物語る亀

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物語愛好者の雑文

<普通>映画『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』ネタバレ感想&評価〜ゲーム原作の難しさについて〜

 

今回は『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』の感想記事になります!

 

今までの映画とは一新したバイオシリーズの始まりらしいね

Resident Evil : Welcome to Raccoon City: The Great Reboot (English Edition)

 

 

カエルくん(以下カエル)

「ポール・W・S・アンダーソンが製作したシリーズとは打って変わって、こちらはまた原作準拠のものとなります!」

 

「その意味では、この記事もそうだけれどゲームの1、2を知っていれば、ほぼネタバレなしってことになるのかねぇ。

 自分はホラーゲームも大の苦手だけれど、思い出すなぁ……あのバイオ2を当時プレイして、裏クレア編で署長がマンホールの中に吸い込まれていった、あの驚きを……あれで一気にホラーゲームがダメになったんだよね……」

 

カエル「はい、そんな思い出話はここまでとして、それでは、早速ですが記事のスタートです!」

 

 

 

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ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り パターン4 バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ 光沢プリント


www.youtube.com

 

 

 

 

感想

 

それでは、Twitterの短評からスタートです!

 

 

これこそが、みんなが想像する”バイオハザード”の映画版だったんじゃないかな

 

カエル「あんまり前作の映画に関しては詳しくないけれど、ちょっと観ただけでも『え? これがバイオハザード?』と思うような部分もあったもんね……映画オリジナル設定が強すぎる印象もあったりして。

 それに比べると今回は、完全にゲーム準拠の映画化となっていたのではないでしょうか

 

主「特にバイオ1、2のストーリーをうまくまとめていたという印象もある。

 流石に謎解き部分に関しては少なめだったけれど、あんな家屋や警察署があるわけないから、それはそれでいいでしょう。それでもビックリギミックなんかもあったりして、バイオらしさは出そうとしていたし。

 バイオハザードの魅力って多岐にわたるから難しいけれど、アクション、ホラーの面においてはかなり頑張っていたのではないだろうか。

 ただし、今作の欠点に関しては……これは作品そのものではなくて、もっと根本的な問題、つまりゲーム原作を映画化することの意味も含めて考えなければいけないことだから、そこに関しては後述しよう

 

 

変更された点について〜特にキャラクター〜

 

ただ、今作ってものすごく前評判が悪くて……Filmarksとかの映画レビューサイトだと3,0を切ることもあったんだよねぇ

 

そこまでいうほど悪い映画じゃないけれどね。普通のアクション・ホラー映画だと思うよ

 

カエル「特に批判意見が大きいのが、原作とキャラクターが変更されている点で……クリス・クレアの兄妹はいいとしても、ジル・バレンタインが黒人女性に、またレオン・S・ケネディがラテン系? のナヨナヨした……見た目的には金髪白人からちょっとオダギリジョーが入っていそうな男性に変更されています」

 

主「なんの知識も入れずに見に行ったからさ、ジルが登場した時びっくりしちゃった。

 あ、お前ジルなんだって。

 今回はジルが黒人で、レオンがキャラクターがナヨナヨした感じなんだなぁ……と、ちょっと驚いたよ

 

この辺りの変更は割と賛否……というか否定的意見が多いようで、特に近年日本だと、ポリコレ的変更を毛嫌いする層もいるし”原作通りに!何も変えるな!”って層もいるしね

 

ただ、これって自分でも同じような変更すると思うんだよなぁ

 

カエル「あれ、今回は変更に賛成なんだ」

 

主「もちろん、今のハリウッドの流れの”多様性のある社会”での黒人女性起用と、”ガールズエンパワー”という意味で力強い女性を描いたというのは、かなり大きいと思う。

 だけれどそれと同時に……これは90年代のゲームの1、2をベースにしているから仕方ないけれど、そのままゲーム通りに映像化すると、白人男性と白人女性ばかりになるんだよね。しかもクリスとクレアは兄妹だから、ある程度は……少なくとも人種くらいは近づけないといけない。

 そうなるとさ、単純にキャラクターが被るんだよ。

 しかも、今回敵役でウェスカーもいるし、ここもマッチョな白人男性でしょ?」

 

 

     ←左 ゲーム原作版  右 映画版→

  • クリス → マッチョな白人男性・マッチョな白人男性
  • クレア → 白人女性・白人女性
  • ジル → 白人女性・黒人女性
  • レオン → 白人男性・ラテン系?ナヨナヨ系男性
  • ウェスカー → マッチョな白人男性・マッチョな白人男性

 

アニメにおけるキャラクターデザインと同じで、同じ髪型のキャラクターはなるべく減らしたりする、みたいなことかぁ

 

主「そうそう。

 シルエットで差別化するのがいいキャラクターデザインで、パッと見ただけで”こいつは〇〇だ!”といえたら、それでいいんだよ。

 しかも今回は主人公格が5人……クリス、ジル、クレア、レオン、ウェスカーでしょ。ただでさえ多いから、レオンをああいうような性格変更しないと、他の男性キャラクターとの差別化ができないって。ゲームならプレイアブルキャラクターだから、印象に残りやすいけれどさ。

 アイアンズ署長は太っちょでシルエットでわかるし、シェリーは子供だからいいけれど、ウイリィアム・バーキン博士もハゲたおじさんにした。この方が映画としてわかりやすいんだよ。

 だから『ジルとレオンを改変しやがって!』というのはわかるけれど、それをそのままやると、もっと映画としてややこしくて、わからなくなる。

 しかも今回は”日本人でも誰でも知っている役者が総出演!”ってわけじゃないんだからさ。その意味では……低予算とまでは言わないまでも、決して大予算じゃないんだから、このような改変は必須だったんじゃないかな」

 

 

 

 

役者の演技・アクションについて

 

ちなみに、役者の演技に関しては?

 

基本的には良かったんじゃないの

 

主「あんまり海外の役者で演技の上手い下手は言わないけれど……文化圏が違うから細かい違和感が目につきづらいというのもあるけれど、基本は良かったと思う。アクションもしっかりと見せていたし。

 光が明滅するアクションはちょっと難儀だったけれど、それでも迫力は出ていたし、ゾンビの恐ろしさというのも発揮されていた。

 ホラーとして、アクションとしても優とまでは言わないけれど、可ではあると思う。

 決してボロクソに言われるレベルではない

 

カエル「じゃあ、やっぱりそんなに悪い映画じゃないんだ」

 

主「だから、頭空っぽにして観るためだけのエンタメ映画ですよ。

 それ以上のものを求めてもいけないし、バイオハザードを監督やメインスタッフが好きなのは伝わってくる。作家性なんて皆無に近いけれど、バイオハザードを2022年に実写映画化するのであればという条件の話だけならね。

 その結果の合格点。

 これで文句が出るのは、やっぱりこれから語ることが影響していると思うね。

 あとは……文句があるのは、エイダ役の女優は下手だなぁ……とおもってしまったことくらいかな。それ以外は、特に文句なし」

 

 

 

 

作品考察〜なぜバイオハザードは映像化失敗するのか?〜

 

名作・傑作が生まれにくいジャンル

 

では、ここからは”なぜバイオハザードは映像化を失敗するのか?”ということについて考えていきましょう!

 

まあ、先に語ったように必ずしも失敗していないんだけれどね……もっと根本的に問題がある

 

カエル「まずさ、前提条件として……日本だと漫画原作実写映画が叩かれがちだけれど、実は隠れたもっとマズイのがゲーム原作実写映画なんじゃないかな。

 ゲーム原作の実写映画で、名作・傑作と名高い作品って……どうだろう、皆無に等しいんじゃないかな?

 

主「『名探偵ピカチュウ』とか、あるいは昨年公開された台湾の『返校 言葉が消えた日』などがあるにはあるけれど、傑作とまでは言わないしなぁ。

 それこそダメな例は……『アサシングリード』とか、自分は実は嫌いじゃないけれど『ストリートファイター』とかが思い浮かぶ。かなり映像化が難しいジャンルなんだよ」

 

それで、その意味では特にうちが注目しているのが『アンチャーテッド』です

 

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極端なことを言えばアンチャーテッドの成功か否かで、今後のゲーム原作映画の流れが決まるかもしれない

 

カエル「そこまでいうの!?」

 

主「そこまでいうよ。

 今作の『バイオハザード』『アンチャーテッド』はハリウッドも、それなりの力を入れてきている。それが残念だった場合、もうゲーム原作には手を出さない方がいいかもしれないね

 

進化しすぎたゲーム、取り残された映画

 

なんでそんなにゲーム原作の映画って成功しづらいの?

 

単純に、ゲームが圧倒的に進化して映画よりも優れたメディアになってしまったからだよ

 

カエル「え、何、その映画ファンが怒りそうな意見」

 

主「だってそうじゃない?

 嘘だと思うなら『アンチャーテッド』とかのノーティドックのゲームとかさ、あるいは国内なら『龍が如く』でもいいから、そういうゲームやればいいじゃん。それこそバイオでもいいし。

 特にノーティドックのゲームなんて映画的演出を取り入れまくって、めちゃくちゃ楽しくて激しい作品になっている。

 しかもそれをプレイできるんだからさ、そりゃ勝てっこないよ

 

カエル「え、でも昔のゲーム原作映画だって、失敗ばかりじゃない?」

 

主「昔は逆なんだよ。

 ゲームがシンプルすぎたから映画で再現が難しかった。『ストリートファイター』なんてただの格闘ゲームでストーリーは皆無に等しいから、あるのはキャラクターとキャラクターが戦うというコンセプトだけ。あとは……音楽もあるけれど、映画には使いにくいものだから、かなり肉付けする必要があった。

 今はその逆で、ゲームが複雑になりすぎている。

 だから2時間くらいの映画にまとめるのが難しいし、しかもゲーム内で映画的な面白さを追求しているから、それを映画が再び映像化するのが難しくなっている。

 今から予想で話すけれど、多分『アンチャーテッド』も映画を見るけれど、感想は”ゲームをやった方がいいね”になるんじゃないかってね。

 だってゲームの方が遥かに重厚な世界観を表現しちゃっているからさ

 

単純に考えて、映画(物語)の世界の主人公になって、それをプレイできる快感に勝てるわけないじゃない

 

主「ゲームって昔の……ファミコンとかスーファミの時代とはまるで異なる。

 そりゃ、それこそバイオ1が発売されたあのポリゴンだったら、映画の方が映像面・物語面で上だったかもしれない。

 それでもあの当時は……この映画でも忠実に再現されたけれどゾンビが振り返るシーンは、伝説になるくらい怖かった。そういう時代だった。

 今はゲームが進化して、もはや現実と区別がつかないほどグラフィックが進化しているし、容量も多くて物語もハードで重厚、しかも長時間遊べる。

 多分、映画ファンの人口よりもゲームファンの人口の方が多いんじゃないかなぁ」

 

BIOHAZARD RE:3

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今作の最大の失敗は忠実に再現したこと!?

 

まあ、確かにこの映画を見るならば最近発売した、リメイク版のバイオ1、2をプレイした方がいいよねって人は相当数いるかもね……

 

それこそ実況動画でもいいから、観れば面白さが一目瞭然だから

 

カエル「じゃあ、今作の失敗要因って、結局はバイオを映画化しようと思ったことなの?」

 

主「というか、忠実に再現しようとしすぎたことだよね。

 ジルの人種変更とかは枝葉末節に過ぎない、本質的な改変じゃない。基本的にはバイオシリーズというものに対して真っ向から向き合っているし、そのゲームの再現をしようと頑張っている。

 その意気は買うし、評価したい。

 キャラクター性が薄い!なんて批判もあるけれど、そりゃそうだ。だってバイオ1、2の時点でジルとかレオンのキャラクター性ってそんなに濃かったか? って。基本はアクション作品だから、そこを忠実に再現したら……まあ、1,2を合わせているから薄味になったというのもあるけれど、シリーズを通していくうちにキャラクター性は厚くなっていくものなんだよ。

 その意味では、ゲームそのまんまを再現した。

 だけれど、そのまま忠実に再現することは、実は映画的な成功にはなり得ない。

 なぜならば……バイオ1、2というゲーム作品は”映画的な面白さ”なんて追求していないから

 

カエル「そりゃ、ゲームだからゲームとして面白くしようって考えで作るよね……」

 

主「その通り。

 結局、バイオシリーズの面白さって以下の3点に集約される」

 

  • ゾンビが襲ってくる→ホラー的な恐ろしさ
  • ゾンビを撃ち抜く→アクション的な面白さ
  • 館の謎や事件の謎を追う→ミステリー・謎解き的な面白さ

 

この面白さを個人が能動的に探求して追求していく、というのがゲーム的に面白いんだよ

 

主「じゃあ、それをそのまま映画化したらどうですか? というお話でさ。

 実況動画のようなプレイヤーの腕というイレギュラー要素もなく、ただただそのゲーム的な面白さを2時間近く観ているだけになっちゃう。実況動画っていうのは、あくまでもライブ感が大事なものであって、どれだけドラマを生み出せるかは生主の技量による。

 でも、映画はその技量も何もなく……言うなれば公式のトレーラーを2時間観ているのと同じなんだよね。

 だから結論で端的にいうと、こういうことになるわけ」

 

◆結論◆
映画はゲームの面白さを再現することはできない!
 

 

映画だからこそできることとは?

 

じゃあさ、ゲーム原作を前にした場合、映画ってどうにもできないの?

 

基本的にはできることは限られちゃうね

 

主「単純にさ、グラフィックを良くしようとしても、ゲームの方がCG技術で何でも表現できちゃうしね。

 実写化でリアルな人間が演じることによってでしか生まれるない面白さってものは、自分はまだわからないし。

 それでいうと、映画とゲームを比べた時の特徴って

 

  • ゲームに比べて楽しむ時間が短くて済む

 

 これくらいしかないのかも。ゲームだと20時間でまだまだ序盤ってこともありうるけれど、映画は基本的に2時間ちょっとで終わる。しかもただ観ているだけだから、体力も消費しないしね」

 

ゲームの進化に映画が追いつけてないのかぁ

 

少なくとも、グラフィックやCGで迫力を出す! という路線は、すでにゲームに勝てないよねって話

 

主「そうなると……話は単純でさ。

 ”ゲームにできないことを、映像化する”ってことしかないんだよ」

 

カエル「……ゲームにできないことって?」

 

主「やらないことっていうかな。

 例えば……それこそゾンビものの元祖であるジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』にならって、ゾンビを貧困層の象徴にする社会批評性を入れるとかさ。それこそモンスター映画に社会性と文芸性を入れた『シェイプ・オブ・ウォーター』みたいな。

 実はホラー映画って社会批評性が抜群なんだよ。

 自分はホラーが苦手であんまり観ないけれど、評論するには最高の題材。多分、その意味では自分と相性がいい。その意味では、今作は社会批評性がほとんど語るほどのものがなかったのが残念といえば残念だね。

 あとは徹底的に原作ゲームから離れて、ひたすら一般人がゾンビに震えて逃げるだけの話とか?」

 

カエル「いやいや、多くの観客はゾンビものではなくて『バイオハザード』ってコンテンツを見に来ているわけだから、それを壊しちゃダメなんじゃないの?_

 

主「だから、その意味では詰んでいるともいるんだよね……いっそ批評性は無視して興行だけ売れればいい! と割り切るか。

 とにかく、ゲームとは違う方向で攻める方が良いと思う。

 ゲームと同じことをしても、多分もうゲームには勝てないから。

 今後のゲーム原作映画は、それを模索していくことになるんじゃないかなぁ」

 

 

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