今回は通称あの花トリオの新作アニメ映画『空の青さを知る人よ』の感想記事になります!
この秋、最注目のアニメ映画の登場だ!
カエルくん(以下カエル)
「夏に大作アニメ映画がたくさん登場して、秋口は大作に関してはちょっと少なめだから、この作品がかなり注目されている感もあるよね。
東宝も力を入れて配給、宣伝しているのが伝わってくるし」
主
「フジテレビとしても『あの花』があったから、宣伝を多くやっているとかあるのかね?
そういうっ企業サイドの大人の事情を抜きとしても『あの花』『ここさけ』『オルフェンズ』などで着実に結果を残している長井龍雪、田中将賀、岡田麿里のトリオが一気に知名度をさらに一般層までのばすチャンスでもあるのかもね。
あ、ちなみに『オルフェンズ』は色々と言われがちですが、うちはガンダム史上に残る傑作ではないか? という評価です」
カエル「ガンダムに求めるものだったり、近年のアニメの流れとは違う作品だから賛否割れるのは当然かもしれないけれど、ネタにされて馬鹿にされるほど悪い作品ではない、という評価です」
主「なんだかんだで3年に1度は何らかの形で新作を作っているし、この3人ともに順調にステップアップしているから、今となっては贅沢なトリオでもあるよな。
これが最後ってことはないとは思うけれど、3人ともにこれだけ活躍するとスケジュール調整なども難しいだろうから、絶対にないとも言えないかもしれないし、何よりもここからが一番脂が乗ってクリエイターとして最も活躍するであろう時期だしね。
今後にも期待したいな」
カエル「それでは、感想記事のスタートです!」
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作品紹介・あらすじ
埼玉県、秩父市を舞台に描いたテレビアニメ『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』劇場アニメ『心が叫びたがっているんだ。』などで活躍するアニメ界のゴールデントリオの新作アニメ映画。
『とらドラ!』など多くのヒットを生み出してきた長井龍雪監督、『君の名は。』や『天気の子』のキャラクターデザインなどを務めた田中将賀がキャラクターデザインと総作画監督、『さよならの朝に約束の花をかざろう』で監督デビューも果たした岡田麿里が脚本を担当する。
キャストには主人公の女子高生、相生あおい役に新人声優の若山詩音を起用し、しんの(高校生)/金室慎之介(大人)の年齢が違う同一人物を吉沢亮が演じ分けるほか、吉岡里帆、松平健、落合福嗣、大地葉、種崎敦美などが魅力的に演じる。
秩父で暮らす相生あおい(CV若山詩音)は幼い頃に両親を事故で亡くし、姉である相生あかね(CV吉岡里帆)に育てられていた。進路を決めなければいけないものの、自分の将来が決まらずにベースをいじっている日々が続く。ある日、いつものように神社で練習をしているとかつて姉の恋人であった高校生時代の金室慎之介/しんのが現れる。あおいは初恋の相手が13年前の姿のまま現れてきたことに驚きを隠せない。一方、役所に勤めているあかねは市の音楽祭に呼んだ大物歌手のバックミュージシャンとして13年前の高校卒業時に別れてしまった恋人、金室慎之介(CV吉沢亮)が帰ってきたことを知る……
感想
では、Twitterの短評からスタートです!
#空の青さを知る人よ#空青
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年10月5日
あの花トリオの最新作として文句なしに"正しい"作品に感じた
3人の作家性がいかんなく発揮され、大きな魅力を与えている上に過去作の上の本作となると感慨深さも
楽器演奏シーンは鳥肌モノの作画力!
芸能人声優が嫌だ?
そんな言葉言えなくなるほど最高の演技だよ! pic.twitter.com/2W7lNNxGCc
あの花トリオの新作として満足度の高い作品です!
カエル「今回は試写会で鑑賞したけれどギャグ描写で笑いが起きたり、また上映終了後には拍手が起こったりと観客の反応も好印象な作品だったよね」
主「2019年のオリジナルアニメ映画は多くの作品が公開され、そのどれもがレベルが高かった印象だ。映像的にはアクション重視の『プロメア』や哲学的ながらも力の入った『海獣の子供』に、新海監督の最新作である『天気の子』はこれだけ話題作が続く2019年の映画たちの中でもトップの興行成績を収めている。
それらの作品と比べても本作は見劣りしないどころか、多くの人に受け容れられる作品に仕上がっているのではないだろうか?」
カエル「映像面に凝ったりすると物語に置いてけぼりになったり、あるいは哲学的で難しくなりすぎたり……とバランスが難しいものだけれど、今作の場合は老若男女、そしてアニメに見慣れていない人でも受け入れられやすい作品に仕上がっている印象だったね」
主「バランスの良さが目立ったな。
もちろんあの花や、それ以前からこの3人に注目していた人たちはより楽しめるであろうことは間違いない。
物語や演技、脚本、音楽、作画、演出などなどが高いレベルで一致した作品と言えるだろう。
逆に言うと欠点があるとしたら……バランスが良すぎるってことかもしれない」
カエル「……褒めたかと思えば、また変なことを」
主「この辺りは難しいポイントだけれど、バランスが良すぎると逆に印象に残らないってこともあり得る。誰もが口にする駄作の方が多くの人の印象に残る、みたいな話でね。
その意味ではもうちょっと賛否分かれた方が個人的には好みになったかもしれないな、って贅沢な悩みでてくるね」
注目ポイント① 作画の見ごたえ
じゃあ、今作の注目ポイントってどこになるの?
まずは何と言っても作画力だろう
カエル「劇場アニメとなると作画や演出が良くて当たり前、って印象もあるけれど……今作の場合はどういう部分が素晴らしいわけ?」
主「やっぱり日本のアニメはこのレベルがポンポンと毎月出てくるから異常だよなぁ……という思いもありつつ、まずは何と言っても音楽描写。
近年は『涼宮ハルヒの憂鬱』以降、音楽描写において実際に楽器を弾いているように見せることが当たり前になっている感すらあるけれど、今作もその技術力の高さはとてつもないと感じさせられた。
ベースやドラム、もちろんギターを弾くシーンなどもあるけれど、そのどれもがクオリティが高くて、技術力で顔を叩かれているような気分になる程だ」
カエル「自分たちの力をそこで誇示している、ということだね」
主「そして秩父の町や自然の描き方もいい。この辺りはすでに過去2作で表現していることもあるのだろうけれど、今作も聖地巡礼が盛んになるだろうと思われる。
なお、一部の聖地は私有地となっていて巡礼を遠慮願いたい、という発表もあるようだから、事前に聖地巡礼がOKな場所か確認してからの訪問してほしいね」
カエル「聖地巡礼はマナーを守って行いましょう」
主「そしてキャラクターデザインも良くて……特に主人公のあおいが面白い印象を受けた。
というのは、もちろん可愛らしさなどもあるけれど、日本のアニメにありがちな萌えの可愛らしではない。
むしろ、イケメンでかっこいい印象を受けた」
カエル「この辺りはキャラクターデザインで言うとキリッとした目元と太めの眉が印象に残るね」
主「系統としては『オルフェンズ』の主人公の三日月に近いのかな。
また大人になった慎之介のくたびれ具合だったり、あかねの絶妙な30代前半の可愛らしさなども表現したいいキャラクターデザインだった。
あとは……おそらく、この映画では中村正嗣って子が出てくるんだけれど、彼は人気になるんじゃないかな?
他にも遊び心も豊富な作品だから、是非とも楽しんでほしい作品だ」
注目ポイント② 多くの人に向けられた物語
次の注目ポイントは物語について、ということだけれど……
多くの人に受けいられるように作られている印象だね
カエル「今作はオリジナルということもあって、脚本家の岡田麿里の影響がとても強いであろうことは予想できるね。
ただ、人気もあり実力も認められている一方で癖が強くてそこが相容れない人が多いこともあるのかなぁ」
主「例えば『あの花』にしろ『ここさけ』にしろ、岡田の持ち味である生々しさがあった。この場合は性表現もそうだけれど……なんていうかな、田舎の持つドロドロとしたものというのかな。そういうものであったり、あるいは力押しな部分もあったと思う。
だけれど、今作はそれらの癖というものは少なくなっている印象があったかな」
カエル「その理由はどこにあると思うの?」
主「おそらく、プロデューサーの川村元気の影響もあるのではないか?」
カエル「俗に言う川村マジックだね」
主「その影響もあってか、多くの人に愛される映画になったと感じる。逆に岡田麿里のドロドロとしたものや、性描写を望む人には物足りないと感じるかもしれない。まあ、そういう人は『惡の華』『荒ぶる季節の乙女どもよ。』辺りを見てほしいかな。
大作として多くの人に届く工夫でもあるし……また、おそらくこの映画のコアとなる年齢層に直接届けるような映画になっていると感じた」
この映画は高校生の恋や青春を扱っているから、やっぱり10代に向けて造られた作品ってこと?
その一面もあるけれど、同時に本作は30前後のアラサー世代に大きく響く映画になっているだろう。
主「『あの花』『ここさけ』あるいは長井監督作品であれば『とらドラ!』などを愛してきた層は成長して今はアラサーと呼ばれる年代になっているだろう。そこもコアにしている風潮が感じられる。
でも、ここまで明確に30代前後に向けて作られたアニメ映画って少なかった印象だから、このターゲット戦略が成功してほしいね」
注目ポイント③ キャスト陣による抜群の演技!
そして3つ目の注目ポイントはキャスト陣による演技です!
今作は芸能人を起用したアニメ映画の中でも特に成功例になるかもしれない
カエル「お、そこまで高く評価するんだ」
主「自分は芸能人を声優で起用することに反対はしないけれど、今作のような作品は決してなるべくアニメを専門とする声優を起用した方がいいのではないか? という持論がある。というのは、映像がとてもアニメ的だから、求められる演技もアニメっぽい演技だよね。
ここでリアルな芝居をされてしまうと却って浮いてしまうことになる。
その点に関して吉沢亮と吉岡里帆は高レベルな答えを示したと考えている」
カエル「ほぼほぼ絶賛じゃないですか!」
主「特に2019年は芸能人によるアニメ映画の演技というと『プロメア』が印象に残ったけれど、あの作品は……特に堺雅人は当てがきされた役を演じたことによる名演だったという印象がある。
どういうことかというと、あの役は堺雅人がそのまま実写で演じているのと変わらないんだ。元々アニメ的な演技もできる人だからこその演技であったという評価。
その点、今作の……特に吉沢亮は素晴らしかった。
18歳の高校生と31歳の大人の男性、それも同一人物をしっかりと演じ分けていたし、それが”アニメらしい”演技となり、その他の本職のアニメ声優と比べても一切の違和感がなかった」
カエル「じゃあ、吉岡里帆に関してはどうだったの?」
主「彼女の声質が早見沙織に似ている部分もあって、非常に美しい声だなぁ、と聞き惚れた部分もある。
もちろん、早見沙織は現在の20代の声優の中でも間違いなくNo1,2を争うくらいの演技力を誇っていて比べると拙さはどうしてもあるけれど、でも十分満足するレベル。
今作のあかねって31歳でもすごく可愛らしい女性だけれど、その魅力を最大限発揮したのは彼女の声が変なノイズとなることなく、魅力を増大させたからだろう」
他のキャストに関しては?
主演の若山詩音は今後も注目したい名演技です!
カエル「まだ21歳くらいで、しかも調べたところ元々子役として活躍はされていたということだけれど、2019年に多くのアニメ作品にデビュ−を果たした新人声優さんです」
主「彼女の今後が非常に楽しみになる、素晴らしい演技力だった!
今の20代前後の声優では……最も、その年頃の子をあまりまだ認識していないというのもあるけれど、飛び抜けた演技力を持っているのではないか? という思いもあるほど。
おそらく声優として活躍していくのだろうけれど、叫ぶ演技なども含めてあおいの気持ちが伝わってきており、今作のMVPに選びたいね」
カエル「他にも松平健も全く気にならないよね。
『暴れん坊力!松太郎』で主演として長い期間演じていたこともあるんだろうけれど、コミカルな演技と歌声が印象に残ったかな」
主「もちろん落合福嗣などの本職声優陣も見事。
演技に関しては何1つ文句のない作品に仕上がっています」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 多くの人に愛されるであろう、バランスの良いアニメ映画に!
- 特に音楽描写をはじめとして、作画面が魅力的!
- 岡田麿里の癖は少なく、しかし魅力が伝わる物語に!
- キャスト陣の演技がとても魅力的!
ネタバレありに関してはこちらを参照してください