今回はNetflixで配信、あるいは劇場公開されている『地球外少年少女』の感想記事になります!
今月では最も注目度の高いアニメ映画(関連)作品かもしれんな
カエルくん(以下カエル)
「アニメファン、特に作画系オタクであれば誰でも知っているレジェンドの1人でもある礒光雄監督が15年ぶりに監督した作品です!」
亀爺(以下亀)
「わしも『電脳コイル』は楽しみながら見ておったから、こちらの作品も要注目じゃな」
カエル「それでは、早速ですが感想記事のスタートです!」
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感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
↓全話鑑賞後の感想ツイートがこちら↓
#地球外少年少女
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年1月30日
ロボットバトルのない宇宙SFとしてとても好きな作品でした。特に少年少女たちの描かれ方に好感が持てて今の時代の小学生に見せたい作品でしたね。近未来的なガジェットの取り扱いなども本当にいつか来そうな未来が描かれていてワクワクするし、多くの人に愛される作品になったのでは pic.twitter.com/rZng3JcOcI
↓前編を映画館で鑑賞した際の感想はこちら↓
#地球外少年少女
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年1月29日
さすがは礒光雄監督作品!わずかな重量の違いを作画で表現されているのも鳥肌が立ち、ガジェットなどを用いた少年少女たち(+大人)のSFに心が躍り電脳コイルをワクワクしながら見ていた時代を思い出しました
専門用語は難しくて半分くらいしか理解していませんが雰囲気で大丈夫かな笑 pic.twitter.com/KTbLZSDujc
なんだか再放送中だからかプラネテスを思い出しました。ロボットバトルのない宇宙SFというのもありますが、今後宇宙アニメを語るときの1つの基準になり得る作品ではないでしょうか
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年1月29日
後編、帰ったらネトフリで観ちゃうか!
久々にジュブナイル作品で子供に見せたいと思えるアニメ作品が出てきた印象じゃな
カエル「どうしても宇宙を舞台にしたSFアニメって……『機動戦士ガンダム』もそうだし、最近だと舞台の一部って感じではあるけれど『Vivy -Fluorite Eye's Song-』などもハードなSF作品としては、近いところにあると思います。
ただ……これらの作品ってやっぱりどこかオタク向け、あるいは大人向け要素が強くて、子供に見せるのは少し躊躇ってしまいがちなんだよね……
そんな中で、今作は見終わった後に、素直に『子供たちに見てほしい!』と思えるものが詰まっていたというか!」
亀「Netflixだから難しいとは思うが、それこそ『電脳コイル』と同じように、NHKで放送してほしいと思えるような作品じゃったな。
それだけ子供たちに伝えるメッセージが素直で真摯、そしてさまざまな展開がありながらも基本的にはとても見やすく、明るく、重いものも軽く魅せてしまう。もちろん力もあるし、ワクワクもするし、程よく嘘もある。
それこそ、Twitterでも書いているが『プラネテス』などのように、今後宇宙SFアニメ作品……特にロボットバトルがない作品を語る際には、とても重要になるかもしれん。
これだけでも見事と言える作品であったの」
欠点としては……専門用語が多くて、全部理解しようとすると、だいぶ難しいかな? ってところかな
それも雰囲気で見ればいいと思うぞ
カエル「うちも正直SFには疎くて、特に科学技術に関しては宇宙に関するものも興味が薄いので、ちょっと言っている意味がわからなかったりしました。それでも……なんとなく、雰囲気でわかった気になれるというのが、実はとても重要だったりしてね」
亀「詳しいことは宇宙の専門家やSFファン、そして設定が大好きな人に任せるとしよう。
今作では磯光雄監督もインタビューで以下のように答えている。
これから商業宇宙が広がるにあたって、そういう軽い興味を持った一見さんが増えることが支持や予算の面でも大きな力になる気がしていて、そういう人たちを追い払うのではなく、大きな心で歓迎して育ててあげられるようになったら良いなと思います。
そこで『地球外少年少女』は正しい宇宙の知識を啓蒙する教科書ではなく、初めて宇宙の物語に触れる子供でもわくわくする宇宙を描くことに重点を置いてみました。難しい説明もできるだけ控え、制作中に迷ったときは、正確さよりも「どちらがわくわくするか」で設定などを決めていきました。
この視点というのが、とても重要なものに感じるの
カエル「最近も『プラネテス』でも色々と言われましたが、SFって分野そのものが衰退しているといわれるのって、科学的な正しさの検証ばかりが叫ばれてしまい、物語の楽しさなどが少なくなりつつあるのと、若い人や科学的な知識に疎い人があまり参入しづらい分野になってしまったからだもんね。
『SFファンは1年過ぎれば平均年齢が1歳上がる』なんていわれるほどで……」
亀「それでいうと、今作は間違いなく気軽に楽しめる作品じゃ。
それでいながらも、科学的な面白さなども保証してくれているし、多くの面において評価することのできる作品となっているぞ」
アニメ表現としての面白さ
重力描写
アニメ表現としては、まずは驚かされたのが重力描写だよね!
これはとても素晴らしい動きを披露していたの
カエル「特に1話冒頭、主人公の登矢がベットから降りる際のフワッとした浮遊感なんて、劇場で観ていて思わず『うま!』と叫んでしまいそうなくらいびっくりしたよね!」
亀「今作の重力表現はそこにこだわったというインタビューもあったが、まさに見事であったな。単なる無重力ではなく、地球のような1Gでもない、独特の浮遊感などが描かれておった。その辺りも非常に面白かったの。
それでいながらも各場所によって負荷が変わることによって、重力も変わるという設定もまた面白い者であった。
こういったアニメ表現があると、こちらも観ていてワクワクするものじゃな。
少しだけわしが感じた疑問点があるとすれば、序盤に比べると後半は重力表現の面白さは少し影を潜めたような気がしておるが……そこまで要求するのは酷というものかもしれんの」
ガジェットの面白さ
次に磯監督のSFアニメといえば、なんと言ってもガジェットでしょう!『電脳コイル』でも実際に近未来に登場するようなガジェットの楽しさが山盛りだったもんね!
実際にVRやメタバースなどで電脳コイルの未来が近づいているように感じるし、今作のような未来も起こり得るのかもしれんの
カエル「まずは何と言ってもデバイスが手に装着されているという発想!
すでにスマホやタブレットですらなく、肉体とほぼ同一化している……あれはシールのようなものという考え方でいいのかな? それで中継するというのも良かったよね!
スタートからの『みなみな、み〜な!』の言葉ですっかり引き込まれた人も多いのではないでしょうか」
亀「あのシーンで一気に観客をワクワクする世界へと誘うことに成功しておるの。確かにあれなれば、YouTube配信なども簡単に行えるじゃろうし、やりたいと思う人も多いじゃろう。
また、車椅子であったり、コンビニが宇宙にセットされていたりというのも面白いアイディアであった。製品補充はどのようにしているのか? などの疑問もあるが、まあ、それはそれでいいじゃろう。
それこそあんしんくんのデザインであったり、宇宙服なども含めて真面目と遊び心が融合したものになっているの」
キャラクターについて
そして本作最大の魅力は、このキャラクターなのではないでしょうか!
久々に愛せるキャラクターばかりの作品に出会った気分じゃな
カエル「登場人物の多くが子供だからこそ、色々な問題を抱えながらも複雑な性格をしていたりするんだけれど……それが少しづつ変わっていく様子などがとても良かったね。
最初は『このキャラクター、大丈夫かな?』と思ったりもするけれど、後半になるにつれてしっかりと応援したくなるというか!」
亀「実は今作というのはかなり洒落にならない大事故が発生しており、命の危機に何度も直面している。それでも観客が安心して観ていられるのは、キャラクターデザインも含めた魅力じゃろう。誰もパニックになったりせず、無茶な行動もしないため、あまりイライラとすること少なく、イライラしてもきちんと物語が進むにつれて、その行動も改められていくことで成長も描く。
例えば1話の当初で、それなりに大きな事件が発生するのじゃが、その時も美衣奈がコメディ的な役割を担ってくれるおかげで、ライトな見方ができる。
前編を見ている最中も安心しながら見ておったの」
それでいうと、今作の登矢、心葉あたりはもしかしたらとても高い人気になるんじゃなかな?
主人公とヒロインとしての魅力もきちんとあったの
カエル「厨二病で生意気だけれど、ある種の天才である登矢と、健気なヒロインであり透明感のある心葉の関係性ってとてもいいよね。久々にキュンキュンきちゃうようなものだった!
2人の間にある……多分兄妹関係に近いけれど、それとはちょっと違う、恋愛でも友情でもない信頼関係が感じられたね」
亀「他にも美衣奈はお茶目なヒロイン像として愛せるし、大洋は少しうざったく感じる部分もあるが絶対に必要な人物であることが示されている。またこれだけ宇宙や科学が進んでも占いなどのオカルト好きがいるというのも、人間の変わらない生活を描いており、好印象じゃな。
大人組もきちん活躍するし、登場人物が約10人ほどと限られており、しかもほぼ密室劇であるが、6話という中でもそれぞれの個性と魅力を発揮することのできた作品でもあるの」
以下ネタバレあり
作品考察
地球というゆりかご
では、ここからはネタバレありで語っていきます!
まずは、この有名な言葉を参照せねばならんな
地球は人類のゆりかごである。しかし人類はゆりかごにいつまでも留まっていないだろう
コンスタンチン・エドゥアルドヴィチ・ツィオルコフスキー
カエル「間違いなく今作はこの言葉を基に作られているよね。
”人類は外宇宙へと進出するべきなのか?”というテーマも含めて、考えられていて……」
亀「磯監督は下記のインタビューで『現代の子供は冒険よりも、安全だったら行ってみよう考えるのでは』というような趣旨のことを語っておる」
今の子供たちは宇宙を目指さない、という話だよね
カエル「宇宙開発って確かに昭和の頃は誰もが憧れる夢だったと思うんだよね。それこそアポロ計画とかあってさ、夢があった。だけれど、どんどんその夢も廃れていって……今ではアメリカや中国とかの大国の覇権争いの場になってしまった印象もあって。
そんな中で”宇宙を目指そう!”というのは……どうなんだろう、ロマンとしては弱いのかな」
亀「今の時代は宇宙飛行士がヒーローになる時代ではないからの。
それこそ、かつては毛利さんなどが子供たちのヒーローであった時代もあった。しかし、今は宇宙飛行士の名前すらも、子供たちはわからないのではないじゃろうか。そんな中で夢を見るとしたら……YouTuberなどの方が、より身近なのかもしれんの」
カエル「だけれど、本作はそのゆりかごから飛び出そう! という話でもあるんだよね。
これがとても気持ちよくて!」
亀「今作の最後の帰結というのは、なるほどなと感じられるものであったの。
宇宙で生まれた子供をテーマに、ゆりかごを飛び出すというのがどのような意味であるかをしっかり考えられたものであったようにも思う」
未来はいつも子供たちの手の中に
このメッセージ性もはっきりとしていて、とても良かったよね!
終わりゆく物語から、始まりの物語へ、じゃな
カエル「正直いえば、うちってあんまりガジェットとかメカ、SF的な設定に惹かれないたちで……アニメ表現とかは好きだけれど、どちらかといえば普遍性の物語に惹かれるタイプです。
それでいうと、今作のメッセージというのは、とてもわかりやすくて良かったよね!」
亀「かつてノストラダムスの大予言があったように、人類に関する大きな予言というものがあった。もちろんノストラダムスの大予言などは外れているのじゃが、当時はそれなりに信じている人もいたわけじゃな。
わしも1999年の7月に空を眺めながら『今日、世界が滅ぶのかの……』なんて思っておった。まあ、今の若い人には信じられないような馬鹿話じゃろうがの」
カエル「そんな時代もあったんだね。
それが神の代わりとなる超AIが出した結論ならば、信じる人はさらに増えそうかな……。
今でも一部では政治などをAIに任せた方がいいのでは? と言い出すような人もいるけれど、それもちょっとわかるような気もしていて……AIって壊れたりはするけれど、客観的な視点を与えてくれるしね」
亀「今作に関しては大人たちも手助けをしてくれるが、決定的な場面ではさまざまな事情により子供たちに手を出すことができないようになっておる。その辺りは都合がいいとも言えるが、同時に子供たちに選択肢を多く与えているわけじゃな。
だからこそ、ジュブナイル作品としてワクワクする。
色々な考えを与えられながらも、その中で未来を選んでいく登矢たちに……わしはかなり、感動したの。正直にいえば、5話の大きな成長で終わりでもいいのではないか? と思ったほどじゃな」
特にこのセリフは、大人にも刺さるね
人類のゆりかごとアニメのゆりかご
それで、気になったところはどこなの?
……宇宙ものアニメにおけるゆりかごって、なんじゃろうな
カエル「宇宙ものアニメのゆりかご?
金字塔という意味では……やっぱり『宇宙戦艦ヤマト』とか、あるいは『機動戦士ガンダム』なのかな?」
亀「これは少し細かいが、今作もガンダムオマージュを感じる描写が含まれておる。どうしても彗星が落下する、などの描写を見ると、アニメオタクであれば誰もが連想する『逆襲のシャア』などじゃな。
割と後半はそのあたりのインスピレーションを受けている部分もあるのじゃろうが……どうなのかの、今作は”ゆりかごを脱せよ”という作品になっておるが、そのアニメのゆりかご……つまり『ガンダムというゆりかごから脱する』ということはできたのかの?」
カエル「……まあ、彗星や隕石が落下するとかって最近だと『ドント・ルック・アップ』なんかもあったりするけれどね」
亀「そのあたりの評価に関しては視聴者各人に任せるとするが……わしは少し微妙な感もあったかの。
ただ、過去への敬意を持つのは悪いことではない。ゆりかごを脱せよ、というテーマを考えたときに、ガンダムというのはゆりかごではないのか? と、ふと頭をよぎってしまった疑問じゃな」
色々なテーマを混ぜすぎ?
あと、もう1つ気になるのがこの部分ということですが……
ちょっと色々なテーマを混ぜすぎたかの
カエル「壮大な人類の存亡の話と、個人の生死の話もあったりしたし……あるいは国連などの大きな組織の闇とAIとか、人類の革新、テロリズム、新たなる神の創造など色々なテーマが語られていたね」
亀「基本としては3話までが脱出劇であり、後半がもっと大きなものになっていく。
これは監督も先に引用した記事で語っておるが、30分の6本=3時間にまとめるために、様々な描写をカットしたと語っておる。
もちろん、まとめ上げるための苦肉の策であるのも重々承知であるが、少し色々と詰め込みすぎたような感もあるの。
テンポがはやい、あるいは物語が走っているということはないのじゃが、もう少しスッキリとしたものになるとよりわかりやすい物語になったと思うが……久々の監督作ということもあり、気合も入っていたのじゃろうな」
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