今回は『私の幸せな結婚』の感想記事になります!
今作は実は少しだけ楽しみにしていた作品でもある
カエルくん(以下カエル)
最近はめっきり漫画も読まなくなってきたけれど、今作のコミカライズを読んでいるんですよね!
亀爺(以下亀)
しかも、それなりにハマっている作品じゃな
カエル「あれ、でも、昔は『甘いだけの恋愛ドラマなんか興味はない!』なんて言ってなかった?」
亀「歳をとると『こういうのでいいんだよ』になるんじゃろうなぁ。
『王道で行こうぜ、王道で。そんなとこで奇ィ衒ってどうするんだよ。普通に終わらそう、普通でいいんだよ。(中略)――ハッピーエンド以外は認めねぇっつーの』とな。
原作漫画は1巻の時点で胸がキュンキュンして、何度も読み返したものじゃよ」
カエル「……ま、まあ、楽しみ方はそれぞれだからね!
それでは、感想記事を始めましょう!」
この記事が面白かったり、感想があればTweet、
はてなブックマークをお願いします!
大手レビューサイト評価(3月19日時点)
Yahoo映画
3.9
映画ドットコム
3.9
Filmarks
3.9
平均並から少し高評価と言ったところでしょうか!!
作品紹介
キャスト紹介
-
久堂清霞 目黒 蓮
斎森美世 今田 美桜
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#わたしの幸せな結婚
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年3月18日
漫画版が好きなので今作も鑑賞しました
単なる恋愛映画のようで実は異能力バトルでCG表現などが見応えがあり、悪くはない作品です
3つのエピソードが混じり合うので1つ1つの結びつきが弱くなってしまうのが勿体無いなぁ pic.twitter.com/vbCz7eQqeT
これがなかなかの、ジャンルごちゃ混ぜ闇鍋映画作品じゃったの
カエル「うちは漫画版を読んでおり、どんな作品かはなんとなく知っていますが……改めて映画になって2時間にまとめると、相当闇鍋というか、ジャンル不明映画感もあるよね。
もしかしたら『ラブラブ恋愛モノ💓』という気持ちで観に行く観客も多いのかもしれません」
亀「まあ、主演の目黒蓮目当てのお客さんも多いだろうし、タイトルからそういった内容だと思うのも、当然と言えば当然じゃな。
その意味では、今作は以下のような要素が散りばめられておる」
今作のジャンル闇鍋感
○ 恋愛作品
○ 異能力バトルファンタジー
○ 明治・大正を舞台とした歴史劇
とても大きく分けるならば、この3つの要素がゴチャッと混ぜられているわけじゃな
カエル「ふむふむ……それで、その1つ1つはどうだったの?」
亀「全て60点というところかの。
どれか1つのジャンルに特化することもなく、逆にどこかがダメだったわけでもない。全ての要素が良く言えばバランスよく、悪く言えば無難に散りばめられて、まとまっておった。
だからこそ、逆に言えば何映画かイマイチわからず、なんだかまとまっているような気がしつつも、〇〇映画(恋愛・バトルなどの特定のジャンル映画)を望んでいたら、少し残念な気持ちになったかもしれんの」
カエル「それはなんというか、厳しい意見なのか、優しい意見なのか……」
亀「まあ、可もなく不可もなく、といったところじゃな。
少し評価には困るが、決して駄作と落とすまでもなく、傑作と褒めるまでもない。
ただし、今作は結構なヒットを記録しておるし、今後も続く可能性がある作品である。そう考えると、作品の方向性を決定づけないということでは、次に繋がる余地が多くて、その点は評価してもいいかもしれんな」
保守的な物語性〜女性が男性によって救われる物語〜
今作の漫画版を読んだ時に、どのような印象を抱いたの?
今の時代では少し勇気がいるような、保守的な物語性に感じられたかの
カエル「現代は女性の自立が多く描かれていて、特に『結婚こそが最高!』という価値観そのものは、かつてほど絶対的なモノではなくなってきているのかなぁ」
亀「物語そのものは『意地悪な継母に虐められた可哀想な私を救ってくれる王子様』という意味では、シンデレラなどに通じるような、王道のおとぎ話……いわばファンタジーじゃな。
これは過去にも解説したことがあるが、自由恋愛が認められていなかった時代に、女性が自分で相手を選び、お家制度から解放することが女性の自立の1つと考えられてきた。そして、現代はさらに時代が進み”結婚が女性を幸せにするとは限らない”という価値観が強くなってきておる。
この辺りは、以下の記事を読んで欲しいの」
でも、今作は『不幸な女性を王子様が救済する』という、昔からあるタイプの作品なわけだよね
やはりどれほど時代が進もうとも、この手の物語はとても強いということじゃな
カエル「今作に関しては女性だけれど、これが男性向けだったとするとハーレム系……例えば『ToLOVEる』だったり、色々なライトノベルやアニメ、漫画が該当するわけだよね。
その意味では『とても可哀想な私をイケメンさんが助けに来て、色々なイケメンさんが言い寄ってきてくれて、実は私にはある秘密があって〜』という流れそのものは、なろう系にも通じる価値観だよね。
というか、原作がそもそもなろう系か。
そんなちょっと古風な物語が堂々と描かれているわけで……これって、今のハリウッドや西洋の流れを知っていると、ちょっとビックリするというか」
亀「まあ、しかし、それでもいいのではないじゃろうか。
女性の自立が叫ばれていても、結婚して嫁入りして専業主婦が夢、という女性だっているじゃろう。もしかしたら現代で専業主婦の方が希少で価値があるかもしれん。
こういったある種、古い価値観かもしれんが、それが受ける余地が日本にはまだあるというのは、ある意味では当然のことではあるしの。
それもまた多様性の1つだと、ワシは思うぞ」
役者について
次に、役者について語りましょう!
まあ、これはこれで良かったのではないじゃろうか
カエル「今作はイケメンで”カッコイイのプロ”である目黒蓮が主役ですが、彼の演技は良かったのではないでしょうか!?」
亀「及第点、といったところかの。
ジャニーズの長所であり欠点であるのが”カッコイイのプロ”であることじゃ。もちろん、普段からカッコイイの仮面を……つまりかっこ悪い一面はなるべく見せないようにしており、身なりなどを含めて整えている。
その意味ではイケメンであり、カッコいい役者であるのじゃが……逆に言えば、カッコいい演技しかできない。今作の場合はカッコいい役であるからそれで問題がないが、悪く言えば約幅が限定されてしまう。
とはいえ、ジャニーズのイケメン役者に、誰も汚い演技ができるようになどと望んでおらんじゃろうし、期待に答えてくれる演技じゃったろう」
……なんか、手厳しくない?
というよりも、彼が悪いせいではないが、少し思うところがあっての
亀「この辺りは原作の再現ということもあるのであるが、純和風な美術や衣装で、周囲も純和風の中、金髪の長髪を日本人が演じるのは少し厳しいものがある。
ここはコスプレ感が出てしまうので、どんなに上手い役者であってもハマることは難しいじゃろうな。
他の役者であったとしても、これは仕方ない。
役者の問題ではなく、方向性の問題じゃからの」
原作を再現しようとすると実写では少し無理が……
他の役者に関しては?
概ね、60点の演技だったと言えるじゃろう
亀「厳しいようじゃが、そもそも今作は作品の方向性もどこに向かうのか分かりづらく、また時代などの設定も曖昧に見える。
その中では飛び抜けて良かった役者も、悪かった役者もいなかった印象じゃ」
カエル「手厳しいなぁ。
ボクなんかは同僚の人たちとかは、いい演技していたと思うけれどね」
亀「難しいところじゃな。
あれが明治・大正時代であれば、上官に対して砕け過ぎな印象も受ける。とはいえ、漫画原作の実写映画の場合はこういう作品も多いので、そこは違和感につながるまではないがの。
まあ、この作品は時代感などに関しては結構適当な印象があるので、なんちゃって日本の明治・大正くらいに受け止めるべきかもしれんかの」
カエル「強いて言えば、うちはアニメファンなので津田健次郎が顔出しでも、しかも結構しっかりとした役で演じられていたのは、とても嬉しかったね!
声もいいし、イケおじだから眼福だったなぁ」
以下ネタバレあり
作品評価
色々な要素がぶつかり合いすぎ
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
まあ、先の項目でも語ったんじゃが、少し色々な要素がぶつかり合い過ぎて、ごちゃ混ぜになってしまったの
カエル「ふむふむ……じゃあ、そこを掘り下げましょうか」
亀「先にも語ったが、今作には以下の要素や事件があるわけじゃな」
今作のジャンル闇鍋感
○ 恋愛作品 → 2人の恋愛描写
○ 異能力バトルファンタジー → バトル描写など
○ 明治・大正を舞台とした歴史劇
ここで重要なのは、今作が”何映画か”をはっきり見極めることだったと感じておる
亀「例えば、恋愛映画であった場合は、2人が結びついていく過程が急で早い。
描かれていた内容としては序盤では
他人が信用できなくて食事が食べられない
↓
美世の作った食事を食べる
この描写自体は恋愛描写、あるいは心を開いていく様子としていい。
しかし、そこまでの描写が浅いために、ただ単にゆり江さんに怒られたから、食べましたという恋愛ではなく、単なる態度の問題にも見えてしまう」
描写の濃度の問題とでもいうのかなぁ……2人が恋人になっていく過程が急すぎるというか……
それは全体的にそうであって、例えば異能力ファンタジーとしても、後半の展開が弱くなってしまう
亀「確かに仲間たちが同士討ちを始める様子はとても苦しいものであるが、そこまでの仲間の描写が……あるし、キャラクターが立ってはいるが、弱い。
映画の3段論法からすると、斎森家に行くシーンが中盤のピークとして、その後の騒動をラストに持ってくることでドラマを作りたいのはわかるし、正解と言われるじゃろう。
しかし、それで映画そのものが軽味になっては、勿体無い。
それならば斎森家のところをあっさりとするか、逆にそこをピークにするのもありじゃと思うがの」
難しい問題だよねぇ……
3つの異なる物語を強引に混ぜてしまうから、1つ1つの尺が足りなくなるのじゃな
3つの物語
○ 斎森美世と久堂清霞の恋愛
○ 蟲をはじめとした異能力バトルパート
○ 家の軋轢を描くパート
上手く混ぜたと言えばそうであるが、ここで色々とやり過ぎたために話が膨らまずに消化するだけになってしまっておる
カエル「そう思うと、娯楽作品として、あるいは原作を活かすために色々とやりたかったのはわかるんだけれど……」
亀「それだけに残念なところじゃな。
もっと胸がキュンキュンしたり、あるいは異能力バトルかっけ〜! となるような膨らませ方が足りんかったかの。
まあ、それでもこれだけ上手くまとめているので、監督はきっちりと色々な要素をまとめて調理したとも言えるがの」
映像面について
映像面に関してはどうだったの?
最初の10分くらいは面白かったがの……
カエル「あれ、最初の10分だけだったんだ」
亀「最初の10分は奥行きを使って登場人物の心情を表したりと、色々と工夫を凝らしておった。
例えば予告編から拝借したこの画像について、少し解説しよう」
2人のこの時点での距離感と、家に囚われているのがよくわかる映像だよね
亀「この襖が2人の間の障害を表しており、木枠越しに2人を撮ることによって、自由がない……家の事情で結婚をすることも伝わってくる。
なかなかに窮屈な映像じゃが、この2人の様子を表しておるの。
また、序盤で家を出ていく美世は背景が閉じた室内……つまり、未来がないことを示しておる。そこでは辰石幸次と対峙するが、彼は外の光を背景にしておる。その先に向かう外の光で救われていくことを示しておるわけじゃな。
そういう意味では、しっかりと映像の演出を行なっていたわけじゃ」
ふむふむ……
まあ、後半はよくある大作邦画のようになってしまったがの
カエル「う〜ん……櫛の下りとかも説明セリフだったから、ああいうのもない方がいいと思うけれどね。でも多くの人に向けてとなると、仕方ないのかなぁ」
亀「大味な部分が目立った一方で、前半10分だけはしっかりと……もしかしたら少し古風な映像を作ろうという意図もあったのかもしれんな。
ワシとしては、ワクワクがピークになってしまった」
CG班に拍手!
どこか褒めるところはないの?
ワシとしてはCGは面白かったの
カエル「異能表現の部分だよね。あれは近年の映画的で面白かったなぁ……何というか、リアルを追求するだけじゃない部分というか」
亀「今作は部分的にドローンを使ったりとして、挑戦した映像作りは褒めたいのじゃが、いかんせんスローモーションの多様なども含めて、少しくどい。
その中ではCGに関しては、異能っぽさも入っておったし、見応えもあった。
近年は2.5次元舞台もあったり、その映画化などで面白い表現が色々と見られておるが、今作もその部分に関しては、高く評価するべきかもしれんな」
終わりに
というわけで、今回はここまでとなります!
少し手厳しいようではあるが、娯楽大作としては決して悪い映画ではない
カエル「こういう映画って本当に語るのが難しくて……悪い部分ばかりを語っちゃうけれど、でも娯楽としては悪くなくて、全体としては60点だから合格! って感じなんだよね」
亀「色々と文句を言ったようであるが、ワシとしては原作ファン、あるいは役者のファンなど、気になっているならば劇場に行っても構わないと思っておる。
是非とも、自分なりの楽しみ方をして欲しい作品じゃな」