今回は『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル』 の感想記事になります!
まあ、そこまで大きな期待はしないでいくかの
カエルくん(以下カエル)
「でもさ、こちらは大ヒットを記録していて、興行収入もこの夏大作が多い中で初週1位を獲得するなど、注目度もある作品です!」
亀爺(以下亀)
「……映画好きの多いわしのTwitterのタイムラインでは、ほとんど感想を見なかったがの」
カエル「まあ、そういう映画好きに受けそうな作品は他にいっぱい公開されていたしねぇ。
その中でも興行的には結果を出しましたし、前作も鑑賞したので今回も鑑賞して見ました。
それでは、感想記事のスタートです!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#かぐや様は告らせたいファイナル
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年8月20日
どうした⁉︎
年間ワーストレベルだった前作からは遥かに良くなっている!(それでもせいぜい良作止まりだけど)
演出や見せ方の工夫が見られ、特に中盤の要の体育祭編のようなことが本来監督がやりたい方向性なのかなぁ
キラキラギャグ作品としては悪くない出来でした pic.twitter.com/NyzJ4TL4WU
これは、意外と悪くない作品じゃったな
カエル「前作が本当にびっくりするほど悪くて……年間ワーストクラスだったんだけれど、今回はそれが一転してそこそこ良い作品になっていたよね。
それでも、映画ファンであれば鼻で笑ってしまうような部分もあるとは思うんだけれど……でも、単なる娯楽作としてみれば、それなりの作品に仕上がっているのではないでしょうか?」
亀「今作に関しては演出や見せ方が工夫されておったようにも感じた。
前作の場合は原作のようなコメディ要素ばかりであって、それが作品全体で間延びしていた印象であったが、今作はシリアスなども入れており、しっかりと調整されていたように感じたの。一方で、大きなテーマとなく物語などはなく、単なるラブコメに仕上がっていたのは色々と感じるものがあるが……しかし、これはこれで悪くない。
もちろん、年間ベストなどという作品ではないが、かといって、年間ワーストでもない……普通の作品という評価じゃな」
……これで記事が終わってしまうような気もするんだけれど
対して語ることが多い作品でもないからの
カエル「一方では、かなりアニメ版に寄せていたというか……アニメっぽいような演出も多くしているような印象だったかなぁ」
亀「それが滑っているような感もあったがの。
『かぐや様は告らせたい』のアニメシリーズは、わしからすると傑作と言ってもいいできじゃろう。内容そのものはラブコメディなため、感動するというよりは、観てから印象が流れていってしまうようなタイプだとは思うが、娯楽作としてはよくできている。
特にそのアニメ版の影響が今作でも随所に見られていたし、例えば字幕やエフェクトを多用した演出などは、漫画・アニメ的な記号的表現とも言えるじゃろうな」
役者について
それでは、次は役者について語っていくとしましょうか
……これはなかなか語りづらい部分でもあるのじゃがな
カエル「では、まずは主演の平野紫耀と橋本環奈ですが……2人ともファン人気がある役者さんなので、お手柔らかにお願いします……」
亀「率直に言えば厳しい評価になってしまうが、これはこれでありなのではないか、という思いもしておる。
2人とも、演技の幅があるタイプではないというのは、かぐや様を見てよくわかった。漫画原作としてのコメディ演技に振り切るのか、王子様・お姫様演技に振り切るのか、かなり苦戦しておった印象じゃ。
まあ、この手の作品はそういった若手のアイドル・役者を育てるという意味合いも大いにあるので、それはそれで構わない。というよりも、これからどのように成長していくのかを見守るだけじゃな。
それでいうと……橋本環奈は『1000年に1人』なんて大仰なキャッチコピーの時代から脱却するために、この手のコメディ女優路線になったのであろうが、それがうまくいっているとまでは思わん。
平野紫耀は王子様演技の幅が少ないので……まあ、幅を多く持たせられる役でもないのじゃろう。
しかし、父親との会話シーンのぶっきらぼうな演技などは良くて、わしは同じ若手男性俳優の登竜門である、ヤンキー映画の方が向いているような印象を受けたかの」
えっと……だれか褒める人はいないの?
これは褒めていいのかわからんが、やはり藤原書記役の浅川梨奈が良かったの
カエル「前作でもかなり話題になっていたよね!
『どこからどう見ても藤原書記だ!』と騒がれていたような気がするよ!」
亀「というよりも、彼女はアニメ版の小原好美の演技にものすごく寄せておったわけじゃな。
話し方、動き方……まあ、動きに関してはアニメーターの領分ではあるが、本当にアニメ版の藤原書記を見ているようであった。彼女はピンクの髪の毛などのアニメ的な要素が強いキャラクターだからこそ、そのような演技が一致するのじゃな。
そのほかのキャラクターの演技が実写的なのか、アニメ的なのか中途半端な中で、あえてアニメ的な演技に振ったのが幸いということじゃろう。
下手をするとただ浮いてしまうのじゃが、そうはならなかったというのが、彼女の演技の賜物ということじゃろう」
カエル「それでいうと、応援団長の板橋駿谷も褒めていたよね」
板橋駿谷って脇に置くとめちゃくちゃいい俳優だなぁ、と感心した
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年8月20日
派手で豪快な明るい体育会系演技で主役を引き立たせてるし作品に新しい風を呼び込んでる pic.twitter.com/0fRbdLmK9Z
結局は、派手でアニメ的な演技ができる人が印象に残る作品だったということじゃな
亀「板橋駿谷は『ライアーライアー』などでも似たような演技を披露しており、明るい豪快な男子学生を演じさせたらなかなか存在感のある演技を披露しておる。
今作の中盤がだれなかったのは、彼の派手で極端な演技がとても画面の中のアクセントとして有効に活用されていたということじゃ。
今作に関しては板橋駿谷と浅川梨奈のはっちゃけた演技が、むしろ主演の2人を引き出し、画面や物語全体を盛り上げておった。だからこそ、映像が保った一面があると考えておるかの」
体育祭編・文化祭編の描き方
今作の物語上の工夫ってどこにあると思うの?
体育祭編と文化祭編を描いたことかもしれんな
カエル「今回はテレビアニメ2期の内容も多く含まれているよね。
体育祭編はアニメ版ではうちはわりかし褒めが多めの内容で、制作会社は違うけれど監督が関わってきたシャフト的な演出と、近年目立つ京アニ的な演出が融合したようなアニメ表現でとても面白かったね」
亀「今作の映画もそこを扱ったので、それがギャグ一辺倒にならずに物語にメリハリを産んでおった。
前作はそこがギャグ一辺倒だったので、飽きがきてしまったが……
まあ、残念ながらここも無条件に褒められるというポイントではないものの……これは原作もそうなのかもしれんが、かぐやも隠すべき事柄をペラペラと話してしまっているような印象を受けるのは問題かもしれん。
また、グラウンドも一流学校のグラウンドというよりは、どこぞの運動公園のようで……まあ、実際どこぞの運動公園で撮影したのじゃろうが、その安さは気になってしまう。そういった細部に大きな問題はあるものの、物語そのものにはシリアスが含まれることでいいアクセントとなっておった」
それこそ、最近語った『クレヨンしんちゃん』みたいに、辛い思い出も青春の1つと言えるかもね
体育祭と文化祭は青春生活の花であるからの
カエル「色々な意見はあると思うけれど、文化祭編の後半の風船を使った演出なんかは、幻想的な雰囲気をうまく作り出していたんじゃないかな?
その後に……まあかぐや様らしい駆け引きの説明描写はいらないかもしれないけれど……!」
亀「ただ、全体的にはその場面ごとに何を見せたいのか、どう言ったものを作り出したのかは見えてきた気がするの。
ただしやはり合間合間に挟まれる佐藤二郎の福田雄一のようなノリなどは、本当にいらん。そう言ったマイナスポイントが目につきやすく、文句も言われやすいじゃろうし、実際加点ポイントと減点ポイントでは、減点の方が多いかもしれん。
それでも、この体育祭編と文化祭編を描き出したものは、大作アイドル映画としては、決して悪いものではないのかもしれんの」
監督の集大成的な作品に?
そして、ちょっと思うのは河合勇人監督の集大成とまでいうとちょっと語弊があるかもしれないけれど、色々な要素を詰め込んでいたような印象だよね
そこまで監督の作品を見ているわけではないが、そのような要素は感じるの
カエル「序盤にあった『全裸監督』では一部話数の監督を勤めていたりして、そのオマージュもあるんだよね。あれは悔しいけれど、とても笑っちゃった!
他にも文化祭編なんかは『鈴木先生』とかの要素も結構感じたし、文化祭編の少し幻想的な場面は『ニセコイ』なんかを、あとは強引な部分だけれど海外に行くという部分では『チアダン!』を連想したんだよね」
亀「今回が『かぐや様は告らせたい』の実写映画は最終章ということで、そう言った自身の過去作の恋愛映画や青春映画の要素を色々と入れて見たのかもしれんの。
その上でわしが思うのは……やはり、河合監督には『鈴木先生』などのような作風の方が向いているかもしれん、ということじゃな。特にわしには『俺物語!』は青春キラキラ映画としてはかなり良くできている作品だとは思うが、それ以降の作品はそこまで大化けしたという作品は少ない。おそらく、映画ファンの意見としても、アイドル映画のあまり良くない作品を連発しているという印象もあるじゃろう。
ジャニーズ主演作品が多いこともあって、色々と制約もあるのかもしれんが……
今回は、それを入れてうまくいった部分もあれば、いかなかった部分もあるが……やはり、この作風に向いているとは、どうしても思えん。
いや、元々難しい作風ではあるがの」
カエル「このアイドル映画路線である程度うまくいっている人って、それこそ英勉とかくらいしか思い浮かばないかなぁ」
亀「若い役者ファンを劇場に足を運ばせるための映画であり、映画ファンからはクソ味噌に言われがちなジャンルであるが……もっともっと、純粋な恋愛映画に振るか、青春の暗い部分をピックアップした映画に振るか。そこで個性が見えてくる監督じゃと思う。
そういった意味でも、色々と見えてくるものがある作品ではあったという感想じゃな」