけではなく、それ以外のタメのシーン(静かなシーン)も魅力があって、そこだけが見所の作品ではないよね」
主「今石監督は『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』にてカートゥーン風のアニメを制作しているけれど、全体的なルックに関してはそれと同じ。
普通の一般的なアニメとは大きく異なり……日本は最近はリアルな描写を志向する傾向にあるけれど、こちらは全く違う、実写ではできない表現を目指している。
逆に言えばこの表現が合わない&いつものようなリアル志向のアニメを望む人は難色を示すかもしれない。
大事なのは今作は万人向けではない、ということだ。だけれど今石監督が語るように『通常の何倍もの手間をかけて』今作が制作された意図や思いを考えると、その意義はあったのではないか?」
カエル「この表現には手放しで絶賛していいものなの?」
主「う〜ん……少し難しいところがあって、やっぱり見慣れないルックだからちょっと見ていて辛くなる部分はあるかもしれない。特にカメラがかなり激しく動き回るけれど、それが見づらいという印象を与えかねない。
あとは従来のルックも使用したりして、見せ場だけ変えるなどしたらメリハリがよりつくと思うんだけれど……でもこの表現はぜひ劇場で観て欲しいものだね」
声優陣について
本作では芸能人声優が起用されていますが、そちらについては?
賛否はあるかもしれないけれど、自分は全体的に賛です!
カエル「今作の舞台挨拶にて若手女性声優の佐倉綾音が『芸能人声優には賛否がありますけれど、今作に関してはそれはなくてもいいのではないか? それほどの演技をされていると思います』という趣旨の発言もされており、確かにこの熱量でありながらもとてつもない演技を披露されています」
主「おそらく割れるのは松山ケンイチだろう。
彼自身は確かに素晴らしい演技を披露しているし、もてる力の100パーセントを発揮していた。
今石作品が好きだと語っていたけれど、カミナや流子につながる啖呵をきる演技などを参考にしていることも伝わってきたし、相当な研究を重ねてきただろう。
ただし、相手になるのがグレンラガンの小西克幸や檜山修之など、あるいはキルラキルの小清水亜美などの熱い演技をさせたら声優界でも屈指の人たちであり、そこは相手の悪さがあるな」
カエル「意外と心配していた早乙女太一なんかは、役にぴったしとはまっていてビックリするほどだったよね」
主「芸能人声優を起用する例でも……最近ならば『バースデーワンダーランド』などは等身大の女の子を主人公としているから、自然なような演技を求められるようなところがあるかもしれない。
だけれど、今作って徹底的に”アニメ的な”演技を求められるわけじゃない?
まず画面のビジュアルからして全然違うし、外連味に満ちているし、そういった作品の演技は相当難しいだろうけれど、うまく演じていた。あとは……グレンラガンやキルラキルとの勝負になるけれど、これに勝てるのは本職声優でも難しいところがあるよ」
カエル「小西克幸を起用したらまんまカミナになって、別の意味が生じてしまうしねぇ」
主「特に堺雅人とケンドーコバヤシに関しては絶賛!
特に自分はケンコバが素晴らしいと思っていて、本人は『台詞がない役で……』と笑いにしているけれど、そのような役はかなり難しい。それこそ、大谷育江が『ピカチュウ』という鳴き声だけで全てを表現するようなものだよ。これはケンコバの演技力が認められているからだとしか思えない。
そして堺雅人はもともと舞台でも多く活躍されているし……それは他の人もそうだけれどさ、やっぱり彼はもともとの演技の口調がアニメ的なんだろう。
キャラクターとも合致していたし、芸能人声優として本職声優にも一歩も劣らぬ演技を披露し、おそらく他作品と比べても過去最高クラスの演技を披露したと言えるのではないだろうか?」
カエル「この項目の最後に本職声優さんについても語りましょうか」
主「自分は新谷真弓の声質が癖になって聞いているだけで幸せだからなぁ……今作でもそこは同じで、各キャラクターの個性を感じられたけれど、同時にグレンラガンやキルラキルでも活躍したキャストがたくさんいるんだよね。
その意味ではその人が演じているから大きな意味になる、というシーンも多かったかな」
少しだけネタバレをすると……
物語上の問題点
では、ここからはネタバレをしながら語っていきましょう
とは言っても、今作は”映像を見て!”という作品だからネタバレをするほどのことはないんだけれどね
カエル「物語上であまり褒めきれない部分を具体的に表すとどうなるの?」
主「今作のインタビューなどを拝見すると、今石監督も中島かずきもどのようなお話にするか迷っているというものがあった。それはよくわかって……途中、明らかにガロの話ではなくリオの話になるシーンがあった。
このあたりはどちらを主軸にするのか迷いを感じたかなぁ……もちろんW主人公ということでどっちも活躍させることが正解なんだけれど、その迷いが映画に出ていた」
カエル「物語としては『手癖で作ったと思われるかもしれない』と語るように、いかにもこのコンビと言えるようなものになっていたね」
主「ただし考え抜かれた先での手癖であり、それは単なる手癖とはまったく違うけれどね。
知り合いに話したら『どうせ二人が協力して大ボスみたいのを倒すんでしょ?』と返ってきたけれど、その通り。いつもの流れだけれど、これを捻ってきたらそれはそれでこの熱さが生まれなかったかもしれない」
カエル「変にいじらない王道の面白がある作品です!」
主「ただし、今作に関してはそれが熱すぎたというか、ストレートすぎる面も感じた。確かに社会性がある一面もあるんだけれど、それ以前に……今作も緩急で言うところの急やアクションシーンがあまりにも多すぎて、観ていて疲れる部分がある。
アニメとしては贅沢な文句だけれどね。
ピザ屋のシーンだったり、固まった湖のシーンなどはとてもいい緩いものになっていたけれど、そのあとはずっと急(アクションシーン)が続くからメリハリがない。グレンラガンで言えば『あばよダチ公』などが入るから、その後の盛り上がりにつながるわけじゃない。
また、ギャグもあるにはあるけれどそれが少ない印象かなぁ……
『キルラキル』のマコのようなギャグ特化の存在がいたらいい息抜きになったし、メリハリが生まれたかもしれない。ハレルヤギャグもあれば面白かったかもね。
音楽もとてもいいけれど同じものが使われる印象が多いことや、アクションシーンのエフェクトなどもそこまで変わらないことが飽きにつながるのではないか? という思いがあった。
ただし”そんなものはどうでもいいんじゃあ!”という熱さがあったから……
変にバランスを取ろうとしたらそれこそ普通の作品になる可能性もあったから、これはこれで正解なんだけれどね」
まとめ
では、今回は短めですがまとめになります!
- とにかく熱い!
- トコトン熱い!
- うざいくらいに熱い!
とにかく熱い作品です!
カエル「あんまり考察とかを語るような作品ではなく、とにかく熱い! 以外にはなかなか感想が出てこないけれど、このアニメは映画館で見るべき作品といえるでしょう!」
主「近年のアニメ業界の進化の速さってとてつもないものがあるんだけれど、それを象徴するような1作になりました!
ぜひ劇場で楽しんでください!」