今回は漫画、アニメも人気の『かぐや様は告らせたい』の感想記事です!
恋愛スイーツ映画ではあるが、注目度もなかなか高いようじゃな
カエルくん(以下カエル)
「今作では注目の若手俳優やアイドルがたくさん出演しているから、ファンも多く映画館に行きそうだね。
流石に平日の初日はそこまで人は多くなかったけれど、きっちりと興行収入1位を獲得しています」
亀
「この手の映画は役者を観に行く若者層が中心じゃしの」
カエル「まあ、バカにされがちな恋愛スイーツ映画ではありますが、それでも時にはいい作品も生まれていて……」
亀「むしろわしは今の邦画界でもっとも斬新な演出が生まれておる場ではないか? と考えておる。
どこまでを恋愛スイーツ映画、と分類するのか、という問題はあるものの、プロジェクトマッピングであったり、CGやアニメーションの活用などもあって既存の邦画や実写映画の枠を超えるような試みが多い。
今作の監督である河合勇人監督もその手の演出を多く手がけており、そちらも合わせて注目していきたいの」
カエル「では、感想記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
週刊ヤングジャンプにて連載されており、シリーズ累計発行部数750万部を突破、
テレビアニメも話題となった赤坂アカ原作の同名漫画を実写映画化した作品。
監督は『俺物語』『チアダン』などの河合勇人、脚本は多くのテレビドラマのほか『翔んで埼玉』などを手がけた徳永友一が務める。
キャストには人気アイドルグループKing&Princeに所属する平野紫耀、1000年に1人の美少女とうたわれた橋本環奈がW主演を果たす。そのほか、佐野勇人、池間夏海、浅川梨奈、ゆうたろうなどの若手俳優のほか、高嶋政宏、佐藤二郎などが物語を盛り上げていく。
将来を約束されたエリートが通う秀知院学園の生徒会長である白銀御行(平野紫耀)と副会長の四宮かぐや(橋本環奈)はお互いに惹かれあっているが、高すぎるプライドが邪魔してしまう素直になることができずにいた。そして2人は高い知力を生かして愛s手に「好き」と告白させようと画策するのだが……
感想
では、Twitterの短評からスタートです……
#かぐや様は告らせたい
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年9月6日
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………福田雄一って凄いんだなぁ pic.twitter.com/7KQN7i1Kii
コメディは相性があるじゃろうが…これは言葉も出ないの
カエル「えっと……とりあえず先に言っておきますと、今作では福田雄一監督は全く関係ありません。
だけれど、そんな福田監督の評価が上がるという、謎の現象が発生しております」
亀「映画とは何か? という定義にもようるじゃろうが……今作を映画と認めていいのか、全くわからんかった。
いつもうちでは面白い、つまらない云々、また演出として尖ったものや監督などのスタッフの狙いの考察、この演出にはこのような意図があるのではないか? と色々と考察しておるが……その全てが成り立たないものであった。
果たしてわしが観たものが映画であったのか……それともこの作品は本当に存在したのかどうか、そこすらも怪しくなってくる作品じゃな」
カエル「……本当に見おった後は虚無感による放心状態で言葉に困ります。
悪い作品やダメな作品ならば、いつもは『ここがダメなのではないか?』という指摘をしますが……今作に至ってはそれすらないというね」
亀「本当に根本からして間違っておるとしか言えん。
ここまでダメだと、誰が悪いとかもない。
今作を持って監督や脚本家、そのほかスタッフを責めることをわしはしたくない。おそらく色々な事情があったか、もしくはやる気がなかったか……そのほうがまだ救いがある。
本気で覚悟を持って本作を作っていたとしたら、かなり正気を疑うレベルと言わざるを得ないの」
河合勇人監督について
えっと……先に言っておきますが、河合勇人監督に対して悪感情があるわけではありません
むしろ、どちらかと言えば好意的な印象がある。ファンと言ってもいいかもしれん
カエル「河合勇人監督は多くの監督の下で助監督として活躍し、2008年に『花影』で監督デビュー。その後はドラマの劇場版作品や漫画原作作品などを多く監督しており、『映画 鈴木先生』や『俺物語』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』『ニセコイ』などで監督しています」
亀「この手の若者向け映画が多い印象であるが、わしは英勉監督や月川翔監督などと同じように、注目したいスイーツ映画監督の1人とである。
特に『俺物語』に関しては原作からして人気じゃが、映画の方も面白くわしも楽しませてもらった」
カエル「実力がある監督さんだよね。
特に近年の演出法では漫画のような、オーバーなリアクションと演出を多用することが特徴かな」
亀「チアダン以降かの……はっきり言ってしまえば荒唐無稽な感もあるが、吹き出しを使ったり……今作では残像のような影を使った演出などがそうであるが、他の映画とはかなり違った演出を駆使しておる。
それが合わない人もいるじゃろうが、わしはこの手の漫画原作映画を実写化する場合にはいい手法だと思っておる」
カエル「さっきから語るように、この手の映画って役者目当ての若い観客が行くから映画的な凝った演出をしても通じない可能性があるんだよね……例えるならばサッカーをほとんど知らない人にレアル・マドリードの試合を生で観戦させてもすごさがわからないかもしれない、みたいな?」
亀「年間に100本映画を観る人は酷評かもしれんが、1本も観ない人を映画館に向かわせるための映画じゃからの。
そのために徹底的にわかりやすくしており、それが漫画の世界観を合致しておることもあり、わしは基本的には楽しんで観ておる」
今作の致命的な問題点
じゃあさ、そこまで踏まえた上で今作の問題点ってなんなの?
<p
>……そもそも映画としての作りがなっとらんからの
亀「映画というのは”大きな物語”があることが大事じゃと思う。
これを言葉にするのは難しいが……例えば”悪の大魔王を倒す”だったり”可愛いあの子と付き合う”などの目的を達成するために行動し、時折トラブルもありながら目的を達成したり、あるいはしなかったりする。
そのような大きな物語がなくても、語りたいテーマがあってそれが観客に伝わるように2時間で作るのが普通じゃ」
カエル「その点、今作って大きな物語が不在なんだよね……」
亀「一応あるにはあるが、基本的な設定である『2人とも好き合っているが、プライドが邪魔して告白できない』というのを冒頭のナレーションで全て説明してしまう。
そしてその後に関しては……まあ、ちょいちょいあるがほぼサブエピソードの羅列なだけであり、何がしたかったのかもよくわからんの」
カエル「ギャグ描写があるんだけれど、それもコントみたいだったよね……しかも滑りっぱなしという……」
亀「一箇所だけ笑ってしまったのが悔しいのじゃが、それもせいぜい3分くらいかの……後の約105分ほどは、ずっとつまらない素人のコントを観させられている気分じゃった。
なかなかできる経験ではないので、それはそれで貴重かもしれん。1900円払う価値がある、とは絶対に言わんがの」
今作のコント(コメディ)描写について
で、これが福田雄一の株が上昇につながるわけね
これは明確に意識しておるのではないかの?
カエル「そもそも橋本環奈が出演していて、福田雄一って時点で『銀魂』『斉木楠雄〜』とかを連想する部分があるけれど、さらに佐藤二郎まで起用したらそりゃ、誰だって連想するよね……」
亀「しかも笑いの取り方もしょうもない下ネタだったり、あるいはパロディやメタネタであったりとくだらないものが多いのも同じじゃな。
福田監督の場合はまだ笑える部分もあるが、今作の場合さらに悪質だと思ったのは、その攻め方が非常に弱い。もっとエゲツないところを攻めてくれればまだ話は変わる可能性がわずかにあったが、それすらもないの」
カエル「いつも語るけれど『映画の笑いはなんらかの裏が必要』って奴だよね。社会性や政治的、ブラックな事情をあえて笑いにしたりとか……そういうことを一切せずに笑いだけで乗りきろうとして、全部滑ったというか……」
亀「おそらく上から『銀魂みたいな、あるいは福田雄一みたいなものを〜』とお願いされていたか……もしくはほとんど福田雄一で話が決まっていたのに、監督などの交代が決まってしまったのじゃろうな。
題材を考えてもそれならば納得いく。
もしくは監督やスタッフが本気でこれでいって、実験作として頑張ろう! という覚悟があればまた話はわかるが……やる気も熱意もかけらも感じない作品になってしまっておるの」
唯一の褒めどころの役者陣について
えっと……この酷評の流れで聞くのはあれだけれど、役者陣はどうだったの?
唯一、見所があったかもしれん
カエル「お! この手の映画は役者を売り込むためのものだし、そこがよければ万事良しなんじゃない?」
亀「唯一、監督らしさを感じたのは池間夏海を起用したことかの……『ニセコイ』でも異次元の可愛らしさを発揮しており、今作でもそれは健在。しかし、なぜあの役でクレジットロールの4番目くらいなのかは理解できんが……」
カエル「えっと、主演の2人はどうだったの?
難しい役だったとは思うけれど、すごく一生懸命に頑張っていたよね!」
亀「ダメダメではある。
まあ、これは好みの問題もあるが……橋本環奈をいいと思った記憶が一切ないとは語っておくが、アイドルとして魅力的なのは理解できる。しかし、映画の役者としての魅力は皆無ではないかの?
それは平野紫耀にも言えることじゃろう」
カエル「オブラートに、オブラートにね……」
亀「もちろん、ここから先さらに成長する可能性もある。
今作は上記のように役もスタッフもボロボロであり、どうしようもない部分もあったかもしれん。
今後はジャニーズでいえば岡田准一のような、演技で評価される役者になる可能性もある。しかし、今の所は……残念ながら2人とも観るべきものはない。設定といい、衣装などといい学園祭の演劇レベルと言わざるを得ない。
顔がいいだけならば写真でいいし、それこそアイドルのDVDでいい。
もっと魂を、顔以外の魅力を見せてくれないとの。セリフからは台本が見えてしまい、驚きや面白い動きもない以上は評価は辛くなるかの。
彼ら、彼女たちと比較対象になるのはリリーフランキーや山田孝之、樹木希林に松岡茉優のような演技のバケモノたちじゃ。そこに届くには……もっと輝きが欲しいの」
えっと……じゃあ、誰を褒めるの?
淺川梨奈と堀田真由かの
カエル「今作ではハイテンションな友人である藤原書記を演じた淺川梨奈と、秘書の早坂を演じた堀田真由だね」
亀「藤原書記に関してはやり過ぎかもしれん。
わしはアニメ版はさわりしか見ておらんが、アニメ版を踏襲したようなハイテンションで非常に作った演技をしておったが、それが却ってこの漫画のような世界観には合致しておった。
今作のMVPになるのは、藤原書記じゃろうな」
カエル「ふむふむ……堀田真由は?」
亀「逆にテンションを一定に保つ役だからこそ、演技の粗が見えずらかったのかもしれんの。
他の役者は”頑張って漫画的にテンションをあげたり下げてりしていますよ”というのが伝わってきたが……つまり演技的過ぎたが、彼女の場合は……演技的な面も多々あるにはあるが、それが特別鼻につかなかったかの」
カエル「……そんなこと言っているけれど、メイド服とギャルっぽい制服が良かっただけじゃなけくて?」
亀「わっはっはっはっは……そんなわけあるわけないじゃろうが。
わっはっはっはっは……」
まとめ
では、この記事のまとめです
- 言葉にならない虚無の作品……
- コメディ描写が滑りぱなし……
- 福田雄一作品のようにやりたかったのかもしれないが……河合監督の味がない
残念ながら褒めることが難しい作品じゃな
カエル「こう、最後になるけれど何か褒めることはないの?」
亀「う〜む……河合監督作品は『恋愛における障害』などをしっかりと描いたり、あるいは社会派の一面をちらりとのぞかせる部分がある。例えば『俺物語』は容姿重視の問題だったり『ニセコイ』は家族関係のよる恋愛の障害など、かの。
今作もその意味では身分の差などもあり、踏み込めばそれなりに面白い作品になったと思うが……全く掘り下げなかったのが残念じゃな」
カエル「それこそ選挙なんて『鈴木先生』でとても面白い論争などをしていただけに、残念な出来だったのが目につくのかなぁ。
ちなみに河合監督の新作『初恋ロスタイム』は9月20日公開予定ですので、こちらも注目していきましょう!」
亀「……もしかしたらこっちに力を尽くしていたのかもしれんの」