物語る亀

ネタバレありの物語批評

日本アニメ100周年記念! 日本アニメ史を代表する10作品選んでみた! 

カエルくん(以下カエル)

今年はアニメが誕生して100年という歴史的な年でもあります。

 でも、実は意外とアニメ好きの間でもその事実を知られていなかったりして……」

 

ブログ主(以下主)

「そもそも、今確認されている日本最古のアニメーション作品が何なのかわかる人が、どれだけいるのかね?」

 

カエル「戦前にアニメなんてあったの? って思う人も多いだろうしね。それこそ、日本初のアニメーションは鉄腕アトムって答える人が過半数を超えるんじゃないかな?」

主「いま確認されている中では日本最古のアニメーションは『なまくら侍』で、こちらはフィルムが2008年に骨董市で売られていたところを発見し、今でも鑑賞することができる。誕生から90年過ぎてもフィルムを発見できたことも驚きだけれど、100年過ぎても鑑賞することができるのは、歴史的にも大事なことだね」

カエル「そんな日本アニメ史で『これは大事だろう』という作品を選定するというのが今回の趣旨だけれど……」

 

主「ちょっと前に新潮芸術という雑誌で『日本アニメベスト10』という企画があって、これが批評家が選んでいるから大体納得出来るものだったけれど、じゃあ自分なら何を選ぶだろうか? ということを考えた結果が今回の記事になります。

 はっきり言いますが、意外性は全くないです!

 そりゃそうだろう……という作品が続いているのは間違いない。多分、あれがない、これがないという意見はあるにしろ、このラインナップ自体は文句があまりないのではないかな? と」

カエル「どんな選択をしても文句が出るだろうけれど……最近よくある人気のアニメを並べました! ってだけのランキングではないよ、ということだね

主「あと、個人の好き嫌いなどは除外しています。

 では記事のスタート!」

 

 

 

 

芸術新潮 2017年 09月号

 

これまでのアニメを彩る6作品

 

1作目

 

鉄腕アトム

 

鉄腕アトム Complete BOX 1 [DVD]

 

カエル「おお……まあ、この作品は入るよねぇ」

主「本当は戦前のアニメーションということで日本初のアニメーションである『なまくら侍』とか、あとは日本最初のセル画アニメーションの『くもとちゅうりっぷ』なども考えたけれど……やはりアトムかなぁ。

 ちなみに戦前のアニメの大半は切り絵を動かすアニメーションで、これが今の絵を動かすアニメとは趣が違うながらも味があって、私は結構好きです。現代でも結構参考になりそうな表現だなぁ、と思ったりもしていて、中には切り絵とは全く思えないような作品もあるので、一見の価値ありです」

 

カエル「で、アトムの話だけれど……やっぱり今の、特にテレビアニメの基礎となる部分は多くあったという評価なの? 功罪は色々あるけれどさ……」

主「……誤解を恐れずに言うけれど、日本のアニメって粗製乱造の玉石混交なんだよ。

 聳え立つ駄作の山の中から、キラリと光る名作が生まれている。

 それは現代でも同じで、毎期50作品を優に超える数のテレビアニメが始まるけれど、じゃあ1年後も語られている作品や、予算的にペイできた作品は? と聞かれると……10%から多くても20%くらいじゃないかなぁ?

 この流れは手塚治虫がテレビアニメを始めたことの影響も大きいんだよ」

 

カエル「罪の面も多く語られるけれど、功績というと?」

主「まず、何よりも安く受注したこと。アニメは金がかかるけれど、大量に生産される礎はこれでできた……まあ、罪でもあるけれどさ。

 そのために色々な工夫を重ねて、例えばバンクシステム(OP,ED,変身シーンなどの使い回し)だったり、リミテッドアニメーション(作画枚数を節約するなどコストを減らすアニメ)を確立した。

 そして日本初のテレビアニメが漫画原作ということで漫画からアニメ化のハードルを低くしたし、さらに手塚治虫作品ということでアニメ=子供が見るものの意識は変わらなかったけれど、物語に深さはあるよね」

カエル「ふむふむ……色々あるんだねぇ」

 

主「もちろん、罪もたくさん。

 今のアニメーターをはじめとしたアニメ関係のクリエイターが儲からないのは手塚の責任もある。だけれど、じゃあ手塚がそうしなかったら……東映動画の『アニメの良心』と呼ばれる人たちだけの動きならば、おそらくここまでの発展はなかった。

 日本のアニメ業界はトキワ荘などの漫画家達の奮闘もそうだし、東映動画出身者達のような良心と呼ばれる人たちのクオリティへの努力や、テレビアニメの限界ギリギリの締め切りとコストとの戦い……そういったいくつもの要因が重なって今につながっている。

 その中でも、やはり手塚治虫や鉄腕アトムが残したものは無視できないんだよ。

 日本の『アニメーション』からの『アニメ化』はアトムから始まったといっていいんじゃないかなぁ?」

 

 

 

2作目

 

宇宙戦艦ヤマト

 

宇宙戦艦ヤマト DVD MEMORIAL BOX

 

 

カエル「これまた、今でもリメイク企画が続いている作品だよね」

主「自分は当時のことを知らないからあれなんだけれど……当時のことを振り返ったインタビュー記事などを読むと、やはりヤマトの存在感は非常に大きい。

 それまで『子供向け』のアニメばかりだった日本のアニメが、一気に大人も熱中し始めたのもやはりヤマトの影響は大きくてね

カエル「ヤマトって何がすごかったの?」

 

主「SFとしての作り込みだろうね。

 今のアニメ界はどちらかというとSFよりもファンタジーだったり、あとは日常劇が主だけれど、やはりSFも変わらず人気のジャンルだろう。

 当時のSFの人気は今の比じゃないほどであって……そうだなぁ、大体60代前後くらいのアニメ関係者ってSFか軍事オタクばかりな印象がある。で、ヤマトの素晴らしさというのは『作り込みの深さ』なんだよね」

カエル「設定が深いとか?」

 

主「謎のビーム! とかじゃなくて波動砲にもちゃんとした発射シーケンスなどもあって、軍事的にも理にかなっていると評価されている。

 そういうところが『子供だまし』ではないということで……アニメの深化に貢献していることだね

カエル「今でいうと『ガルパン』の戦車の描写がすごい! などの元祖みたいなことなのかなぁ?」

  

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3作目

 

機動戦士ガンダム

 

機動戦士ガンダム Blu-ray Box

 

カエル「そしてガンダムに続くわけだ」

主「ガンダムもリアルタイムでは全く視聴していないけれど、でもスパロボとかをやっていると影響はわかるんじゃないかなぁ?

 それまでのロボットだったり、戦闘ものは『正義VS悪』の戦いだったんだよ。それは先述のヤマトもそうでさ、ガミラス側も悪としての一面が強調されていた。地球人側は地球を救うためにイスカンダルを目指す……などという、自衛のためであり正義のように描写されている。

 だけれど、ガンダムには『正義』ってものがないんだよね

 

カエル「ガンダム以降は『リアルロボット』という呼称が出てきたりしているけれど、じゃあ何がリアルなのか? と聞かれたら人間の描写であったり、戦争の描写であったり……ということだもんね」

主「アムロの所属する連邦も正義の味方というわけではなくて、様々な思惑もあるし悪どいこともやっている。もちろん、ジオンもそれは同じだけれど、ジオンもいい人もいれば悪い人もいる。そんな単純に物事というのは割り切れるものではないんだよね。

 他にも人間の色々な面を描こうとしていたり……ガンダムを文学と称する人もいるんだけれど、その理由は様々な試みがあるからなんだ

 

カエル「富野由悠季は『アニメを見るな! 演劇や文学を読め!』と言っているしね」

主「それは例えば『ザンボット3』などを見ればわかるじゃない? 子供向けのスーパーロボットアニメでありながら、様々な制限の中で最大限のドラマを描いていて、未だに伝説の作品になっている。そしてそこからガンダムやイデオンへと続いていくわけだ。

 『キャラクター』から『人間』への脱却が始まったのもガンダムだと思うし、ヤマトと同じくより業界を深化させたという意味でも絶対に欠かせない作品だね

  

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4作目

 

うる星やつら2 ビューティフルドリーマー

 

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

 

カエル「おお! ちょっと意外な作品が入ってきたかも!」

主「数ある押井作品の中でも自分が1番評価しているのがこの作品であって……もちろん、アニメ史からしても重要な1作だろう

カエル「でもさ、なんでBDなの? 押井作品というだけならもっと色々あるだろうし、それこそ劇場アニメの括りだったら名作はいくらでもあるけれど……」

 

主「まず大事なのは本作が『うる星やつら』の劇場版であるということ。つまり、漫画原作のアニメ映画であるんだよ。ということは制約もたくさんある。だけれど、この作品は原作者もケチをつけたというほどの強烈な作家性と、うる星やつらという世界観をぶち壊すほどの力がある。

 ある意味では富野由悠季と同じ評価だけれど……押井守はやはり『映画監督』なんだよ。アニメ監督を志向して業界に入ってきたわけじゃない。

 日本の『アニメ』『映画』にしたのは、間違いなく押井守と本作の功績なわけ

 

カエル「え? でもさ、これ以前にも色々なアニメ映画はあったじゃない?」

主「でも戦前や東映動画制作のものも含めて、言葉は悪いけれど子供だましな作品が多いでしょ? いや、子供を騙すのってかなり大変だし、今見ても通用する素晴らしい作品もあるけれど、でも大人が見るものではないという認識だったわけだ。

 でも1つはっきりと言えるのは、この作品は大人が見ても楽しめます。むしろ、子供やうる星やつらのファンは楽しめないと思う。

 そして本作から『パトレイバー』だったり『攻殻』だったり、あとは他監督だと今敏とかさ、『映画を撮る』という流れになっていく。

 この作品が生まれなかったら、大げさじゃなくて世界の映画業界が変わっていた可能性は大いにあり得るんだよ。

 これが自分がBDを最大限に評価する理由かなぁ」

 

 

 

 

5作目

 

新世紀エヴァンゲリオン

 

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カエル「まあ、この作品は入るよねぇ」

主「……でもさ、エヴァって何がすごかったんだ? と言われるとよくわからないというのも事実なんだよなぁ

カエル「えー? あれだけ多くの人が語っているのに?」

主「もちろん、自分も大好きな作品でアニメ史にも残ると大絶賛するよ。1995年という年はここ100年では自分は1945年の次に重要な年だと思っているけれど、それだけ社会が震撼した年でもあるんだよね。激変した年だと言っても過言じゃない。

 その先が見えない不安定感であったり、少年少女たちの思春期特有の悩みであったり……あとは先進的な映像演出であったりと、様々なことに影響を与えていて、それは今でも有効だという力強さもある

 

カエル「でも何がすごいのかよくわからないんでしょ?」

主「……なんかさ、色々と語り口がありすぎてどれも正解なんだけれど、どれも的を得ているとも思えないんだよ。

 例えば氷川竜介などは『アニメとは何か、ということを語った作品』と語っていて、確かに最終話はその面でも素晴らしいんだよ。詳しくは割愛するけれど、この動きは今の世界のアニメーション業界にも通じるところがある。

 でもそれだけではなくて……群体の中の個人とか、個人の中の群体とかそういうある種の哲学論争にもつながってくるところがある。

 岡田斗司夫が語っていたけれど『アニメを作るスタッフも演者も観客すらも一体化させようという作品だった』というのも、ある種のトンデモ理論のようだけれど、かなり的を得ているような気もしてくる。

 個人的には1番語るのが難解な作品でもあると思うな」

 

 

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6作目

 

涼宮ハルヒの憂鬱

 

涼宮ハルヒの憂鬱 ブルーレイ コンプリート BOX (初回限定生産) [Blu-ray]

 

カエル「ここでハルヒが来るんだ……」

主「多分、このあたりがそこそこ年齢を重ねたベテラン評論家との意識が違うところで、自分はハルヒの影響力の高さを肌感覚で知っているんだよ。それは今のアニメ界のみならず、ネット文化やラノベ界すらも一変し、オタク界大きく塗り替えたという意味で非常に重要。

 あの時、アニメ業界はたった一夜にして激変したんだ」

カエル「……え? それはハルヒのある話が変えたってこと?」

 

主「そう。それが今でも伝説の神回と言われる『ライブアライブ』の回なんだれど……自分もリアルタイムで観ていたんだよ。文化祭の話なんだけれど、お話自体は退屈なの。周囲のキャラクター達は楽しんでいるけれど、主人公のキョンはそれのお祭りの空気感にうまく馴染めない」

カエル「あー……割とあるあるだよね」

主「そのシーンを観ていて、自分もキョンと同じような気持ちになっていたのね。今回は退屈な回だなぁ、なんて思っていたら……あのライブシーンですよ。

 あのライブシーンで世界は一変した。

 今見ると技術的には『引きの絵や観客の描写が多いなぁ』とか『手元を映すシーンは少しだなぁ』と思うところもあるし、もっと素晴らしいライブ描写はあるかもしれない。だけれど、衝撃度では今だに1番だね

 

カエル「人気の作品ということもあるけれど、話題に挙げる人も多いよねぇ」

主「この衝撃がなければ、今のアイドルアニメやバンドアニメブームもなかったかもしれない。『アイドルマスター』も……ゼノグラシアのような別の形になっていたかもしれないし『ラブライブ』『うたプリ』もなかったかもしれない。

 そして当時は電車男ブームが来て、そこからオタクブームに派生していって……それまで陰キャラの代表格だったアニメやオタクという趣味が……一時は『10万人の宮﨑勤』とまで言われて、犯罪者予備軍の扱いだったのが一般的な趣味になってきたのもこのころ。

 さらに『ニコニコ動画』が始まって、踊ってみた、弾いてみたなども生まれた。それらのオタク業界が一変した現象の象徴がハルヒなんだよ

 

カエル「……主なんかはよく『ハルヒ以前と以後でオタク像は変わってしまった』と力説しているもんね……」

主「それ以降一気に萌えブームも加速して、2005年以前にあったような……『岩窟王』や『LASTEXILE』みたいな挑戦的作品であったり、『ガングレイヴ』などの漢らしい作品や『プラネテス』などの大人向けの深い作品が影を潜めてしまい、苦々しいところもあるんだけれどさ……

 でもハルヒというのは近年のアニメ史を激変させたという意味でも、その象徴としても重要な1作だろう

 

 

 

 

これからのアニメ史を支える4作品

 

カエル「ここまでは日本のアニメを作ってきた6作品という評価だったけれど……ここからは?」

主「今の100年過ぎた日本アニメの最先端の作品と、そしてこれからの日本アニメの方向性を占う上で重要な作品ということで4作品あげてます。

 特に後半3作品は近年の映画だけれど、自分は今のアニメ業界でも最先端にあるアニメという評価です」

 

 

 

7作目

 

魔法少女まどか☆マギカ

 

「魔法少女まどか☆マギカ」 Ultimate Best(期間生産限定盤)

 

 

カエル「そしてまどマギの登場だね。

 実は放送当時は『放浪息子』を大絶賛していて、テレビシリーズはそこまで評価していなかったけれど、劇場版を見て大絶賛に変わったんじゃなかったっけ?

主「いや、まあ、そうだけれどさ……

 まどマギが素晴らしいのは『アニメ業界の幅を広げる』試みなんだよね。自分がよく語るのが『アニメ業界における日本のガラパゴス化』であって、確かに日本のアニメのクオリティは世界屈指だし、キャラクター人気も非常に高い。海外の映画を見ていると子供たちが日本のキャラクターで遊んでいることもザラだしね。

 日本にいると気がつきにくいけれど、国産のキャラクターやおもちゃが8割以上おもちゃ屋やゲームショップに並んでいる国って実はかなり珍しい。もしかしたら、日本とアメリカだけじゃないかな?

 だけれど、その一方で……『型にはまっている』と思うことも多い

 

カエル「萌えが重視されすぎていて、海外では日本アニメ=オタク向けのアニメだという認識をされているという話もあるよね……」

主「その中でも湯浅政明であったり、シャフトなどはアニメ表現の幅を広げようと挑戦している。例えば本作だと『イヌカレー空間』とも呼ばれる、現代アートのような表現も駆使している。

 しかも既存の萌えとの融合を果たしながらも、きちんと物語としても面白いという奇跡的なバランスの上に成り立っているわけだ。エンタメとして、商業として成立しているというのは非常に重要」

カエル「芸術家肌の挑戦をしていても、面白くない作品っていっぱいあるもんね……」

 

主「映画が公開された2013年は『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』などもあってアニメが大豊作の年なんだけれど、自分は本作もその中の1つとして絶対に外せない作品だと思っている。

 日本アニメ業界が既存のファンが気持ちのいいと思うような表現……つまり萌えを意識した型にはまった表現を重ねるようにも見える中で、シャフトはこの映画において新しい価値観を提供している。しかも虚淵玄の脚本や梶浦由記の音楽などの味もしっかりと活かしている。

 これはこの後、さらに10年後、20年後に意義のある流れになっていくんじゃないかな? そういった挑戦する姿勢を代表して、まどマギを選びました」

 

 

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8作目

 

君の名は。

 

君の名は。

 

カエル「おお……ここで2016年1番のメガヒット作品が登場した……

 ちょっとこのラインナップでは賛否が出てきそうだねぇ」

主「自分が君の名は。を評価するのは、もちろん人気バンドであるRADを起用したことなどもあるけれど……1番は新海誠の存在なんだよ

カエル「え? 作品ではなくて、新海誠監督個人を評価しているの?」

 

主「今までのアニメ監督というのはどこかの会社に属して、動画から始まって原画、作画監督、演出と上がっていって監督を務めることが多かった。まあ、動画から原画は数年らしいけれど、よほどの運や事情や腕がないと監督になるのは……40手前って印象かなぁ。

 新海誠はそういう流れに沿っていないんだよね。元々は個人製作で注目を集めて、徐々にスタッフを集めても少人数方式で映画を作り、長編や短編を重ねていった。

 そして君の名は。を公開することで大ブレイクするわけだけれど、日本中の誰もがこんな状況になるなんて思ってもいなかった」

 

カエル「去年の公開前に、このブログでも『新海誠の代表作になる』と観る前から断言していたけれど、ここまでヒットするとはねぇ。ちょっと心配になるレベルで……」

主「ただ、この流れ時代が新しいものであって、近年は世界的にデジタル化の影響によってアニメーション制作のハードルが下がってきている。

 その中で個人で製作された作品が評価された監督が、約15年ほどで国内トップクラスのクリエイターへと成長したわけだ。もちろん、経験豊富なスタッフの支えもあったとはいえ、この流れ自体が新しいものになっている。

 じゃあ、この流れは今後も続きますか? と問われたら、新海誠以降続く人がいないのも現状だけれど……でも個人製作、ネット配信からの躍進などの新しい道を示したということもある。

 もちろん作品クオリティの高さもあるけれど、この流れは今後も注目していきたいところだね」

 

 

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9作目

 

聲の形

 

映画『聲の形』DVD

 

カエル「このブログでは2016年トップクラスに大絶賛した聲の形が登場!

 やっぱり個人的なお気に入りということもあるんだろうけれど……」

主「いやいや、それだけじゃないって!

 アニメの魅力にはいくつもの種類があって、邦画のようなリアリティのアニメもその1つである。

 例えば……そうだな、ちょっと前の作品だと『人狼』『るろうに剣心追憶編』などはかなり邦画のような、人間の動きなどに力を入れた骨太なアニメだったよね。

 テレビアニメだと近年では『放浪息子』『月がきれい』などがこの流れに入ってくるだろう。アニメだけれど実写作品のようなリアル志向のアニメの中で、最先端を走っている作品が聲の形という評価だ

 

カエル「監督の山田尚子や京アニはリアル志向の、学生たちの物語が多い印象があるよね」

主「物語自体も日本ならではの独特な問題……というのかは微妙か? でもいじめ問題とコミュニケーションという重要なことをテーマに、決してわかりやすい派手さに頼るのではなく、地道に丁寧に描いていくことで切実に表現されている。

 もちろん、それは絵だけではなくて、音もこだわっているし、演技も抜群にいい。

 やはり日本のアニメというとSF的なロボットや重火器などの爆発だったり、派手な戦争描写などで見せ場を作る作品もあるけれど、本作はそのような要素がない。だけれど、アニメでないとできない工夫にも満ち溢れている。

 話題にはなったけれど、自分の感覚としては世間の評価は少し低いんじゃないかなぁ? と思っていて……もっと評価されていい作品だと思うよ

カエル「京アニや山田尚子の今後も楽しみだし、これからのアニメ界に注目する上でも重要な1作という評価だね」

 

 

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10作目

 

この世界の片隅に

 

この世界の片隅に

 

カエル「そしてここで2016年のアニメ映画大豊作の最後を締めくくる作品が出てきたね」

主「この映画の示した『リアル』というのは聲の形とはまた違うものである。聲の形のリアルというのは『邦画的なもの』というのかなぁ……つまり、リアルはリアルなんだけれど、やっぱり物語なんだよね。実写映画がどれだけリアルと言っても、やはりドキュメンタリーとは違うのと同じ。

 で、本作のリアリティはドキュメンタリーに近い。もちろん、すず達はフィクションだけれど当日の天候や軍港に来ていた戦艦の1隻、街中の1人1人に至るまでしっかりと調べ上げて描いている」

 

カエル「むしろこの作品について語るときは、現実の広島について語るようなものだからね」

主「その流れって今の世界のアニメーションの流れにも似ていて、ドキュメンタリーのようなアニメーションも次々生まれている。

 例えば『戦場でワルツを』という海外映画では近年高い評価を受けた作品は監督自身の戦時中のトラウマを描いた作品なんだ。

 これは今までの日本のアニメではほとんどない試みであった。もちろん『火垂るの墓』などはあったけれど、やはりここまでのドキュメンタリーに近いリアリティはないだろう」

カエル「日本からすると新しい手法ということになるのかもね」

 

主「それから大事なのは、これは君の名は。や聲の形もそうだけれど『日本だからこそ作れるアニメ』でもある。

 

 東日本大震災をはじめとした自然災害などに対する鎮魂の祈りを描いた『君の名は。』

 日本の学校制度の問題であるいじめ問題や障害、コミュニケーションを描いた『聲の形』

 そして広島と原爆という日本が抱える固有の痛みについて描いた『この世界の片隅に』

 

 この3作品は日本の抱える問題や、過去などと密接に関係している。まさしく『日本ならではのアニメ』になっている。

 どのようなテーマを選ぶか、ということもあるけれど……世界的に共通する普遍的なこともでありながらも、その国ならではのテーマを見せる。それもこれからのアニメ表現では重要なことだ。

 その意味でもこの3作品は重要なんだよ。単なるクオリティの高いアニメというだけではない」

 

 

 

 

外れてしまった作品について

 

カエル「さて、10作品をこうして選んだわけだけれど……まずは誰もが疑問に思うだろうけれど……宮さんや高畑作品は選ばなかったの?

主「う〜ん……これがまた難しくてさ。じゃあさ、宮崎駿の代表作って何よ?

カエル「え〜……やっぱろ『千と千尋の神隠し』とか『ナウシカ』とかになるんじゃない?」

主「……ここが難しくてさ、コナンっていう人もいれば、ナウシカ、ラピュタ、カリオストロ、トトロという人もいる。日本で1番の興行といえば千と千尋の神隠しだけれど、ジブリ立ち上げならばラピュタになる。

(正確にはナウシカはスタジオジブリ設立前の作品のため、ジブリ作品ではありません)

 だけれど、当時はナウシカもラピュタもそこまで評価をされていなかったというか、売り上げは芳しくないということもあったり……と色々考えるとさ、高畑勲もそうだけれど、すごく大事な監督であるのは同意するけれど、作品を選ぶことはできないんだよ

 

カエル「『ジブリ作品』や『宮崎作品』『高畑勲作品』というまとめての評価になってしまうんだね……

主「だから、もういっその事全て外しました。

 あとは泣く泣く外したのは出崎作品もそうだし、幾原邦彦や今敏、湯浅政明作品も入れたかった。好きというだけなら谷口悟朗作品だって入れたかったけれど、でも入らないよねぇ。

 それからCG作品はね……『楽園追放』が入る人もいるかもしれないけれど、あの作品以降の流れがまだ見えてこないから、今回は除外。CGアニメは『日本のCG』を確立する必要があって、今もっとも革新的な作品が望まれているのではないかな?

 『ガンバ』路線で行くのか、それともセルルックでいくのか、『BLAME』などのような作品でいくのか……はたまた全く別の表現を見つけるのか? 注目したいね」

カエル「このラインナップもそこまで文句がないだろうと思うけれど、でも文句が噴出しそうだもんね……世代にもよるけれど、思い入れのある作品も変わってくるしさ」

 

主「なので、とりあえず自分はこの10選になりました!

  本当に好きな作品となるとまたガラリと変わってくるだろうけれど……歴史的に重要となるとこのラインナップになります。

 文句はあると思いますが、受け付けません! キリがないので!」

カエル「みんなも是非考えてみてね!」

 

 

芸術新潮 2017年 09月号

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