今回は絶賛相次ぐ『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』の映画の感想記事になります!
先に言っておきますと、辛口記事ですので、ご了承ください
カエルくん(以下カエル)
久々の映画感想記事で、いきなり辛口宣言になってしまったね
主
酷評ではないけれど、気になるポイントが多かったということかな
カエル「ちなみにうちは原作既読です!
こちらは記事にするほどハマった作品でもありますが、原作のネタバレはあまりない記事になりますので『原作が気になっているけれどネタバレは嫌』という方でも、お読みいただける内容です!」
主「世間的には大絶賛一色なので、うちは異色になります。
それでは、早速記事のスタートです」
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大手レビューサイト評価(2月19日時点)
Yahoo映画
4.2
映画ドットコム
4.5
Filmarks
4.4
作品紹介
声優・キャスト紹介
-
宮本 大(CV 山田裕貴)
沢辺 雪祈(CV 間宮祥太朗)
玉田 俊二(CV 岡山天音)
左 沢辺雪祈 中央 宮本大 右 玉田俊二
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#BLUEGIANT
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年2月18日
まるで10代の大たち、JASSのメンバーのような熱さと粗さに溢れた作品でした
文句なしの名演奏は耳を喜ばしアニメーション表現はJAZZらしい即興の魅力に溢れている…のではあるが「音と映像のコントラスト」としては難点も多々見受けられます
ただ純粋に「熱い❗️」と言いたかったなぁ pic.twitter.com/K4y0FF4Rww
褒める人が多いのはわかるし、熱いとは思うけれど……
カエル「元々原作も好きで、昔に記事にもしているんだよね。
その意味では何年もブログを続けてきた意味があったとも言えるし、積み重ねとも言えるよね〜……なんて言葉は置いておいて、世間的には『熱い❗️』という単語が飛び交うような、2023年を代表するアニメ映画になるだろう、という評価も多い印象ですね」
主「もちろん、その意見には賛同する部分もある。
だけれど……おそらく、この記事はこの映画を語るには珍しく、あまり良くないと語る記事になるだろう。
というのも……この映画って、とても作りが粗いというか、いい部分と悪い部分が交互に来ているような印象なんだ」
ふむふむ……熱いのは認めるけれど、でも粗いと
さらに言ってしまえば、この映画を評価していいのだろうか? という迷いもある
カエル「評価していいのだろうか、という迷い?」
主「そうだね。
それは……もちろん”原作ファンだからこその思い”というのもあるだろう。原作と違う! という感覚は、原作ファンであれば、どんな作品でも抱くだろうし、そこは仕方ない部分もある。
同時に……色々なアニメ映画を、特に近年の"音楽×アニメ"という括りで言えば、まさに業界全体の1つの潮流と言っていいほど、ホットな分野なんだよね。
大ヒット作も次々生まれているし、進化が目にみえる。
だからこそ……アニメ映画をたくさん見てきて、それこそブロガーとしてはここ5年という括りで言えば、かなり多いと自負できるほどの数を見てきた身として、この映画にはダメ出しをする必要があるのでは? という、勝手な感覚を抱いているわけだ」
今作のダメな部分に関して
では、どこが具体的にダメだと思うの?
簡単に言えば、この5箇所を今回はあげたい
個人的に気になるポイント
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年2月18日
○全体的に間がなく走りがち
○ライブパートのCG
○音楽と音楽アニメーションの違い
○声優の『東北弁』演技
○ラストの展開の是非
かなぁ
今作の問題点だと思う部分
- 全体的に間がなく走りがち
- ライブパートのCG
- 音楽と音楽アニメーションの違い
- 声優の『東北弁』演技
- ラストの展開の是非
なるほど、この5箇所が気になってしまって、手放しに絶賛できないと
重ねていうけれど、この映画のダメな部分が決定的、というわけではない
主「いい部分と悪い部分が、絶妙に被りあっているんだ。
例えば声優の演技だけれど、これは後にも語るけれど、決して『ミスキャスト』とか『芸能人声優だから下手』というつもりはない。
むしろ、合っていると思う。
だけれど、同時に細かい部分が気になってしまう……だからこそ、すごく乗れない。悪くないのに、悪い部分が垣間見えてしまうという、絶妙な感覚だということは、先に説明しておきたい」
青春期の熱さが味わえる作品に
原作について
さらに、原作について軽く触れておきましょうか
近年の音楽漫画において、とても素晴らしい作品だと感じている
今作を語るときによく言われるのは『音が聞こえてくる漫画』という言葉です!
カエル「本来は音が流れてこないはずの漫画という媒体において、読んでいるうちに音が聞こえてくる……それほど素晴らしい作品であるという評価が、よく流れてきます。
でも、この感覚ってうちもよくわかって……JAZZに全く詳しくないから、もちろん作者が想像している楽曲と全く一緒であるはずがない。だけれど、音が聴こえてくる感覚を味わうことができるんだよね」
主「それほど緻密な表現力が、この漫画にあるということだ。
その表現力とは……もちろん、絵の迫力、コマ割りのダイナミックさ、物語の構成、登場人物の息遣いまで聞こえてきそうな造り込みなどがあるわけだ」
でもさ、だからと言って『アニメにしたら音楽が実際に聞こえる!』というのは、実は単純すぎる話だと思うわけだよ
カエル「……というと?」
主「漫画という媒体で言えば、音もそうだけれど、例えば味や匂いも伝えられない。それでも食欲をそそるグルメ漫画が世の中にたくさんある。
小説で言えば文字表現だけなんだけれど、それでも読者に想像させる何かがある。
もっと抽象的なことを言えば、そもそも物語とは”架空の誰かの気持ちや体験を読者に伝える”という行為なんだ。
そこまでのレベルに達した作品が多いわけではないけれど、だからこそ物語は存在価値がある」
ふむ……つまり、何が言いたいの?
今作に対する最大の不満は”音楽が素晴らしければOK”という話ではない、ということなのかもしれない
カエル「音楽が素晴らしければOK?」
主「つまり原作の『音が聞こえてくる』というのが、どういう下地の上に成り立つのか、という話。
音楽は文句なしに素晴らしい。
自分も映画館からの帰り道、サブスクで今作のOSTを聴きながら帰ったからね。
でも、素晴らしい音楽があれば、素晴らしいアニメ映画になるわけではない、というのが、ボクの強い思いだ」
以下ネタバレあり
表裏一体の褒めポイントと批判ポイント
① 物語における間の重要性
では、ここからは具体的な感想と参りましょう!
まずは『間がない』ということについて語りましょうか
カエル「物語における間、つまりテンポが早すぎるというか、物語が走っているということだよね。
この点の長所と短所を並べると、このようになるでしょうか」
長所
○全10巻の物語を2時間にまとめられる
○大たちの疾走感のある物語と楽しめる
短所
○物語のテンポが早すぎて、感情移入などがしづらい
○原作の良さを壊している
ふむふむ……こういう意見ですか
カエル「ボクが長所を解説するとしたら、やっぱり2時間の物語に原作10巻分を入れるのは不可能で……だからこそ、ダイジェストなども交えながら、とても上手いこと構成していたと思う。
しかも、少し走りがちではあったけれど、だからこそ大たちの若さ溢れる情熱が感じられるし、そこまで悪いものだったのかな?」
主「自分はずっとこの物語が早送りみたいになっているように感じていて……特に前半30分くらいだよね。
先ほども語ったように、原作で大たちの成長を感じられたのは、ゆっくりとした物語と静かに、熱く進んでいく人物描写の繊細さだったと感じている。
それこそ作者の石塚真一作品で言えば『岳』などがあるけれど、自分は人間関係や人物描写をしっかりと描写した名作だという評価だ」
もちろん、原作通りを映像化するのは無理があるだろう
主「だけれど、ここの描写力、あるいは人間力が薄いと感じられてしまったからこそ、自分はこの作品の物語にも、かなり疑問が生じてしまった部分があるのだろう」
出会のシーンで2人が同じ方向を向くなど、演出面が良かっただけに物語の早さが勿体無い
② ライブパートについて
次にライブパートですけれど、これも長所と短所はこのようになっています
長所
○JAZZを映像化したようなアドリブ感と疾走感のあるアニメ映像
○音楽との融合で熱さが際立つ!
短所
○CGパートがあまりにも酷い!
○『音楽が良い』と『音楽シーンがいい』の違いがはっきりしている
この映画の最大の見どころであり、長所であるのがこの音楽パートだと思うんだよね!
逆に、だからこそ最大の欠点もここに出てくるといういうのが、自分の評価だな
カエル「まず長所からいうと、何よりも熱い❗️
あまりの熱さに、こちらも熱狂するほどだし、そのライブに実際にいるような感覚になった!
しかも上原ひろみなどの音楽がまさに最高で……!
ここがしっかりしているからこそ、この映画が成立しているよね!
それと映像も素晴らしくて、かなり挑戦的な手法も試しているけれど、それがJAZZの映像化としても良かったからこその今作の魅力を強く発揮したのでは? と思うね!」
逆に、自分としては最大の文句もここかもしれない。
主「まず第1にCGパートがあまりにも雑。
もちろん、演奏パートを全て手書きで見せるのは不可能だ。だからこそ曲数を減らすか、映像レベルを下げるか、楽曲を途中で切るかの選択が迫られるだろう。その中では、できることをやったとも言える。
でもさ……CGが引きの絵だけとかならともかく、10秒あったら3、4秒という、結構な割合であるわけじゃない?
しかも場合によってアップになる……これは、あまりにも酷い。
正直に言って観ていられなかった」
全体がこのレベルであれば、さほど文句もないのだろうが……
③ 音楽と音楽アニメーションの違い
観られないってほど、酷いの?
ここだけは音楽アニメ映画のライブシーンとして観客に見せるレベルに達していないと、厳しいことを言いたくなる
主「実写で言えば素人がただ突っ立っている方が、まだマシかもしれない。
音楽が素晴らしいからこそ、この映像の悪さが浮き立ってしまうし、なんならば目を瞑っていた方が良かったかもしれない。
『音楽』は良いんだよ。
でも『音楽演奏シーン』としては、ダメ」
ましてや、近年のレベルの高い音楽×アニメの映画をたくさん観てきているわけだ
カエル「簡単にまとめても、この辺りのレベルは期待しちゃうのかな……」
- CGとバンド音楽の両方のレベルが高い『BanGDream!』シリーズ
- 吹奏楽の演奏を手書きで描き抜いた『響け!ユーフォニアム』シリーズ
- アイドルライブの様子を描いた『うたプリ』シリーズ
- 音楽とアニメをミュージカル調に描いた『かいけつゾロリ ラララスター誕生』
CGでも手書きでも、しっかりと魅せてくれる音楽×アニメ作品がたくさんあるよね
主「この作品のCGレベルを褒めてしまうと、こういった映像&音楽に尽力した音楽×アニメ作品たちが虚しく感じてしまうというか……
単純に物語がいい、音楽が良いだけでは到達できない描写力……それこそ『音がなくても音が聞こえる漫画』である、原作の映像化としてはビジュアルが最悪なんだよ。
それだけで手書きの良さとかを全て壊す程度には……かなり気になったんだよね」
④ 声優の演技
次は声優さんの演技だけれど、ここも意見が割れるんだね
ここは批判意見が言いづらいところでもあるんだよなぁ
長所
○大たちにまさに合った声質で、朴訥とした良さを感じる
○演技力のうまさ
短所
○東北弁演技をする気がない
○演技のバリエーションが少ない印象も
カエル「まずは長所だけれど……いや、この作品の声優の演技は良いでしょう!
まさに大たちに合った演技で、若手イケメン俳優の演技だけれど、批判されるポイントも少ないように感じたよ!
よく『アニメには本職声優さんを!』という声もあるけれど、今作は本職声優だと……いや、細谷佳正の雪祈とかも合うだろうけれど、でも今回はリアルな東京を舞台としたこともあって、とても良い演技を披露されていたのではないでしょうか?」
主「自分が気になったのは大の東北弁演技で……例えば『だべ』文化って北関東を中心とした関東圏もある、東北・関東の東日本に広がる方言文化なんだよ。
自分も少しは東北弁を知っているけれど……逆に言えば少し知っているレベルで、今の宮城の若者がああいうアクセントなんだ、といわれたらアレだけどさ、東北弁を話している感が一切なかった。
だけれど『だべ』だけはつくから……なんか、変な語尾キャラみたいに見えて、それがすごくノイズだったなぁ」
山田裕貴が名古屋出身、音響監督も務めた立川監督も埼玉出身らしいから、東北弁演技ができる人がいなかったのかも……
それだったら、方言設定をなくす方向もありだと思うんだよね
主「ディレクションが難しいのもわかるし、どこまで方言を残すのかって問題は、この手の作品にはつきものだから……
あとは……これは本職じゃないから仕方ないのかもしれないけれど、声の演技が一辺倒なのも気になった。
結局はJASSの3人で話すシーンも多いから、この3人の演技力勝負になるんだけれど、基本的にカッコいい……つまりカッコつけた演技しかできない印象で、引き出しが少ないのかなぁって感じた。
そうなると、作品の幅や人間性が感じられづらくなった印象かな」
⑤ ラストの展開の是非
ここは色々言われそうだね
う〜ん……観たかったような、観たくなかったような……
カエル「ここはもう長所とか短所ではなくて、1つの映画、あるいは物語としての魅力にもなるから、難しいところだよね。
でもこの描写があるから、映画として1つにまとまったような印象も受けたかなぁ」
主「ここは、このツイートもしているんだよね」
いうならば「湘北が山王に勝ち日本一になったスラムダンク」や「ジョーがホセに勝ち世界チャンピオンになる」のを見たいのか、という話かもしれません
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年2月17日
あの原作の展開を変えることが正しかったのかは、多分ずっと議論になるだろう
カエル「決定的に違うもんね……その後の物語にも影響を与えるであろう話だし」
主「自分は『負けること』も1つの美学というか、リアルだと思うんだよ。
確かにあの描写は今作には合わないんだけれど、でも『あ、石塚真一の作品だな』と感じたのも事実。石塚作品って、そんな都合のいいことが起きずに『でも現実ってこういうこともあるよね』ということを描くと思っているから……
あの展開を見た時に、確かにそれを観たかった気持ちもあるけれど、でもそれだけは絶対にやっちゃいけない、という気持ちにもなった。
ここはとても難しい問題だね」
まとめ
というわけで、色々と語ってきましたがまとめです
単純に言えば『こだわるところは超こだわり、適当なところは超適当』って映画なんだと思う
カエル「つまり、音楽とか手書きのミュージックシーンはめっちゃこだわって、CGパートとか、あるいは東北弁演技とかこだわらないところは適当に見えてしまった、ということなんだよね」
主「そうねぇ。
その取捨選択をして、とことん”熱さ”に直結させたのは英断で良かったかもしれない。
そこは認める。
だけれど、それ以外のところがひたすらに雑に見えてしまった。
だからこそ、自分は乗れなかったし……正直、もっと先を魅せてくれると思っていた。
確かに音楽は素晴らしい。
熱さはある。
でも、その熱さに誤魔化されているだけではないのか……という思いは、実はかなり強い作品ではあるのかな」
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