今回は『映画刀剣乱舞 黎明』の感想記事になります!
こちらも色々な意味で楽しみにしていた作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
うちはそこまでコアなファンではないですが、刀剣乱舞シリーズは色々とチェックしていて、舞台の劇場版の鑑賞経験もあります!
亀爺(以下亀)
さすがに舞台にはなかなか行けんが、楽しみにしている作品でもあるの
カエル「特に主演の鈴木拡樹がとても好きですね!
それでは、早速ですが、感想記事を始めましょう!」
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大手レビューサイト評価(4月2日、公開3日目時点)
Yahoo映画
2.6
映画ドットコム
2.4
Filmarks
3.2
ファン向け映画でレビュー件数は少ないですが、かなりの厳しい意見が並んでいる印象です
作品紹介
キャスト紹介
三日月宗近 (鈴木拡樹)
山姥切国広 (荒牧慶彦)
へし切長谷部 (和田雅成)
琴音 (秋田汐梨)
酒呑童子 (中山咲月)
など
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#映画刀剣乱舞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年4月2日
う〜ん……これは……
やりたかったことやテーマ性に関してはわかるのですが、多分劇場に向かうファンは刀剣男士たちの活躍が観たかったのであって、現在のオリジナルキャラクターはノイズにしかなっていなかったのではないでしょうか?
前作の素晴らしさを知っていると… pic.twitter.com/atyc23qZTU
これは、色々と賛否が分かれても仕方ないじゃろうな
カエル「なんていうか……やりたいことはわかる。その心意気はアッパレ。
だけれど……それが果たして刀剣乱舞ファンが見たかったことなのかな? という思いは、どうしてもあるんだよねぇ」
亀「この映画を観にきた人は、総じて刀剣乱舞を、つまり刀剣男士たちを観にきたわけじゃな。ということは、刀剣男士たちが活躍しているところさえ見ることができるのが、まず満足の第1条件であるじゃろう。
しかし、現代編の味方や敵の葛藤を見せられても、そこに感情移入はなかなかできないのではないじゃろうか」
うちはそこまでガチの刀剣乱舞・ミュージカル『刀剣乱舞』ファンではない自分でも「刀剣男士が見たいなぁ」と思ったから、ファンはもっと思うかもねぇ
ヒーロー映画を観に行って市井の人間劇をずっと眺めているようなものじゃからな
カエル「それはそれで意義があるのはわかるし、今回のテーマもわかるんだけれど……色々とケチをつけたくなる気持ちは、どうしてもあるよね」
亀「まあ、これはなかなか制作が難しかったとは思うがの。
特に前作の『映画刀剣乱舞-継承-』は、時代劇とは言い難いが……なんというか、なんちゃって時代劇とでもいうかの、そんなジャンルではまさに良作・傑作というべき、非常に満足感が高い作品であったしの。
また、近年は2.5次元舞台系の作品では『映画 文豪ストレイドッグス BEAST』もアクション等で見応えがあった。
それらの流れを踏まえると、もう現在のクオリティより上のものを見せて欲しかったというのが、本音じゃな」
2.5次元映画の実写化に寄せる期待
うちはこの2.5次元舞台の映画化に対して、大きな期待を寄せているという、映画ファンでは珍しい部類かもしれないけれど、その理由を簡単に説明しましょう!
アニメや漫画をいかに実写化するか、の1つの答えを示せるのではないか? という思いが強いからじゃな
カエル「近年はもうアニメ・漫画の実写映画というのは珍しいものではなくなってきています。むしろ、大作映画は実写化映画の山というべきなのかなぁ。
その中でも色々なアプローチをしていますが『アニメ・漫画の世界観をそのまま実写で映し出す』という意味では、この2.5次元の映画化が最も成功しているように感じます」
亀「うちは舞台そのものは……チケットも高くて取りづらいため、なかなか行けないが、映画館で公開した時に観に行ったりもして、クオリティの高さに驚いた記憶がある。
アニメ・漫画を実写化する際には色々と……例えばコスプレ感などが出てきてしまう。それは2.5次元でも変わらないかもしれんが、少なくとも実写の俳優が演じるよりも、きちんと舞台調の演技をしてくれるので、そこまで気にならなかったりする。
つまり、リアルとリアリティの差、というものじゃな。通常の邦画がリアルを目指すならば、舞台はリアルに感じながらも外連味たっぷりの面白さを提供してくれる、といったところかの」
それから、映像表現そのものも面白いよね
そこまで予算はないかもしれんが、今作もCGの使い方などはとても良かったと思う
カエル「元々役者さんは殺陣に慣れているから、アクション描写も迫力満点!
それをどのように撮るのか、というカメラマンの腕とかはあるけれど、演技そのものは良いしね」
亀「これは仕方ない面もあるが、数年かけてそのキャラクターを掴んできた2.5次元の役者と、その撮影のために数ヶ月間のみ演じてきた俳優では、やはりアドバンテージが全く異なる。
この部分に関してはこのあと語るが、CGなどの使い方や、映像表現の見せ方なども工夫されている作品も多く、わしは変な大作よりも満足感のある作品が多い印象じゃな」
役者について
ではでは、ここからは役者について語っていきましょう!
やはり刀剣男士組はしっかりとハマっている感も強いの
カエル「うちは主演である鈴木拡樹が大好きで!
前作の映画を観て、舞台の映画版を観て、その佇まいから所作、声質、演技も含めて引き込まれてしまいます!
あんまり役者にハマることって多くないんですが、ここまで行くとメロメロになる気持ちもよくわかるというか!」
亀「アニメキャラクターがそのまま出てきたような印象を受けるしの。
舞台役者ということもあり、声の出し方なども基礎が出来上がっているようにも見受けられる。しかも三日月宗近を長年演じたこともあり、ハマり役なのは誰もが認めるところであろう。
やはり彼が中心にいることで、この作品にしっかりと1本の骨組みを作っているということを感じさせてくれるの」
他の刀剣男士も、当然ながら概ね良かったと思います!
そもそもキャラクターがいいというのもあるがの
カエル「特に今回良かったのはへし切長谷部役の和田雅成だったんじゃないかな?」
亀「今作では真面目な部分が目立つが、へし切長谷部に関してはギャグ調のコメディ的な立ち位置も多かったので、その部分が目立ったというのもあるのかもしれんの。
そのほかの刀剣男士も良かったのであるが、いかんせん、出番が少なかったり、あるいは殺陣のみの披露であったりと、見せ場が少なかったりするのも残念であったかの」
一方で本作オリジナルキャストについてはどうでしたか?
う〜む……評価が難しいの
カエル「そもそも主要な登場人物である女子高生の琴音役の秋田汐梨と酒呑童子役の中山咲月を除けば、そこまで出番が多いわけでもないしね」
亀「それもあるし、やはり刀剣男士の歌舞伎のような舞台調の演技と現代の映像表現の演技を合わせるのは、そう簡単ではないと感じたかの。
そもそも、刀剣男士の演技と現代編の役者の演技・演出が一致していないように感じられたし、現代編は全くいらないとすら思ってしまった。
そんな中でもおじさん俳優が……特に倉橋役の堀内正美が、さすがは大ベテランという印象を受けたかの。
脇役として主演や刀剣男士を引き立たせる、いい演技じゃった。
それと……ほんの僅かな出演ではあったが、やはり柄本明が印象深いかの。
しかし、その第ベテランの面々が印象深くては、それはそれでこの作品としてはよろしくないとは……思うかの」
ベテラン俳優の存在感が発揮された!
以下ネタバレあり
作品考察
褒めるポイント
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
まずは褒めるポイントについて、簡単にまとめていくとするかの
カエル「褒めるポイントは以下の点です」
今作の褒めるポイント
○序盤の平安時代の描写
○戦闘シーンなどの演出
○テーマ性
この3つに関しては、明確に褒めておこうかと思う
カエル「序盤の平安時代の描写は、やっぱりお金がない中での時代劇としては面白かったよね。
特に酒呑童子・鬼退治の正体というのは、まさに日本の歴史の闇を暴くという感じで、あの路線で進めれば、前作にも負けず劣らずの作品になったんじゃないかな?」
亀「少し安さも感じたし、それでいうと先にも挙げた柄本明などの役者の力もあるじゃろうが、このパートはとても良かったと思う。
それと戦闘シーンは殺陣のアクション、CGやエフェクトの使い方も含めて、意義は感じられれた。もう少し撮り方などに創意工夫を凝らす必要はあるのかもしれんが、全体としてはこの路線でいいと思ったの」
あとはテーマ性ということだけれど……
誰にでも刀剣男士がいる、ということは分かりやすくて良かったのではないかの
カエル「そこは現代劇にした最大のポイントだよね」
亀「それに、中盤に行われる刀剣男士が消えていくというのは、まるでゲーム時代がサービス停止した時のことを示しているようであった。この辺りはスマホゲームといういつかはサービス終了が約束されているコンテンツだからこその目線ということもできるじゃろう。
この辺りの現代劇にしようとした意義なども感じさせることも含めて、やろうとしたテーマそのものは、評価してもいいのではないかの」
欠点① 現代劇
次に欠点について語っていくけれど……その現代劇というのも、今作においては問題だったという意見だね
やりたいことはわかるのじゃが、映画としては問題が山積みになってしまったの
カエル「今作を現代劇にしてしまうことで、刀剣男士の異分子感がすごく際立ってしまって、コスプレになってしまうんだよねぇ……」
亀「わしが刀剣男士というコンテンツの強みは時代劇であることだと思っておる。
つまり、刀剣男士のような華美な意匠を纏っても、そこまでコスプレ感が強くない……というか、背景のセットなどがその違和感を少なくしてくれるわけじゃな。
言うなればセットと意匠がマッチするというか……
しかも日本の時代劇だから、日本人が演じていても問題がない。そこに鈴木拡樹のような役者が1人入るだけで、まるで歌舞伎を観ているかのような世界に入りこむことができる。
しかし、これが現代劇になると……途端に浮いてしまうわけじゃな」
こういった画面だと背景が現代だけに、刀剣男士たちの意匠がよくできたコスプレに……
とても意匠を作り込めば作り込むほど、それは浮いてしまうという例じゃな
カエル「コスプレイヤーさんも同じ衣装だとしても、背景が作品にマッチしているところか、あるいはコミケ会場みたいなところかで、見栄えも変わるしね……」
亀「さらにいえば背景の人々が微動だにしないだけで、遠巻きに見ているだけというのも違和感につながったかの。
色々と惜しいところが現代編にしたことで生まれてしまったの」
欠点② 現代編のキャラクター
次に挙げるのは現代編のキャラクターについて、ということだけれど……
これも先に述べたことの繰り返しになるが、観客は刀剣男士を観に来ているのであって、現代編のオリジナルキャラクターはあくまでもおまけじゃろう
カエル「現代編のキャラクターの深堀をされても、こちらとしては『へぇ…』になってしまうんだよね。
特に今作の場合は、酒呑童子がとても大事な敵役なのはわかるけれど……でも、その家族関係がどうとかと言われても、こちらとしては虚無となるしかないわけで……」
亀「この辺りはやりたいこともわかるが、いかんせん敵にも味方にも思い入れがないために、そこのドラマを展開されてもなぁ……という思いと、そこを展開しきれないというジレンマが感じられたかの。
その意味では先にも述べたようにへし切長谷部とギャルという組み合わせは面白くて、さらなる展開を感じさせるものではあった。
あとは黒田ネタ、福岡ネタというのも、現実の歴史を踏まえるとなるほど、と思わせるものではあった。
しかし、全体的に見た場合には、色々な意味で食い合わせが悪かったと言えるかもしれん」
ちなみに、一部意見では女性が若い人しかいないというのが少し疑問視されていたみたいだけれど……
これはどちらの気持ちもわかるがの
カエル「確かに刀剣乱舞のファンは若い女性だけではなくて、年配の女性の方もいるだろうから、その方達を蔑ろにしているのでは? という意見が出るのはわかるのかなぁ」
亀「しかし、これは難しいものじゃな。
日本の文化としては……特に女性は若く見られる方が嬉しい文脈がある。しかも今作のメインターゲットは女性じゃ。男性側は冴えないおじさん、おじいさんとバラエティが富んだものができるたが、それは男性だからという見方もできるじゃろう。
ターゲット層である女性の描写には気を遣ったであろうし、だからこそ若い女性を起用したというのはわかるが……それを疑問視する意見も分からんでもない。ここは難しい判断であったかもしれんの」
最後に
というわけで、少し辛口気味に記事なりました
意義はわかるだけに、少し予想外の部分が出てしまった印象じゃな
カエル「こういう作品はまだ歴史が浅いから難しいところもあるでしょうが、是非とも期待したいジャンルだよね」
亀「まだまだ邦画のアニメ・漫画の実写化路線には正解が見出せていない。
海外の……特にハリウッドのような超予算&超CGが難しい以上、どのように魅せるのかの模索は続くじゃろう。その一端としても、今作には期待したいものじゃな」