令和初の記事は『キャロルアンドチューズデイ』の記事になります!!
平成最後も令和初も、うちらしくアニメの話でいきましょう
カエルくん(以下カエル)
「そういえば、平成最後がユーフォニアムだったけれど、どちらも音楽映画という意味では共通点があると言えるのかな?」
主
「描いているこちゃ劇場とテレビアニメの違いはあるけれど、どちらもチェックして欲しいね」
カエル「それでは、早速ですが感想記事をスタートさせましょう!」
感想
では、1話時点の感想はこちらです!
#キャロチュー
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年4月18日
キャロル&チューズデー1話を観た
控えめに言って神
ネトフリで世界に広めたいし、普段アニメを観ないシングストリートやスイート17モンスターみたいな少女の成長と音楽が絡むお話が好きな人にどうすれば伝わるのか考えなければいけない
必見です! pic.twitter.com/53lyPonpyq
今、1番見て欲しいアニメ作品です!
カエル「毎月行っているTwitterでの配信でも始まった直後で宣伝するくらいに好きな作品だもんね。
普段は映画の話ばかりで、劇場アニメはともかくとして、テレビアニメには全く触れてこないんだけれど、場違いなのがわかっていても言わずにはいらなかったくらいオススメしたい作品です!」
主「もちろんアニメファンにもオススメだけれど、それ以上に洋画ファンにオススメしたい作品だ。
特に思春期女子の物語という意味では『スウィート17モンスター』とか、音楽映画では『シングストリート』などのジョン・カーニーが大好きな人にはたまらない、最高の音楽&青春アニメになっているので、是非是非鑑賞して欲しい!
まずOPから普通のアニメと全然ちがうというのが絶対わかってもらえるはずだから!」
カエル「近年ここまでOPやEDだけでもオススメしたい作品ってなかなかないよね。
もちろん本編も見所が満載で、特に音楽シーンの楽曲や映像表現の美しさ、動きの滑らかに関しては折り紙付きの魅力がある作品です!」
主「Netflixで配信しているけれど、本気で世界を取りに来ているな、という気概を感じさせるし、それが夢物語ではなくできる作品だと思っている。
これほどの作品は……日本は近年音楽アニメ全盛期とも言えて、アイドルもの、バンドもの、果ては吹奏楽までたくさんあるけれど、そのどれと比べても見劣りしない、最高の作品だと思います!」
スタッフについて
総監督の渡辺信一郎について
今回は総監督に渡辺信一郎(通称ナベシン)が起用されているのも話題だね
世界を狙えるという理由の1つ! ナベシンの知名度って海外だとずば抜けているんじゃないかな?
カエル「それこそ今度Netflixでオリジナルドラマシリーズが放送される『カウボーイビバップ』であったり、それから『サムライチャンプルー』などの海外人気が高い作品を多く監督しています。
また近年では『ブレードランナー2049』のスピンオフであり、日本が中心となって制作されたアニメ作品『ブレードランナー2022』の監督も務めています」
主「とりあえず『ブレードランナー2022』は絶対に見て!
あのブレードランナー2049に感動したならば、この映画を見ないという選択肢は絶対にありえないし、特に作画アニメとしては現代の日本でも最高峰、世界を見渡してもここまでとてつもない作品は他にないってレベルだから!
それだけの超絶クオリティのアニメ作品を多く作り出している監督でもある」
カエル「世界的にも高い人気と知名度を誇る理由の1つだよね」
主「同時に、アニメ業界に対する多くの思いを抱えている監督でもある。
近年ではとてつもない実験作である『スペース☆ダンディ』を監督していたけれど、この作品がもたらした影響はかなり大きいと考える。
基本的な設定は同じだけれど、内容はほぼ各界の中心となるクリエイターに任せ、日本を代表する監督やアニメーターを多く起用し、様々な味わいの作品を生み出している。
今作がもたらした影響はとても大きいと思うし、同時に庵野秀明のスタジオカラーの『日本アニメ(ーター)見本市』や、また『ポプテピピック』にと並ぶ実験的手法の見本市でもあったんじゃないかな?」
世界のクリエイターを多く起用
今作ではそのアニメ界の常識を塗り替えるためなのか、海外のアニメーターやクリエイター多く起用しているよね
特に覚えて帰って欲しいのはBahi JDというオーストラリアのアニメーターだ
カエル「今作ではOPの絵コンテ、演出を担当している、まだ20代の若手のアニメーターだよね。
他作品だと『SSSS.GRIDMAN』の12話の戦闘シーンや、先ほど挙げた『ブレードランナー2022』にも作画で参加しています」
主「もうOPだけでアニメとしての完成度の高さに震えるよね。
最初に見た時はニューヨークを思わせる街並みで躍動する様子などが、同じくナベシン監督であり、こちらも神がかったOPの作画技術によって伝説となる『カウボーイビバップ 天国の扉』を連想させられてとても興奮した」
動きがとても気持ちいいんだ!
カエル「他の作品の作画などを見ても躍動感があるし、アニメの持つ派手な動きの魅力を最大限に伝えてくれるし」
主「その他にも世界観デザインにてロマン・トネ ブリュネ・スタニスラスが起用されている。2人とも『バスカッシュ』などでデザインを担当したこともあり、日本で実績のあるアーティストだね。
他にも音楽を担当するのはカナダ出身のMockyことドミニク・ジャンカルロ・サレロ。また歌唱担当もアフリカ系アメリカ人のナイ・ブリックスと東京出身のシンガーソングライターのセレイナ・アンであり、日本のみならず海外も視野に入れていることがうかがえる作品となっている。
多くの日本のスタジオは外部委託などで海外に発注することはあるとはいえ、メインスタッフには日本人を起用することが多い中で、このような思い切った海外クリエイターの起用というのは、これからのアニメ界には重要な事だと捉える」
カエル「それこそ2019年4月より公開中の『バースデーワンダーランド』のイリヤもそうだよね」
主「インターネットの影響もあり、気軽に海外のアニメ好きが日本のアニメに触れることによって国際交流が生まれやすい状況が生まれている。
Bahi JDも『攻殻機動隊』の影響などを受けているようだけれど、このようなクリエイターが次々と日本で制作を行うようになれば、いろいろなアニメが生まれて面白いことになるのではないだろうか?」
堀元宣監督など日本人スタッフについて
もちろん日本人スタッフも多く起用されており、こちらを忘れてはいけません
今回はどうしてもナベシン総監督ばかりに注目が集まってしまうけれど、堀監督のデビュー作としても見ものだな
カエル「堀監督は『ひるね姫』など多くの作品で絵コンテや作画監督、演出などを担当しており、今作がテレビアニメの監督デビュー作となります」
主「CMではアート引越しセンターの2分くらいの短編を監督した経歴があるようだけれど、そちらを見ても今作とつながる要素が感じられた。
例えば海辺の町を走る車やその風景などは今作につながるものがあるよね。他にも近未来……というにはちょっと技術が進みすぎているのかな? でもロボットやガジェットなど、SF的な要素と日常を組み合わせるのは本作にもつながっているように感じた。
これからどのような物語になるかはわからないし、ナベシンの影響がとても強いように感じるものの、堀監督らしさが見えてくるとまた面白くなるだろうね」
カエル「それから、キャラクター原案は日清食品のCMでスタジオジブリのキャラクターのその後などを描いた『アオハル』などで注目を集める窪之内英策が担当しています」
主「アオハルはもともとの作品のイメージもあって賛否が割れた感もあるけれど、でも自分は大好きだったよ。アニメーションの見ごたえもあったし、遊び心があったし。
今作では窪之内のキャラクターの魅力がとても出ていて、頭身の高い現代風のデザインだけれど、それが動くことによってある種のリアリティを感じるようになっているのではないかな。もちろん、斎藤恒徳のデザインもいいのだろう。
他にも『ひそねとまそたん』など、ボンズで作画監督などを多く担当している伊藤嘉之などの力のあるアニメーターの仕事もひかるのだろうね。この辺りはどうしても外野かやは見えづらいところだけれど、全体的に高いクオリティが維持されていることもあり、この先も期待できるのではないかな?」
作中について
本作の中のナベシン要素
では、ここからはスタッフ話を終えて作中について語っていきましょう!
まずは、多くの人が疑問に抱くであろう”火星設定”についてだね
カエル「作品を見る限りではほぼほぼニューヨークの街並みを舞台にしているし、確かに近未来感はあるとはいえ、わざわざ火星にする必要性までは感じなかったかなぁ……
今作の不満点として、このSF設定がいらないって声も聞こえるよね?」
主「これはおそらくナベシン総監督だからこその演出であり、その作家性の一部を反映させたものなのだろう」
カエル「……というと?」
主「今作での通貨の単位が『ウーロン』になっていたけれど、これはカウボーイビバップの中で使われていた単位でもある。ビバップも確かに宇宙を股にかけるカウボーイということで、SF的な描写あったけれど、街並みや普段の生活などはそこまでSFしているものではなかった」
カエル「制作された時代が時代とはいえ、レトログッズとしてビデオテープが登場したしね……あれ、ベータだっけ? まあ、どっちでもいいか」
主「たぶん、世界観としてはビバップと同じか、近いものがある。
技術も現代のものに近いし、確かにSF要素はあまりないけれど、でもロボットなどの設定やナベシン監督ファンがニヤリとするような要素をたくさん取り入れている。
特に4話はすごかったじゃない。
脚本に『スペース☆ダンディ』でも多くの話数を担当したうえのきみこを呼んでさ。近年では劇場版クレヨンしんちゃんシリーズでも活躍しているだけに、コメディ回としてとても笑えるものとなった」
カエル「ダンディのマスコットであるQTとかも直接登場していたしね」
主「それからゴンドラに乗るシーンがあるけれど、自分がダンディでも特に好きな21話を思い出したよ。
他にも様々なところでナベシンらしさが出ていて、それが面白かったかな」
特に目立つ”手”の演出
もちろん音楽シーンなどもいいけれど、それ以外で目立つ演出はどこなの?
自分は手の演出に注目したい
カエル「手の演出?」
主「そう。
まずは1話のラストだね。
ここではキャロルとチューズデイが最後にコンビを組むことで同意し、手を合わせるシーンが終盤にあるここで先に差し出し、準備をするのがキャロルであり、そこに合わせに行くのがチューズデイである。
たぶん、これって2人の関係性を表しているようにも思えるんだ。
つまり、キャロルが場や状況を整えつつ、ちょっと暴走しがちなところもあるチューズデイがエンジン役となる。そしてキャロルはそれに合わせる、というこれからの2人の関係性を表しているのではないか? という予感をさせる演出だろう」
カエル「そういう風に読み取れるんだね」
主「そして3話にてガスが仲間に加わった時、両手を差し出すガスに対して、2人はおずおずと手を差し出し、ガスが思いっきり手を合わせに行く。
これだけでもキャラクターの性格設定がうかがえるのではないかと思う」
カエル「一般論としても手の動きって感情を表すのによく用いられるし、心理学とかでも重要視されるもんね」
主「おそらく、今後誰かが仲間になるたびにこの手の演出は出てくるのではないか? というのが予想。
でもそれだけ、この演出は光っているんじゃないかな」
音楽シーンについて
今作最大の見所である音楽シーンについては?
もう最高の一言ですよ!
カエル「どの話数を切り取っても見所しかないというくらい音楽シーンが際立っているし、また今のところ4話まで全部のお話に演奏シーンが入るという豪華ぶりだよね。これが毎週楽しめるとしたら、相当レベルの高いものになるのは間違いないわけで……」
主「1話と2話は実際に演奏している2人の音楽とその様子をじっくりと見せてもらった。
あそこでは急に動きが滑らかになり、おそらくフルアニメーションなっている。それと、たぶんロトスコープだと思うんだよね……そうじゃないとしても、実際に弾いている人を参考にして作画をしているはず。そうでないとしたら、かなりの脅威の映像ということになる」
カエル「それだけリアルだったし、歌声が入ると一気に引き込まれるよね」
主「そして3話と4話ではPVや映画のワンシーンのような音楽シーンが入る。
特に3話の日常からの音楽というのは、とてもオシャレで映画のようでもあった。また会話でもあるけれど、洗濯機のぐるぐる回る様子などが彼女たちの動き始めた運命を予感させており、動的な魅力に満ちている」
カエル「そして4話の滅茶苦茶なPVになるわけですが…」
主「いや、あれはあれでレベルが高かったと思うんだよ。
確かに1つ1つはひどいシーンのオンパレードのようではあるけれど、鏡に写った2人のぐちゃぐちゃのアニメーションが会合するシーンは『Take on me』のようなことをやりたかったのかなって。それをあえてずらしに行くセンスもあるし、歌も入ってくるし、コメディのようでいて音楽やPVの持つデタラメだけれど力強い魅力を披露するシーンになったのではないかな?」
本作の中心となる”人間”と"AI”
多分、この作品は”人が作る音楽”と”AIの作る音楽”の対立がテーマになるような気がするんだけれど……
それはほぼ間違いないだろうね
カエル「1話や2話でも人間的な方法で音楽と作るキャロル&チューズデイの2人に対して、ライバルになるであろうアンジェラはAIを駆使して音楽を作っているようだもんね。
また”ガスの人を見抜く目は確か”という設定も、ガスは見抜いてはいるけれどAIを使えなかったり、その見出した人たちをうまくプロデュースすることができなかったとも受け取れるし……」
主「特にその人間とAIの対比が強く現れたのが2話だろう。
この話の流れを簡単にまとめると以下のようになる」
キャロルとチューズデイの目覚め(日常)
↓
アンジェラの音楽制作(AI)
↓
キャロルのバイトの失敗と2人の深まる友情
↓
アンジェラのボイストレーニング(AI)
↓
キャロル&チューズデイの歌唱シーン
カエル「ちょっと大雑把にまとめているけれど、AIと人間の対比を行っているんだね」
主「この社会になっても変わらない人間の感情……つまり、お葬式での失敗というのはSFのようなこの世界においても人間の営みは変わらないことを示しており、最後はキラキラ光る水面の近くで走るけれど、2人の生き生きとした様子が伝わって来る青春の物語らしいワンシーンだろう。
一方でアンジェラはAIの力を借りる現代的な手法で音楽を制作することとなっている。この対比がとてもうまくいっているんだ」
4話で描かれたAIの力
じゃあ、このコメディチックな4話にも意味はあったの?
基本的には笑いを取りに行く日常回ではあるけれど、やはりAIと人間の対比を描いているのではないだろうか?
カエル「性能はあれだったけれど、あれだけ何でもできるロボットがあるというのはすごい話だよね……しかも、すごく安いわけでちゃんと動きはするわけだし」
主「AIだからといっても全てが完璧に動くわけではない、ということでもあるし、また機械だからといって必ずしもシステマチックに動くものではない、ということでもあるのだろう。
あのポンコツロボットはあまりにも人間的すぎる。
この先もまた登場して、憎めないマスコットキャラクターになってもいいのではないか? というくらいだよ」
カエル「3話のアーティガンはどのような存在になるのかまだ読めない部分もあるけれど、本人はAIの力で成り上がったという話もあるけれど、ここから先どのような作品になるんだろう……」
主「おそらくは”人間の持つ音楽の力”をアピールしていくのだろうとは思う。だけれど、まだアンジェラの曲が出てきていないし……今の所、おそらく2話で1つのエピソードという構成のように感じられるから次の5、6話でアンジェラの曲を出すのではないか?
特に6話は2クールということで全体の1/4、1クールの半分ということで大きく動かしてくると思う。
ここでアンジェラの曲を出す可能性が高いと予想する。
そこからが本格的な第2章……キャロル&チューズデイとアンジェラの戦いになっていくんじゃないかな?」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 音楽や映像の魅力に満ちた音楽アニメの傑作が登場!
- 渡辺信一郎総監督や海外のクリエイターなどのスタッフの腕が光る!
- 手の演出などが多くの感情やキャラクター設定などを物語る?
- ”人間”VS”AI”の対立の物語となるのだろうか?
今後も楽しみな音楽アニメです!
カエル「あと、2話のラストなんかは海外の方に伝わりやすいようになのか、名作映画の『シャイニング』のオマージュもあったね」
主「もしかしたら気がついていないだけで、いろいろな話があるのかも。少し調べると出て来る音楽家やミュージシャンでも海外勢は反応しているようだし。
自分は洋楽に全く明るくないからワカランチンですが、そのような見方も面白いかもしれません」
カエル「今後の物語にも期待ですが……更新は毎週ではなく、だいたい一月に1回くらいのペースになるのかな?」
主「語りたいことが増えてきて、余裕があるようならば今後も書いていきます!」