今回はジャーニズJrのメンバーがたくさん登場する『少年たち』の感想記事になります!
一応ネタバレ記事とは言っているけれど、そこまで内容については語ることはないかなぁ
カエルくん(以下カエル)
「正直、天下のジャニーズといえども、Jrまで行くと露出も一気に下がってしまってファンじゃない人にまで認知されるのは難しいところがあるんじゃないかな」
主
「今回の役者も実は誰一人として知らないので。
とは言っても、特別ジャニーズファンではないから、今の若手の子達はCDデビューを果たすようなユニットを組んでいても名前を知らないんだけれどさ」
カエル「実は5人とか7人のメンバーの名前と顔を全員覚えているというのは、ファン以外には難しいことなんだよね。
それだけ認知度があって、特定の……エース級のメンバー以外も知られているのは、全員がソロでも活躍していないと難しいもんね。
それを考えるとSMAP、TOKIO、嵐などのユニットがどれだけすごい存在だったのかがわかるよなぁ」
主「特にJrになるとその露出も減るし、難しいところだよなぁ。もちろん、自分が知らないところでの露出はたくさんあるんだろうけれど……その意味ではジャニーズに熱心に興味がある層にだけ響く作品になってしまっている可能性もあるね」
カエル「では、そんな『少年たち』の感想記事を始めていきましょう!」
作品紹介・あらすじ
ジャニーズ事務所の代表を務め、ジャニーさんの愛称でも知られるジャニー喜多川が企画・構成・総合演出などを手がけてきた、ジャニーズを代表する舞台である『少年たち』を映画化した作品。
監督は『超高速! 参覲交代』などの本木克英が監督を務め、『関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!』の監督を務めた石川勝己が脚本を務める。
キャストには「SixTONES」「Snow Man」「なにわ男子」「関西ジャニーズJr.」のメンバーたちのほか、関ジャニ∞の横山裕、A.B.C-Zの戸塚祥太などの先輩メンバーたちも出演するなど、ジャニーズ尽くしの映画となっている。
少年刑務所に収監された少年たち。彼らは自由のない刑務所の中で赤房、青房、黒房に別れて時には敵対し、時には静観しているなどの日々を送っていた。そんな中、赤房に新たな少年が収監されることになる。心に傷を負った少年は、同じような仲間がいることを知り少しずつ心を開いていき、友情を育んでいく。
しかし、そんなさなかに規則に厳しく冷酷な看守長が赴任してくるのであった……
『映画 少年たち』スペシャル予告 3月29日(金)全国ロードショー
感想
では、Twitterの感想です
#少年たち
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月30日
全体的にゆるゆるで昭和を愛するおじいちゃんに若者たちか全力で乗っかる物語も、なんだかんだで嫌いではない
完全にファンタジーだしこれが熱いドラマとして成立した時代な確かにあったんだなぁ…と妙な感覚になる
ただ役者陣が多すぎて結局ほとんど区別つかないのはいただけない pic.twitter.com/tmManvV7Rn
映画としてはまあ、あれだけれど、案外嫌いではないかな
カエル「えっと……今作って舞台が映画化していたこともあって、かなり舞台調の作品ではあるよね。
ただ、その演技や演出が映画となった時に、合うのだろうか? という問題はどうしてもあるわけで……」
主「特に今作って原作などがあるわけでもなく、フォーリーブスの楽曲を基にして製作された舞台が、2010年から復活したという話だと聞いているけれど、そんな形式だからこそより舞台に近づけたのだろう。
ジャニー喜多川が製作総指揮の名前にあるけれど、どう考えたって監督以上に強い権限を持っているのは自明だし、その舞台の味を消すような演出は絶対に許さないだろうしね」
カエル「となると、映画としては……?」
主「ダメダメですよ。
根本のところで思想性をほとんど感じずに、ただのユルユルの少年刑務所のドラマとなってしまっている。
だいたい、あんなにユルい刑務所が2012年の今、どこにあるのよ? 喧嘩しても怒られておしまいってさ、刑務所舐めてんの? って言いたくなる。
まあ、入ったことないんですが!」
カエル「刑務所の持つイメージとかとは全く違うよね」
主「そして物語も完全に昭和だから成立したお話であり、全部セリフや回想シーンで説明するのも”映画的”だとは全く思えなかった。
ダメな邦画の特徴を揃えたオンパレードでもある。
それと……これを言ったら怒られるかもしれないけれど、今作はミュージカルパートがあるけれど、そこのダンスも圧倒的な統一感を見せよう! というよりは、役者のかっこよさを活かすためだけになってしまい、ユルくなってしまった印象もある。
往年のミュージカル映画の……例えば比較対象としてはレジェンド・オブ・レジェンドすぎるかもしれないけれど、フレッド・アステアのエレガントなダンスなどと比べてしまうと何十段も落ちるレベルだし、近年のミュージアル映画と比較しても……それは邦画と比較しても歴史の残る一流のものだとは思えない。
その快感も少ないから、酷評されてもしょうがないとは思うよ」
この映画がそこまで嫌いになれない理由
……ここまでを聞くと、大酷評だと思うんだけれど、嫌いにはなれないんだよね?
というのはさ、いろいろと面白い試みが見受けられたからですよ
カエル「……面白い試み?」
主「おそらく、この映画ってちょっとだけ『ラ・ラ・ランド』を目指している部分があると思うのね。
例えば冒頭のダンスシーンの長撮りがすごくて、多分5分くらいかなぁ……それくらいをワンカットで撮り尽くしているんだよ。
しかも同じ場所でずっと撮るわけではなく、カメラも動き回りながら役者も代わるがわる動きながら撮るわけ。だからその刑務所内がどのような構造になっているかもわかるし、趣のある場所だから絵にも合致している。
多分ドローンを使っているんだとは思うけれど、このカメラワークとハッタリの利かせ方には驚愕した」
カエル「やっぱりさ、ミュージカル描写って映画の華の1つだし、そこをこれだけのイケメンたちが動き回るだけでも見ていて問答無用で楽しい部分はあるよね」
主「ただし、楽曲に関しては”その楽曲でないといけない理由”などがなく、また映像からははっきりと浮いているCD音源で合わせる気もなかったように見受けられるのはミュージカルとして大減点ポイントだし、そこで登場人物紹介をするけれど多すぎて覚える気をなくしてしまったり。
一部シーンは急に現代のPVを挟むことで、それまでの雰囲気ぶち壊しだし、映画として成立させようという気も感じなかったり。
それと物語もユルユルで、言ってしまえばおじいちゃんの昔話に若者が付き合ってあげているレベルだと思うけれど……これはこれで嫌いになれないというか」
カエル「少年刑務所を題材とした作品だと、アニメ化も果たした漫画の『RAINBOW -二舎六房の七人-』などが出てくるかな。
こちらは戦後直後の日本を舞台に、少年刑務所に送られてしまった少年たちの友情を描いた作品です」
主「自分も大好きなんだけれどさ、やっぱり”傷を抱えた少年たちの友情”ってなんかいいよね」
カエル「……なんかいいよねってだけ?」
主「それから、オマージュもちょっとだけ見受けられた印象だ。
例えば冒頭は『ラ・ラ・ランド』の長回し要素があったし、中盤のアメリカ人のお父さんのショッキングなシーンを目撃してしまうのは『愛と青春の旅たち』なんじゃないかな?
そういった映画的な引用もちょいちょい見受けられた印象があるね」
他の女性向けのアイドル映画と比べて
そもそも、なんでこの映画は対象外だとわかっていて見に行ったのさ?
近年の”女性向けのアイドル映画”がどうなっているのか、確認したかったんだよ
カエル「その比較対象となる他の作品てなんなの?」
主「LDHのイケメンたちがたくさん出てくる『PRINCE OF LEGEND』
アニメ映画界に革命を巻き起こした応援上映の申し子である『KING OF PRISM Shiny Seven Stars』(以下キンプリ)の2作品だね」
カエル「女性を映画館に呼ぶために作られた、アイドル映画でもあるよね」
主「この2作品と比べて明らかに違うのが”女性の存在”なんだよ。
上記の2作品は明らかに”女性にキャーキャー言われるアイドルの男たち”の存在があって、それをメインに物語を作り出している。
一方で本作は……もちろん母親などの女性は出てくるけれど、でもキャーキャー言われる男たちが主体の物語ではなく、また恋愛の物語でもない。
あくまでも男同士の友情や対立を描いた物語に終始しているのが特徴だったかな」
カエル「恋愛を積極的に出した『PRINCE OF LEGEND』と、恋愛を排除した『少年たち』の対比はできるね」
主「ただし、この3作品に共通する問題点が”人数が多すぎる”という問題だ。
映画における主役はせいぜい1人か2人であり、その関係性と内面の変化を中心に描き、その周りに脇役を配置するというのが一般的だ。
しかし、この手のキャラクター(役者)を前面に置く作品の場合、多くのキャラクターを見せようとしてしまい、物語がバタついてしまっている印象も受ける」
カエル「それこそ、本作では『冒頭の紹介が長すぎてキャラクターを覚えることをやめてしまった』という問題につながるわけだ」
主「それをわかりやすくするために、この3作品ではチームわけがされている。本作の場合はカラーギャングのようにすることによって、わかりやすさと同時に面白さも増していると思うけれど……ただ、それでも誰に注目すべきなのかも含めて、わかりづらいところがある」
イケメンばかりを集めた問題点
あとは……これは実写である以上の限界もあるけれど、現代のイケメンというのは同じように見えてしまうという問題もある
カエル「例えばハゲとかデブとかって、確かに罵倒するような印象だけれど、映画やキャラクターとしてはぱっと見でわかる、とても重要なものだよね。
今作もおじさんである伊武雅刀がとてもいい味を出していたけれど、あれはおじさんだからできる味であって、若者では出てこないというか……」
主「結局のところ年代が近いイケメンたちを揃えた時に、その差別化が非常に難しい。
キンプリはアニメだから少々極端なキャラクターデザインも可能になるし、『PRINCE OF LEGEND』も各チームの中で大人組も交えることでわかりやすくしようという配慮が感じられた。
その中では……今作はほとんど見分けがつかなかった。
これは役者を前面に出す映画の中では失敗とも言えてしまうかもしれないな」
まとめ
では、この記事のまとめです
- 映画としては評価は辛口になるものの、嫌いにはなれない作品
- 冒頭のワンカットなど、工夫もきちんとある!
- キャラクター(役者)が多すぎて差別ができていないのが難点か
まあ、こういう映画があってもいいのかな?
カエル「徹頭徹尾ファンの方に向けられた映画だったと言えるのかな」
主「これで女性ファンが満足するのであれば、その映画の意義はあったのではないでしょうか?
設定との乖離や映画としての難点はあったけれど……ミュージカル描写やシーンが好きなこともあって、もう1回見に行こう! と女の子に誘われたら行こうかなぁ、と思うような作品ではあったよ」
カエル「……そこで女の子限定にすると下心が見えますが」
主「この手の映画を倦厭、あるいは否定する向きもあるとは思うけれど、見に行かないと『刀剣乱舞』のような意外な良作を見逃してしまうので。
その意味では……確かに難はあるけれど、でも決してお金を無駄にした! と思うような映画ではなかったかな」