物語る亀

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物語愛好者の雑文

<辛口>『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』ネタバレ感想&評価! このレベルでは満足できない‼️

 

今回は『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』の感想記事になります!

 

久々の更新となり、申し訳ありません

 

カエルくん(以下カエル)

 

約3ヶ月ぶりの更新となります

 

この間もいいアニメ映画もたくさんあったけれど、記事が書けなくて申し訳ありません

 

カエル「とりあえず気を取り直して、頑張っていきましょう!

 まずは2023年最後の大注目作品、スパイファミリーの新作映画を語りましょう!」

 

主「それでは、記事のスタートです!」

 

 

(C)2023「劇場版 SPY×FAMILY」製作委員会 (C)遠藤達哉/集英社




www.youtube.com

 

 

 

 

 

感想

 

それでは、Xのポストからスタートです!

 

 

 

これもたまに語るけれど”商品””作品”の違いということになるのだろうな

 

カエル「まずは作品として、この映画に感じたことをざっくばらんに語っていきましょうか」

 

主「正直、1つのアニメ映画作品としてはかなり物足りない印象だった。

 スパイファミリーというコンテンツそのものは好きだし、TVアニメも1期は全て観て、2期は止まっているけれど嫌いとかではなく、年末年始でまとめて観ようかなぁ、という程度には好きなんだけれど……

 だけれど、とても物足りない。

 正直、これではコンテンツそのものがレベルが低いシリーズと誤解される可能性すらあるのでは? と感じたほどだ

 

……かなり辛口の意見なんだね

 

それは、TVシリーズとかのレベルの高さを知っているからなんだよね

 

カエル「元々TVシリーズが大ヒットして、それでアーニャ人気なども爆発した印象だもんね。それこそ2020年代を代表する漫画・アニメシリーズの1つになっているし、今後さらに成長する可能性すらも感じる作品だよね」

 

主「これならば、TVシリーズの1エピソードの方がとてもレベルが高いと感じた。

 比較するのもおこがましいくらい、物語表現、映像、音楽……多くの分野においてTVシリーズよりもクオリティが低い。

 もしも、これが一般的なTVシリーズのクオリティであれば……こんなことは言わないかもしれない。普通に楽しめる、いい作品だね、で終わっていたかもしれない。

 でも、スパイファミリーはダメ。

 少なくともTVシリーズと同等のものは出さないと、劇場版の意味がないと思うんだよね。

 ハードルが高いと言われるかもしれないけれど、それを達成できる作品だからこそ……今回の映画には、作品としてはかなりガッカリした

 

 

 

 

”商品”と”作品”の違い

 

これもたびたび言及していますが、今作は作品としてはイマイチでも、商品として見たら悪くない、という理由について語っていきましょう

 

スパイファミリーというコンテンツの力を、さらに伸ばす時期なのはわかるんだよね

 

カエル「うちの独自定義かもしれませんが、ここでいう”商品”とは、売上などを伸ばすためのコンテンツ。

 一方で”作品”というのは映像などで作者や表現者が思いを表現するためのコンテンツという意味に近いのかな?」

 

商品と作品の違い◆ 商品  コンテンツの収益を高めるための試みや物品
作品  作り手の思いなどを表明するなどのコンテンツ

 

もちろん、この両者は密接にくっついているので、分けて考えること自体がノットエレガントという意見もあるでしょうが……

 

主「ここ最近、つくづく思うのはエンタメにおいて質を上げることと、商品として価値を上げることは相反関係にある、ということでさ。

 確かに一般的にはお金をかけて、時間をかけて、クリエイターに金と時間の余裕を与える方が良い作品は生まれる。

 だけれど、良い作品が稼げるというわけではない。

 映画も同じで、コストは少ない方が商業的な成功のハードルは下がって、成功する確率は上がる。

 優れた作品≠優れた商品だし、劣った商品≠劣った作品、ではないということだ

 

わかりやすい? 例としては世界で1番売れたカップヌードルは商品として優れているけれど、味などに関して世界一のラーメンではない、ということなんですかね

 

それこそ、映画ファンほど興行収入ランキングに懐疑的な視点を向けているだろう

 

カエル「つまり、スパイファミリーの映画は優れた商品にするために、作品としてはかなり我慢したのではないか? ということなんだね」

 

主「もちろん、上記の推測は自分の妄想だけれどさ。

 でも、客観的に観てスパイファミリーというコンテンツは、さらに1つ上の段階に上がらなければいけないのは間違いない。

 例えば近年では『鬼滅の刃』が映画の『無限列車編』で国民的作品に定着したように、さらに『呪術廻戦』『劇場版 呪術廻戦0』でそのコンテンツ価値を1つ高めたように、スパイファミリーもコンテンツの、IPの力をさらに高める必要があるんだ。

 その段階として、劇場版を早い段階で公開するというのは、至極当然の経営的判断だろう

 

 

↓ レビュー記事はこちら ↓

blog.monogatarukame.net

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コンテンツを成長させるために

 

……もしかしたら、この試みによっては、スパイファミリーが国民的アニメになる可能性があるということだね

 

しかも、相当上手くいけば20年、30年続くコンテンツになるかもしれない

 

カエル「それこそ『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』みたいなものだね」

 

主「近年……どうだろうな、多分『プリキュア』以降毎年公開されるようなファミリー向け映画コンテンツというのは、増えていないのではないだろうか。もちろん『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』など、そのほかのファミリー向けアニメ映画が根強い日本では新しい競合コンテンツが育ちにくいのもあるけれど。

 そしてスパイファミリーは、新しいファミリー向け映画となる可能性、ポテンシャルは秘めているのではないだろうか」

 

そこまでを狙わないとしても、量産することが大事という考え方はあるのかな

 

やはりコンテンツとして定着するためには量産することが必須だからね

 

主「それこそ『ゴジラ』でもなんでも良いけれど、やっぱり作り続けないと1作のインパクトがどれほど素晴らしくても、そこで終わってしまうコンテンツもたくさんあるんだよね。

 コンテンツを、IPを活かす、成長させるためには、作り続けなくてはいけない。

 そのために突貫工事で作ったような作品に見えたし、だからこそクオリティは一段落ちると言わざるを得ない。

 だけれど、これがヒットしたらコンテンツとしては間違いなくステージが上がる……

 その意味では『劇場版 呪術廻戦0』と全く同じ評価になるかな」

 

以下ネタバレあり

 

 

辛口評価の理由

 

辛口の理由① WITとCloverWorks

 

なんでそこまで辛口なのか、という説明をしていきましょう

 

そもそも、WIT studioとClover Worksが合同で制作している割には、レベルが低いなぁ…と感じてしまったんだよね

 

カエル「……レベルが低いというほどの作品なの?」

 

主「これが他のスタジオだったら、まあまあかなって思う。

 けれど、この2社は今の日本アニメ界において、中心にいるアニメ制作スタジオといっても過言ではない。

 もちろん人気としては京アニとか、ユーフォーテーブルとかもあるけれど、これらのスタジオは大型IPを抱えていて年間を通してみると寡作な印象がある。

 その中でこの2社は量産力、映像表現能力のどちらも優れており、間違いなく良作以上の作品を生み出せる能力を持った会社だ

 

近年話題になった作品でも、この2社の作品がとても多いものね

 

 

その劇場版作品が、この程度のクオリティ? というのは、かなり思うわけだよね

 

カエル「元々、期待するものが高いスタジオだからねぇ。

 それこそ大谷翔平が5勝15本塁打を打って、確かに凄いけれどそれで満足できるのか、みたいな話なのかなぁ」

 

主「全体的に映像表現が緩いし、特に前半はゆるゆるすぎてホントにこの2社の作品か? と疑問に思ったほど。

 ホテルの窓から外を眺めるアーニャの、中盤以降の物語が動くところからは映像表現が格段に上がって、そこで溜飲が下がった部分はあったけれど……

 確かにうんこの神や、ヨルさんの戦闘シーンは良かったけれど、全体を見たらかなりバランスが悪い。

 しかも、ヨルさんの戦闘シーンも十分かもしれないけれど、WITならもっと凄いことができるし、やっているのを知っているから、この映像では満足できないんだよね」

 

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 

辛口の理由② TVシリーズのレベルの高さ

 

それこそ、TVシリーズのレベルが高いから、余計に満足できないと

 

1つの物語としても30分弱のTVシリーズの方が、遙に上だろう

 

カエル「例えば、具体的に何話とか言えるの?」

 

主「2期でいえばCloverWorks回ではEP27は、特に好きかな。

 WIT回だって、1期では19話の『母、風になる』はWITらしいパルクールアクションだったし、地下テニスでは話題になったド派手なアクションを決めてくれた。

 スパイファミリーは明確に制作を担当したスタジオの個性が発揮されて、その違いがはっきりと出てくる作品だけに、その点でも注目していたからとても面白かったことを記憶している

 

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

 

それだけレベルが高いからこそ、劇場版ではさらに上を目指すだろうと思っていたのね

 

物語構成も含めて、TVシリーズと同等ならともかく、劣化してはダメだろう

 

カエル「ファンはキャラクターを見に行っていて、アーニャやロイド、ヨルさんの魅力が発揮されているのを楽しみにしていくから、それで満足なんじゃないの?」

 

主「それでいうと、制作会社の個性を楽しみに行った自分みたいのはレアケースなのかもね。

 それはそれで良いし、だからこそ商品としては核を外さない……キャラクターの魅力をはっきり出しつつ、本筋の物語は一切動かさないなどの工夫を凝らしていたのは褒めるべきかもしれない。

 だけれど、自分としてはやはり1本の劇場作品としては、褒めるべきポイントがかなり少なかったという点はどうしても強調したいかな

 

 

 

 

辛口の理由③ 物語について

 

やはり、物語についても触れておきましょうか

 

全く、意味がないゆるい物語に見えてしまったかなぁ

 

カエル「今作でメッセージ性などを強く押し出すのも、それほそれで違うという意見もあるだろうけれど、そういう意味だけではないんだ?」

 

主「そうねぇ。

 メッセージ性がないっていうのはあるけれど、もちろんスパイファミリーにそこを望まないって声もあるだろうし、全部の作品がメッセージ性を持つ必要はないよ。でも、メッセージ性を持った作品の方が名作と呼ばれる傾向はあるけれど。

 ただ今作の場合は……彼らの擬似家族が崩壊するかもしれない、という話なのに、そこすらも全く上手くいっていない。

 茶番で始まり、茶番で終わる、まさに茶番劇を見せられているわけだ

 

この作品で擬似家族解体ってことはない、というのはわかりきっているけれどね

 

だとしても、話運びもあまりにも下手だし、本当にキャラクターを見せるためだけの作品になっているよね

 

主「お話が動き始めるのも中盤以降で、前半は……まあ、動いてはいるけれど、全く有機的ではないというか……感情や物語が流れないような作りになっていて、ホントに見ていて退屈だった。

 スタートの説明描写も必要とは思うけれど、でも全く面白くなかったし……コナンシリーズでも毎年恒例の流れではあるけれど、近年のコナンはスタートの説明描写がとても凝っていて、そこが1番面白かった、なんて作品もあるわけじゃない?

 その意味ではこのスタートも説明するだけで面白くないし……全体的に満足感がない作品だったなぁ

 

 

 

 

最後に

 

結構、辛口になったけれど……何でここまで辛口を言うの? という声もありそうなので、その理由を説明して終わりにしようか

 

スパイファミリーという作品や、制作スタジオにとても期待しているからだよ

 

カエル「あくまでも期待しているからの、強い辛口意見だということは強調しておきたいのね」

 

主「先にも語った通り、2つの制作スタジオは大手から分家する形で結成して約10年だけれど、まさに今もっとも脂が乗っているし、今後10年のアニメ業界の流れを決めるかもしれないほど、注目のスタジオだ。

 その2スタジオが合同で作るコンテンツとしてスタートして、ここまで順調に……順調すぎるくらいに、とても成長している。

 そして1つのスタジオであったら……例えばボンズがうちも大好きだけれど『僕のヒーローアカデミア』にかかりっきりになっているように、長期の人気シリーズを手がけるのは、とても大変なことだ。

 今作は制作コストを半減することで、他の作品にも手を出せるし、さらに作品の質を上げることもできる試みかもしれない、と期待している」

 

新しいアニメ作りの流れにもなるかもしれない、ということだね

 

だからこそ、この程度であってほしくはないかな

 

主「もちろん、先に語ったように”商品”としてはとても良いです。

 興行収入50億円は突破するだろうし、100億円は……まあ、今作は難しいかもしれないけれど、でもチャレンジはできるコンテンツであることは証明するだろう。

 その中でコンテンツの力をさらに高めるためにも……もっとレベルの高い表現を見てみたい。

 そして、それができるスタジオであり、コンテンツであり、スタッフ陣だと信じているゆえの辛口です

 

カエル「まだ決まっているのかは知らないけれど、次回作もあるのは、ほぼ間違いないのではないでしょうか?

 その作品がさらに良い作品になって欲しいですね!」