今回は『TANG タング』の感想記事になります!
このようなタイプの実写邦画は、久々な気がしてくるの
カエルくん(以下カエル)
ジュブナイルSFって感じで、夏にこういったファミリー映画があると、少し安心するというか
亀爺(以下亀)
それだけで応援したくなる気持ちがあるの
カエル「今回は嵐のニノが主演ということもあって、この夏の作品として注目している方も多いのではないでしょうか?」
亀「しっかりとレビューしていこうかの。
それでは、記事のスタートじゃ」
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作品紹介・あらすじ
キャスト紹介
春日井健 (二宮和也)
春日井絵美 (満島ひかり)
野村桜子 ( 市川実日子)
加藤飛鳥 (小手伸也)
大槻凛 (奈緒)
林原信二 ( 京本大我 SixTONES)
馬場昌彦 (武田鉄矢)
感想
それでは、Twitterの短評からのスタートです!
#TANG
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年8月11日
こういった日常の中に可愛いロボットが入り込むSF作品は実写では久々に観た気がしますね。SF描写も現代の延長線上なので観やすく、何よりもTANGの愛らしさに満ちていました
首を捻るところもあるのと全体的にファミリー向け&子ども向け感は強かったかなぁとは思いますが、やりたいことはわかる pic.twitter.com/ncudh8weic
いい部分と、気になる部分が混在しているような形じゃな
カエル「今回は子どもにも気軽に楽しめるロボットSFということで、そちらの意味でも注目なんだよね。
例えばちょっと前の作品だと、山崎貴監督の『ジュブナイル』とかもあったり、それこそ古典的な作品では『ドラえもん』もこのジャンルに入るかもしれないけれど、ファミリー向けではあまりなかった印象だから、興味を持って劇場に向かいました」
昔はこのような家族向けのファミリー映画が、もっとあった気がするの
亀「まあ、今でもあるといえばあるか。それこそ今年では……うちでは鑑賞しておらんが『ゴーストブック おばけずかん』もそのジャンルに入るのかもしれん。
まずは何よりも、こういった誰もが気軽に楽しめるであろう実写映画を制作し、大規模上映していることを褒めるべきかもしれんの」
近年は大ヒット作も漫画原作とかで、悪いとは言わないけれど事前知識が必要だったりする作品もあるからね
その中で1作で完結しながらも、誰もが楽しめる作品を制作するのは簡単なことではないからの
カエル「作品はどうだった?
ボクとしては、TANGがとても可愛らしくて!
こういうロボットが欲しいなぁ……ってずっと思いながら見ていたよ!」
何を望むのかによって、印象が変わるかもしれんの
亀「TANGや可愛らしいロボットの映像の魅力を楽しみたければ、今作はかなり楽しめるじゃろう。
同時に、人気役者の演技を堪能したい人もオススメじゃ。
一方でSFの深さ……物語やメッセージの深さを望む人には、少し辛口になってしまうかもしれん。
あとは役者に興味がないと、そう感じるかもしれんの。
全体的には、いいところと悪いところがはっきりと出た作品という評価じゃな」
良かった点
良かった点 とても可愛らしいTANGのキャラクター像
まずは良かったところを述べていきますが……なんと言ってもTANGのキャラクター像は褒めるポイントにあがるのではないでしょうか!?
見ていてとても癒されるようなロボットじゃったな
カエル「ロボットデザインというのは色々とあると思いますが、今作の場合は近年見かけるような……それこそソフトバンクのペッパーくんのような、丸っこいデザインではなく、少しレトロなデザインである小さくて四角いデザインをしています。
5、6歳児くらいの身長を意識したということですが、この辺りが可愛らしさを助長しているのではないでしょうか?」
亀「今作ではキャラクターデザインに丹治匠が起用されている。
丹治は新海誠の作品で美術監督を多く務めており、アニメに興味がある人の中では知られた名前でもある。今作に向けて3桁にものぼるキャラクターデザイン像を上げてきたということで、それだけ洗練されたものになっているといえるかの」
古めかしさもありつつ、それがかえって可愛らしさに繋がっているよね!
TANGのキャラクターはマスコットとして人気になりそうじゃな
良かった点② VFXを用いた世界観の設定や映像
次に挙げるのはVFXを用いた映像だよね
この”ロボットが身近にある風景”というのも、とても見応えがあったの
カエル「近未来SFといえばそうなんだけれど、それでも未来すぎないというか……ドローンが飛び回ったりしている様子だったり、あるいは建物などがワクワクするようなものだったね」
亀「そういった近未来の日常の世界の描き方などが良かったの。
一方では……良かった点であげるには少しあれじゃが、わしとしてはSF観が若干レトロなものに見えたというか、これだけDXやメタバースと叫ばれている時代において、新しいSFというよりは10年前の作品と同じレベルに感じられてしまったのも事実じゃ。
映像表現そのものは良かったがの。
これをSF感がレトロで気になるととるか、あるいはこれくらいがちょうどわかりやすくていい、ととるかは、人によるかもしれん。
ここは難しい部分であるの。
先進的すぎると場合によっては難解になり、ノイズになるし、かといって保守的だとSFのように見えなくなる。
その意味では、バランスの取れた映像だったということができるかもしれんな」
評価が分かれそうなポイント
ポイント① よくいえば万人向け、悪くいえば攻めない物語性
今作の評価が分かれそうなポイントはどこにあると思う?
やはり物語性かの
カエル「泣けるといえば泣けるし、1人の男性の成長譚であり、ロボットとの友情を描いた作品だとは感じたけれどね」
亀「この辺りは評価が難しいところもあるが……先程の映像のところでも語ったように、あまりにも攻めすぎると人によってノイズになってしまうかもしれん。だからこそ、無難でわかりやすい物語にする必要がある。
特に今作は子どもも鑑賞することを想定しているじゃろうからの。
その意味では……万人向けといえばそうではあるが、SFを望んでいくと、もっと突っ込んだ話をして欲しいと思うかもしれんの」
ポイント② 予算の問題? の映像表現
あれ? ここは先ほども褒めていたじゃない!
いや、TANGを始めとしたVFXなどはとてもいいのじゃが……中国にいくシーンがの
カエル「今作では中国の深圳にいく場面がありますが、そこが気になったんだね」
亀「いや、これはもう予算と近年の社会事情的に仕方ないのじゃが……明らかに日本すぎて、の。どこからどうみても中国には見えず、見慣れた日本の景色だったことが、とても気になってしまった。
原作を読んでいないのでわからないが、原作はアメリカを舞台にしたいのを日本に変えたと聞いておる。それならば……深圳に行かず、日本で終えても良かったのではないかの」
カエル「日常的な部分だからこそ、異国感がなくて気になったのかもね」
ポイント③ 役者の演技について
ここは賛否ポイントになるんだ?
う〜む……今作は表面的な演技に感じてしまったの
カエル「人気のある役者さんも多いから、少し柔らかめにお願いしますね」
亀「今作に関しては、どの役者も人間性を出すというよりは、わかりやすくキャラクターを演じているというような印象じゃ。
なので演技に深みが感じられない。
これは役者の力量というよりも、作品の演技プランの方向性によるものじゃろうな」
カエル「先ほどから語っているように、全体的に万人向けを志向するするからこそ、かもねぇ」
亀「深い人間の心理などを描いてしまうと、それが楽しい人にはいいが、こどもなどには難しく感じられてしまう……という思いが働いたのかもしれん。わしはそれでも届くものは届くと思うが、確かに中身がない方が多くの人には届きやすいのも、1つの理論としては納得できるものであるからの」
わしはニノはあくまでもニノでしかない、と感じてしまったかの
亀「もちろん、ニノがみたい! という人もいるから、それでいいのかもしれん。
しかし春日井健という人物の個性や思いを演じるというよりは、春日井健=ニノという風に演じただけに見えてしまった。
わしとしては、それはそれで演技プランとしてはアリだとは思うが……好みのものではなかったかの」
あとは単純に、最近テレビを見なくなったからお笑い芸人が全くわからなくったのもあるかもね
あのコントは何の意味があるのか、考えてしまったの
亀「最近はお笑い芸人を起用することもあるし、その意図もわかるが……映画としてはかなり浮いているようにも感じられてしまった。
まあ、そこに目くじらを立てるのは大人気ないのかもしれんし、かまいたちくらいは知っておけよと言われるのであろうが……映画としては、余計なシーンになってしまっていたの」
以下ネタバレあり
今作の大きな疑問点
TANGの扱いについて
じゃあ、最後にレビューとして今作の最大の疑問点について語っていこうか
それはやはり、ラストのTANGの処遇じゃな
カエル「じつはTANGにはいろいろな理由があって……というのが明かされていくのですが、それが気になったんだね」
亀「う〜む……わしとしては、あれはさすがにTANGをそのまま放置する、あるいは処置をしないのはマズイようにも感じてしまった。
今作の敵になる人物の思想も、ある意味ではわかる。むしろSFとしてはよくあるパターンであり、やり方がマッドなだけで、思想そのものは決しておかしなものではない。
しかし……TANGが起こした出来事というのは、致命的じゃ。
あれは人間だとしても大問題、ロボットであるならば廃棄処分しなければいけないレベルのようにも感じられた」
特別なロボットなのはわかるけれど、致命的だよね……TANGとしての思い出もわかるけれど、それ以上の問題があるわけで
そこに切り込まずに『TANGとの友情!』で終わるには、かなり無理があると言わざるを得ない
カエル「もちろん、観客としてはTANGに感情移入しているし、感動するのもわかります。
だけれど……その情の部分と、理の部分は相容れないということだね」
亀「そうじゃな。
もちろん、そのような決断をしてもいいのであるし、そこを深く掘り下げなかったからこそ、今作はファミリー向けとして成立しているともいえるがの。
それでいうと、本作に対する褒めるポイントも、貶すポイントも実は同じで……『ファミリー向けとして無難にまとめすぎ』ということになるのかもしれん」
カエル「ファミリー向けというのは、決して安易な物語、という意味ではないしね」
亀「そうじゃな。
そう考えると、今作は映画の作りそのものが、若干安易なものになりがちだったと言わざるを得ない。
子ども・ファミリー向けというのはわかるし、力が入っていた部分もあるが……の。
もしかしたら、1年後には鑑賞したことを忘れてしまうかもしれない……そんな作品に感じられたかの」
最後に
というわけで、記事も終了になります
参考になれば幸いじゃな
カエル「悪い作品ではないのは、間違いないからね」
亀「年間ベスト! という人もいないじゃろうが、年間ワースト! という人も少ないじゃろうな。その意味では安定しているともいえる。
あとは……役者のファンか否かで、評価が分かれるのかもしれん。
そればかりは、わしとしても何とも言えないところであるの」
カエル「でも、映画は楽しんだものがちですから!
興味がある方は、ぜひ映画館に向かってください!」
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