今回は漫画原作の自衛隊を描いた映画『空母いぶき』について語っていきましょう!
……これはどんなものなんだろうな
カエルくん(以下カエル)
「ちなみに、鑑賞前にはこんなTweetもしています」
これから空母いぶきを観ますが自分は間違いなくパトレイバー2と比べます
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年5月26日
パト2から30年?くらいになるのに負けているようなら笑うしかないですよ
主
「厳しいようだけれど、伊藤和典が脚本を務めた自衛隊を扱った映画というと『パトレイバー2』があまりにも強すぎるんだよ」
カエル「もう30年近く前の作品になるけれど、今でも通用するどころか、今だからこそ突きつけられているような難しい問題を主題に据えており『自衛隊の立ち位置とテロ』を恋愛を絡めたドラマとして言うまでもない名作だから、比べるとかわいそうだけれどね」
主「なんかさ、自衛隊を真正面から扱った作品でパト2を更新したなって作品はなかなか出てこないんだよねぇ。
もちろん、このテーマは日本が敗戦国であること、憲法9条とそして自衛隊を抱える以上解消されることはないとはいえ、いい加減現代風に更新する映画が生まれてもいいと思うんだけれどね」
カエル「なかなかの無茶振りだよねぇ」
主「その点、今作の企画に携わっている福井晴敏と脚本の伊藤和典、そして原作者であり直接的に映画にどこまで関わっているかはわからないけれど、かわぐちかいじには高い期待をしています!」
カエル「という訳で、感想記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
『沈黙の艦隊』など自衛隊を扱った漫画作品で人気のかわぐちかいじが原作を務めた同名漫画を実写化した作品。原作では中国との対立であったが、今作では敵が架空の国ということに変更されており、佐藤浩市の発言などもあり公開前から議論を呼んだ作品。
監督は『沈まぬ太陽』などの若松節郎、企画には福井晴敏、脚本は自衛隊が出てくる作品や特撮・アニメなどでも活躍する伊藤和典が担当する。
主人公のいぶきの艦長である秋津役には西島秀俊が起用されているほか、秋津を支える副艦長に佐々木蔵之介、いぶきに乗り合わせた貴社の本多に本田翼、内閣総理大臣に佐藤浩市が演じるほか、小倉久寛、市原隼人、中井貴一、斉藤由貴などが脇を固める。
20××年、日本の最南端にある島を国籍不明の軍隊が占領し、海上保安庁の隊員を拘束するという事態が発生した。この事態を解決するべく航空機搭載型護衛艦『いぶき』を中心とした艦隊を現場に派遣することになる。
穏便にことを収めようとするいぶきや日本側であったが、謎の軍隊は敵対行動を繰り返す。日本には憲法9条と専守防衛、そして守るべき国民と領土がある中でいぶきと政府は難しい判断を迫られることに……
空母いぶきの解説動画をYouTubeでアップしました!
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映画レビュー『空母いぶき』感想&解説語り!カメガタリ#6〜物語る亀〜
感想
それでは、いつものようにTwitterでの短評からスタートです!
#空母いぶき
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年5月26日
素晴らしい! こういう作品を待っていたんだよ!
自衛隊という世界でも特殊な軍隊と日本であるがゆえの問題を基本リアルに、若干あやふや(と思われる部分)を含みながら巧みな脚本と小道具などを使い真っ正面から描きあげる!
賛否が別れるのはわかるけれど大好きな作品です! pic.twitter.com/5jncujHBUY
こんな映画が見たかった! 政治的なミリタリを扱った作品として褒め称えたい1作!
カエル「これは見る前とは打って変わって高評価です!」
主「端的に言ってしまえば『シン・ゴジラ』+『パトレイバー2』+『平成ガメラ2』を4で割ったような作品ですよ」
カエル「……え、3じゃなくて4で割るの?」
主「そりゃ、これらの作品は映画史に残る名作ですから!
オタクとしてはこの3作に届くほどの評価だったら、ここまで冷静に語っていませんよ。
だけれどこれは決して低い評価ではなくて、これらの名作の要素をしっかりと抱えながら、さすがにこれらには敵わないけれどしっかりと魅せる作品が生まれているという印象だな」
カエル「ちなみに『パトレイバー2』と『平成ガメラ2』は伊藤和典脚本なので、当然といえば当然かもしれません。あとは政治と自衛隊を扱った映画だと『シン・ゴジラ』は近年では欠かせない作品なので、それも当然かな」
主「もちろん、賛否は割れるのもわかるし色々と複雑な問題だからこそ様々な立場の人が色々なことを語るだろう。
また、はっきりとしたエンタメ作品ではありません。戦争映画にあるような派手な戦闘シーンや爽快感を求める人には、色々と思うところがあるかも。あと軍事オタクも色々とダメ出しはするでしょう。
だけれど、この映画だからこそできたこと、またそれを見せるための様々な工夫に感動しているし……やっぱり伊藤和典脚本に思い入れがあるからかもしれないけれど、今作は高く評価したい作品だ」
様々な意見に対する私見
今回、上映前から色々なことが語れているよね
自分としてはいくつか意見をしたいことがあるんだ
カエル「今回特に語りたいのは主に以下の2点です」
- 佐藤浩市の『腹の弱い総理』発言について
- 自衛隊の協力を得なかったことについて
主「まず最初の”腹の弱い総理大臣発言問題”だけれど、これは個人の政治主張もあるが、全体の発言の中から切り取られたことで歪曲されてしまったというのが実際のところだろうけれど、この映画を見るとその発言自体も問題がないと考える。
というのは、映画内でも様々な考え方があり、政治の世界だからタカ派もいればハト派もいるわけだ。
役作りの一環であり、またキャラクター性を補完するためのアイデアとして、かなりいいものだと思う。
また作品に致命的な影響は与えていないからね」
カエル「映画を見るとそのアイデアもいいものだと思うけれど、見ないで勝手な意見が多く流れてしまうのは考えものだねぇ」
自衛隊の協力を得なかった問題について〜映画のリアリティラインの問題〜
そして”自衛隊の協力を得なかった問題”だけれど、これは自分の憶測では以下の2つが考えられると思う。
- このメンバー(軍事や自衛隊に詳しいメンバー)であれば自衛隊の協力は必要なかった
- あえてリアルすぎない選択をした
カエル「1に関してはよくわかるかな。自衛隊関連の作品を多く担当している人たちがスタッフにいるし、それこそかわぐちかいじが原作だったら軍事にも詳しいだろうから、下手な専門家よりも3人も集まればいいものね。
参考文献も最新の軍事兵器を扱った作品1冊だけのようだし、そこまで知識は必要なかったのかな?」
主「そして自分が力説したいのが②の方だ。
今作では架空の国を敵対組織に設定されているが、これはもちろん中国を相手にするのは現在の世界情勢などを考えると決して良くないということもあるだろう。
だけれど、自分は”あえてリアリティを失わせた”という意見だ」
カエル「え、あえてリアリティを失わせせるの?」
主「まず、本作で重要なのが”日本の対応”である。
今作では敵を描く必要がないんだよ、何故ならば主題は”日本が問題と直面した際にどのように行動するのか?”ということだから。
ここで敵側を描くと単純に物語がブレて長くなるし、主題がずれたものになる。
今作は”自衛隊の対応”を描きたんだからさ、敵がどうとかいらないんだよ」
カエル「ふむふむ……」
主「あとは”自衛隊の協力を得るとリアルに描かないといけない”という問題が生まれるかもしれない。もちろん自衛隊は作品に何も言わないだろうけれど、今作はあくまでもフィクションであり、思考実験のような部分がある。
今作の軍事的なリアリティラインが甘いのはミリオタではない自分でもなんとなくわかる。
だけれど、だからこそエンタメ性や思考実験としてスタッフ側が好きに作ることができたのではないだろうか?」
エンタメ性が強い作品ではない
先ほどから語っているけれど、エンタメ性が強い作品ではないよね
今作は戦闘描写に対して爽快感がそこまで大きくないんだ
カエル「戦争映画でありがちな『悪い敵を倒した時の爽快感』だったり、あるいは『信頼する仲間が亡くなったり命をかけて国を守る矜持に感動』という要素もあるにはあるけれど、それが主題ではないもんね」
主「本作ってそういったエンタメ性がほとんどないんだよ。
映像的にも洋画に比べるともちろんだけれど、邦画で比べても今作よりいい戦争映画はたくさんあるだろうな、とは思う。
自分は昔ながらの特撮を見ているようで好きだけれどね。
ちょっとガメラ2に近い印象も抱いた。
それも高評価の理由の1つだけれど、そういったものを求めている人には向かないかもしれない」
カエル「そう考えるとこの映画を楽しめる人は、相当限られるような……」
主「だと思うよ。正当なエンタメ戦争映画とは言い難い。
だけれど、この難しいテーマを愚直に描いているし、1つ1つの描写が脚本の作り方がうまいように感じられるんだよ。
ただ、これだけ褒めている自分でもいくつか文句はあって……やっぱり映画としては長すぎるから、できれば2時間以内に収めて欲しかった。これだけ地味な作品だから、2時間以上を持たせるのは難しかったのではないか? という思いはどうしても拭えないかな。
ではどういった部分がうまかったのか……それはネタバレありで語ろうと思います」
役者について
では、今作の役者について語りましょうか!
基本的には熱演だったと思います
カエル「明らかにおかしいだろう! という人はいなかったよね?
もちろん、それだけ評価の高い人を集めたということもあるんだとは思うんだけれど……」
主「演技の評価が割れるのは西島秀俊だと思うけれど……彼ってさ、空っぽなんだよ」
カエル「……空っぽ?」
主「西島秀俊の中にある種の人間性というものがあまり感じない。
底にあるはずの感情があまり見えてこない演技をするという印象なんだ。どの作品を見ても基本的には同じような演技を披露している印象なんだけれど、役と合ったり合わなかったりする。
今作でも決して覇気がある役ではないし、周囲の……特に佐々木蔵之介が熱い人間性を演じたいたら、西島秀俊はそれを受け流すようなリアリストな演技だった。
そして、それがハマったんだよ」
カエル「空っぽがハマったの?」
主「つまりさ、全くこの人の考えることがわからない=底が見えないわけ。結果として彼がどこまで計算なのか、どこまでそうではないのかわからない役になっている。彼の真意はどこにあるのか、それが読めない。
だけれど、それが読めたらこの映画はまた違うものになる……終始冷静に対応しているからこそ、彼の行動が全て計算にも、全て天然にも思えてくる。
それが生きたね」
カエル「ふ〜ん……他の役者に関しては?」
主「とりわけ語ることはないけれど……というのは、特別目立って下手な人がいないから。これは上手く役者のレベルを合わせたと思うよ。シン・ゴジラを連想はしたけれど、あちらはキャラクター性の強い演技だったけれど、こちらの方はまだ抑えられていた。
そして本作で1番印象に残ったのは……護衛艦<いそかぜ>の艦長である浮船を演じた山内圭哉だ」
カエル「この映画ではコメディリリーフのような役回りだったね」
主「彼はこの映画ではかなり印象に残る”キャラクター”なんだけれど、これは『パトレイバー2』で言うところの太田のような役割なんだよ。つまり、他のキャラクターとは少し毛色が違う。
若干コメディリリーフではあるんだけれど、作品全体にメリハリを生んでいる。太田よりは常識のある人物にされているけれど、役割として似たようなものではないだろうか。
他にも中井貴一が演じたコンビニの店長だったり、こういった人物が見事に配置されている。
役者のうまさもあるけれど、脚本と配置がとてもうまい」
カエル「う〜ん…文句は出るだろうけれど秋津も後藤のような切れ者な要素も合ったかもね。
やっぱり伊藤脚本だから評価している部分は大きいのかなぁ」
以下ネタバレあり
作品考察
各キャラクターたちの配置
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
自分が唸ったことの1つが各キャラクターの配置なんだ
カエル「各キャラクターの配置?」
主「基本的には同一の組織内でも様々な考え方や思いがある。
政治的な信条も与党内でも別れるだろう。
その配置がうまかった」
カエル「すごく簡単に示すと以下のようになります」
タカ派(現実主義)
秋津艦長
城山副総理兼外務大臣
ハト派
垂水総理大臣
新波副艦長
主「つまり、同一の組織内でもきっちりと意見が割れる案件であることを示している。この映画で1番怖いのは”右派の映画、戦争称賛映画だ!”というレッテルを貼られることだ。残念ながら、このような作品である以上、その批判は逃れることはできない。
だけれど、秋津艦長がタカ派のような部分があれば、その上の垂水総理大臣はハト派のような慎重な部分を持つ。
そしてそれに反対する人物を必ず配置することでバランスを取っているわけだ」
コンビニの描写のうまさ
今作ではコンビニの描写が異彩を放っていたよね……一部ではあそこが必要なの? という意見もあるようですが……
あれがあるからこの映画は単なるプロパガンダ映画ではなくなったんだよ!
カエル「コンビニの描写というとパトレイバー2でもあったよね。結構印象に強く残っているかなぁ」
主「コンビニというのは”平和、日常の象徴”となる場所なんだ。
誰もが1日1回は行くのではないだろうか?
だからパト2でも有事の際に駆け込み、買えるだけ買っていくシーンがあったけれど、あれはギャグシーンであると同時に日常が変化すること、そして彼ら以外はその重要性に気が付いていないことを示す重要なシーンだ。
そして東日本大震災の時を思い出して欲しいのだけれど、少なくとも東京ではコンビニから商品が一気になくなるような事態が発生した。
そこまで緊急性はなかったのだが、あの時は買い置きをしようという流れになっていたわけだ」
カエル「そうだったねぇ……あのガランとした棚にはびっくりしたかなぁ。1週間もしたら平常時に戻ったけれど……」
主「あの描写は”自衛隊員が守る日常”という光景であったんだよ。
そこでコンビニ店長である中野は最後まで何があったのか気がつかない……彼が寝ている間にも物事は進んでいる。
中野が最後まで寝ている(平和ボケをしている)中で、何事も起こらずに日常に戻る……それが自衛隊員が命をかけて守ったものの象徴なんだ」
魅力的な小道具〜サンタの靴の存在感〜
今作では小道具たちも光っていました!
特にサンタの靴(お菓子が詰まったクリスマス用品)は痺れたなぁ
カエル「戦争映画でクリスマスって王道だよね。
それこそ多くの映画でも語られているモチーフで『戦場のメリークリスマス』など、もう枚挙するのが難しいくらいだけれど、今作もやっぱりクリスマス映画だったね」
主「クリスマスという日を選んだのは作中でも語られているけれど”平和を甘受する日”という印象が強いからだろう。家族や恋人と過ごし、特に宗教性などもなく祝いを述べる。そういう特別なハレの日である。
そしてそこで登場するのがサンタの靴だ」
カエル「中野が一生懸命手作りしていたんだよね……わざわざ自筆のメッセージカードまで添えてさ」
主「あのアイテムもまた”平和の象徴”であると同時に”平和や理想への祈り”を可視化した存在なんだ。
戦争が始まった時に偶然それを持っていた田中記者のサンタの靴は潰れてしまうけれど、まだ中身はダメになっていない。これは”平和や祈りが害されようとしているが、まだダメにはなっていない”という意味がある」
カエル「ふむふむ……」
主「今作から政府や自衛隊員が必死に平和を臨む姿勢は伝わるように描けれているだろう。だけれど、一般市民はどうなのだろうか?
それは中野が体現していて、彼は戦場には立たないし国を揺るがすような決断をしていない、普通の一般人である。
だけれど、そんな彼でも子供達=未来のために手作りのメッセージカードとサンタの靴を作り続けている。
そしてそれは記者である本多も同じなんだ。
つまり立場の違いではない、また命を賭けているから……とか、そういうことではなくて誰もが普通に祈るという、守ろうとそれぞれの行動で示しているという意味があるんだよ」
本多記者のメッセージ
今作では本多記者のメッセージもありました
あれも演出方法には色々と思いはあるけれど、いい描写だったねぇ
カエル「本多記者の世界中に向けたメッセージが大きな意味を持っていたよね」
主「これもカメラを意識した演説シーンという意味では『シン・ゴジラ』での終盤の自衛隊にゲキを飛ばすシーンであったり、あるいはアニメ作品であと『デビルマン crybaby』でも9話で感動的な演説シーンがあった。
自分が大好きなのは『ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のラスト付近の感動シーンだけれど、それと意味合いとしては同じだ。
カメラの向こうの人間に伝えようとする=観客に伝えようとするという、ダイレクトなメッセージ性に溢れたシーンだよ」
カエル「ふむふむ……そのシーンで東京が映るのもパト2っぽかったかなぁ」
主「戦争によって焼け野原になった東京が現代ではそこまで復興し平和を維持していた、その影には自衛隊も含めた多くの方々の努力があったということだよね。
だからあのシーンで東京を映したのではないか?
あとは食事シーンもさ、なんて事のないことだけれどおにぎりの具で争うというのも平和の象徴だけれど、最後がおにぎりで迎えにいくというのは”平和を届けに行こう”という意思があるじゃない!」
カエル「そんな風にも受け取られるのね。ちなみに、西島秀俊の演技の含みってどんなところなの?」
主「彼がどこまで計算かわからんのよねぇ……最初に護衛艦が炎上した際に配信を許したのは世論を動かすための計算にも思えてくる。また、終盤の感動シーンである”敵の命を救うシーン”は彼なりのケジメの付け方であり、偶然訪れた状況を利用してイメージアップを図ったようにも思える。
どこまでが計算でどこからがそうでないのかわからない……そんな奥深さを感じたかなぁ。
結局、この映画は”プロパガンダ映画だ”という意識が根底にあるのではないかな?」
”戦争”の持つ様々な意味
最後に、本作が描いた戦争の持つ様々な意味について考えましょう
序盤はそれこそパト2の『(戦争は)始まってますよ、とっくに! 気づくのが遅すぎた』とずっと考えていた
カエル「何が戦争で何が戦闘なのか、というのもこの映画を考える上では難しいポイントになってくるよね」
主「よく『1万人が亡くなったのではなく、1人の命が失われた事態が1万件あった』というようなことが語られる。それはもちろんその通りで、ぐうの音も出ない本当のことだ。
だけれど、同時に上に人は『1万人という数字』を考える必要があるんだ」
カエル「現場や一般感覚だとが”1個1個職人の手作りの製品が売れた”だけれど、会社経営者であれば”1万個製品が売れた”と考える必要があるということなのかな?」
主「あくまでも数字は数字で重要なこともある。
それがこの映画が示したラストであり……命が失われたことは残念だけれど、でも勝ちすぎないことで痛み分けになった。その後の交渉もできるようになった。
戦争って政治の一貫なんだよ。
政治のための戦争に現場は苦しんだけれど、そういう1面もあるのは事実なわけで……
そこから逃げずに、単なるお涙頂戴や右派の主張する正義を描いた戦争映画にならなかったこと、それがこの作品を語る上で自分が高く評価したい所の1つだな」
まとめ
それでは、本作のまとめです!
- 人は選ぶかもしれないけれど伊藤和典脚本作品の味を感じられる作品!
- 思考実験として意義があり、リアリティが失われても面白さがある!
- 小道具の使い方などがうまく平和への祈りが感じられる
- 戦争とは何か? 自衛隊の存在意義などを考えてほしい作品!
こんな映画を待っていました!
カエル「ちなみに、パト2の更新はできたの?」
主「流石に更新とまでは言わないけれど、現代なりのパト2のような作品はできたんじゃないかなぁ。
あの作品が十年ほど早すぎた作品だから今でも通用するけれど、そこにようやく時代が追いついたと言えるのかもね。
その意味では現代的な作品ではあるけれど……更新とまでは言えないかな」
カエル「押井作品への愛も強いからねぇ」
主「でも伊藤和典ここにあり! というべき作品が生まれたと思っていて、そこがよかったなぁ。
色々な意見はわかるけれど、大好きです!」