今回は『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の感想記事になります!
毎年恒例のコナン映画じゃな
カエルくん(以下カエル)
今年もこの時期が来たんだねぇ
亀爺(以下亀)
最近は原作の展開もすごいことになっていると言われているし、盛り上がるのではないかの
カエル「今年はどのようなミステリー&アクションになるのでしょうか?
それでは、感想記事を始めましょう!」
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大手レビューサイト評価(4月16日、公開3日目時点)
Yahoo映画
4.4
映画ドットコム
4.0
Filmarks
4.3
今作のコナンは例年と比較しても、評価が高いのではないでしょうか!
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#黒鉄の魚影
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年4月14日
「絶対に100億を超えてやるぞ!」という気概を感じました
ただ興行収入は大事な指標ですが数字が先行して目的になるのもそれはそれでどうなんでしょうね?
ファンの方が喜んでいるなら、それでいいと思います😁 pic.twitter.com/W5nt0AuoGw
これはファンの方は、とても喜ぶ内容であろうな
カエル「今作はコナン映画の中でも、評価が高い印象だよね!
もちろん、この記事を書いているときは公開3日目なので、熱量の高いファンが中心となって鑑賞・評価をしているので、ファン向け作品であればあるほど高い評価になる部分はあるのでしょうけれど」
亀「それだけファンの方向を向いた映画であったの。
色々な工夫がされており、人気キャラクターを中心としたドラマが、見事にファンの心理に絡みつくような作品に感じられた。
確かにファンムービーとして、これは評価されるのもわかるかの」
この映画を観て感じたことって、いったい何だったの?
やはり「100億円を突破したい」という、強い思いかの
カエル「あー、やっぱりそこは語るよねぇ。
名探偵コナンシリーズの興行収入を簡単に振り返ると、平均して20億〜30億という、決して無視できないお金を生み出すシリーズとして存在していました。
しかし『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』で一気に50億の壁を超えて、『ゼロの執行人』では90億円越えという、圧倒的な成績を叩き出します。
その後は当然100億円超えか!? と言われていましたが、コロナ禍もあり足踏みをしているような状況が続いています」
亀「100億円越えは1つの指標としても、企業の広報としても、インパクトが大きいものじゃからの。
特に毎年公開されるキャラクター映画で、それは大きい。その数字を追いかけるのも当然じゃ。
そして今作は、まさにその数字を追いかけた作品という風に見えたかの」
コナン映画の特異性
そういえば、毎年公開されるシリーズもののアニメ映画の中でも、コナンは今は特殊な立ち位置になったという話だけれど……
コナンは他と比較するのが、少し難しいシリーズなんじゃな
カエル「それを簡単にまとめると、以下のようになるということです」
コナンシリーズの特異性
○ 原作者が存命
○ 1つの物語作品として現在も連載中
○ ミステリー作品
特に1、2が大きいと思うかの
カエル「そういえば『ドラえもん』にしろ『クレヨンしんちゃん』にしろ『アンパンマン』にしろ、もうすでに原作者が亡くなられているんだよね。
そしてこれらの作品は……連載が続いているものもあるけれど、1話完結のお話も多い。
『プリキュア』なども毎年公開するけれど、作品そのものは明確な原作者の個人の力で伸びている作品じゃないし、毎年主人公なども切り替わる作品だしね……」
亀「もちろん『ワンピース』なども例もあるじゃろうが、こちらは数年に1度なので除外した。
- 作品に対する最終ジャッジ者(原作者)が存命中
- 連載中で、しかも大きな謎が残っているストーリー作品
ということが重要なわけじゃ」
つまり、映画が原作やTVシリーズの重大な秘密のカケラを明かすなどの役割があるわけじゃな
カエル「この辺りが『ドラえもん』とかにはない要素だよね。
特に近年のコナンは、原作の補完や秘密の断片の開示という側面が強かった印象もあるかなぁ」
亀「その結果、少しファン向けすぎるような印象もあるが……この映画からコナンデビューは、なかなか難しいじゃろう。
しかし、だからこそファンにはたまらない作品となっている。
しかも原作者監修の上だから、勝手な情報の付け足しなどではない。
まさに正史として、開示することができるわけじゃな。
作品が完結した後のコナンがどうなるかわからんが、この特異な要素を強みとして発揮したのが、まさに今作ということじゃな」
立川監督の取捨選択力
今回の監督は立川穣監督です
スマッシュヒットを記録している『BLUE GIANT』の監督でもあるの
カエル「この監督に対する評価って、うちはどんな感じになりそう?」
亀「わしは”取捨選択が上手い監督”というイメージじゃ。
もちろん、全てにおいて完璧な作品がもっとも理想。しかし上映時間、予算、制作時間、技術、スタッフの観点から、完璧は無理じゃろう。
その中で、何を魅せたいのかをはっきりと意識して、取捨選択ができる監督ということじゃな」
『BLUE GIANT』では、音響監督も務めて音楽描写を見事に表現したことだよね
今作では、徹底的にキャラクターを魅せることを重視した印象じゃ
カエル「ファン向け映画として、絶対に欠かせない重要なポイントだもんね」
亀「例えば予告であるように灰原の泣き顔なども含めて、映像的にグッとくるシーンも多い。さらに多くのキャラクターが登場するが、その誰もが活躍しておる。今作では予告で見れる範囲でも、主人公のコナンは当然ながら蘭、警察やFBIと公安、博士の発明品や、さらには黒づくめの組織なども含めて活躍するという、まさにお祭りオールスターじゃ。
それらの多くの要素をしっかりとまとめ上げた手腕には、まさにコナン映画として完成しているという評価も、納得できるものであるな。
わしとしては、今作の意図はとても理解できるものじゃな」
以下ネタバレあり
正直な<辛口>作品感想
全体的な感想
……と、まあ、ここまで簡単にほめてきましたが……今回はうちの主がいろいろと語りたいようです
あー、歪な映画だったよね❗️
カエル「……もう少しオブラートに包むとかしないの?
せっかく亀爺が上手い具合にまとめてくれたのに」
主「もう、文句たらたらですよ!
個人的には近年のコナン映画でも、結構悪い方だと感じてる!
でも、同時に自分が悪いと感じるから、今作でコナン映画は100億円を突破するとも確信が持てる内容だったのも事実、ということかな。
端的に言えば、やっぱりファンムービー。
ということは、コナンファン以外には、かなり辛い内容になっているんだよね」
コナンも100巻超えて、結構追うのも大変なシリーズなのは、間違いないしね
まあ、自分も昔はコナンファンだったけれど……50巻くらいで脱落したから、もう今はコナンファンではないかな
主「先にも亀爺が語っていたことなんだけれど『原作の補完』になっているんだよ。だから実は、この映画は『映画として完成している作品』ではなくて、原作の1エピソード……しかも結構重要なエピソードの映画化、という方が近い印象。
だからコナンファンが興奮するのは正解。
だって『ONE PIECE』で言ったら……そうだなぁ、最終目的地のラフテルの場所が示されたくらい、重要な内容だから。むしろ、この映画を観ないで原作を追うのが不可能というくらいかもしれない。
でも、映画って原作ファンだけが見るものじゃないから……その点において、ボクはかなり違和感を抱いた」
物語の流れの雑さ
具体的に、どこかそんなにダメだったの?
もう、物語の流れとかダメダメだよね
カエル「それは脚本が悪いってこと?」
主「まあ、端的に言えばそうなるのだろうけれど……いや、意図はわかるんですよ。
今作で重要視されたのは以下の部分だと邪推する」
今作で重要視された部分
○ キャラクター同士の関係性(キャラ萌え)
○ 黒の組織が小さくなった事実を知るなどの重要なパート
○ ミステリーやアクションなど、映画映えする部分
そういう大きな座組というか、大枠を整えているけれど、細かいところはガン無視なんだよね
主「例えば『風が吹けば桶屋が儲かる』という言葉がある。
これは風が吹くと砂が舞って、砂が目に入り、失明して、三味線弾きになる人が多くなり、三味線の原料となるネコが多く獲られて、ネコが減ってネズミが増えて、桶が齧られて、桶屋が儲かる……という話なんだよね」
カエル「……なんか『そんなことあるかい!』って話ではあるけれど」
主「重要なのは因果関係なんだよ。
物語で重要なのは因果関係で、なぜそうなったのか、なぜそうなるのか……そこをうまく組み合わせていくうちに、知らず知らずにうちに大きな出来事につながる。これが大事。
だけれど、今作の場合はそれが逆転しているんだよね。
『〇〇の展開を起こしたい』
↓
『じゃあ、その原因となる〇〇を作り出そう』
ということになっている。そして、それでしかドラマが発生しないんだ」
もうちょっと具体的に!
例えば、今回で重要になるシステム、あれはなんのために作られたのか? ということだ
カエル「あのパシフィック・ブイの老若認証だよね。
あれは世界中の犯罪者などを監視するためだと思うけれど……」
主「それもそうなんだけれど、それは設定の話。
あれは物語上では”灰原哀=シェリー”であることがバレる、というためのシステムでしかない。
そしてあの直美が誘拐されるのも、灰原哀=シェリーがバレるためのきっかけ作りにしか過ぎない。
つまり因果が逆転している。因があるから果があるのではない。
果を生み出すために、因が作られている。
だから徹底して……わかりやすくいうならば、制作者のご都合でしか作られておらず、それを隠そうともしていないんだよ」
テーマの不在
う〜ん……それはそれとして、それだけで怒っているの?
あとは、この映画はテーマが一切存在しないんだ
カエル「テーマの不在かぁ」
主「例えば『ドラえもん』にしろ『クレヨンしんちゃん』にしろ、子どもたちに対するメッセージとか、社会的な問題意識があるんだよ。でも、この映画はそれがない。
まあ、そもそもコナンはエンタメ調が強いから、そのようなテーマの不在は珍しくない印象だけれどね」
えー、でも、それってエンタメに必要なの?
必要という意見もあるし、いらないという意見もある
主「ただし本作の場合は……明らかに老若認証とかは社会主義的な存在であり、現代人の自由な人権意識を妨害する、一般に報道されたら政権が揺らぐメチャクチャ危ういシステムだ。
しかし、それの是非すらも語られない。
あれって、他の映画ならば……例えばハリウッドのアクション映画ならば、むしろ悪側のシステムだよ。それを壊す黒の組織の方が、一種の正義側として描かれていることも多い。
テーマが不在&本来語られるべき倫理問題などが完全にスルーされているのも、個人的には引っかかるポイントだ」
100億円超えたい、が全面に出てきていいのか?
え、じゃあ、今作を観て感じた制作者側の意図ってなんなの?
だから『100億円超えたい』だよ
カエル「100億円超えたい?」
主「そう。だから黒の組織を出して、原作でも重要な展開をして、キャラクター作画は絶対に崩さず、オールスターにして、全員に見せ場を与えた。
赤井秀一、安室透などの人気キャラクターも登場させた。
最後にコナン×哀の重大な物語も見せた。
それだけ接待に次ぐ接待を重ねて、その目的は『絶対に100億を超える』なんだよ。そのためにファンが狂喜乱舞する内容を、死に物狂いで、なりふり構わず作り上げた。
そしてそれは、多分、成功する」
目的に対する手段としては、とても優れているという評価なのかな
たださ、それってやっぱり因果が逆転しているような印象なんだよね
主「まず勘違いしてほしくないのは、ボクは興行収入を稼ぐことはとても大事だと感じているし、目標として100億円を達成することは、コナンにとって悲願であり、その姿勢そのものは支持する。
むしろ、企業というのは1円でも稼ぐために頑張るべきだし、そのためには……もちろん守べきラインは守りつつ、でもなりふり構わないことも大事だ。
そして100億円超えて欲しいし、世界にコナンを届けてほしい。
でも、その100億円はあくまで結果でしかない。
その過程において、素晴らしい作品を作って100億円稼ぎました、が本来あるべき形だと感じている。もちろん、いい作品が売れるなんて、そんな甘い世界じゃないのは、知っているけれどさ。
だからボクは……あくまでもボクは『100億円稼ぐためにどうするか』という、大人の事情が完全に見えてしまうような今作は、因果が逆転している……結果を求め過ぎているような気がして、どうにもモヤモヤするんだよね」
続きの記事はこちらです
最後に
というわけで、辛口の感想記事でした
まあ、色々な意見があっていいと思うがの
カエル「亀爺としては、主の意見はどう思うの?」
亀「まあ、ファンでないと思うところもあるのかもしれんの。
うちとしては『ONE PIECE FILM RED』や『BLUE GIANT』なども、その良さは認めつつも、辛口な部分は辛口でやってきた。そして今作も……ファン向けの、ジェットコースター的なアトラクションムービーの要素が強いじゃろう。
それが面白いという人もいれば、つまらないという人もいる。
ファンを喜ばすのがこの手のファン向け映画の第一目的かもしれんが……そのファン層を広げたり、さまざまな挑戦をするのも映画の役割じゃろう。
その意味では、今作の挑戦はファンを喜ばすための内向きのものが増えてしまい、色々とチグハグなできじゃったのかもしれんな」
カエル「う〜む……なるほど」
亀「しかし、わしとしてはファンが喜べばそれでいいと思うがの。
ファンが喜び、興行収入が過去最高になる。それ以上に求めるものは何がある?
わしは、たとえファン向けと言われようが、それはそれで好きなものを好きでいることの方が大事じゃと、そう思うかの」
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