今回はテレビアニメ『明日ちゃんのセーラー服』の感想記事になります!
こちらも2022年の冬アニメでは、かなり話題になっている作品の1つじゃな
カエルくん(以下カエル)
「2022年の冬アニメは鬼滅、王様ランキング、進撃の巨人などの継続ものやシリーズ作品が強い印象かな。
その中でも2022年の冬に始まった作品では、今作も最も人気の作品の一角を担うという印象だね」
亀爺(以下亀)
「あとは、すごく語りやすい&語りたいことが多い作品でもあるの。
今回は1話を中心に、語っていくとするかの」
カエル「それでは、感想記事のスタートです!」
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感想
それでは、Twitterの短評からいってみましょう
#明日ちゃんのセーラー服 観ました
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年1月14日
中学生に上がり憧れのセーラー服を仕立ててもらい袖を通して登校する。言葉にすればたったそれだけの出来事を100倍美しくするCloverWorks流の日常芝居の連続に思わず「上手い!」と叫び出しそうでした pic.twitter.com/5f85jF2NtZ
キャラクターデザイン、総作監の河野恵美は絵の審美眼オンチの自分が見分けがつく数少ないアニメーターなのですが今回も魅力全開でした
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2022年1月14日
特に初登校のハツラツとした仕草や髪を結う仕草はアニマスなどで観た河野節全開に感じられ目が大変喜んだ pic.twitter.com/kjE2hhiTx7
日常表現の数々に痺れるの
カエル「なんといっても、日常表現の見事さだよね!
とても細かいところにも気を配っていて、実写の場合『演技』というと役者さんの芝居を示すけれど、アニメの場合は布とか背景とか、そういったものも『演技』をするんだよね。今作はその魅力がとても発揮されていて!」
亀「物語自体はなんてことはない。
むしろ、物語という確固たる流れがあるのか? と疑問に思うほどの、不思議になるくらいの日常のなんてことのないことを描いている。
- 1話→セーラー服を作ってもらい学校へ行く
- 2話→学校へ行っていろいろな生徒と交流を深める
- 3話→部活動を選ぶ
ただそれだけの、普通のなんてことのない生活を描いているわけじゃからの。ある意味では日常系の物語であり……いや、日常系と言われる作品でもコメディタッチのギャグ描写がある作品も多いから、今作はさらにストロングスタイルと言えるかもしれん。
それを魅力的にしているのが映像面、特にキャラクターの描き方じゃな」
今作のある種危険な映像表現
今作ってどんな映像表現をしているの?
……これは危ういところもあると思うが、簡単に言えば『スクールガール・コンプレックス』みたいなものではないかの
カエル「『スクールガール・コンプレックス』って何?」
亀「一部で流行った写真集なのじゃが、写真家の青山裕企が企画した女子高生の日常的描写を集めたものじゃな。
例えば背伸びをしている際の脚を撮ったり、なんてことない日常のワンシーンを切り取るもので、顔を写さずに体のパーツを撮る写真集のことじゃ。時には際どい写真もあるのじゃが、パンチラなどの直接的な下着を覗くような表現はないために、R15くらいで販売されていた印象がある書籍じゃな」
それって、普通の写真集とは何が違うの?
普通はそのタレントの顔などに注目するが、今作の場合は”女子高生という記号のフェチズム”に注目しているわけじゃな
亀「青山裕企は一般人の日常的な描写を数多く撮影しているのじゃが、その所作やある種のフェチを強調するようなものを写真に収めている。つまり、〇〇というタレント、特定の個人ではなくて、女子高生というどこにでもいる存在の、どこにでもある風景に着目している。
それは今作にも繋がっており……アニメで女子高生、今作の場合は女子中学生ではあるが、その未成熟なフェチズムを感じさせる部分を強調しているわけじゃな。これにはとても難しいアニメにおける映像表現技術が必要とされるが、それをクリアしているとも言える。
だからこそ、『明日ちゃんのセーラー服』も、健全ながらもどこか不健全で、なかなかに際どいところもあるフェチズムを集めた作品となっておる」
カエル「あんまり女性とかにはオススメしづらいかもね。
あとは……気持ち悪いという意見も、ちょっとわかる気がするかなぁ」
亀「わしは気持ち悪さも時折感じつつ、しかしフェチズムの快感性の方が優ってしまうというような状況かの。
だからこそ、万人に勧められるものではないと感じておるが、この快感がたまらない層もまた多いのではないじゃろうか」
作品考察
CloverWorksについて
今作はアニメ制作会社CloverWorksが制作を担当しています!
その技術力の高さが遺憾なく発揮されている印象じゃな
カエル「この2022年冬アニメって、CloverWorksが中心みたいなところがあるよね。
今作もそうだし、他にも『その着せ替え人形は恋をする』や『東京24区』も注目度が高く、多くのアニメファンから絶賛の声が寄せられています!」
亀「CloverWorksは設立したのは2018年と比較的歴史が浅いが、A-1 Picturesから分かれる形で生まれたスタジオじゃな。作品を見ていくと……そうじゃな、うちとしては大絶賛したのは映画版の『冴えない彼女の育てかた Fine』などがあるの」
特にここ最近では『ワンダーエッグ・プライオリティ』などが顕著だけれど、より日常的なアニメ制作を目指している感もあるよね
ある種の京アニ的な部分を感じるの
カエル「それでいうと『ワンダエッグ・プライオリティ』は野島伸司を脚本に迎えたように、実写ドラマのような部分も持ち合わせるアニメを目指した感もあるよね。
今作も女性が中心となって制作されているということだけれど、女性が中心となっての女の子の日常を描くという意味では、どこか『けいおん!』的な部分も感じたり」
亀「わしがCloverWorksの作品を見ていてなんとなく感じるのは、京アニへの意識かの。
卓越した日常表現で飛び抜けた存在になった京アニじゃが、CloverWorksの作品にも”リアリズムへの指向性”という意味で似たようなものを感じる。それは作風のみならず、演出などからもなんとなく感じられるものじゃな。わしは京アニが好きだから歓迎したいものであるがの。
一方では……京アニとCloverWorksではそのリアリズムの方向性が若干異なるようにも感じられる。
この辺りは言葉にしづらいの。
そして『明日ちゃんのセーラー服』に話を戻すが、今作の挑戦は、ある意味においては『リズと青い鳥』的なものにつながるのではないかの」
ある種の日常描写のリアリズムの極地とも言える『リズと青い鳥』と並べて語りたくなるわけだね
もちろん、映画とテレビアニメの違いもあるがの
亀「向いている方向性が若干異なるが”女の子の肉体表現を徹底的に描き出す”という意味では、どちらも似たようなものがあるのではないか。まあ『明日ちゃんのセーラー服』の方がフェチズム全開という意味で、おじさん的な部分は強いかもしれんが……それは原作もあるのでなんと言えんがの。
これはアニメ的にはとても重要であり、レベルの高い挑戦とも言えるじゃろう。その意味でもしっかりと注目していきたい作品じゃな」
キャラクターデザイン、総作画監督の河野恵美の魅力
今作のスタッフ面でより強調したいのがキャラクターデザイン、総作画監督を務める河野恵美です
彼女の作品の色が最も濃いと言ってもいいのではないじゃろうか
カエル「うちは作画オタクではないので、正直アニメーターさんの個性というのはそこまでわかる方ではないのですが……その中でも河野恵美はその魅力や個性がなんとなく感じられる方の1人です。
アニメ版の『THE IDOLM@STER』のキャラクターダンスシーンなどを担当されることも多く、アイマスファンだから何度も繰り返してみているうちに『ここも河野恵美だったのか!』という形で見分けられるようになったというか……」
亀「ダンスシーンやアクションシーンも特徴的ながらも、髪の流れ方、描き方が独特で印象に残りやすいアニメーターの一人じゃな。
今作でも1話の髪を結うところなどでは、彼女のこだわりを強く感じるものとなっておった。もちろん、描いた人は別人かもしれんので確かなことは言えんが……総作画監督であるし、あのシーンはイズムを感じた、くらいにとどめておくとするかの」
1話より こだわりを感じるシーンの1つ
キャラクターの演技の素晴らしさ
今回はさらに、原作からアニメ版の映像面の昇華具合も素晴らしいという話もしておきたいです!
特にキャラクター、あるいはさまざまなものの演技が素晴らしいの
カエル「今作の原作もチラリと読みましたが、これがまたなかなか独特な作品で……」
亀「わしが『スクールガール・コンプレックス』だといったのは、原作からして、どちらかといえば漫画というよりもイラスト集に近いものを感じたからじゃな。漫画を通して何かを伝えたい、社会などの物語を伝えるというよりも、むしろキャラクターを表現したい、自分のフェチを表現したいという気持ちに溢れておったように感じられた。
そういう意味では漫画としては……かなり独特というか、はっきり言えば狭義的には成立していないという人いるかもしれんの」
カエル「でもさ、その原作があって、この映像化につながったのか! という意味では、確かに納得するものが多かったんだよね」
亀「では、こちらの比較画像を見てほしい」
こちらは上記の髪を結うシーンであるが、いわゆる漫画的な描写とは少し異なる描き方をしておる
カエル「ここまで一連の動きを何コマ……この場合はコマ割りはしていないから何コマというのも微妙だけれど、何回も細かくかき分けていることにこだわりを強く感じるよね」
亀「こういった描写がある作品であり、やはり1つ1つの仕草などにより注目してほしいという意志をなんとなく感じるの。
アニメ版がさらにうまいのは、ここに対してこのような一連の演技を入れてきたことじゃな」
ここで髪を咥える演技を入れるのが、また1つのツボなんだね
カエル「確かに、あれだけはしゃぎ回るところで明日ちゃんの喜びを表現すると共に、髪を咥えることで髪を結うところにつながるというのは、とてもいい演技だね。しかもここは一連の動きもまた細かいし!」
亀「他にも、1話ではここも話題となっておったの」
ただ女の子が靴下を履くというだけでも、ここまでフェチズムを情感たっぷりに描けるのかと驚愕したの
亀「ここは真ん中に明日ちゃんの脚を置くことで、そこに美しさ、艶かしさに注目してほしいという意図を強く感じる。体のパーツでは背中と顔の一部にしか光が当たっておらんのに、足が強く光を反射していることからも、これは感じられるじゃろう。
さらに靴下を履くという演技もあるが、同時にその履かれる布、靴下もまた重要な演技と言えるじゃろう。そこを光を多く描くことによって、少女の成長と新しい日々を柔らかく印象的に映し出している。
こういった原作にあるちょっとした仕草なども、アニメ化に際してさらに強く昇華されている。その結果、なんて事のない描写が大きな快楽性を生むことになる。
これほどストロングポイントがはっきりしている作品も、なかなかないじゃろうな。アニメは全てが計算されて作られているものなので、こういった描写も誰かの意図のもとに作られているものじゃから、より強く視聴者の心を掴むのかもしれん」
カエル「ふむふむ……」
亀「一方で本作の弱点もまた、この圧倒的なフェチ描写じゃろう。
フェチというのは、一種の生理的な嫌悪感を生む可能性がある。ある種の気持ち悪さと隣り合わせの表現であるし、もしかしたら不気味の谷に一歩踏み込みかけているのかもしれん。それこそ、おじさんくさい気持ち悪さも感じるかもしれんの。
その意味ではとても……色々な意味で危険な作品でもある。
しかしわしはこういった表現は褒めたいし、とても注目したい作品の1つじゃな」
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