それでは、今回は『名探偵コナン 緋色の弾丸』の感想記事になります!
赤井一家大集結! ということでも話題になっておるの
カエルくん(以下カエル)
「ちなみに、赤井一家って名前は知っているけれど、詳しくはないくらいの、原作は途中でドロップアウトして映画だけ見ている者の感想となります」
亀爺(以下亀)
「『名探偵コナン 緋色の不在証明』で、ある程度おさらいしたからの。
……まあ、作品としては褒められたものではなかったが」
カエル「ひ、緋色の不在証明はほぼほぼ総集編の特別作品だから……映画とはちょっと違うしね?
それでも22億円以上もヒットさせるんだから、コナン人気は凄まじいねぇ」
亀「それだけ熱いファンが多いのは納得じゃが、少しその人気にあぐらをかいているように見えてしまう面もあるかの。
まあ、いいわ。そこはファンの方がどう思うかじゃしの」
カエル「それでは、記事のスタートです」
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感想
それでは、Twitterの感想です
#緋色の弾丸
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年4月16日
見事な二塁打
そりゃまぁガバガバだけどここまで行けばいっそ清々しい!
コナンらしさ全開でキャラの魅力に溢れていた
赤井家とかキャラ数が多すぎて難しい中で何とか見せ場を作りまとめ上げたのではないだろうか
アバンが最高に良かった… pic.twitter.com/o078c09lod
これはこれで、コナンらしい二塁打だったのではないかの
カエル「とりあえず、これはこれで満足したのかな……
どれだけ褒めて良いのか、ちょっと迷う部分はあるけれど……コナンはすでに映画しか見ていない、にわかもにわかの感想としては、面白かったです」
亀「良い二塁打じゃったの。
例えるならば、左中間真っ二つの二塁打ってところではないかの。
このようなシリーズ映画の場合、それが1番良いのではないじゃろうか」
カエル「え、ホームランが1番良いんじゃないの?」
亀「ホームランの作品というのは……例えば『シンゴジラ』とか、あるいは『ジョーカー』などがわしの中では該当すが、ホームランを狙う作品はそれまでのシリーズを壊すくらいの意気込みもある作品じゃろう。
シリーズものは、ある種様式美の世界じゃ。
そこで求められるのは、全てをぶっ壊すホームランを狙ったフルスイングではなく、綺麗な二塁打じゃろう。
その点では、この作品ではわしは……文句はあるが、まあシリーズ映画だしってことで、文句なしの二塁打って評価かの」
コナン映画に何を求めるのか?
……え、結局褒めているのかそうじゃないのか、よくわからない感想に
全体としてのレベルはそこまで高いとは言えんじゃろう
カエル「映画だからといっても、近年の作品にあるような映像面のリッチさとかは、あんまり感じなかったかなぁ。
あとは物語もすごく練り込まれているとは思わなかったし……
あれ、何を褒めているのか、わからなくなってきた……」
亀「コナン映画に求められるものが何か、という問題じゃろうな。
わしのような映画しか見ていない……かつてコナンを追っていたが、今は原作はドロップアウトしてしまった亀には、この映画のようにお馴染みのキャラクターが躍動し、それぞれが魅力ある姿を見せてくれるだけで、それなりに満足するものじゃ。
もちろん、映画だから綺麗な映像美、あるいは特徴的な演出、練り込まれたミステリーと脚本という人もいるじゃろう。そういう人には、この映画は満足できんかもしれん」
カエル「う〜ん……ただコナンと蘭、あるいは灰原あたりがキャッキャウフフのラブコメしているだけで良いって人もいるのかもねぇ」
亀「それから人気キャラクターのカッコイイシーンが見たいとか、の。
色々な要望がある中で、それを消化し、それぞれが……それは観客のみならず、色々なしがらみの中でコナンらしさを守り抜き、エンタメとして面白い作品を作り上げる。
そういった職人的な作品として、わしは二塁打クラスのヒットを飛ばしたと評価したいかの」
作るのが難しい物語
でもさ、この作品って色々と難しい部分が多かった気がするんだよねぇ……物語がっていうよりも、作り方のお話なんだけれど
そもそも、赤井一家を全員集合させている時点で無茶振りじゃからの
カエル「だって、当然ながらコナンくんも活躍させなければいけないし……それ以外のキャラクターを一切出さなくていいならばともかく、そんなわけもないしねぇ。
それで赤井一家の4人をそれぞれの魅力を出しながら説明描写も入れて、魅力も入れて、それでメインの物語もちゃんと入れて……となると、相当作るのが難しいと思うんだよねぇ」
亀「それもそうじゃろうな。
今作は、その点においてはそれなりにケチもつく。というのは……物語が相当ばたついてしまった印象じゃな。
単純に
- コナンの目線
- 事件(犯人の目線も含む)
- 赤井一家の4人の目線
- 少年探偵団&毛利探偵事務所
- FBI捜査官の視点
という、この5つの物語を内包しなければならない。
そこにいつものクイズとか、様々な魅力を入れていかなければいけないわけじゃしの。
そのために、途中で物語がぶつ切りになってしまったり、あるいは中途半端なところで終わってしまったものもあるかの」
カエル「赤井一家の1人1人に注目するあまりに、その活躍が中途半端になっちゃったように見えるのも、少し問題かもね……。
こればかりは2時間以内に収めるために仕方ない部分もあるけれどさ」
以下ネタバレあり
作品考察
素晴らしきアバン
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう
この映画の映像面で唯一と言っていいほど褒め称えたいのが、冒頭(アバン)じゃな
カエル「いつものコナンらしい説明まじりのOPから始まるかと思いきや……それもそれでちゃんとあるんですが、この映画のスタートは15年前の事件から始まります。
そこの映像が、ものすごく痺れるくらいかっこいいんだよね!」
亀「ブルースハープを奏でながらニューヨークの街を走り回る被害者が出てくるのじゃが、それが素晴らしい映像じゃった。
もしかしたら引き合いに出したら笑われるかもしれんが、わしは見ていて『カウボーイビバップ 天国の扉』の伝説のOPを思い出したの」
この辺りは永岡智佳監督の作家性を感じられたのではないでしょうか
カエル「永岡監督は『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジ LOVE キングダム』や、『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』の監督も務めています。
既存のキャラクターの魅力を活かしつつ……例えば『紺青の拳』では、クラシック音楽を特徴的に使い、事件を盛り上げた演出などを思い出します。
音楽と映像の合わせ方がうまく、そのセンスが光る監督と言えるのではないでしょうか」
亀「キャラクター表現もよく、その魅力をしっかりと捉えておるのも特長的と言えるかもしれんな。
音楽とキャラクター描写、この2つが大きな武器だと感じられた。
もちろん、まだまだ作家性全開で勝負できる作品は作る機会がないじゃろう。その強烈な作家性を感じることは少ないが、キャラクタームービーの監督としては、なかなか稀有な才能を持つ人かもしれん。
この冒頭のような演出や物語がそのまま続いた場合……コナン映画としては失格になる危険性もあるかもしれんが、それこそホームランを狙えるような作品になったかもしれんな。
コナン映画の範囲を超えないようにするという意味では、冒頭だけに留めておいた、というのは正解だったのかもしれんがの」
大味を大味でカバー? する
で、ミステリーパートに関しては……もう、笑っちゃうくらいに無理矢理だったね
ツッコミどころが多過ぎて追いつかないほどじゃったな
カエル「もうさ、あまりにもご都合主義&意味がわからない描写の連続で……例えば犯人の計画もガバガバで、最初に園子のお父さんが狙われたけれど、その計画も結構行き当たりばったりなんだよねぇ。
それから、少しだけ説明程度に登場した第1の被害者も『事件に関しては口をつぐんだ』という説明があるんだけれど、その理由が全くわからなかったし……
そもそも、なぜ大元の事件があんな大掛かりな誘拐事件を行なったのか、危険を冒してまで模倣したのか……いや、そこをツッコミ始めるとミステリーに対して冒涜になるのかな?」
亀「赤井さんのアクションシーンがツッコミ満載なのは、もういいとしよう。ベルモットが言った『銀の弾丸コンビ』という話を、この劇場版でやりたかったのはよくわかるが……赤井さんが出てくるけれど、黒の組織関連の話は劇場版でやると本編に影響がでるから、できないという大人の事情もわかっておる。
しかし、肝心の犯人を当てるのも理由が壊れた携帯電話というのも、指摘されているようにガバガバなポイントの1つじゃろうな」
何がびっくりって、ガバガバの上にガバガバを重ねていくんだよね……
そこまでいくと、わしはむしろスッキリしたかの
亀「ここで変に取り繕うと変な雰囲気になってしまうかもしれんが、今作の場合は『ガバガバであることをつっきろう、リアリティは除外だ!』という強さを感じた。
それはそれでいいんじゃよ。
リアルモーターカーを使ったアクションも、迫力重視で超人芸ばかりになっておるが、それはそれでOKじゃ。むしろ、コナン映画にそれを求めに来ている人も多いじゃろう。
それに対して突っ込むのは、プロレスで『今の技、明らかに避けられただろう!』と怒号を飛ばすのと同じようなものと思う。
つまり、攻撃と受けの美学、その説得力、リアリティとファンタジーの融合をどこまで楽しめるのか、という割り切った見方が必要とされるわけじゃな」
カエル「……それで本当にいいのか? って思いは拭えないけれどね。
うちが二塁打って評価するのは、そこで割り切ってしまって、むしろファンタジー&アクション(シリアスギャグ含み)として、面白く見たというのも大きいし。
ただし、この映画は『ミステリーとしてはある程度フェアにやろう』という意図は感じられました」
亀「フェアかどうかは別としても、例えば後半でクエンチが登場するから、前半でもクエンチを出しておこう。
あるいは後半でキーとなるアイテムは、前半でもきちんと出ているよ、ということは徹底しているように感じられた。
それがどこまでフェア・アンフェアで機能しているかは難しいが、その意気はよしと評価したいかの」
本作が語った”正義”の形
今作が唯一? と言っていいほどメッセージ性があったのが、このパートです
これはなかなか面白い正義が見れたの
カエル「最後にジュディ先生がお説教をするんだけれど……ここで語られてる”汚い正義”というのがFBIの正義の形なんだね」
亀「おそらく、あのセリフは『名探偵コナン ゼロの執行人』で語られた、安室の正義と対になるものではないじゃろうか?」
『ゼロの執行人』も今作も、脚本を手がけるのは櫻井武晴です
ここで安室と赤井のライバルも交差するという形じゃろうな
カエル「安室の日本を守るためになんでもするという正義と、赤井(FBI)の司法取引も用いる汚い正義の2つって結構似ていると思うんだよね。
組織がより大きな物を……それこそ国とか、政府を守るための正義ってそうなっちゃうのかもしれないけれど。
一方でコナンの正義は”加害者でも殺させない正義”じゃない?
汚いやり方や犠牲を強いるやり方を否定して、綺麗事かもしれないけれど、守れる人をみんな守る正義……それがコナンの正義なわけで」
亀「その正義と正義がぶつかり合った作品でもあるわけじゃな。
その辺りは東京事変の『永遠の不在証明』にも現れておる」
せめて誰かひとり死守出来るとしたら万々歳か
喜びとは怒りとは悲しみとは灰色に悩んでいる
元々の本当の僕はどこへ
永遠の不在証明
カエル「言葉が難しいけれど、結構この作品とも近い歌詞が多く並んでいるんだよね」
亀「あくまでもタイアップであり、椎名林檎がどこまでコナンやこの作品に近づけて行ったのかは、わからない部分が多いが……少なくとも、全く無関係なものではないとわしは思う。
そのコナンの追い求める理想の正義と、FBIの犠牲や加害者の殺害を厭わない正義の対決……この辺りが本作の見どころということになるのかもしれんな。
ただし、それを説明するのがジュディ先生であり、赤井自身はコナンと対立することはないから、その視点が弱いというのもあるにはあるが、の……」
最後に
では、この記事の終わりです
永岡監督作品では、園子の印象が大きく変わるの
カエル「普通にいいお姉ちゃんしていたもんね……自分はリニアに乗らないでちゃんと子供優先にしてあげる配慮とか、文句言いながらもしっかりと面倒を見たり、園子像が結構崩れてしまうところがあるかも……」
亀「それから秀吉関連のラブコメも、作品に関与するのが遅くてほぼ独立した話になってしまったが、見ている分にはニヤニヤできるものであった。
キャラクターを楽しむアニメ映画としては、十分及第点と言えるのではないかの」
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