カエルくん(以下カエル)
「じゃあ、今回はIGの製作した新作の009のアニメの話だけど……」
ブログ主(以下主)
「やっぱり009クラスになると固定ファンも多いのかね? 最近、テレビシリーズもやっていないけれど、3章に分けて公開するほどだもんな」
カエル「やっぱり長編でやりたいって気持ちがあるのかな? 最近、IGは『攻殻機動隊ARISE』もそうだったけれど、こういう形での公開が多い気がするね」
主「攻殻機動隊もそうだけど、やっぱり元々人気があるから固定客もつきやすいのかね? 少なくとも3章公開すればある程度の儲けは出るという勝算があるからやるわけだろうし」
カエル「前作の評判も良かったのかな? レビューとかだと色々言われているけれど、あれから4年が過ぎるから、技術も進歩しているはずだしね」
主「じゃあ今回の映画がどんなものだったのか語る前に……
最初に結論から言ってしまうと、今回は酷評記事になるので、悪しからず。ファンは読まないほうがいいかもね」
カエル「ああ……そうなったんだ……
じゃあ、感想記事を始めるよ……」
あらすじ
世界の平和を守るために戦ってきた、009こと島村ジョーをはじめとするゼロゼロナンバーサイボーグたちであったが、彼らは世界の思惑に翻弄されながら正義を貫くことに疲れきっていた。
前作にてドバイの核攻撃が起きたことを受け、問題視した国連が軍備を増強し『ガーディアンズ』と呼ばれる部隊を設立したことを受け、アメリカのテキサスで隠居生活を送っていたところに、ジャーナリストのルーシーが訪ねてくる。
彼女は『ブレスト』と呼ばれる、不老長寿の種の影響を示唆し、あるものを手渡す。するとそれを感知したブレストが009たちを襲撃、その命を狙ってきたのであった……
全3章で構成される作品の第1章。
『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』予告編映像
1 感想
カエル「えー……じゃあ、感想からだけど……」
主「もちろん、3部作の1話目だからこれで全てを評することはできないんだよ。結局のところ、導入としての1話目でしかないしさ。でも……それにしても、ねぇ」
カエル「やっぱり、CG技術は辛い評価になるよね」
主「前作がサンジゲンが製作したセルルックだったわけじゃない? それが4年経って、どれほどの進化をしたのか、楽しみにしていたわけだよ。でも、今回はサンジゲンではなくて他の制作会社になったわけだ。それはそれとしていいけれど……今年はCG映画だとどうしても比較対象が出てくるじゃない?」
カエル「『FF』の映画と『ガンツ』の映画だね」
主「この2つという比較対象があって、さらにアメリカのCGアニメがあるわけだ。もちろん、やりたい方向とかは違うかもしれないけれど……こういった作品と比較した場合において、どうかと思う部分も多いわけだよ」
CGレベルの問題
主「結局記事にはしなかったけれど、今年見た映画で、CGで作られたアニメ映画があったのね。全国でもボロい劇場でしかやっていないような映画でさ、個人製作で絵に関してはひとりで作ったという作品。
有名声優が出演していて、音楽も良かったけれど……肝心のアニメがイマイチだったのね」
カエル「小劇場で公開されて、監督の講演とかもあってね。その時、結構やりきった感が出ていたよね」
主「そうそう。だから、肝心のCGとか、絵とかに関しては色々と思ったけれど、個人でアニメを製作したということに意義があるわけでさ。その作品を酷評できないし、クオリティを色々というのは違うと思ったから、記事にしなかったわけ。
で、今回の作品はその、個人で製作したアニメ映画とCGのレベルはそんなに変わらないよ。いや、確かにこっちの方が少しは高いかもしれないけれど……資金も人数もはるかに違うわけだからさ……
正直、一昔前のゲームだよ。PSとかPS2レベルの。今時、そんなCGアニメを見せられてもなぁ……」
カエル「個人製作の作品と比べちゃう時点でね……どちらも同じ劇場公開とはいえ……」
主「さらにこれが3部作あるわけでしょ? 1作だけであれば『実験作だしな』という捉え方もあるけれど、これが3作続くわけだ。で、1作あたりに90分近くやって、それで1800円と聞くと、この後も見ようか悩むことになる」
カエル「ちょっとねぇ……連続公開でこれだと『テレビシリーズでも良かったんじゃない?』という気持ちになるかなぁ。色々な事情もあるだろうけれど……」
2 前作と比較して
カエル「単純な比較はできないけれど、前作と比べてどうだった?」
主「う〜ん……確かに、前作よりはわかりやすくなっていたよ。話の流れもわかりやすいし。
キャラクターデザインも前作の003とかはセクシー路線だったけれど、今作は可愛らしくできているし、001も赤ちゃんの可愛らしさは増していると思った。どっちが良いかは個人の趣味もあるだろうけれど、趣向としてはアリだと思う。
今作は1枚の絵としてみると違和感はあまりないように思うけれど……アニメとして動き出すと、やっぱり違和感が大きいかな」
カエル「お話としては……まだ導入といえ、辛い評価になるよね……」
主「まず、敵の正体はわからなくて良いけれどさ、何でもありすぎてなぁ……いつの間にか倒しているし、それがどういう流れなのか、いまいちわかりずらいというのもある。
前作は批判も多いけれど、記事で語ったように押井守のやってきたことを色々と取り入れて、実験的な面は非常に多いな、という印象があったのね。CGの作ったサンジゲンも実験的な部分もあっただろうし。
だけど、今作はその実験的な面はあまり見られないかな? という印象。よくも悪くもエンタメとしては王道の物語に仕上がっていると思う」
脚本について
カエル「じゃあ、王道のアクションエンタメとして仕上がっているけれど、酷評なわけだ」
主「王道のエンタメにしていてつまらなかったら、擁護のしようもないよね。
まだ序章ということはあるにしろ……まず、スタートの段階でそれまでの作品の流れを説明してくれるわけだよ。過去作や前作までの流れ、ゼロゼロサイボーグができた経緯とか、全部セリフで説明してくれる。
これは意図はわかる。初見さんでもわかりやすいように、ということもあるだろうし、過去作から続く作品であることのアピールでもあるわけだ。
でもさ、この見せ方がどうなの? というのもあるわけ」
カエル「近年で言うとガルパンやRANMARUのように『3分でわかる説明』とかもあるし、さらに言えばファンタスティックビーストみたいに新聞記事で説明する、ということもあるわけだしね」
主「そこの説明を如何にするか、というのは腕の見せ所でもあると思うわけよ。何せスタートだからさ、そこで作品世界に酔わせないと、観客は楽しむことが難しくなる。
だけど、そこを説明台詞の乱発で説明されて、作品世界に没入できるかというとね……」
カエル「最初の演出が良かっただけにね」
主「あの過去作のようなセル調の絵と、現代の CGの組み合わせは面白かったよ。ああいった実験的手法をたくさん重ねることができれば、もっと面白くなると思う。その意味では光るものがなかったわけではないけれど……技術的な理由なのか、それとも別の理由があるのかわからないけれど……イマイチだったかな」
カエル「神山健治監督だから脚本は期待したけれどね……」
主「一つ一つの台詞も『いい!』とは思えなかったし、予定調和間もあったかな……プレスコ(声優の演技、音声を先取りして、それに合わせて絵を作っていく手法)だから台詞もかっちりと決まっているだろうというのもあるけれど……どうにもね。
全体的な整合性は取れているけれど、あんまりエンタメとして優れている面は……見つけられなかったかな」
最後に
カエル「じゃあ、これが最後になるけれど……本作はどうしても文句ばかりになっちゃうね」
主「じゃあDVDになったら見ますか? と言われると、それでも難しいかも。正直『IGや石川社長、どうしちゃったのよ?』という思いが大きい。
今作の裏事情とかほとんど調べていないからわからないし、神山監督は総監督だからあまりタッチできていないとしても……正直、辛い評価にしかならない。商業のレベルに達しているのかもわからないレベル」
カエル「最近はネットに上がっている素人の作品でもすごい作品もあるしね。短編と長編の違いもあるだろうけれど……」
主「009で神山健治監督で、IGが絡んでるってことで観に行くファンは多いかもしれないけれど、オリジナルで無名の監督でも見に行くレベルの作品になっているとは思えない。
結局、名前だけの作品になっちゃっているんじゃないかな?」
カエル「う〜ん……どうしても褒めるポイントはあまりないよね……」
主「キャラデザと音楽くらいかな……OPは少し期待値を上げたんだけどね」
前作の評価はこちら
「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」 THE COMPLETE
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