今回はNetflixオリジナルドラマである『全裸監督』の記事になります!
ドラマを扱うのはこれが初めてなんじゃないかな?
カエルくん(以下カエル)
「ごく初期の頃に『真田丸』の記事を書いていたことはあるけれど、結局最後まで観ることもなかったしねぇ。面白かったけれど、毎週だと書くこともそこまで多くないし……」
主
「だいたい1本につき約50分×8〜12というのは長すぎるんよ。
現代は短い時間で楽しめるものが流行る時代なのにさ。だから20分強で1話が終わるアニメや、10分ちょっとが多い動画配信が人気を集めているんじゃないの?」
カエル「ちょっと空き時間や移動時間に見よう、というのは難しい時間かもね。
それでもこの作品をみた理由はなんなの? 割と配信直後の早い時間からみはじめていたけれど……」
主「なんだろう……単純に面白そうだったからかなぁ。
改めて言われるとなんでこの作品をみたのかよくわからないけれど、でも全部観るどころか感想記事を書きたいと思うほどには色々と思うことがあった作品だったね」
カエル「ではでは、慣れないドラマ作品の感想記事をスタートさせましょう!」
感想
では、Twitterの短評からスタートです!
#全裸監督 全話鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年8月12日
村西監督を存じ上げないのだがフィクションとして非常に楽しめるし5話までは神がかり的な作品と思っただけに後半の失速は残念
AVを表現として成立させるための工夫と熱意に胸を打たれ法との対立に製作陣のバランス感覚の良さと苦慮が伝わる
名言も多くなんども笑ったが川田最高! pic.twitter.com/oQU3m2N8J4
特に5話までは神がかり的に面白い作品だった!
カエル「5話までと聞くと後半はダメだったと思う方もいるかもしれませんが、全体の評価としても今年度みた映像作品の中でも上位にいくのではないでしょうか?
うちは映画が多いから年間ランキングにはこの手の作品がノミネートすることはないけれど、でもTOP30入りは間違いないと言ってもいいんじゃないかな?」
主「とにかく前半は神がかっていたんですよ!
自分は村西監督を知らない人間なので、どれだけ事実に基づいて制作されているかはわからず、言うなれば”事実を基にしたフィクション”として楽しんでいた。だから本当の村西監督や黒木薫がどのような人なのか、どれほど忠実に再現されているのかという視点はまるでない。
でも、この前半部分は2019年屈指のものだったよ!」
カエル「毎月のように語っているけれど”2019年No1!”とまで叫びたくなるほどはまっていたもんね」
主「だからこそ後半の流れは惜しかったなぁ……なぜ失速したように感じたのかはこれから語っていくけれど、これはこの手の作品の場合では仕方ない面もあるのかもしれない。
でも上手さもしっかりと感じさせつつ、制作者サイドの魂も込められており、何よりも社会性と現代性が入り混じった傑作ドラマだったね」
全裸監督の魅力とは?
全裸監督のここが上手い!① エロチックで観客を釣る
ここからはあまりネタバレせずに全裸監督の大きな魅力を紹介していきます
まずは何と言ってもNetflixだからできるエロエロな視点だよね
カエル「当然村西監督とAV界をテーマにしているために、女性の裸やおっぱいはもちろんのこと、SEXシーンも出てきます。
なので子供はみちゃダメよ!」
主「この作品を子供がチェックするとは思えないけれど……
それこそ昔はテレビでも当たり前におっぱいが出てきたけれどさ……バラエティ番組で当たり前のようにムフフなシーンがあったし。今、初期のバカ殿とかを見直してみるとその手の表現が普通にゴールデンタイムに流れていたと思うと、すごい時代だよねぇ」
カエル「それこそ深夜ではエッチなテレビ番組もあったわけだけれど、今となってはそれもほぼ無くなり……ちょっと前に『特命課長只野仁』で出てきたときは話題になっていたよね」
主「時代に合ったコンプライアンスと考えたら仕方ないのかもね。
その分、アニメは今もお風呂シーンとか、なかなか攻めた表現をしていたりしているけれど……まあそれは置いておいて、やっぱりここまで攻めた作品は他になかったし、そのエロや時に交わるグロで釣るという手法もNetflixだからできるものだろう」
じゃあ、やっぱりエロ目当てでみるべきなの?
ただし、これは意図したものなのかはわからないけれど……正直、エロスを感じないんだよね。
主「そのまま見せてしまっているからかもしれないけれど、子供達が『おっぱいぼろ〜ん、エロ〜い!』って騒いでいるようなものの延長線上にしか感じなかった。できればもっと大人が息を飲むような『……エロい』とポツリとこぼすようなエロスが欲しかった。
その辺りは自分があまり好きではない監督ではあるんだけれど、園子温が絶妙に上手いんだよ。
AVも撮っていたこともあってか、超絶的に女優をエロく撮るから。
今作の場合は山田孝之の演技のせいでもあるのかもしれないけれど、エロスを表現というよりは局部をポロリンして笑いをとるギャグコメディ作品になっている印象も合ったかな。
ただ、それはそれで面白いんだけれどね」
全裸監督のここが上手い!② 普遍的な成り上がりのドラマ
ただのエロチックなだけで釣るドラマじゃないよってことだね
今作はドラマ作品としての上手さを強く感じるんだ
主「簡単にまとめると以下のようになります」
- ”誰もが知っている世界の舞台裏”を明かす
- 大手の妨害などにも挫けずに成り上がるドラマ性
- 一般人のサクセスストーリー
カエル「ふむふむ……これらの要素がしっかりと入っているから、エロスを抜きにしても大人がみてしっかりと楽しめるドラマになっているということかぁ」
主「例えばさ『ラブホテルの舞台裏を教えます』とか、そういった誰もが業界の存在などは知るけれど、その舞台裏を教えてくれる作品というのは一定の人気があるんですよ。
特に80年代のAVやエロ文化の裏側の暴露とかは、それだけで興味があるひとも多いのでは?」
カエル「物語のネタとしてはいい作品だよね。これがテレビドラマならば”報道現場の裏側”とかになるんだろうけれど……そう考えるとお仕事ものでもあるんだね」
主「そして弱者や小さな存在が大手の妨害などにも負けずに立ち向かう、というのは池井戸潤作品などのように王道の物語でもある。
水戸黄門パターンというかね。
その意味では今作は”汚いお仕事もの”ではあるんだよ。自分はアニメ好きだから『SHIROBAKO』を挙げるけれど、あれをど汚くして、エロに特化させたらこんな感じになるのかもしれないな」
カエル「……色々と賛否が出そうな意見だね」
主「そして一般人のサクセスストーリーとしても見事。
普通のどこにでもいるサラリーマンが成り上がっていく、ある種狂っていく姿は観ているだけで快感がある。またキャラクター性が抜群でさ! 近年の物語で最も重要だと言われているキャラクターがものすごく立っているからこそ、今作は光り輝いている。
というわけで、上記の3つの要素……つまり”業界裏事情話””成り上がりの物語””サクセスストーリー”というエロを抜きとした点においてもキャッチーな魅力が溢れているんだ」
全裸監督のここが上手い!③ 表現者の矜持を描く!
うちが最も惹かれたのはこの部分になります!
これは現代の問題にダイレクトに答えを示したのではないかな?
カエル「自分もそうですが、よく村西とおる監督をご存知ない方に説明しますと、前科7犯、借金50億円(Twitterの本人のアカウントより)という、一般社会の常識に照らさなくても明らかにやばい人であります。多分、一定の年齢以上の方にとっては知名度の高さから、知っていて当たり前な人なんだろうね」
主「自分はエロ界隈には疎いこともあってよく知らんのだけれど……やばい人ですよ。今作でも出てくるAVの一部分がTwitterで流れてきたので観てしまったけれど、確かに話し方や発想がオヤジ臭いし、いかがわしさが満載。
だけれど……この作品に限って語れば、だからこそ表現者として非常に尊敬できる」
カエル「世間では白い目で見られるようなものじゃない、AVとかエロ業界って」
主「だからこそ素晴らしいんじゃないか!
作中でどんどんエロ業界にハマっていき、多くの極端だけれど名言を発する村西監督の姿には感動すら覚えた!
確かに一般常識や法律論、倫理に基づけば問題がある行動ばかりだし、コンプライアンスなんて欠けらも知ったこっちゃない人間だけれど、だからこそハマるんですよ!」
カエル「それが現代でも重要なメッセージだと?」
主「本当に意図せずにダイレクトな問題になったけれど、今は”表現の自由とその範囲の問題”というのが大きな議論を呼んでいる。あの件に関しては色々な意見があるだろうけれど、この作品の中で語られていることも”表現の自由と法や倫理”に基づく問題なんだよ。
自分はこの問題の答えを100パーセント回答したと考えている。
それについても、またネタバレありで詳しく語ることにしようかな」
役者について
今作の役者については語ることはあるの?
もう語ることの山ですよ!
カエル「あのねちっこい村西監督を演じた山田孝之はさすがだったねぇ……
喋り方から何から、多分生理的に無理! という方も出てくるんじゃないかな?」
主「山田孝之だからまだ見れるけれど、あれが他の俳優だったら『無理!』という声も上がっていただろう。
どうなんだろう、自分が見た範囲だと実際の村西監督以上にオーバーな演技になっていたけれど、その誇張が1つのギャグとして成立しており、シリアスな笑いの中で伝えたいメッセージなども込められていてよかったんじゃないかな?」
カエル「今作の場合は本当に豪華なキャストが集まっているよね。
山田孝之、満島真之介、玉山鉄二、小雪、リリーフランキー、國村隼などの他にもピエール瀧もそのままノーカットで出演しています」
主「ピエール瀧に関してもNetflixだからできたんだろうなぁ……その是非はともかくとしても、上記の面々は今の邦画界やドラマ界で製作陣が垂涎もののメンツじゃない。誰もがこのキャストを使って作品を作りたい! と思っているだろうけれど、なかなかそうはならない。
やっぱりそれだけ役者陣も演じたい作品なんだろうね。
この役を演じるウキウキ具合はすごく伝わってきたよ!」
ちなみに、今作のMVPを決めるならばだれ?
決められないんだよなぁ……みんないい演技だったし
カエル「もちろん上記の山田孝之は文句なしだし、リリーフランキー、國村隼もいつも通りの演技といえばそうではあるけれど、でもだからこその味があったよね」
主「自分が好きなキャラクターとなったのは玉山鉄二が演じた川田かなぁ。
他の面々に比べると大人しめなんだけれど、しっかりと変態なんだよ。だけれど、しっかりと考えていて締めるべきところはちゃんと責任を持って事に当たる。村西側のスタッフでいえば柄本時生と後藤剛範も名コンビとしていい味を出していた。
それと絶賛したいのはやっぱり黒木香を演じた森田望智。
多分人によっては嫌悪感があるんだろうけれど、それを恐れずにしっかりと演じ切ったし、何よりもしっかりとヒロインとして美しかった。
まあ、この作品の本当のヒロインは……役割からしたら川田の方が近くて、彼女は共犯者なんだけれどね」
カエル「その他にも吉田鋼太郎、板尾創路などちょっとだけしか出番がない役でもびっくりするような役者さんが演じられており、その意味でも見所が多いです!」
以下ネタバレあり
作品考察
本作が示した”表現への飽くなき欲望”とは?
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう
自分が大好きになったのは、多くの名言があったからなんだ
カエル「この作品はセックスシーンなどもちょっと笑えるように作られているけれど、その奥にある表現への欲求というものもしっかりと描いているんだよね」
主「いつも語るけれど”表現とは人間の業の肯定”だと自分は思っている。その意味では本作なんてまさしくそうじゃない。誰もが抱きつつも、それを表立って発散することは憚られる業の最たるものの1つがエロスですよ。
2話においてSMプレイを写真に納めたその瞬間、あれこそが今にも残る芸術が生まれた瞬間を捉えることに成功している。もう、この点において大絶賛しかないし、あのシーンは大いに笑いながらも感心した」
カエル「あの時代ならではの熱というものも感じたよね。
当たり前だけれどさ、ビデオが生まれる前は本(ビニ本)がエロ文化の最先端の1つでもあって、だからこそあれだけ暗い情熱が込められていたというのもわかったかなぁ」
主「そして3話のAVを作ったシーンは2019年のマイベストの1つになるだろう。
村西の語るそれまでのAVというのは、言ってしまえばただの”映像”なんだ。ただそこにあるだけ、写っているだけの映像。だけれど、そこに物語性を宿してより魅力のある”映画”へと昇華した。
もちろん、描いていること自体はチープに見えるかもしれない。80年代の発想だし、現代よりかはおちるように見えるのも同意する。
だけれど、これが表現ではないですか!」
山田孝之がプロデュースを務めた作品はこちら
オススメです
後半の失速
それだけ絶賛なのに、後半は失速したと考えているんだね
う〜ん……ちょっと着地を綺麗に決めようとしすぎたかなぁ
カエル「物語の締め方としてはあれが1番だと思うし、シーズン2の放送も発表されているけれど、ここで終わっておけばいいのになぁ……と思うほどだけれど」
主「破茶滅茶なようでありながらも、物語の作り方としてはかなりピシッとはまっているんだよ。
だけれど……それをハメすぎた感もある。
ラスト前に大きな谷場というか、絶望のポイントを作ろうとしてアメリカ旅行にいったのも物語としてはわかるし、史実にも合っているんだろうし、作りとして決して間違えてはいないんだけれど……なんというか、魂がなくなったんだよね」
カエル「……? 魂?」
主「そうとしか言えないんだけれど、なんか急に落としどろこに向けて動き始めたんだよね。その前にあった破茶滅茶な面白さ、ある種のピカレスクロマンの要素は減ってしまった。
それが悪いとは言わないし、大人の選択だとは思うけれど……だったら最後まで前半の調子で駆け抜けて欲しかったというのが本音かなぁ」
カエル「え、でも前半の調子で行くと物語としての上手さとかを放棄することになりかねないんじゃない?
ほら、3話の食事シーンを交互に出すことで村西と池沢を対比させて、あのラストにおいて何度も捕まっても不死鳥のごとく復活した村西と、池沢を描いているわけだし……伏線もきっちりと効いていると思うんだけれど」
主「そんなお利口さんな物語を望んでないの。
自分はその先に破滅があろうとも突き進んでいく2人でよかったんじゃないの? ってこと。今作は言うなればアメリリカン・ニューシネマですよ。
テレビドラマというお利口さんの物語に対する、反抗と自由を求めるドラマ。
多分シーズン2も考慮してのああなったんだろうけれど、できればシーズン1に抑えておいて欲しかった。
まあ、Netflixってシーズンを重ねる手法で収益性を高めているから、それは難しいんだろうけれどね」
それぞれのキャラクターの立ち位置
他にも感じた上手さってなんなの?
キャラクターの立ち位置などは考えられていたよ
カエル「基本は村西と池沢の対立を描きながら物語が進んでいくよね」
主「今作において重要なのはやっぱり満島真之介演じるトシと、黒木香の存在だ。
この2人は
トシ=村西の悪の心
黒木香=村西の業の本心
この一面を表すキャラクターになっているんだ」
カエル「トシはあからさまだよね。最初はむしろトシの方が村西を止めていたのに、後半は立場が逆転していって……それは國村隼が演じる古谷との関係性もそうで、最初は舐めていたのに最後はしっかりと手綱を握られてしまうというさ」
主「村西は裏本だろうが、本番だろうがタブーを犯すことに一切の躊躇がない男だった。
そのある種の悪の心、法令遵守の気持ちがないからこそ大きな痛い目に合ってきてしまった。
その象徴として中盤以降はトシが悪の心の象徴となっていく。
じゃあ川田は? というと……表現者や経営者としての村西の一面を可視化しているのだろう」
カエル「7話において川田とトシが協力して村西を助けたのも、村西が表現者・経営者として稼いだお金と、悪の道で稼いだお金が身を助けたという皮肉もあるのかなぁ」
主「多分ね。だから最後は表現や経営を守るためにトシ=悪の道を切り落とし、自分たちは綺麗になってピンチを脱することができた、と見ることもできる」
カエル「じゃあ、黒木香は?」
主「実際は愛人関係だったらしいけれど、やっぱり村西の性の本性を司る(可視化する)存在だろう。それまでは自分はパンツを履いていたけれど、黒木香に会って初めてパンツを脱いで出演した……少なくともこの作品上ではね。
そこまでどこかで守っていた一線、つまり表現者としてパンツを脱いだと見るべきなのだろう。
彼女との出会いはそれほどまでに大きかったな」
國村隼の切れ味鋭い演技を見たい方はこちらもオススメ
女性解放の現代的な物語として
このテーマの作品を現代で描こうということでも、すでに攻めているよね
かなり現代的な面と、配慮を考え抜かれた絶妙なバランスだったと思うね
カエル「あまり女性の性の搾取を前面に描く作品にすると現代の物語として問題がありすぎるけれど、でも絶対にそういう面はあるわけで……望んで来る人の方が少ないであろう業界だし、綺麗に描きすぎるのも、嘘っぽい上に問題になるし……」
主「そのバランスが非常に難しい作品だけれど、今作はうまくいったと言えるのではないだろうか?
黒木のわき毛に代表されるように”女性のありのままの姿を主張する”というのは、現代の描き方としても決して間違いではない。
ただし、その意味を腋毛に持たせたのは、もちろん事実に沿った部分もあるのだろうが、かなり意味深に思える。
つまり”ありのままの姿は、場合によっては不快なのではないか?”という要素だ」
カエル「女性に限った話ではなくて、男性だってありのままだ! といってボサボサの髪の毛やモジャモジャの髭だったら汚らしくて嫌! と思う人も多いだろうしね」
主「自分なんかはやっぱり違和感を抱いてしまった。なんでだろうね、水泳選手の……例えば北島康介などの男性の腋毛には一切の違和感を抱かないのに。
でも物語自体は当然のように黒木香の腋毛を肯定しているし、女性の社会進出の手段の1つとしてAVを挙げている。
女性も当たり前のように性欲があるという描き方も良かったし、無意識の差別によって苦しむ女性の解放も志していたようにも感じられた」
それで考えるとお母さんのことも色々な思いがよぎるね
あの状況下だったら、熱心なクリスチャンになるのも納得かなぁ
カエル「やっぱり罪の意識は大きいんだろうね」
主「日本人が例外的に性的に奔放であるだけであって、世界では婚前交渉は悪という考え方だって普通に存在する。ましてや家族のいる人との交渉は特にそうだろう。おそらく、あの家の様子からしてお妾さんのような富裕層の愛人だったということだろう。
だから娘にも強く当たってしまうということもわかるし、娘も反発するのもわかるという……あの家庭だけで”性の抑圧を望む社会VS本来の奔放な性”の対立として成立している。
同時に母親に黙って出演している女優の悲劇を描くことで対比関係とする一方で、AVが生み出してきた悲劇や女性への辛い思いも描いていたし……自分は過剰かなぁ、という感もあるけれど現実として絶対にあるであろう、暴力的に傷つけられた女性を描いたのも意義があった。
単なるエロの物語では終わらない魅力があるんだよ」
表現の自由と倫理の問題
ちなみに、今作で1番痺れた名言ってなんなの?
自分は4話の『覚悟のない欲望ってつまらないと思うわ』かな
カエル「黒木香になる前の、佐原恵美が友人にいった発言だね」
主「やっぱり、今世間を賑わせている問題もこの発言が自分にとっては全てかなぁ……と思うのね。
結局のところ、表現とは時には誰かを傷つけたり不快にさせる行為でもある。また、それをしたことによって家庭が壊れたり、名誉がなくなってしまう可能性もある。
その中でも”覚悟”を持って表現することが大事なんじゃないか? ということだ」
カエル「つまり脅迫とかは甘んじて受け入れろってこと?」
主「脅迫などはすでに犯罪だから立件して逮捕すべきだと思うけれど。でも罵詈雑言は覚悟する必要があるのかもしれない。それは自分みたいな零細ブロガーですら思うことであって、もっと大きな……AVなどのような世間に大きな波紋を広げるような表現の場合は余計にそうだよね。
少なくとも、この作中の村西監督はそれがあったし、きっちりと罰を食らっている。自分の欲望のための代償を払っている。
安全圏からどキツい表現を行うということは……それは無理なんだから、やはり覚悟が大事って話になるんじゃないかな」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- 5話までは神がかり的に面白い作品!
- 単なるエロだけでなく、表現の意義などについて考えさせられる
- 役者陣の好演が続き、キャラクターとして魅力が大きい!
- AV業界の裏側を描きつつ、女性の解放と 苦難を描くバランスの良さを見せる
Netflixはこういった作品が出てくるから目が離せない!
カエル「さて、シーズン2も制作決定しましたが……」
主「いやー、やめといたほうがいいと思うけれどなぁ……これで終わりにしておくべきでしょうよ。なんでシーズン2を作る必要があるのかなぁ……と思いつつ、でもそんな意見もわかっていて作るんだろうから、また多分見るんだろうね」
カエル「色々と語りましたが間違いなくオススメしたい傑作です!
ぜひみんなもNetflixに入会して見よう!」