カエルくん(以下カエル)
「えー、ここ最近ですがTwitterで話題のサービスである『質問箱』を始めてみました」
ブログ主(以下主)
「なんか人気者になった気分だね! やったね!」
カエル「……自己顕示欲?
そこで寄せられた質問にこんなものがあったのでご紹介します。
『アニメ初心者なのですが、見ておくべきアニメ映画はありますか?』だって」
主「よくよく考えてみたらそういう『初心者にオススメのアニメ映画!』って記事は書いていないんだよね。もちろん、好きなのもを楽しんで見ればいいけれど、初心者だと『好きに』というのも難しいものだしさ」
カエル「というわけで、今回は初心者にオススメのアニメ映画について紹介していくことにしますが……まずは選ぶ基準から説明していくこうか」
主「条件は以下の3つ
- 2000年以降の作品
- ディズニー/ピクサー、ジブリ作品は除外
- 単独で成立している作品(シリーズものは除外、2や3はOK)
まず古い作品は手に取りにくいところがあるだろうから、2000年以降と比較的近代の作品から選びます。
また有名なディズニー/ピクサーやジブリはそればっかりになりそうなので除外。
そしてテレビシリーズものや事前知識が必要な作品は除外するものの、2や3と映画としての続編がある作品は対象になります」
カエル「簡単に言えば、最近作られた映画だけで完結している作品たちってことだね。
それでは初心者にオススメのアニメ映画を紹介していきます!」
1作品め
東京ゴットファーザーズ
オススメポイント
世界に影響を与えた今敏監督作品!
カエル「では、まず1作目にあげたのが今敏監督の東京ゴッドファーザーズだけれど、いきなり初心者向けというには個性的な作品が出てきたね」
主「でもさ、今敏監督作品の中では1番万人受けすると思うんだよ。他の作品だと構造がややこしかったり、意味がわからない描写がある作品もあるけれど、でも本作は基本的には東京の街に暮らすホームレス3人の人生模様を描いている。
それこそ、邦画などを見慣れている人の方が面白さがわかりやすい作品なんじゃないかな?」
カエル「今敏監督はあのノーランの『インセプション』であったり、また『ブラックスワン』などでも類似性を指摘されていて、世界的な映画監督に敬愛されるアニメ監督であるよね」
主「残念ながら40代で早逝されてしまったけれど、その実力は折り紙つき。現在も存命だったら間違い無く世界が注目する才能になっていただろう。
そういった日本のアニメの特異性を知る上でも、そして何よりも『楽しい』という意味でも初心者にオススメしたい1作だね」
2作品め
時をかける少女
オススメポイント
- アニメ映画界の中心にいる細田守の代表作!
- 王道のボーイミーツガールストーリー
カエル「次は初心者には王道中の王道とも言える、細田守監督の大傑作アニメ映画です!
まあ、この作品は外せないよね」
主「何と言っても細田守は今のアニメ映画業界においてその中心にいる存在だからね。なんだかんだ言っても細田守が次の国民的アニメ監督になれる可能性が1番高い人物であることは疑いようがないだろう。
まあ、それが良いか悪いかは別として」
カエル「この映画って筒井康隆が原作ということもあって、何度も映画化されているじゃない?
その度にいろいろな味が変わる作品でもあるけれど、根底は王道の物語でもあって、多くの人に受け入れられやすいんじゃないかな?」
主「本作自体は小説を原作としながらも展開自体はオリジナルの作品ではあるけれど、SF描写の甘さなどはあるにしろ、大筋の物語自体がとてもわかりやすくて魅力的。万人に受け入れられやすい作品になっています」
3作品め
河童のクゥと夏休み
オススメポイント
クレヨンしんちゃんなどで有名な原恵一作品!
カエル「そして河童のクゥと夏休みが登場したけれど、原恵一監督作品はもっと高く評価されていいと思うんだよね……
それこそ、本作以外でも『カラフル』などもアニメ初心者にオススメできる上に、教育的な題材が盛り込まれた作品であったし……」
主「原恵一監督って誰? という人には『オトナ帝国の逆襲』や『アッパレ!戦国大合戦』などを作った監督だといえばわかりやすいんじゃないかな?
上記の細田守監督が注目を集める一方で、原監督も決して劣らない傑作を次々と制作しているのに、なぜか興行的にはヒットしない不遇の監督でもあって……」
カエル「この辺りは興行の難しさも絡んでくるから一概に答えられない部分でもあるけれど、部外者ながら若干歯がゆく思う時もあるよね……」
主「だけれど、その内容はもちろん一級品だし、誰が見ても感動できるので是非とも鑑賞してほしい作品です」
4作品め
つみきのいえ
オススメポイント
- 15分ほどと圧倒的に短いアニメーション
- 世界が絶賛した日本人クリエイターの作品
カエル「ちょっと異色な作品が出てきたかもしれないけれど、世界中で話題になったつみきの家をここで選出するんだ」
主「日本の『アニメ』と世界の『アニメーション』というのはまた違うものなんだよ。自分はこの言い方はあまり好きではないけれど、アニメーションは若干アート寄りな印象がある。この作品も一般的なアニメとは違う味わいがあるんだけれど……その手のアートアニメーションは、アニメに見慣れているからというのもあるかもしれないけれどとっつきにくい作品もあるんだよね」
カエル「それこそ『芸術的』なんて言葉で誤魔化されそうだけれど、娯楽性の少ない作品もいくつかあるわけだしね……」
主「本作はそのような要素があまりない。
色鉛筆で描かれた世界は息をのむほど美しく、そしてセリフが一切なくても多くの人が理解して、想像する物語に仕上がっている。
日本の伝統的な価値観に基づく『アニメ』とは違う世界を楽しむ上でも、ぜひ鑑賞してほしい1作だね」
5作品め
イヴの時間
オススメポイント
- アトムから続く人間とアンドロイドの関係性の作品
- ハリウッドでも多く扱われる人間とは何か? をテーマとした作品
カエル「ここでちょっとそれまでの作品に比べるとオタクには有名な作品って感じのイヴの時間が登場したね。
この絵柄などもあって萌え系の作品と思われがちだけれど、その内容はしっかりとSFの作品でもあります」
主「今でも注目されているSF映画のトレンドの1つが『ロボットと人間の境目』を探す作品だと言ってもいい。例えば『har 世界で1つだけの彼女』や『ブレードランナー2049』などは人工知能との恋愛についての物語でもある。この人間とロボットの間に愛情が伴うのだろうか?
そして人間とロボットの差とは何か? ということを提示している」
カエル「他にも色々な要素があって、読み取り方としては差別の問題も扱っているし、またロボットに対する恐れを抱いている人間側の問題もあって……
深い物語でもあるよね」
主「そして本作は配信された作品を1つにまとめた作品だけれど、総集編感も特にない。もともと各話15分の全6本だから1時間半ほどの長さに収められているけれど、次から次へと物語が移行していくから、飽きることなく鑑賞することができる。
萌え成分もあるけれど、過剰ではないので初心者でも見やすいし、豪華声優陣の演技だけでも楽しめる作品になっています」
6作品め
くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
オススメポイント
- 誰でも楽しめるハートフルで優しい世界の物語
- 手書き作画の味が楽しめる
カエル「これは意外な選出かもしれないね。このラインナップでは初めて日本以外の国が制作した作品が登場したけれど……」
主「自分はまだ子供がいないけれど、もしも将来子供が生まれたら絶対に見せてあげたいアニメーションの1つがこの作品でね。
とても優しい世界観と、多くのメッセージ性を兼ね備えた大傑作でもある。
もちろん、それだけではないんだよ。今の海外アニメはCGアニメが増えてきていて、アメリカを中心にその波が大きく押し寄せている。手書きとCGアニメは必ずしも対立する関係性にあるものではないとはいえ、レベルの高い手書き作画のアニメーションは徐々に減っているようにも思うんだ」
カエル「デジタル化によってより多くのアニメーション作品が生まれている一方で、高いレベルの手書きアニメは廃れて始めているという懸念は多く叫ばれているよね……」
主「それ自体は時代の流れで仕方ないのかもしれないけれど、これだけレベルの高いアニメーションはそんなに多くないと思う。
もちろん、過去にはたくさんあるけれど、2010年代の作品では屈指のレベルにある作品だろうね」
7作品め
GAMBA ガンバと仲間たち
オススメポイント
- 日本のCGアニメだって世界に負けないクオリティ
- 動物たちの王道ストーリーが胸を熱くする
カエル「そして日本のCGアニメであるGAMBAだけれど、日本だとちょっと興行的にも伸び悩んだ感もあるよね……」
主「確かに『今更ガンバかよ』という声もあっただろうし、このCGアニメが受け入れらないという人もいるかもしれない。過去のアニメ版のガンバはとても高い評価を受けていて、名作という人も少なくない作品だ。
そんな作品と比べると確かに落ちる部分は若干あるかもしれないけれど、でも自分は是非とも初心者にもオススメしたい作品だね」
カエル「ちょっと物語が走っている部分があったりするけれど、基本的な王道ストーリーは変わらないし、見ていて胸が熱くなってくるよね」
主「日本のアニメはどうしてもCGよりも手書きのような質感の作品が印象に残ってしまうけれど、白組が制作したGAMBAは決して日本のCGだってレベルが低くない! ということを証明した作品でもあるから、その海や空、鳥などの美しい映像に酔いしれてほしいね」
8作品め
君の名は。
オススメポイント
- 圧倒的な映像美! あれだけのヒットは伊達じゃない
- 音楽と萌えとストーリーのアニメの快感が見事に融合
カエル「そしてここで君の名は。だね。やはりこの作品は欠かせない?」
主「そりゃあね。あれだけヒットして色々な声があるけれど、やはりあれだけの映像美と圧倒的なアニメの快楽性は無視することができない。
何よりもこれからの時代でさらに注目を集めるべき監督である新海誠の代表作でもあり、その集大成としても評価は高い」
カエル「逆に初心者が見るには有名すぎて敬遠されてしまうかもしれないけれど、どのポイントに注目するの?」
主「もう全て。
圧倒的な映像美とRADの音楽が組み合わさった時の快楽性だね。
アニメって音楽との融合を見せた時の快楽性がとても強くて、ディズニーなどはその多くがミュージカル要素を含んでいる。
キャラクターの入れ替わりのときの動きだったり、細かい所作も含めてレベルの高い1作になっているから、楽しんで鑑賞してください」
9作品め
SING
オススメポイント
- 動物たちが歌って踊る、ミュージカルな面白さ
- CGアニメーション制作会社、イルミネーションエンターテイメントの代表作
カエル「昨年公開で多くの人に支持されたSINGがここで登場だけれど……その理由はやはり面白いから?」
主「上記の作品とかぶってくるけれど、既存の有名な音楽に合わせて動物たちが歌い踊るというのはやはり大人も子供も一緒になって楽しめる要素でもある。吹き替え版も字幕版もどちらも傑作で、2回以上見たくなるというおまけ付きだね」
カエル「何よりもイルミネーションエンターテイメントって会社が制作しているというのがポイントだよね。
ここは今やアニメーション映画ではディズニー/ピクサーの次にヒットしているのでは? と思わせるものがあるし、ここ数年では1番伸びている会社でもあるよね」
主「ミニオンなどでも有名なキャラクターを生み出している新進気鋭の会社であり、おそらく今後の世界のアニメーション映画界では重要な立ち位置になるであろう制作会社でもある。
その意味でも代表作になるであろうSINGは是非初心者の方にも鑑賞しておいてほしい。
今、最もノリに乗っている会社なので」
10作品め
夜明け告げるルーのうた
オススメポイント
- 世界的に高い評価を受ける湯浅政明のオリジナル作品
- flashで作られたこの作品の色彩と発想力豊かな表現に注目
カエル「これも主の好みが出た形になるのかなぁ……昨年公開されて、海外では賞をいくつも受賞するなど高い評価を受けた湯浅政明監督のオリジナルアニメ作品だね」
主「自分が大好き! というのもあるけれど、やはりこの色彩豊かなオリジナリティ溢れる作品というのはなかなかない。日本のアニメ業界ってレベルが非常に高いけれど、やはり萌え文化などが世界的にはガラパゴス化しているように見える時もあり、オタクが見る映画だ、と称されることもある。
だけれど、湯浅政明監督作品はその日本のアニメの良さと、世界基準のアニメーションの良さが見事に融合して、どちらもいいとこ取りしているような面白さがあるんだよ」
カエル「他の監督などとは違ってみただけで『あ、湯浅作品だ!』ってわかるよね」
主「今作も脚本の賛否が割れるけれど、自分は今の時代に……311以降に作られて意義も大いにあり、さらに誰よりも優しい物語として非常に重要な作品だとも思う。
もちろん音楽との融合などの面もレベルが高いし、エンタメとして優れた作品でもあるので、初心者にオススメしたいね」
最後に〜その他の候補作など〜
カエル「では、これで紹介を終えるけれど……意外と押井守作品が出てこないという……」
主「押井作品ってアニメにある程度慣れてこないと難しいものがあるでしょ?
それに2000年以降は『イノセンス』にしろ『スカイ・クロラ』にしろ癖が結構強いし……
他にも迷ったのはOVAだから除外したのは『流浪に剣心追憶編』だし、『ヒックとドラゴン』『聲の形』『この世界の片隅に』『KUBO 二本の弦の秘密』などもかなり見所もあって、オススメしたいところではあるけれど、今回の10選からは外しました」
カエル「もちろん『あれがない』とか『これがほしい!』『これはおかしい!』という声もあるでしょうが、今回はこの10選とさせていただきました」
主「シリーズ物以外のアニメ作品も最近は多く制作されているし、これからもっと多様性が出てきて面白くなりそうな気配もあります。
世界に目を向けると色々なアニメーションが出てきていて……これからも目を離せない分野であるのは間違い無いでしょう!」
カエル「もちろん、『楽しい』というのが1番なので、ぜひ好きな監督やスタジオを見つけてください!」