今回はNetflixドラマの『サンクチュアリ -聖域-』の感想記事になります!
相撲界を舞台にした話題作じゃな
カエルくん(以下カエル)
予告編を見た時、ものすごく面白そうで目を引いたもんね!
亀爺(以下亀)
久々にネットフリックスで一気見したコンテンツじゃな
カエル「今回は一気に鑑賞して、エピソード8までの感想記事になります。
前半はネタバレなし、後半はネタバレ微ありで語っていきますので、よろしくお願いします」
亀「それでは、記事のスタートじゃ」
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感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#サンクチュアリ聖域
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年5月5日
相撲を基にしたNetflixドラマを一気見しました
さすがにフィクションでしょwとなる破天荒さではありましたがその奥にある相撲の面白さや情熱などを感じることができる作品でした
特に2話が熱かったですね
中盤が少しダレた気もしましたが続編も期待した出来でした! pic.twitter.com/ZmqWnIh26W
これはNetflixらしい、攻めた作品だったの
カエル「近年のNetflixドラマって、地上波のテレビではできないようなテーマや物語を提示する作品が多いけれど、今作はまさにそうだよね!
これを相撲の物語です! と提示したら、相撲ファンとかに怒られそうなくらいに色々と事件が発生する作品でした」
亀「近年はだいぶ落ち着いてきたが、一昔前は不祥事の嵐で相撲という競技がなくなるのではないか? というのも冗談でなく語られていたこともあるからの。
だからこそ、本作のような無茶苦茶とも言える物語や展開が、どこかあり得る話としても受け止められる。
とは言っても、本作は日本人であれば明らかにフィクションであり、過剰に誇張されていることもわかるバランス感覚ではあるがの」
物語そのものも、とてもNetflixらしくて面白かったよね!
アツイ攻めた相撲描写などに、王道のスポコンを感じたの
カエル「特に2話が王道のスポコンという形で、とても面白くて!
ただ、ちょっと中盤はだれたかなぁ、という印象もあるかなぁ」
亀「ある種のNetflixドラマらしさというのが、若干足を引っ張ってしまった印象もある。
この辺りは後ほど詳しく語るが……色々な要素を入れることで、ドラマを引き立たせようという意図はわかるのじゃが、少しそれが過剰でまとめきれていない印象もあったの。
それでもキャラが完璧に立っているので、娯楽として楽しめる作品になっているのではないかの」
相撲という競技の特性と物語上の長所
相撲ってドラマ、あるいは物語として、映像化しやすいの?
……一定の部分まではしやすいとも言えるかの
カエル「相撲ってドラマなどでは珍しい印象かなぁ。
うちは漫画・アニメが好きだからそっちの分野で語ることになるけれど、実は名作も多いジャンルなんだよね。
それこそ古典的な存在としては『のたり松太郎』が思い浮かぶよね。というか、今作もそうだけれど、手のつけられない暴れん坊が相撲界に入るってストーリー自体は、この作品の影響もとても大きいのではないでしょうか」
近年の少年誌でも話題作が続いたの
カエル「それこそ、作者急逝で惜しくも連載途中で終了してしまった『バチバチ』シリーズは、まさに相撲漫画の名作というべき存在でしょう。
というか、このまま『バチバチ』を実写化して欲しい気持ちが強いかなぁ……
それから週刊少年ジャンプで連載されて、アニメ化もされた『火ノ丸相撲』は、学生相撲編から始まって人気を博し、ファンの中では『バチバチ』と争うほどに面白さの議論になった名作です」
悪童の『バチバチ』と少年漫画らしさを発揮する『火ノ丸相撲』という、好対照な2作じゃな
亀「相撲という競技の作劇上の魅力は以下の点になると考えられる」
ふむふむ……なるほどなぁ
格闘技の魅力は強いやつが上、というわかりやすさじゃな
カエル「確かに他の球技とかと比べて、わかりやすいよね。勝利条件も土俵から出るor足の裏以外の部位を地につけたら負け、と単純明快だし。
部屋制度など独特な世界ではあるけれど、だからこそのドラマが紡げるわけだね」
相撲作品の難しさ
その代わり、難しさもあるのが……この要素です
トーナメントではなく、リーグ戦形式で場所ごとの勝敗が決まるというシステムがあるからの
カエル「ルックス的に映えないってのは、大きいよね……
サッカーとか、格闘技でもボクシングとからなスラっとしたイケメンが成立するし、プロレスでも筋骨隆々のマッチョメンの魅力があるだろうけれど……
作中でも語られているけれど『人前でお尻を晒す(廻し姿になる)』ということに抵抗がある人も多いだろうなぁ」
亀「単純に役者を探すだけでも大変じゃろうしの。あの体型で人気者は、なかなかいない。
また番付システムのように、一発勝負で一気に頂点へ! ということも不可能なシステムもある。リーグ戦形式は試合をたくさん見せられるが、物語としては盛り上がりにくい部分もある。
また同じ相手と何度も戦うのが、作劇的な工夫が求められる。これがボクシングならば『いよいよ宿命のライバルと対決!』ができるが、相撲だとそのような展開が何度もできてしまいかねないからの」
そう考えると、難しさも多いんだね
じゃから、実写化が難しかったり、面白くても流行りにくかったりするのかも知れんの
カエル「今作は、その難点を克服しているの?」
亀「間違いなく言えるのは、役者はとても良い。
もちろん、全員が完璧とはいかんが、説得力はかなりのもんじゃ。
また番付システムも下位から始まるため、優勝などの快楽性もある。
ここまでは成り上がりの物語じゃから……もしかたら、難しいのは、続編があればPart2かもしれんな」
役者について
今作の役者について語っていきましょう!
かなり相撲取りとして、説得力のあるキャストを連れてきたの
カエル「特に主人公の一ノ瀬ワタルは、絶賛でしょう!
近年では『宮本から君へ』で、悪役を見事に演じ切りました。
そして『ヴィレッジ』でも同じような役で存在感を発揮。今や日本で力のある悪童を演じさせたら、日本一と言っても過言ではない存在感を発揮しています!」
亀「元々格闘家ということもあって、がっしりとした体格であるのは間違いないのじゃが……今作ではさらに相撲取りらしい太さも身につけている。しかも、それがブクブクとした太さだけでなく、筋肉を感じさせるので、彼が強いというのが見た目でも伝わってくる説得力がある形になっておる。
役の幅が限られてしまうかもしれんが、この手の役では、国内屈指であるのは異論がないじゃろう。
まさに彼がいるから出来上がった作品じゃ」
荒くれ者の主人公、小瀬(#一ノ瀬ワタル)。四股名は猿桜。闘争心が強く何事も我慢できない性分で思ったことをすぐ態度に出してしまうため敵が多い。体格と柔道の腕前を見込んだ猿将親方からのスカウトを受け「相撲は金になる」という理由から猿将部屋の力士に。#サンクチュアリ聖域 #WataruIchinose pic.twitter.com/4RrhZOkayi
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2023年4月28日
他のキャストも、相撲取りらしく太って見えるようにしていたよね
その点では染谷将太、ピエール瀧などは見事じゃったな
カエル「あんまり太いイメージがないけれど、特に染谷将太なんかは痩せ型の人が頑張って太くしているというのが伝わるような太り方で!
またピエール瀧は……色々あったから、最近別記事で見たときに『うわ、太ったなぁ』って体調を心配していたんだけれど、この役作りのためだったんだね」
亀「松尾スズキなどは、元々の体系通りなので元相撲取りの大関という説得力は感じづらかったが、ピエール瀧は頑張って太ったのが伝わってきたの。とはいえ、元と言っても細い印象を受けたが。
その他では佳久創なども頑張って体を作ってきたのが伝わってきた。まあ、ソップ型でももう少し欲しいが、十分じゃろう。
住洋樹は元関取らしく、彼だからこの役になっていた。説得力が半端なかったの。
そのほかの面々も……特に女性陣は女性の甘さと毒を兼ね備えており、絶賛したい演技じゃったな」
以下ネタバレあり
作品考察
Netflixらしさに惑わされた? 中盤について
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう!
まずは苦言から始めようとするかの
カエル「今回は全体的には褒めなのですが、中盤の展開などを含めて、少し苦言があるということですね」
亀「今作は物語としては『全裸監督』などのような、Netflixらしい陰謀やエロティックなどもある作品として仕上がっておる。そのため、相撲協会の一部の親方の確執や、陰湿な面も出てきておる。
しかし、それがドラマに有機的に……効果的に結びついたかというと、わしは少し疑問がある」
カエル「ふむふむ……」
亀「例えば、早苗とのやりとりであるが、あれほどの毒親とのバトルが後半はあまり機能していなかった。もちろん、7話における復活の狼煙となる部分はあるのじゃが……
それに七海はともかくとして、村田との関係性などは、相撲界の……おそらく朝青龍の問題などがあって、それをモデルにした創作であると感じているが、そこが物語に大きな意義があったかというと、それは感じなかった」
Netflixだから過激なものを、という意識が強すぎたようにも感じるわけじゃな
亀「わしとしては、今作はあくまでも主人公である猿桜の成り上がり一代記の序盤、という形で良かった。
スポコンで良かったのではないか? という思いが強い。
それをNetflixらしい陰謀、お色気、グロテスクなどを入れたことによって、興味を惹きやすいドラマにはなっているが、それが猿桜の物語と結びつきが弱くなってしまったりしており、横道に逸れているような気がしてしまう。
ここまでしっかりとした相撲のドラマを見せてくれるのだから、そこからブレずに邁進するくらいで良かったのではないかの」
反発する者たちの成り上がりの物語
でもさ、それでもこの作品を褒めたいのは、それだけ魅力があったからなんでしょ!?
やはり、反発する者の物語として、とてもレベルが高かったことが挙げられるの
カエル「反発するものの物語?」
亀「今作に関しては、猿桜以外にも、多くの反抗する者が出てくる。例えば国嶋記者などがそうじゃろう。
彼女は女性が蔑ろにされやすい男社会の角界を切り込んでいく、女性記者としてとても重要じゃ。この2人は恋愛関係などを抜きとして、ヒーローとヒロインとしてお互いを補い合う理想的な関係と言えるのではないじゃろうか」
ふむふむ……
キャラクターの熱い思いを魅せてくれるドラマが、とてもいいわけじゃな
亀「他にも部屋の面々はムカつくところもあるが、徐々に認めていき仲間となっていく描写などは、まさに相撲ドラマらしいと言えるじゃろう。
清水は体が小さいというハンデがあり、これは各界にはいられないが、それでも相撲が好きという気持ちを貫き通した。この辺りもまた、反骨精神といえるかもしれん。
そういったキャラクターの思いを乗せて、しっかりとドラマを魅せてくれるし、大迫力の相撲描写を演出しただけでも、今作は見どころが多いわけじゃな」
一部では現実の相撲界を反映したようなところもあったよね
大関の龍貴なんかは、明確に若乃花・貴乃花の親子関係をモチーフにしているしの
亀「他にも龍谷親方が宗教に熱心というのも、貴乃花親方時代の報道を参考にしているのかもしれん。
そういった相撲界のあるあるというか、噂話も詰め込んでいる。
社会から爪弾きにされた不器用な者たちの成り上がりと、それに対抗するように社会に迎合して汚く成り上がった者たちとの対比関係を実力でねじ伏せる様など、見応えがあった。
色々な面からも、ドラマとしてとても面白く鑑賞することができた作品じゃったの」
最後に
というわけで、この記事は終了になります
そこまで深いことを語ることはできない作品かもしれんの
カエル「なんというか、本当にキャラクターが良くて、わかりやすいから観て! という気持ちになる作品だね!」
亀「そうじゃな。
相撲に詳しい方には、逆にノイズになるかもしれんが……あくまでもフィクションとして、楽しんで欲しいの。
まあNetflix配信ということで、世界に『全裸監督』のAV業界の次は、相撲業界ということで、若干語弊のある部分をばら撒いている気もしないでもないが……そこは明らかなフィクションとして、わしは目くじらを立てんで行こうかの」
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