物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『劇場版 呪術廻戦 0』ネタバレ感想&評価!

 

今回は『劇場版 呪術廻戦 0』の感想レビュー記事となります!

 

注目度がめちゃくちゃ高い作品だからな

 

 

 

カエルくん(以下カエル)

「最近のジャンプアニメの勢い凄いよね!

 『鬼滅の刃』に続いて、今作も100億越えは確実、これに色々な作品があるんだもんね」

 

「年末に現れた、実質2021年最も売れた映画になることは、ほぼ間違いないからな。

 劇場化が発表されたときは100億もありうるレベルかな、と思っていたら、それが通過点になるんだから、わからんものだわ」

 

 

カエル「一応うちは原作も全話(ジャンプ本誌含む)追っていて、さらにアニメ版も全話視聴ということで、そこそこな呪術ファンではあると思います。

 だからこそ評価が甘くなるのか、それとも逆に愛ゆえに辛口になるのか?

 そこも楽しみにしてください。

 では、レビュー記事のスタートです!」

 

 

 

 

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感想

 

それでは、Twitterの短評からスタートです!

 

 

意外とこんなもんかぁ……って感じかなぁ

 

 

カエル「えー、初日だけで100万人動員もありうる数字と言われており、すでに天下のTOHOが100億円突破も確実、最終興行収入はわからないと発表するなど、シンエヴァを超えて2021年1番の興行収入映画になることは間違いない情勢です。

 その状況は特に考慮せずに、映画の評価としてなんだけれど……なんか、すごい微妙そうだね」

 

主「実際、微妙だったんだよね。

 なんかさ、その評価を期待して……それこそ制作会社の MAPPAも100億クラスの作品を! と気概を込めていると思うじゃん。いや、思うの自分だけなのかもしれないけれどさ、それにしては、せいぜい70点狙いの作品だった印象なんだよね。

 ただ70点狙いで65点って、評価としては微妙そうだけれど、見方によっては相当優秀なんだよ」

 

カエル「えっと……確かディズニー・ピクサー作品が『80点狙いで75〜85点を量産する会社』って評価で、『100点を狙うと10点の評価をする人が出てくる』とかも言っていたよね?」

 

主「そうそう。

 70点狙いで65点って、多くの人に満足してもらいやすい数字だと思うんだよ。

 それ以上を狙うと原作を壊す必要や制作の手間もあるし、それ以下だと単純に満足させられない。

 多分、この作品で文句はそんなに出ないと思う。

 やりすぎなくらいに原作通りの構成されているし、アクションはちゃんと見応えあるし、ちゃんといい改変もあるし、ファン向けの描写もあるし。

 その意味では手堅い、ただ、この程度かって気持ちも同時に出てくる作品かな

 

 

どういう点が微妙って評価に繋がるの?

 

単純にアニメ映画としては評価は高くない

 

 

カエル「それは映像表現がってこと?

 それとも物語性とか、メッセージ性とかの部分?」

 

主「両方。

 アニメ表現に関しては後半のアクションシーンは良かった。

 あとは……乙骨とリカちゃんが交流する、ごく一部のシーンかな。

 それ以外は実は普通。

 テレビアニメと同じか、もしかしたらテレビアニメの方が良かったかもしれないってくらい、アニメ表現は一部シーンを除いてそこまでめちゃくちゃ凝っているわけではない。実は後半までは『60点かなぁ』と思うくらい、普通の作品だったんだよね。

 物語はやっぱり、原作をそのまま映画にする難しさが出てしまった。

 結局さ、今作もテレビアニメ×4話みたいな構成になっているんだよ。それが1本の映画としての構成になっていないから、満足度が低くなる。

 でも、そこを期待しない人には……つまり呪術のキャラクターが動いて、乙骨や五条がカッコよく美しくて、原作通りにアニメ化してくれて……ということを求める人には絶賛かもしれない。

 その意味では、やっぱりファンムービーなんだよ。

 エピソード0のファンムービーってところかな

 

 

 

 

10年後に語れている作品か

 

……そういえば、シンエヴァの評価が上がったってのはなんなの?

 

 

あ、シンエヴァって95点を目指して85点〜90点くらいをとっていった作品という評価だから

 

 

 

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主「他作品のシンエヴァと比較しちゃったらあれだけれど、でもわかると思うんだよね。シンエヴァって100億達成したけれど、映像クオリティはやっぱりダンチだったんだよね。

 間違いなく言えるのは、シンエヴァは10年後にも語れているクオリティなんだよ。映像表現だけで10年後にも語られるものが絶対ある作品だった。

 じゃあ、この作品の映像表現・アニメ表現で10年後に語れるものがあるか?

 多分だけれど、自分はないと思う。

 10年どころか1年保たないかもしれない。MAPPAだったら、テレビシリーズの呪術廻戦や『takt op.Destiny』の方が良かったかもしれないかなぁ」

 

 

 

 

 

そこまでいうと酷評みたいだけれど、そうではないんだよね?

 

酷評ではないつもりだけれどね

 

主「アクションシーン以外の映像表現が印象に残らないし、ところどころ作画の手間を抑えるための工夫が凝らされた描写があったりしている。けれど、アクションシーンはちゃんと見応えがあるけれど、それはテレビアニメサイズなんじゃないかってことで、映画映えするとは思えなかった。

 特に致命的なのは……これはネタバレありで語った方がいいのかもしれないけれど、ラストのバトルの決着とかは、勢いだけで乗り切ったなぁという印象もあるかな。

 でもそこを含めての70点目指しの65点なんだよ。

 100点目指したらもっとカロリーが高くなるし、多分この12月に上映できていないだろうし。この辺りが……なんというか、妥当なレベルなんじゃないかなぁ」

 

 

 

 

声優について

 

では、ボイスキャストについて語っていきましょう

 

今回は……どうなんだろう、ここも引っかかったんだよなぁ

 

 

カエル「今回はファン向けのアニメ映画らしく、全員テレビアニメなどで活躍する声優で固めてきました。まあ、ここで芸能人声優を出しても、テレビシリーズでも出てくるキャラクターばかりだから、それはやりようがなかったということもあるけれどね」

 

主「芸能人声優ばかりが興行収入に関係あるというのが言われていたけれど、原作知名度がある作品に関しては『鬼滅の刃 無限列車編』と同じく本職声優で固めた方がファンが喜ぶ→興行収入が伸びるって証明されたのかなぁ。

 その意味ではクオリティは文句なし……とは、言えなかったんだよなぁ

 

カエル「お、芸能人声優ばかりの時には珍しい反応だね」

 

主「……単純にさ、エヴァを引用しすぎなんだよ。

 緒方さんって、元々めちゃくちゃ上手い人で今作でもその実力は遺憾無く発揮されていた。小松未可子も決して下手な方ではなかったのに、1対1の相手役を務めることが多かったけれど、ついていくのに精一杯になってしまったシーンもあったくらい、周囲を圧倒していた。

 だけれどさ……これ、別に演者は何も悪くないし、絶対それ狙ってたけれど、もうエヴァを引用しすぎなんだよね

 

 

引用しすぎ……ね

 

いや、だって物語も含めてエヴァじゃん、これって

 

 

主「これもネタバレになるけれど……ざっくり言えば序盤の物語構成ってエヴァの1話に近いし、終盤のセリフも明らかにエヴァを下敷きにしている。緒方さんの演技もシンジ君を意識させすぎているし……ああいう演技以外にもできる人なのにね。

 だから小松未可子との1対1って、テレビシリーズから演じている人と別作品(エヴァ)との対決になってしまっていて、物語を壊している印象が強かった。

 引用しすぎっていうのは、そういうことなんだよ。

 映画終わった後でも『シンジくんにしか聞こえない』って笑い話をしていたけれど、それって映画としてはキャスティング、あるいは演出ミスじゃないの?

 そんな使い方でいいのかねぇ。

 トム・ホランドの演技がMCUじゃないのに全部スパイダーマンに見えたら、それはそれで大変な問題だよ」

 

カエル「あ、だからさっき急にシンエヴァの話題を引用したんだね……。

 その辺りも意識してやっただろうから、バランスの問題なのかもね」

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

作品考察

 

映画的になっていない物語

 

では、ここからはネタバレありで語っていきますが……まあ、どちらかと批判的な意見になるのかなぁ

 

別に悪い作品ではないってのは何百回も言っておくけれどね

 

 

カエル「物語構成が『テレビシリーズの1話×4』になっている、とかが気になったポイントな訳?」

 

主「まあ、それもそうかな。

 例えば、今作って……いや原作がそうだから当たり前だけれど構成の話をしたら

 

  • 乙骨入学・小学校編
  • 商店街でのバトル編
  • 夏油傑の襲撃
  • 百鬼夜行・ラストバトルへ

 

 という感じになっているのね。

 その構成自体が悪いわけではないけれど、ぶつ切り感が大きいんだよね。連載漫画とか、テレビアニメならこれで間違い無いんだけれど、この構成は映画じゃなくて、ぶつ切りに感じられるんだよね。単なるエピソードの積み重ねというか」

 

カエル「あとは……これは間違いなく批判意見に挙がるのが回想が多すぎることじゃ無いかな。

 10分前、30分前のことを何回もやるから、そこは批判意見多いだろうなぁって思いながら見てました」

 

主「テレビアニメならばいいんだよ、もしくは週刊連載。

 観客や視聴者がぼーっと観ながら1週間、2週間間隔が空くならば再説明のために回想を入れるのはいい。だけれど、映画はダメ。だって暗い中で集中して見ているんだから、そこを再びやっても、すでに説明済みなんだから。

 そこを印象つけたいならば……そうだな、例えばアイテムを印象的に魅せて、それを活躍させることで伏線からの回収を印象つけるとか、やりようはいくらでもあるんだけれど、アニメ化そのままするから下手くそになっているんだよね。

 劇場版っていうならば、そこら辺を構成しないといけないけれど、結局アニオリのサブキャラのバトルシーン追加入れるくらいってのはどうなのよって話かなぁ。いや、そこはぶち上がったけれどね。

 あとはラストバトルも体術とかじゃなくて、原作通りとはいえどうやって決着がついたのかわからない謎ビームでの決着というのも、なんか見ていてテンション下がったかなぁ」

 

 

 

 

 

ファンに向けられた作品

 

 

でもでも、ファンには評価が高かったんじゃないの?

 

そりゃ、ファン向けに作られているし

 

 

カエル「禪院真希の発言とか、今の原作の流れを知っているとめちゃめちゃハマるものがあるよね。ちょっと見ながら『うわー』って思ったし、それはあの劇場版を見ていた原作を追っているファンはみんな思ったと思うんだよね」

 

主「だから、何度も言うようだけれどファン向け映画としてはかなり評価は高くなるんじゃ無いかな。

 自分も1番ぶち上がったのが、ナナミンのバトルシーンなんだよね。

 『もうこれ、ナナミ廻戦ジャン』って思わず呟いたほどに、ぶち上がったんだよ」

 

 

カエル「どうしても主要1年メンバーが出せないから、サブキャラクターを出すと言うのはファン向けとしていいよね。しかも、今回って敵が数は多いけれど1体1体は弱いから、無双シーンを出すにも向いているしね。

 ナナミン、冥冥とかのキャラクターの活躍を描きやすいと言う意味では、良かったよね

 

たださ……それだったら1個だけ文句があるんだけれど

 

え、そこでも?

 

なんで歌姫が出ないんだよ!

 

 

主「いや、確かにまだ術式が明らかになっていないし、前衛なのか後衛なのかもわからないし、弱い弱いと言われているけれどさ、出番くらい少しはあってもいいじゃん! 大体あれだけ京都校の生徒が出ているのに、なんで教師が出てこないんだよ!

 出せよ、歌姫!

 ジジイと一緒にいるところでもいいからさ!」

 

カエル「……以上、歌姫過激ファンの戯言でした」

 

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映画的なメッセージ〜夜長姫と耳男〜

 

さて、では気を取り直して、大きな疑問点の話にしましょう

 

どうしてもこれは原作もあるけれど、メッセージ性が薄いんだよね

 

 

カエル「今作って『愛ほど歪んだ呪いはない』と言うのが、最大のテーマだと思うんだよね。それこそ乙骨とリカちゃんとか、あるいは五条と夏油傑の関係なんかも、その辺りをすごく感じたし」

 

主「たださ……弱いんだよね、その話が。

 自分はいつも言うけれど、坂口安吾ファンだからさ、この手の話をするならば『夜長姫と耳男』くらいのことをガツンとやれよ、って思うんだよ。

 ラスト部分を引用するのもなんだけれど、著作権切れた名作だから紹介しよう」

 

 

「サヨナラの挨拶をして、それから殺して下さるものよ。私もサヨナラの挨拶をして、胸を突き刺していただいたのに」
 ヒメのツブラな瞳はオレに絶えず、笑みかけていた。
 オレはヒメの言う通りだと思った。オレも挨拶がしたかったし、せめてお詫びの一言も叫んでからヒメを刺すつもりであったが、やっぱりのぼせて、何も言うことができないうちにヒメを刺してしまったのだ。今さら何を言えよう。オレの目に不覚の涙があふれた。
 するとヒメはオレの手をとり、ニッコリとささやいた。
「好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をして……」

 

坂口安吾

夜長姫と耳男 

 

 

 

 

これが『愛とは最大の呪い』と言うことなんだよ

 

主「自分は『好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ』という発言にゾクゾクするんだけれど、そこまで強烈な狂いというものを、この作品の中で描くことはできなかった。

 リカちゃんのおそろしさもそこまでではない。まあ五条たちのラストは、ちょっとエモさを感じたけれどね。それは原作から優れていた点で、今回も良かった。ただ、それでも映画という1つの物語を締めるには弱いんだよ。

 だからリカちゃんの印象が弱いから解放された時に、そこまで感動しないってのはあるんじゃないかな

 

カエル「でもさ、それがわかるように改変したら、それはそれで文句が出ると思うんだよね。

 もっとホラー風味を強くしたりとか、色々と手段はありそうだけれど……」

 

主「だから100点を目指してないって話なんだよね。

 映画として1つの物語として成立するように構成して、メッセージ性を強くして、物語を構築するとなると、単純に製作費も時間もかかるし、原作ファンから総スカン食うかもしれない。下手すれば映倫のコードにも引っかかるかもしれない。

 最高の作品である100点を目指すって、それだけのリスクを抱えるんだよ。

 だからお金を回収するって意味では……ある種ノルマを消化する的な発想だけれど、70点でいいの。原作をそのまま、ファンが満足するクオリティで仕上げて、色々な問題はあっても喜ばれれればそれでいい。映像的にも音楽的にも最高級を目指さず、できる範囲でベストを尽くす。『名探偵コナン』の映画とかって、そういうところもあるじゃない。

 それはそれで集団作業、職人として、そして会社運営としても、とても重要な仕事だよ。

 否定されることじゃないし、その姿勢そのものは理解できる。

 ただ、100億、200億って話になる作品がその心意気ってのが、ちょっと残念に思っただけ。あとはMAPPAはやっぱり好きになりきれないスタジオだなって再認識したかな」

 

 

 

最後に

 

というわけで、この記事も終了になります

 

まあ、色々文句は言ったけれど、駄作という評価にはならないと思うよ

 

 

カエル「まあ、原作通りやってくれたわけだしね。

 次は2期かなぁ……渋谷事変は確実にテレビアニメだろうけれど、そこまでの繋ぎは映画にするのも手かもね」

 

主「これだけ売れるとよくは出てくるだろうしなぁ。このあと、映画化できるタイミングはなさそうだし。

 今後の展開も含めて注目だね」

 

 

 

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