カエルくん(以下カエル)
「先週はお休みだったから、2週間ぶりのライオンだね」
ブログ主(以下主)
「たった1週間飛んだだけでも、結構呆然としたからなぁ……これから年末進行だし、結構飛ぶことは多いと思うけれど……」
カエル「NHKだし、緊急放送やら何やらがあるだろうからね」
主「他の局だったらそこまで影響がないんだろうな……まあ、仕方ないことではあるけれどな。
それにしても、5話以降久々の記事だから6話と7話をピックアップすると……ニャー将棋の歌がインパクト強いな」
カエル「原作を読んでいたら単なる将棋の説明でしかない部分が、一気に膨らんで歌にまでなったからね。これはびっくりだよ! 子供が見てもわかりやすく、将棋の勉強になるんじゃないかな?」
主「それこそみんなの歌とか、幼児向け番組で流されてもいいんじゃないの? それは言い過ぎか。
こういう部分一つ見ても、この作品をシャフトと新房監督がどれだけ作品を丁寧に、アニメ化していこうと作り上げていこうとしていくのかわかるよね。この説明とか、極端なことを言えば外してもいいわけだし」
カエル「そうだね。そこも含めて語っていこうか。
なお、この後の展開のネタバレがないように努めますが、ニュアンスなどで察してしまう可能性があることはご了承ください」
前回の記事
8話の簡単なあらすじ
川本家と交流を深めていく桐山零。しかし、その見た目や性格と裏腹に、将棋に関しては負けん気が非常に強く、若さゆえの過ち(?)によって思わずカッとなってしまい、悪手を指して負けてしまう。
その対局の解説をしていた二階堂はそんな桐山の姿勢を一喝する。その姿勢に若干の憤りを覚えるが(零の気持ちはわかる)将棋会館の棋士仲間たちも含めて交流を深めていくていく。
しかし、そんな彼の家の前にはある人物が姿を表すのだった……
1 丁寧に作り込まれた作品
カエル「この作品を語る際にはもう何度も繰り返しているけれど、本当に丁寧に作られた作品だよね」
主「実は、今回の話は自分は6話くらいで入れてくるんじゃないかな? と予想していたんだよね。多分、香子が出てきて6話終了かなぁ? って。
だけど、実際は8話と相当時間をかけてきたね」
カエル「原作でいうとようやく2巻の半ばなんだよね。単純に言うことはできないけれど……8話で2巻分ってことは、現在発売中の12巻までやろうとしたら……48話で1年ぐらい?
そんなにやるのかなぁ……?」
主「ロングスパンでやるつもりなのかもね。NHKだし、他のアニメとは事情が違うであろうことは理解できるし、監督が新房監督である時点でシャフトの本気度がよくわかるのはあるけれどね」
カエル「……やっぱり、ちょっと丁寧すぎる気はするよね?」
主「ここから先はもっと将棋成分も増していってさらに面白くなるからさ、そっちも早く見たいなぁって気持ちもあるのよ……
それを考えると、さすがにゆっくりすぎるキライはあるんじゃないかな? って思いもある。今週もニャー将棋の2番とかも面白いけれど……」
カエル「でもここからはまた作品テイストが一気に変わるしね」
構成について
カエル「やっぱりメリハリがある演出や構成がすごいよね」
主「上記では文句も言ったけれど、やっぱりこれだけゆっくりと作品を作り上げてきた意味はあったと思うのよ。
ここまでの流れを簡単に説明すると
1〜4話 お話の導入と川本家の紹介
5〜8話 零の過去と川本家の対比
という4話構成になっている。原作通りだから、明確に決めていないかもしれないけれどね。だから6話と7話、7話と8話の話が微妙に繋がっているのは、そういう意図もあるんじゃないかな?」
カエル「5話と6話も零ちゃんの過去という意味ではつながっているしね」
主「そうそう。まあ、でも3話のラストとか、5話の演出とかもわかりやすく気合が入っているのがわかるから、そこまで意識しているのかはわからないけれど、近年はテンポ感を出すために3話構成が主流だから、ちょっと独特な作りかもね。まあ、異端というほどではないけれど」
カエル「で、そのお話のメリハリがすごく効いているよね。1話の段階からそうだけど、零ちゃんの抱える孤独と、川本家の暖かさが全然違うし」
演出について
主「それが一気に出たのがこの8話だと思うんだよ。ここってさ、作品の最初のターニングポイントであると個人的には思っている。というのは、明らかにここで香子が出てきてから、作品の流れが一気に変わるんだけど……それはこの話を見ていてもわかるけれどさ」
カエル「これまではポカポカした日常描写が多かったしね。一気に雰囲気が変わったよね」
主「例えば、8話においても川本家は『将棋を楽しむ姿』とか『孫と将棋を指す未来』についての話をしているわけじゃない?
しかも、あからさまなまでに明るい描写でさ。おじいちゃんなんて、あんなに明るくする必要があるのか? ってちょっと思った。
だけど、この後で香子との対面は一気に暗くなるわけだ。ここで一気にメリハリが効いているよね」
カエル「零ちゃんって家族の話をするとき、そこには『過去』しかない人だもんね。家族と何かしたいという……未来がある人ではないし。孤独だからね……」
主「マンションで再会したときに零は真っ暗に色づけされているんだよね。主人公がいることを、暗い中で見たら背景と紛れて分からないんじゃないか? ってレベル。これで如何に絶望的な状況にあるのかが一目でわかる。
ここからの演出の心理描写はすごいよね。お得意のシャフト演出も光ってさ、顔の角度が変わるたびに香子の表情も少しずつ変わっていく。
最初はニヤけるような笑みを浮かべていた香子が、怒るっていく様とか……ゾクゾクしてくるよ」
2 香子について
カエル「前回も語ったけれど、香子はとても複雑で、だからこそ魅力的なキャラクターだよね」
主「あ、ちなみに語っておくと、香子がお風呂に入る時に足だけなのは原作通りなので。NHKだからとか、そういうことはないよ。念のため。
まあ、俗にいう……ツンデレとか、ヤンデレみたいな成分を含んだ女性だよね。苛烈でさ、無意識に人を傷つけて生きるような女性」
カエル「その最大の被害者が零ちゃんなわけだ」
主「やっぱり香子が出てくるとゾクゾクするわぁ……」
カエル「……まあ、個人の趣味はいいとして、今回は井上麻里奈の演技力も光った形だよね」
主「井上麻里奈というと、みなみけのような元気な役とかも多いけれど……シャフトで言えばやっぱり物語シリーズの老倉育を連想するかな。
多分、あの実績も選考の際にはあったと思うよ。
まあ、それはいいや……今回でいうとさ、すごく複雑な性格は
『あんたの匂いがまだしない』
『10年も同じ家で顔を突き合わせていても、何も知らなかったってわけね』
『一人で探して、一人で決めて。本当あんたって勝手よね』
という言葉によく出ている」
この回の個人的マイベストシーン。香子さんの描写はどれもセクシーで美しく切ない
複雑、故に単純な性格
カエル「この言葉の解釈によって、香子のキャラクターをどう受け取るか分かれるかもね」
主「単なる恨みとか、嫌いなだけじゃないんだよね……香子って人間性はすごく分かりづらいけれど、逆に言うと分かりづらいことを意識するとすごくわかりやすい人間かもしれない」
カエル「……どういうこと?」
主「原作でも零に対する感情が一体なんなのか、全く語られていないんだよ。
香子が零に冷たく当たるのは恨みとか、嫌いだからということもできる。というか、そっちの意見の方が多いかもしれない。
だけど、自分にはそう思えないんだよね……」
カエル「というと?」
主「香子の思いって、結構歪んでいる。というか、これは個人的にヤンデレが結構好きだからそう見えるというのもあるかもしれないけれど……」
カエル「突然のカミングアウト!」
主「普通は……暴力を振るってくる男に対して『刺す』という選択肢は中々とらない。普通であれば逃げるわけだ。だけど、彼女は刺す、という選択肢を取ると明言している。
じゃあ、憎いのか、嫌いなのかというとそうでもないわけ。むしろ『好きよ、大好きよ』という言葉が指し示す通り、愛情ゆえに刺すわけだ。人を選ぶし、場合によっては怖いだけかもしれないけれど、ここが理解できると愛おしく思えてくるよ」
カエル「……じゃあ、単なる嫌いではないんだ」
主「単なる嫌いならわざわざ家に来て泊まっていかないし、あんな無防備な姿を晒さないし、さらに言えば服を借りないでしょ? 姉と弟と言え、義理で血の繋がりなんてないわけだし。まあ、零が手を出すわけないけれどさ。
だからすごく複雑、だけどその根本は単純だと思う。ただ、その単純な部分から生まれる……動きというものが特殊だからこそ、複雑に見えるのかもね」
最後に
カエル「では8話の感想記事をここで一度終わりにするけれど……」
主「ここまで丁寧に描いてくれると作者も嬉しいだろうね。今のところ、原作ファンは絶賛じゃない? どこも省いてないし。
むしろ新規でアニメから見ている人がどう思っているのか、すごく気になるかな?」
カエル「ちなみに……香子さんみたいな人って実際にいるの?」
主「いるよ。実際にあったことがある。生きるのが大変そうだな……とか、社会生活が送れているのだろうか? と疑いたくなるよ。
これだけ興味深いと言っておきながら言うのもなんだけど、ああいう人はね、二次元とか物語の中にいるから愛せるけれど、実際にいたら外から見ているしかないよ。近づきたくもない。
その意味では零はご愁傷様ってところだよね。あんな人に目をつけられたら大変だよ。零の孤独の何割かは香子のせいでもあるし」
カエル「まあ、そうだよね。男女問わず友達にはなりたくない……というか、なるの難しいよね」
主「でもエネルギーはすごいから、どうしようもなく惹かれる部分もあるというね……」
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