物語る亀

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Netflixアニメ『ULTRAMAN』ネタバレ感想&評価! 神山健治が製作した”巨大化しないウルトラマン”の圧倒的なアクションに酔いしれる!

 

それでは、Netflixオリジナルアニメである日本の伝説的特撮作品の『ウルトラマン』を原案に3DCGアニメ化した『ULTRAMAN』の感想記事です

 

 

 

 

実は漫画は5巻くらいまで読んでいたんだよね

 

 

カエルくん(以下カエル)

「あれ、ということはある段階で読むことをやめてしまったの?」

 

「いや、やめたと言うよりは……単純に刊行速度がそこまで速いわけでもなくて、どこまで買ったか忘れてしまった後に、もういいかなぁ? となったかな。

 別につまらなかった、などのネガティブな理由ではないよ

 

カエル「……実は近年ではこのブログを始めてからというもの、漫画も含めて本を読む量というのは減る一方だからね」

主「単純に映画を観たりブログを書いたりして余暇の時間が減っているというのもあるし、あとは本屋さんが減っているのも大きいなぁ。以前は漫画に強い良い本屋があったんだけれど、残念ながら潰れてしまってからはそこまで読まなくなり始めてしまった。

 今はKindleやらTUTAYAコミックレンタルもあるから置き場には困らないんだけれど……」

カエル「では、神山健治監督が描く新生ウルトラマンアニメの感想記事のスタートです!

 

 

 

 

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作品紹介・あらすじ

 

 2011年12月より『月刊ヒーローズ』創刊号より原作・清水栄一、作画・下口智裕の手により連載を開始し、2019年4月現在で13巻刊行している作品3DCGアニメとして映像化したNetflixオリジナル作品。

 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『ひるね姫〜知らないワタシの物語〜』などの監督を務める神山健治と『APPLESEED』の監督や多くのメカなどのデザインなどを手がけてきた荒牧伸志が共同で監督を務める。

 ボイスキャストには主人公の少年・早田進次郎に木村良平、オリジナル版の主人公であった早田進役には田中秀幸が起用されるほか、魚建、牛山茂、江口拓也、諸星すみれ、潘めぐみ、津田健次郎、平田広明などが担当する。

 

 

 

 ウルトラマンによって怪獣が倒されてから40年後の日本では、かつての英雄はすっかりと過去の存在となってしまっていた。ウルトラマンとして変身して戦った早田進の息子である早田進次郎はそんなウルトラマンのことが大好きな少年だった。

 しかし、進二郎には3階相当から落ちても無傷であるなど、人間離れした異常な身体能力が備わっていた。ウルトラマンに関するものを含めて、多くの記憶をなくしていた早田進は当時の科特隊が活動を再開させていたことを知る。

 そして高校生に成長した進次郎はある事件に巻き込まれたのち、ウルトラマンとして変身して違法な手段を繰り返す異星人と戦うことを要請される。

 


『ULTRAMAN』ティザーPV - Netflix [HD]

 

 

 

 

感想

 

では、Twitterの短評からスタートです!

 

 

 

日本のフル3DCGアニメーションにおいて、新たな1ページを切り開いたと言えるであろう作品かもね

 

カエル「……お、べた褒めかと思いきやちょっと疑問系が入っている?」

主「近年、神山監督はCGを多用したアニメーションを製作したけれど、残念ながらそのレベルは高いものであったとしても、物語として大きな魅力を持つものではなかった。

 ここはとても難しい問題になるけれど、日本においては圧倒的な手書きの魅力がある中で、なぜCGにこだわるのか?

 また日本のセル画風のアニメをCGで再現することにどれだけの意味があるのか? という疑問がどうしてもつきまとうものになりがちなわけだ」

 

カエル「セルルックなどの話題の技法が生まれる一方で、でもそれならば手書きでよくない? という疑問はどうしてもあるのかな?

 手書きでできないことをCGで描くというのであれば、それは理解できるけれど……手書き作画になるべく近づけるということが目的であれば、それってCG表現としてどうなんだろう? って印象もあるのかな」

 

主「結果的に……言葉は悪いけれど、日本のフルCGアニメ作品で心底満足する作品はどうしても手書きアニメの作品に比べると少なかった印象がある。

 もちろん、近年では『けものフレンズ』『宝石の国』などの話題作もあるけれど、神山監督のCG作品……はっきり言ってしまえば『009』に関しては不満点が非常に多く、1章だけ観て他は観なかったほど。

 だけれど、本作はそんな自分の意識を根底から覆す可能性を見せてくれたし、これだけの描写があれば、物語としての完成度も一定以上のものがある作品となっている。

 ……もしかしたら日本のシリーズもののフル3DCGアニメーションではNo1の作品とすら言えるかもしれないね」

 

カエル「……そこまで褒めているのに疑問系なんだ」

 

 

 

 

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3DCGの魅力〜メカニックとアクション描写〜

 

何がそこまで良かったの?

 

単純にアクション&メカニックの魅力だよ

 

カエル「やっぱりそこに目がいくよね。CGを使う最大の理由があるシーンというか……」

主「どうしても”キャスト”といえばボイスキャスト、つまり声優が話題に上がるけれど、今作に関してはモーションを担当した役者さんを特に褒め称えたい。

 今作はモーションキャプチャーを活用し、それにCGでキャラクターを足しているという作り方をしているけれど、そのおかげでアクションパートの見応えが素晴らしかった。

 特に最終話である13話は圧巻!

 テレビアニメであれば、神回の呼び声も高くなるだろう。

 Netflixは潤沢な予算が組まれているという話だけれど、そのお金と技術があればここまでできるのか……と驚きがあった

 

カエル「しかも”アクションがすごい”だけだと実写の……例えば『ジョン・ウィック』などの派手な体術アクションを連想するけれど、アニメだからこそそれだけではない派手なモーションや必殺技も輝いているね!」

主「今作のウルトラマンは巨大化はしないで、メタリックな装甲をつけることで成立しているんだけれど、それが硬質的な印象を与えてしまうCG表現によく合っていた。

 ロボットなどの機械描写にはCGが使われることが多いけれど、それには間違いなくあっているし、これだけ迫力のある映像を作り出せることを証明している。

 もちろん手書きには手書きの良さもあるけれど、でも派手や素早い動きで魅せるという点ではCGの方が上になったのかもしれないね」

 

カエル「どっちも違う魅力があるから、その両方が共存して欲しいけれど、現代ではすでにロボットアクションなどはCGの方が主流になってきている印象かなぁ」

主「さらにはグロテスクな表現も行えているので、今作が持つ”正義とは何か?”というテーマについても、ウルトラマンのグロテスクな行いは正義なのか? ということを感覚的に伝わるように真正面から描く。

 これはNetflixオリジナルの強みでもある一方で……個人的は”グロテスクだから面白い”にも偏らない、ちょうどいい塩梅だったね」

 

 

 

 

 

一方でCGの課題も浮き彫りに……

 

じゃあ、そこまで手放しに褒めることができないのは……やっぱり日常描写?

 

ここはなぁ……どうしても人間の温かみを感じずに、硬質的な印象があるんだよ

 

カエル「CGパートの最大の難しいポイントかもね。

 近年では不気味の谷と呼ばれる現象はすっかりとなくなっているし、キャラクターの可愛らしさを表現できているけれど、人間同士の会話シーンは苦手な印象は拭えないかなぁ」

主「今作でもどうしても会話シーンが出てくるものの、そこのボリュームの少なさというか、情報量の少なさは気になったかなぁ……

 ここもモーションキャプチャーだとは思うけれど、どうしても手書きの誇張表現などもないためか、飽きてくる部分もあった。

 だけれど、7話の音楽シーンは良かったよ!

 これは歌と合わせ方も良かったんだろうね」

 

カエル「……結局、美少女とメカはすごくいいという昔ながらのオタクのような感想になってきていますが……

主「実は、この日常パートが比較的いい作品が2019年に公開された『あした世界が終わるとしても』というCGを用いた劇場作品だけれど、あいみょんの楽曲との合わせ方も含めて、魅力的な日常描写描くことができていたのではないか? という思いがある。

 やっぱり音楽とキャラクターの合わせ方が、この日常をCGでうまく見せる鍵の1つなのかもしれない

 

カエル「ふむふむ……近年では『けものフレンズ』『宝石の国』などもあるけれど、そちらについてはどう考えているの?」

主「結局はキャラクターデザインの問題じゃないかなぁ?

 けものフレンズは動物をモチーフとしているし、そのキャラクターの多くは人間ではない。それもマスコットのように、頭身を下げているのがうまくいっている印象がある。

 また『宝石の国』は現在の日本のCGアニメの中では最もうまくいった作品かもしれないと自分は考えているけれど、その理由は”宝石”という設定で、CG独特の光沢感などがキャラクターデザインや設定と合致していた。この作品こそがCGで描く意味を体現した作品になっているんじゃないかな?

 あとは……『gdgd妖精s』などもCG表現には違和感が少なかったけれど、あれは頭身を下げたこととアドリブ重視の役者の芝居が良かったことが大きいだろうな

 

 

 

 

ボイスキャストについて

 

今作のボイスキャストについてはどうだった?

 

先ほど挙げたようにモーションキャプチャーを演じた役者の魅力と、声優の魅力が合わさった作品だったのではないか?

 

カエル「いつもは声優さんは”キャスト”と表記していますが、今作の場合はモーションキャプチャーを演じた役者さんと差別化をするために、声優=ボイスキャストと表記します」

主「今作の主演を果たした木村良平は、他の多くの役のでもそうだけれど現代を生きる普通の少年を演じることができる声質だと思う。

 癖がないし、聞きやすい……というと声優としては問題があるようにも聞こえるかもしれないけれど、だからこそ”平均的な少年がウルトラマン=正義の味方として活躍する”という物語にもあっていた」

 

カエル「ふむふむ……ヒロインのレナちゃんを演じた諸星すみれも可愛らしさが全開だったしね!」

主「先ほどから語るように、今作はキャラクターの日常描写の情報量はどうしても限られてしまう部分があるけれど、それを補完する役割として声優の演技はとても重要になってくる。

 その中で、今作のキャラクターたちの魅力を増すために与えた影響はとても大きかったのではないかな?

 多くの場合アニメのキャラクターの魅力って”アニメーターが描き出す動き+声優の演技”だけれど、今作の場合は”アニメーターが描き出す動き+モーションキャプチャーを演じた役者の動き+声優の演技”で成り立っていて、その魅力を引き出すために欠かせない演技になっていたよ」

 

カエル「特に印象に残ったキャストは?」

主「美味しい役ということもあるけれど、津田健次郎と平田広明はさすがだよね。

 というのは、この2人が悪役、あるいは不思議な魅力を持つ役として出てくることで大物感を演出し、物語が一気に締まった印象がある。

 正直、この2人の演技が聞けただけでもいいかなぁ……という思いすらあるよ」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

作品考察

 

CGアニメの物語の類似性

 

では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!

 

まず気になったのが CGアニメの物語に共通する類似性についてだ

 

カエル「……共通する類似性?」

主「もちろん、本作は原作付きではあるし、上記のようにメタリックな装甲などをしっかりと見せることに成功し、アクション描写も見応えがあるものとなっている。それはとてもいいのだけれど、ただどの作品を見ても同じような印象を受ける部分がどうしてもあった。

 それは……ある種の厨二病の、セカイ系の作品という印象だよ

 

カエル「ここでの厨二病とは『セカイの危機と個人の問題が直接的にリンクする物語』ということでいいのかな?」

主「例えば先ほど挙げた『あした世界が終わるとしても』は今時珍しいほどのまっすぐなセカイ系作品だった。これは監督・脚本を務めた櫻木優平が以前にEVAを下敷きにした作品を発表していることもあるだろう。

 あるいは『劇場版 Infini-T Force ガッチャマン さらば友よ』『GANTZ』『GOZZILA』シリーズもそのような要素がある。

 もしくは荒廃した世界が舞台となっていたり……言ってしまえば同じような物語が多い印象だ

 

カエル「戦闘描写を見せて、さらにキャラクター数はある程度少なくして、今時の物語を作るとなると同じような設定になるのかなぁ……」

主「そこに対して辟易としていた部分もあって、全く違う物語を見たいなぁ……という思いもあったけれど、本作はその中でも多くの工夫が凝らされていた。個人と世界の間に科特隊や親などの大人の視点や導き手が存在するしね。

 全く新しいCGアニメとまでは言わないけれど、物語の方でも魅力のあるものを作ろうとしていたことがうかがえる

 

 

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現代では作ることが難しくなってしまったヒーロー〜巨大化しないウルトラマン〜

 

原作付きではあるけれど、脚本や物語で目立ったところってどこになるの?

 

……やはり現代ではヒーローというものは作れないのか、という思いを強くしたかな

 

カエル「なんか、見ていると『アイアンマン』『スパイダーマン』に似た印象を抱いたんだよね。装甲をつけるというのがアイアンマンで、青少年の成長とヒーローとしての成長を描くという意味ではスパイダーマンに近いというかさ」

 

主「今作の場合、オリジナルの特撮作品と大きく違うのが”巨大化しないウルトラマン”ということだ。

 昭和の時代であれば、巨大化して大立ち回りしてビルを壊してもヒーローとして存在することができた。その裏では失われてしまう命が絶対にあると思うけれど、それを描写することもなく、誰もが熱中するヒーローとしてあることができた。もちろん、そんな単純なだけの物語ではないけれどさ。

 しかし、今作はヒーローであっても巨大化をしない……等身大のヒーローとして描かれている。

 ここが1つのポイントと言えるだろう」

 

カエル「レナちゃんの『ウルトラマンに母を殺された』という告白なんて、ガメラ3と同じで現代のヒーロー映画などの大立ち回りを繰り広げる作品ではお馴染みの展開にもなっているよね」

主「だからこそ、巨大化することなく街や人の被害を最小限にする等身大のヒーローというのがあっているのかもしれない。

 特に……原作は東日本大震災後に連載開始だけれど、街のビルなどが倒壊することに対する配慮などもあるのかもね。

 青少年が自分の中の正義を見つけて、現代に求められる等身大のヒーローとなる物語に関しては上手くいったとは思う

 

 

 

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完結していない物語

 

ただ……原作が連載中だからしょうがないとはいえ、物語自体はほとんど解決していないよね

 

ベムラーの正体に関してもなんとなくわかった、というくらいだもんなぁ

 

カエル「結局のところ飛行機事故の犯人を倒すところまでは行ったけれど、それはウルトラマンや進次郎のドラマには関係が浅いというか……」

主「リミッタがーはずれタイマーが光って3分間だけ本気を出すときに『あんたを全力で倒す合図だ!』というかっこよさ、あるいは最後の啖呵などは進次郎がヒーローとなる物語としてはとても良かったし、正直上がるところもあった。

 ただ星間評議会の思惑、ジャックの思惑、その他様々な謎を放り投げてしまい後に続く! という物語になってしまっているのが惜しくて……それが評価ができない理由としては大きいかな

 

カエル「今作が話題になればNetflixだしシーズン2もあるんだろうけれど……」

主「それは作中の問答にも表れているような気がしていて、レナの問いかけに対してどこまで進次郎が答えられているのか? という疑問もある。

 また、神山健治監督らしさがある社会性のある箇所も見受けられるけれど、結局は放り投げてしたったかなぁ…

 そんあ様々な惜しさもあり、やはりアクションなどの映像面を中心とした評価であり、物語としては絶賛はしない作品となっているかな

 

 

 

 

まとめ

 

 

では、この記事のまとめです!

 

日本のCGアニメでもトップレベルのアクションがとにかく素晴らしい!
青少年の成長とヒーローの物語としてもいい作りに!
ただし、物語としては完結しておらず少し疑問も……
 

いい作品だとは思います

 

 

カエル「ちなみにこの後に『攻殻機動隊SAC_2045』も3DCGで制作されますが、こちらも期待ができる作品になるのではないでしょうか?」

主「むしろこっちが本番なのかなぁ……009などから徐々にCG表現について研究してきて、ウルトラマンで一定の評価を見せてからの攻殻でしょう。

 設定を考えてもメタリックであっても問題はないし、それが却って新たなる独特の味を生み出すことを考えると、こちらの方が楽しみかもしれないね」

カエル「おそらくオリジナルになるでしょうし、神山監督お得意の社会性のあるテーマを入れやすい作品だけに、注目していきましょう!」

 

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