この記事の続きになります
日本アニメ映画の問題点
興行収入の低さへの過剰な低評価
次は日本アニメ映画界の問題点についても語っていきましょうか
これは業界というよりもSNSへの苦言でもあるが……やはり興行成績=映画の質、という過剰な意識かもしれんな
カエル「これは2025年に興行成績が高い映画が多く出たことの弊害かもしれないね。
特に『Chao』『果てしなきスカーレット』……あとは海外の映画ではあるけれど実写版の『白雪姫』に対するバッシングは、かなり酷いものがあったよね……」
亀「うちは基本的には”興行的成功と映画の質は分けて考えるべき”という論を展開している。だからこそ……まあ記事にはしていないが『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』にも1作の映画としてはボロボロである、という評価をしている。
それでも映画の興業的成功を収めているので、映画の目的が異なるのだからそれで良いではないかという論者じゃな」
だけれど、SNSでバズりやすい意見では”映画の質=興行収入”で語られやすすぎるって問題だよね
目的がそもそも異なるものを比較しても、仕方がないと思うがの
カエル「もちろん、興業的成功を目指していない商業映画は1本もないだろうけれど、売れることだけが目的の映画ばかりではないということだね。
そして”良いものが売れる””悪いものは売れない”という単純な世界ではないということだし」
亀「特に憤りを覚えたのは『Chao』じゃな。
記事を書いておらん、うちも悪いのかもしれんが、あのアニメーションは決して馬鹿にされるものではない……むしろスタジオ4℃は日本アニメの多様なスタイルを構築するのに大きく貢献しておるし、世界的にも評価の高いスタジオじゃ。
中身を見ればわかるが、決して罵倒されるレベルの映画ではないが……それを動員の難しいオリジナル映画の興行成績で簡単に笑ってしまうという流れには、わしは愚かさしか感じなかった」
興行収入は最もわかりやすい評価だけにね……
確かに客観的で重要な指標であるがの
亀「しかし、よく言われるように初期のスタジオジブリの映画も興行的には大して伸びておらん。それでも映像表現で勝負して、歴史に残るという戦い方もある。
そもそも、興行収入だけで語るならば押井守も今敏も大した監督ではない、という評価になるじゃろう。そもそも”製作と制作は違う”という前提すらも理解することができていない。
映画制作においてクリエイターが目指した目的を無視して、魅力を壊してしまう評価方法の1つが興行収入目線での過大な罵倒ではないかの」
興業的成否が格差拡大
さて、1番言いたかったSNSへの愚痴はここまでとして、同じく興業という意味では何が問題かな?
これも爆発的ヒット連発の反面でもあるが、格差は拡大したの
カエル「どれだけ鬼滅が稼いだとしても、それはアニプレックスなどの一部の会社や制作スタジオが享受しただけでは? という意見は、必ず出てくるだろうということだね」
亀「言い方を変えれば”アニメビジネスが多様で激変している”ということもできる。
例えばかつてはアニメ制作スタジオは、製作委員会の言うとおりに作る下請けでしかなかったところもある……というよりも、今でもそれは変わらん。
しかし『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のufotableのように製作委員会に出資して参加する会社は、下請けではなく、その興業的成功の対価も得られる」
さらに言えば『チェンソーマン レゼ篇』のMAPPA1社の製作というのは、博打に大勝利って形式だよね
100億以上の興行収入、さらに世界興行収入で製作委員会の取り分が1社でもらえるわけじゃからの
カエル「それは膨大な金額が入ってくるということではあるけれど、同時に外していたらその負債も全部被っていたわけで……もう、大変な損失になっている博打だよね。
まあ、映画興業って元々山師の博打って言われているけれど……」
亀「単に興行収入の格差が広がりましたという一文だけではすまないものがあるの。
もちろん、他にもSONYグループや東宝のような大手企業の傘下に入るなどの選択肢もあるが、アニメを作るスタジオ側もリスクをとる必要が出てきたとも言えるかもしれん。
業界が活況になるということは、より倒産する企業や負け組も増えるという意味でもある。
ましてや慢性人手不足の業界、できるクリエイターの単価はどんどん増していき、零細企業は支払えず、クオリティは下がる一方ということもあるじゃろう。
そこは資本主義じゃから当然というのが投資好きなうちの主の立場であるが、ますます厳しいことになっていくの」
オリジナルアニメ映画の苦戦
そして目立つのはオリジナルアニメ映画の苦戦だね……
そもそも、オリジナルアニメ映画は10本に1本当たれば良い、というものじゃからな
カエル「2025年の興行収入ランキングを見てもその多くは有名IP映画ばかりで、いわゆるオリジナル映画で10億円超えたのは……もしかして1本もないんじゃないかな?」
亀「2025年では1番の期待作であった細田守監督の『果てしなきスカーレット』も10億円を超えたという話を今のところ聞いておらん。
『映画の出来が〜』という意見も聞こえてきそうじゃが、興行収入=映画の出来であれば、興行収入上位の映画は全て良いという話になるが、そんなわけはない。そもそも、繰り返すようじゃが興行収入が低い良作はアニメ映画に限らずたくさんあるからの」
うちはスカーレットが結構お気に入りだけれど、その話は置いておきましょうか
重要なのは”結局は有名IPを使えば勝ち”という結果になってきたということじゃな
カエル「身も蓋もないけれど……なんか”細田守監督と新海誠監督の区別がついていない”というポストもバズっていたしね」
亀「今作の場合はCGがメインとなったこともあり、過去作の要素があまり感じられず細田守作品という認識が一般大衆に広がらなかったという話もあるからの。
もしかしたらオリジナルアニメ映画というのは、監督の名前ではなくてキャラクターデザインや手書き、CGといったようなルックスだけで判断している観客も多いのかもしれん」
このオリジナルアニメ映画への潮流が変わる事態というのは、ちょっと危惧するものかなぁ
ここ数年が異常だっただけかもしれんがの
カエル「細田守、新海誠と、次々に登場してきたのが奇跡だったと?」
亀「本来、オリジナルアニメ映画とはそれだけ再現性のないものであるからの。
その中で希望と言えるのは『メイクアガール』『無名の人生』『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』のような、個性があるオリジナルアニメ映画が小中規模を中心に出てきたことじゃな。
もちろん、大規模興行で大きな予算と人を使って制作するのも大事ではあるが……『音楽』から『ひゃくえむ。』に繋がった岩井澤健治のように、オリジナルアニメ映画を活用するというスタイルが増えても面白いかもしれんな」
次回は海外アニメーションについて語っていく予定

