物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』ネタバレ感想&評価! ギャグもアクションも予算もパワーアップ!

 

 

みんな大好き、銀魂の続編が公開だよ!

 

まさかまさかの大ヒットだから、わからんものだわぁ

 

カエルくん(以下カエル)

「まさかまさかというのは銀魂如きが……というわけではないので、勘違いしないでくださいね!」

 

「ここ最近は『ジョジョ』や『ブリーチ』も苦しい興行になってしまっているからねぇ。これらの超ビックネームも苦戦する中で、まさかの福田雄一がジャンプ作品の映画化で大ヒットとは、恐れ入った」

 

カエル「『斉木楠雄のΨ難』も福田監督だったし、ジャンプのギャグ枠はもう福田監督に任せるべきなのかもねぇ」

主「クオリティ云々はともかくとして、現代を代表する邦画監督なのは間違いないのか?

 というわけで、そんな大ヒット作の続編、銀魂2の感想に行ってみよう!」

 

 

 

作品紹介・あらすじ

 

 週刊少年ジャンプで連載中の大人気漫画の実写映画化企画第2弾であり、前作は2017年の実写邦画では1位の興行収入をあげている。監督は変わらず独特の演出でコメディとして人気を集める福田雄一が脚本も担当する。

 今作では原作の人気エピソードである『真選組動乱篇』と『将軍接待篇』を中心に構成されている。

 キャストは前作と同じく小栗旬が主演を務め、橋本環奈、菅田将暉のほかムロツヨシ、佐藤二朗などの福田作品で欠かせない人物もいつも通り起用している。

 

 いつものようにお金がない万事屋の面々はアルバイトでお金を稼ぐ事を画策していた。そんな中、キャバクラの助っ人の依頼を受ける。幕府の上層部を接待するという話だったが、そこで現れたのは幕府の最高権力者である将軍だった……

 そんな中、警護をしている真選組の元に伊東鴨太郎が戻ってきた。副長、土方十四郎と非常に仲の悪く野望に燃える伊東は、ある計画をスタートさせる……

 

 


映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』本予告【HD】2018年8月17日(金)公開

 

 

 

 

感想

 

では、いつものようにTwitterの短評からスタートです

 

 

いやいや、驚くほど予算が出ていますよ、これ

 

カエル「前作はCGなどもチープなところがあって、それが却って銀魂のギャグとして魅力を引き立てるような効果もあったんだけれど、作ではむしろそのCGなども本当に力が入っていて『これがあの銀魂だと!?』と驚愕したよ!」

主「ジオングに足がついていたほどの衝撃だな」

 

カエル「急にガンダムネタはやめましょう、唐突すぎるから。それに滑るし」

主「前作の課題として大きかったのは、ギャグは面白いけれどアクションが下手すぎるという部分だった。福田雄一監督はご存知の方も多いように『勇者ヨシヒコと導かれし七人』などのシリーズで脚光を浴びた、コメディを得意とする監督だ。

 それは銀魂のギャグに合っていたものの、アクション描写に関しては監督の技量か、あるいは予算の都合かはわからないけれど、かなりお粗末なものだった。

 今作はその欠点も補っており、かなり見どころのある作品となっています

 

カエル「もちろんギャグの面白さは折り紙つきですので、主演の小栗旬が語るように『カメラを止めるな!』の次くらいに笑える作品に仕上がっています!」

 

 

2作目ということもあって、だいぶ様になってきたのでは?

 

なぜ真選組動乱編だったのか?

 

カエル「でもさ、なんで真選組だったのかね?」

主「もちろんこれは予想になるけれど、その理由の1つが前作が高杉をはじめとする鬼兵隊のお話だったから、今回は真選組が主体となる物語を選択した、というのも大きいだろう。

 あとは、当然考えたのは堂本剛の存在じゃない?」

 

カエル「確かに堂本剛が出るか出ないかは、興行的にも大きく影響しそうだよねぇ」

主「高杉が絡んでくるエピソードで、1作の映画としてある程度成立して、さらに真選組の話となると相当限られてくる。

 この話は歴史の基本的な知識があれば、伊東甲子太郎が史実の新撰組の中でどのような立ち回りを果たし、そしてどのような最期を迎えるのか、というのは初見でもわかりやすい。

 しかも感動するエピソードでもあり、ギャグとシリアスのバランスも取れていて、感動もできる人気エピソードと言える。

 まあ、無難な選択と言えるんじゃないかな?

 

カエル「ちなみにキャバクラ接待編に関しては?」

主「将軍が出てくればなんでもよかったんだろうけれど、初登場のキャバクラ回を選択したのは、それなりに納得できる。

 あとは、後々にはなるだろうけれど、一国傾城編あたりでもやるつもりもあるのかなぁ。

 流石にその後のオールスターキャストの話まではやらないと思うけれど、原作のストックはいくらでもあるし、興行さえうまくいけばお話はいくらでも作れるんじゃない?

 

カエル「そして原作は終わることができない、と」

主「多くの漫画が終わりたくない中で終わらされる中で、終わりたくても終われないのは贅沢な悩みなのか、生き地獄なのか……」

 

 

 

 

本作の違和感

 

じゃあ、ちょっと欠点の方もあげておこうか

 

詳しい内容は後ほどやるけれど、ざっといえば福田雄一映画のダメなところだよ

 

 

主「すごく言葉が難しいけれど、本作は福田雄一の魅力もはっきり出た以上に、欠点も目立った作品になっている。

 この映画で最大限褒めるべきは監督かもしれないが、貶されるのも監督だね」

カエル「アクションも良かったし、笑えるシーンも多かったのに?」

 

主「基本的に脚本の作り方が下手すぎる。

 1つ1つのエピソードは原作に則っているけれど、その改変が全くうまく行っていない。もちろん、今後の伏線を貼って行ったように思える描写もあるけれど、映画1作としたら単なる悪手。

 そもそも、ものすごくアクションシーンを頑張っているのに、それを完全に潰すような構成になっていて、それが本当に勿体無い

カエル「やっぱりアクションには向いていないのかなぁ」

 

主「もしかしたら映画に向いていないのかも。

 それは言い過ぎかもしれないけれど、この映画の構成がものすごく残念だし、原作の新撰組動乱編に比べると、かなりウェットな話で、御涙頂戴に思えてしまった部分もある。

 ちょっとそれは見たくなかなったかなぁ。

 福田監督のおかげでうまくいったシーンもあれば、ダメだったシーンもあったという評価だね。

 あとは単純に長い!

 10分は短くして欲しかった……」

 

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この独特の世界で躍動する銀さんたち!

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

役者について

 

今回の役者について語りましょう!

 

基本的には良かったと思う

 

カエル「銀魂に限らず漫画原作映画ってどうしてもコスプレ大会になるけれど、今作はコスプレ大会の中でもだいぶ良かった方なんじゃない?

主「ただ、全体的にみんな硬いなぁ、という印象はある。

 前作に比べると小栗旬、菅田将暉、橋本環奈は少しこなれてきたのかな、という印象。特に小栗旬と菅田将暉はアニメ版の杉田智和、阪口大助の演技に寄せていたようにも見受けられたけれど、その要素は少し残しつつも、自分の演技に近づけている印象があった。

 今作から登場の三浦春馬、窪田正孝も良かったよ」

 

カエル「あとは、前作でもちょっと話題になったけれど、明らかにキャストがギャグで笑っているシーンでもそのまま使われていたりね」

主「結構アドリブが多かったんだろうな。

 それにやはりこの作品における長澤まさみの美しさは絶賛ですよ。

 もちろん周囲が化け物揃いだったこともあるけれど……いや、夏菜は可愛いとしても、さっちゃんは化け物だから。可愛い化け物だから。

 その中でも別格の美人だったね」

 

カエル「逆にちょっと苦言を呈するのは?」

主「う〜ん……橋本環奈、前作よりムチムチ感増してない?

 しかも体を含めてめっちゃ成長してない?

 恐ろしいわぁ……成長期怖い。

 めちゃくちゃ可愛らしいシーンもあって、アクションも頑張って、顔芸もやってと役者としてはいいんだけれど、神楽という細身のロリ少女は相性が悪いかなぁ。

 あとは夏菜は演技が硬い印象。まあ、しょうがないかもしれないけれど。

 それと柳楽優弥も違和感があるところがあったかなぁ。ただ、自分の場合土方は中井和哉が基準になっているところがあるので、しょうがないけれどさ」

 

カエル「でも、全体的には悪くなかったんじゃないかな? しっかり笑いも取れていたしね」

主「大きな不満は1点だけ!

 なんで立木文彦は出てこないの⁉︎

カエル「マダオ役は立木さんと聞いて歓喜していたら、まさかの劇場版では出てこないというね」

主「あのシーンは立木さんを使うべきでしょ!

  いや、せめて声だけでも!

 声だけでもいいから、どうせならば使って欲しかった……そこはちょっとショックだったなぁ」

カエル「結局アニメ版に引っ張られている人の感想だよねぇ」

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

詳細な感想

 

今回はギリギリを攻めすぎた?

 

ここからはネタバレありになります

 

やはりあのスタートはずるいよ!

 

カエル「あれを開発したアニメスタッフはすごいよね。完全に画面が万事屋のままで全く動かないのに、キャストの声だけでギャグをぶっ込むというさ」

主「しかも、間違いなく収録したのは6月以降じゃない。この土壇場で撮影するのは難しいけれど、あれならばある程度は対応できる。銀魂っぽさ全開で掴みも最高、しかも笑えて、対応しやすい。

 これは大きなアドバンテージだよ。他の作品じゃできないけれどさ」

 

カエル「しかも序盤から結構攻めているよねぇ」

主「ただ、それがあまり良くなかった面がある。

 スタートのボケで多分ミニオンかピカチュウか、何らかの黄色いキャラクターが登場するシーンがあるけれど、それが許可を取れなかったのかモザイク処理になってしまった。

 今作の問題点でもあるけれど、伏せ音やモザイク処理が多すぎる。

 もちろん、それが何だかわかればいいんだよ。犬のウンコやゲロをモザイク処理するのは配慮とわかるし、観客も納得するから笑えるけれど、何かを隠すようなモザイク処理などは逆効果でしょう。

 ギリギリを攻めて、交渉も重ねたのかもしれないけれど、そのような処理は観客を置いてけぼりにするかもしれないから、少し控えたほうがいいと、個人的には思うね

 

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今作のアクション、めちゃくちゃ頑張ってます!

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

脚本構成の失敗

 

今作最大のツッコミどころという話です

 

あれだけ頑張っていたのに……

 

カエル「えっと、アクションとギャグはいいけれど、という話だよね?」

主「時折語るけれど、物語がいくつかのルートに分岐するときは、それが合流するようにすると快感が増す。

 例えばAでは勇者が修行するルート、Bではヒロインが伝説の剣を手に入れるルート、そして合流してドラゴンを倒す、みたいなことだ。そうなると、1つ1つの壁やルートを分けた意味が成立する。

 だけれど、本作はルートを分けているのに、その合流を完全に破棄している

 

カエル「具体的にいうと、将軍のパートだよねぇ」

主「今作で将軍のパートをギャグとして組み込み、それをシリアスでも活用したかったのは良くわかるし、その試み自体は支持するけれど、やり方が強引すぎる。

 原作では銀時と万斉は真選組の横で、現地で戦っている。なぜならばそれが自然だからだよ。だけれど、ここをわざわざ分けてしまったことにより、物語で大きな不具合が発生している」

 

カエル「あのルート変更は確かにギャグは面白かったけれど、ツッコミどころはねぇ」

主「何であんなところにヘリが来るのさ⁉︎

 それだったら銀時になんて構っていないで、直接テロ行為に及べばいいのに……というツッコミも出てしまうし、何よりも物語のテンポが劇的に悪くなってしまっているんだよ」

 

 

 

 

本作の致命的な欠点

 

アクションを頑張っていたのに、という話だけれど……

 

物語のタメとトメは違うんだ

 

カエル「タメとトメ?」

主「多くのアクション映画でも最後の決戦の前でキャラクター同士の演説であったり、あるいは愛の告白などをするような描写はある。それはアクションとアクションの間に挟まれており、物語のタメとして機能している。

 つまりアクション→ドラマ→アクションとすることで、急→タメ→急というテンポを生み、アクションをより魅力的なものにしている。

 だけれど、本作はタメではなく、トメになってしまっている

 

カエル「その違いって何なの?」

主「いちいちアクションが入った後にギャグや演説、回想などを入れてしまっており、それが何回も繰り返されるから、走り始めた物語が止まってしまうんだ。

 タメとトメは確かに似ているように思うかもしれない。

 だけれど、タメは後々の爆発のために溜めているのに対して、この作品は勢いを削いでしまい、その面白さを止めてしまっている。

 それがものすごく勿体無い

 

カエル「ふむふむ」

主「例えば序盤からそうでさ、キャバクラのギャグがあって、その後に真選組や土方のドタバタがあり、アクションが少し入る。そこで驚愕していたのに、その後でまたギャグが入るから、振れ幅がおかしいことになる。

 しかもギャグは絶妙にオチていない。

 確かにキャバクラ編ではツインテールのめちゃくちゃ可愛い久兵衛が出てこないから、あのオチは使えないけれど、何らかの形で落とさないと!

 というか、何で九兵衛出てないんだよ! 

 あのツインテール久兵衛、めちゃくちゃ可愛かったじゃないかよ!

カエル「怒りの方向性が違うところへ向いたので、話を変えましょう」

 

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本作で重要な2人のキャラクター

(C)空知英秋/集英社 (C)2018映画「銀魂2」製作委員会

 

大作邦画の欠点

 

そしていつものように大作邦画の悪口です

 

なんかダサいんだよねぇ、湿っぽいし

 

カエル「泣かせよう、感動させようという意識が強かったね」

主「自分は原作のこの話の魅力って、あくまでも『男と男の物語』として終わらせるところだと思っていて、確かに少し湿っぽい話なんだけれど、でも男の意地や優しさを感じるところもある。

 例えば近藤の泣き方ももっと険しい、真剣な表情で涙だけをこぼすし、土方も最後の最後まで鬼の副長の表情で、険しく伊東を見つめる。それが男の世界であり、武士の情けに当てはまるからだ。

 それを考えると、本作はかなり湿っぽいんだよねぇ

 

カエル「流れは原作と一緒なんだけれど、何でこんなに湿っぽくなるんだろう?」

主「漫画やアニメと表現が違うというのもあるでしょう。列車の中での手をつなぐシーンも原作は割とさらりとしているけれど、映画だとかなりウェットに感じてしまう。

 空知英秋って漫画の中では割とカラリと描いていて、銀魂の感動話と言われる『ミツバ編』も結構カラリとしている部分がある

 例えるならば、こち亀の感動話に近いウェットさで描いている。

 もちろんウェットな感動が悪いとは言わない。ただ、銀魂や真選組という男の世界ではそれは合わないように感じたかなぁ」

 

 

 

 

まとめ

 

ではこの記事のまとめです

 

  • 予算、アクション、ギャグもパワーアップ!
  • 役者陣も硬さはあるものの演技自体は悪くない!
  • ただし、アクションとギャグのバランスや見せ方に難も感じる…

 

ツッコミどころはあれども、前作よりもいい作品です

 

カエル「ただ、前作の方が笑いの瞬間最高風速は強かったかもね」

主「マジであの会社ってオマージュなどに寛容なんだな、というのを改めて思い知った。もともとそういう話だったけれど、ここまで許すとは。

 逆に何で今回サンライズは『ラブライブ』などを使わせなかったんだろ? あの世界のオタク文化を現実のアニメやゲームで表現しても良かったんじゃないかな?」

 

カエル「大人の事情か、あるいは架空の作品で貫き通したかったんじゃない?

 全体的には前作よりも良かったよね。カーチェイスも迫力があったし」

主「ただ、ちゃんとレールがないのは大問題! CGとかでどうにかできなかったの?

 途中で明らかに列車は車で牽引しているというのがバレバレになっているので、そこは銀魂とはいえ観客を騙す努力をしないと!

カエル「その意味でも応援上映ならぬ、ツッコミ上映が1番向いている作品かもしれないねぇ」

 

 

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