物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『トラペジウム』感想&評価 ”高山一実が書いた”以上の何かを表現できていたか?

 

今回は映画『トラペジウム』の感想記事となります!

 

試写会で鑑賞したものの、この記事の公開は初日になってしまったの

 

ポスター画像

(C)2024「トラペジウム」製作委員会

 

カエルくん(以下カエル)

星街すいせいが主題歌を担当するということもあって、かなり注目していたんだよね

 

亀爺(以下亀)

このアイドルアニメ戦国時代に、どのようなアイドル像を見せてくれるのかが楽しみじゃな

 

 

カエル「今回は前半がネタバレなしの紹介、後半がネタバレありの感想になります!

 それでは、記事のスタートです!」

 

 

 

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スタッフ紹介

原作: 高山一実(KADOKAWA刊/『ダ・ヴィンチ』連載)
監督: 篠原正寛
脚本: 柿原優子
キャラクターデザイン: りお
総作画監督: りお・けろりら
音楽: 横山 克
音響監督: 明田川仁
制作: CloverWorks

声優・キャスト紹介

  • 東ゆう- 結川あさき
  • 大河くるみ- 羊宮妃那
  • 華鳥蘭子- 上田麗奈
  • 亀井美嘉 - 相川遥花
  • 工藤真司- 木全翔也(JO1)
  • 古賀萌香- 久保ユリカ
  • 水野サチ- 木野日菜
  • 伊丹秀一 - 内村光良

作品紹介・あらすじ

 

作品紹介

乃木坂46 1期生の高山一実が、2016年から『ダ・ヴィンチ』で執筆した長編小説『トラペジウム』は、アイドルを目指す少女の青春物語として現役アイドルの経験を反映した作品であり、2018年の単行本発売は累計30万部を達成し大ヒットを記録。

 

この小説をアニメーション映画化し、スタジオCloverWorksと共に高山自身も脚本や音楽に関わりながら、新たな映画作品として再構築した。

 

主人公・東ゆうとそのアイドルグループ「東西南北」の物語は、新進気鋭の声優や星街すいせいなどの著名なアーティストが参加し、青春と夢追い人の感動的な物語が描かれている。

あらすじ

高校1年生の東ゆうは、アイドルを目指し、城州東高校から始めて東西南北の美少女と友達になる計画を進める。大河くるみ、華鳥蘭子、亀井美嘉といった各地の美少女と絆を深め、共にアイドルグループを結成する野望を持つ。ゆうと彼女たちは様々なイベントを経験しつつ、テレビ出演のチャンスをつかみ、徐々にアイドルとしての道を歩み始める。

しかし、そこには大きな苦難が待ち受けていた……

↓公式サイトはこちらから↓

trapezium-movie.com

 

 


www.youtube.com

 

 

 

Xの短評

 

それでは、Xでの短評からスタートです

 

 

 

Xに投稿した感想

5月10日公開
試写で見させていただきました
高山一実がこの物語を紡いだということに意義があると感じましたね

 


近年の日本アニメ界は空前のアイドルアニメが光を放ち続け、表現技法としても音楽×アニメのマッチングの重要性は年々増しています

その中で「アイドル」という存在について元アイドルが語ったと受け取れる物語になっていることは、大きな意味を持つのではないでしょうか

 

ボクはホロライブファンなので星街すいせいの楽曲も大変楽しめましたね

 

 

 

 

 

感想

 

それでは、紹介&感想を試写会バージョンのネタバレなしで行いましょう

 

まさしく”高山一実”というアイドルが書いたことに意義を見出す作品じゃな

 

カエル「今作は乃木坂46の1期生として活躍した高山一実が原作を務め、話によると色々とアニメ映画の方でも監修されているとのことなので、かなり積極的に監修した作品です。

 おそらく公開された時の感想としても『これを元アイドルが書いた!』ということが、話題になるのではないでしょうか」

 

亀「今のアニメ界はアイドル・バンドなどの音楽×アニメ作品が全盛の時代である。特にマイクール1作はアイドル・バンドアニメがあるような状況であるし、2024年の春はそれらの作品が特に高い注目を集めておる。

 おそらく、今作はアニメに興味が薄いアイドルファンも見ると思うので、入り口にして欲しいという気持ちもあるかの」

 

smartmag.jp

 

アイドルについて語った作品に

 

うちとしてはVtuberファンなので星街すいせいが主題歌という部分にも注目しています

 

やはりアイドルについて語った作品ということになるからの

 

カエル「すいちゃんもアイドル・歌手志望で個人勢からVtuberスタートしているので、この抜擢にはファンもかなり盛り上がっているよね!」

 

亀「乃木坂のトップアイドルが書いたアイドル志望の女の子を描いた書籍を原作としている以上、アイドルとはなんぞやという目線になるのは、当然と言えるじゃろう。

 そして今作は木全翔也の声優起用もそうじゃが、色々な形でアイドルとして活躍している人々を集めている。

 その目線で語ることが多くなりそうな予感がするの

 

アニメーション表現について

 

それと同時に、アニメーション表現に関してはどうだったの?

 

Clover Worksが担当しているだけあって、見どころがある映像になっておるぞ

 

カエル「Clover Worksは『スパイファミリー』を共同で制作するなど、近年のアニメを牽引するスタジオとして知られています。

 アニメ界全体を見ると2010年以降に設立したスタジオが特に盛況で、例えばMAPPA(『呪術廻戦』『チェンソーマン』など)やWIT STUDIO(『進撃の巨人』の一部クールなど)などと共に、ハイパークオリティの作品を生み出すスタジオとして知られています」

 

blog.monogatarukame.net

 

その意味では、どこまでハードルを課すのか、ということになるかもしれんの

 

カエル「特にうちはClover Worksは好きな表現や作品が多いスタジオでもあるから、より期待値が高くなるよね」

 

亀「特徴としては日常芝居も含めた、動きの作画表現の細やかさということになるかもしれんの。

 『明日ちゃんのセーラー服』は、圧倒する日常作画を生み出して毎話楽しませてもらった」

 

 

それでいうと、ハードルがめちゃくちゃ高い中で、今作はどうなの?

 

決して悪いとは言わんが、もっと上を求めてしまう部分はあるかの

 

カエル「まあ、ハードルが高いからね。

 大谷が先発5勝、ホームラン20本の成績だったら、十分素晴らしいはずなのに、それをイマイチって思っちゃうかも……」

 

亀「ここに関しては2024年春アニメが音楽アニメが盛況というのも大きいかもしれんな。

 TVアニメでは

 

  • 『夜のクラゲは泳げない』
  • 『ガールズバンドクライ』
  • 『響け!ユーフォニアム3』
  • 『アイドルマスター シャイニーカラーズ』

 

 などのように、アイドル、バンド、あるいは人間関係をテーマとしながらも音楽にもピックアップしているタイトルが多く、しかもどれも見応えがある。この超群雄割拠の中で、ハードルが高まりすぎている部分もあるかの。

 その中で今作の映像クオリティは決して低くない。

 しかし、劇場で観る以上、かなり上等なものを求めてしまうと、もう一声! それができるスタジオ! という気持ちは出てしまうかもしれん。

 とは言っても、うちは作画マニアではないし、ワシがそう思っただけかもしれんがの

 

 

 

 

より中身に触れた詳細な感想

 

作品の顔

 

では、ここからは本音の感想と行きましょう

 

今作を一言で表すと”顔が見えない”ってことなんだよね

 

カエル「顔が見えない……つまり、作家性や個性がないってことなのかな。

 作家性が必要な作品、必要がない作品などもあると思うけれど、今作の場合はどのような意味になるの?」

 

主「作品の顔っていうのも、色々な意味があるだろう。

 例えば1番わかりやすいのは”監督の顔”で、描くテーマ、映像演出、物語など、色々な面で監督の個性を発揮する。

 もちろん脚本家、プロデューサーの顔もあれば、実写に多くなるけれど役者を売り出すための”役者の顔”を前面に出す作品もある。

 あるいは日本ではジブリや京アニ、アメリカではディズニー・ピクサーのように”制作スタジオの顔”をアピールする例だってあるだろう。

 シリーズ作品は”そのシリーズらしさ”が顔になる。キャラクターとか、あるいはクレしんならば下ネタ混じりのコメディとかだね」

 

ふむふむ……では、今作の顔っていうのはなんなの?

 

う〜ん……それがわからないというのが、本音なんだよね

 

カエル「本来は映画はアニメ・実写を問わず監督、あるいはプロデューサーの顔が前面に出てくるべきなんじゃないかな?」

 

主「そうだね。

 あるいは脚本家・役者でもいいし、自分はClover Worksの個性を感じたかった。

 今作に関しても最終責任は監督・プロデューサーが負うべきだという考えになる。その上で話すけれど、今作の顔は”高山一実”という元トップアイドルということになるわけだ。

 そして……それは、かなり危うい話になる」

 

原作について

 

今回は原作も読んだので、その感想も交えながら映画化について話しましょう

 

う〜ん……正直、あまり評価はできないんだよね

 

カエル「……まあ、うちは映画やアニメよりもむしろ小説に対して厳しいからね」

 

主「それもあるけれど、やっぱり連載作品という難しさが出ていた。

 序盤はそこまで悪くない印象だったけれど、明らかに途中から筆が止まっていて、文章力どころか物語構成能力も破綻した。まあ、でも芸能人で文章訓練をしていない人が、大人のサポートがあるとはいえデビュー作品で連載という、途中から物語を調整できない形態で発表させるのも、それはそれで難易度が跳ね上がるから、高山一実が悪いというつもりはないんだよ。

 本来、作品の責任は作家が担うべきだけれど、この場合はデビューさせたりサポートしきれなかった編集サイドにも責任があるという考えだから、作品そのものがあまりよくないというのは、高山一実個人に責任を問うつもりはない

 

物語の特徴

 

① キャラクター描写

 

じゃあ、どういうとことが悪かったのかを具体的に挙げていこうか

 

ほぼ映画版にも繋がるんだけれど、まずはキャラクター性の問題だよね

 

カエル「キャラクター性の問題……つまり、個性をどのようにつけるか、あるいはキャラクターの実存感をあげたりするか、ということなのかな」

 

主「まずさ、小説を読んでいて疑問だったのは、複数人で話している時に誰が何を話しているのかが区別ができないシーンもあった。作者の頭には当然あるんだけれど、それを区別することができていない。

 よく小説でですわ”とかのお嬢様言葉などの役割語があるけれど、あれは簡単に個性をつけられて判断が可能になる工夫でもある。

 今作もそれを活用しているけれど、描写が軽い上に性格の個性を感じずに、一貫した思想がないから、すごくキャラクター性が薄い。

 だから複数人で会話すると、誰が誰だかわからない描写が出てくる」

 

それは映画版でも同じことが言えるの?

 

内容をそこまでいじっていないからね

 

主「例えば主人公の東ゆうが”なぜアイドルにこだわるのか”といった部分だったり、あるいは東西南北にこだわるのか、という核心に迫る部分の描写が遅かったり、あるいは軽い。だから彼女の暴走に対して、ただの狂人に近い何かを見るようになってしまう。

 それでいうと他のキャラクターも全員そうで、描写されていると思うのは”工学の天才で引っ込み思案”というキャラクター性が濃い”くるみ”くらい。

 あとは全員描写が浅い上に、属性だけをつけているから、人間の深みではなくて単なる記号にしかなっていないんだよね」

 

② 出会いのシーン

 

その浅さを感じたのは、例えばどんなシーンなの?

 

まずは冒頭の出会いのシーンからして、あまりよろしくないんだよね

 

カエル「出会いのシーンというと、誰との出会いのシーン?」

 

主「全員。

 古い話になるけれど、脚本家出身で物語を語る上で最も重要な監督であるビリー・ワイルダーの『パジャマの上下』という逸話がある。詳しくは下にリンクを貼るけれど、物語のスタートというのは最も重要で、さらに運命を感じる出会いをどのように演出するかにストーリーテラーの真髄があるといっても過言ではない」

 

www.cokes.jp

 

特に今作は、運命的にグループを共にする4人と真司の5人が、大事なわけだしね

 

それを「ただ会いにいって見つけて話しかけました」では、あまり芸がないし憧れもない

 

カエル「昔から言われる『入学・転校初日にパンを咥えて急いでいた中でぶつかる』というだけでも、運命的なものは感じるのかな」

 

主「まあ、さすがにそれはほぼネタ的になっているから使えないだろうけれど、そういうことだよね。

 で、この小説も映画もそれができていないから、劇的な出会いという運命感はあまりない。もちろん東ゆうの執念の話という見方もできるけれど、それが暴走に見えてしまうのが問題だよね。

 あとはキャラクターの個性を出すために出した話が、後半にあまり生きないのが残念。例えば真司の『制服が好き』などの話だったり、序盤であれだけ出した障害の話が後半にあまり生きてこない。

 ほんの一瞬だけで劇的なものにできていないんだよね。

 その辺りも含めて、出会いのシーンおよび、後半に膨らませることはできていないのではないだろうか」

 

③ 展開について

 

ここはあまり直接的には明かしませんが、後半には……何というか、語弊があってもネタバレしないように”面白い展開”と称しますが、ある展開があります

 

そこが、個人的には劇薬に手を出したなぁ…という感覚かな

 

カエル「劇薬……というと言葉が過激なようだけれど……」

 

主「う〜ん……wikiレベルの情報だけれど、湊かなえのファンということだけれど、あれは湊かなえの文章力があるから成立する物語形態であって、安易にやると……なんというのか、露悪的な表現になってしまうんだよね。

 そして今作のキモは”元アイドルがアイドルの話を書く”という1点だけになってしまっているけれど、そこが露悪的に感じられてしまった。

 前段にも繋がるんだけれど、出会いからここまでの展開に関して繋がっていないから、唐突感があるしネット用語でいうところの観客を釣るために、キャッチーな展開を用意したように見えてしまう」

 

邪道には邪道ゆえの難しさ、計算高さが極めて大事なんだ

 

カエル「計算高さというと、計画性ということかな?」

 

主「自分は『ブルーロック』を高く評価しているけれど、それは露悪的でサッカーファンからヘイトを買うような設定や展開があったとしても、計算されて単に露悪的にしない工夫がなされているから。

 湊かなえもそうでさ、単に露悪的ともいえる展開をすればOKというものではない。それをエンタメとして昇華させる技術が必要で、それができないならば、むしろ陳腐に見えようが王道にすべきなのでは、というのが自分の考え。

 そして本作は、その計算ができていないから、キャラクターの個性を適当につけて、展開を劇的にして、それを元アイドルが書きましたという商業・宣伝的なところ以外の魂を一切感じなかったというのが、今作の具体的な感想だ

 

 

 

現在のアイドルアニメシーンと今作について

 

2024年の春アニメは音楽アニメが大フィーバー中

 

それはタイミングが悪かったというのも、あるのかなぁ

 

2024年の春って、音楽アニメがめちゃくちゃ凄いからね

 

カエル「前述したことなので具体的な作品名は省きますが、あまりにも戦国時代過ぎるだろうと言いたくなるくらい、どれもそれぞれ見応えがあって、素晴らしい結果を残しているからね」

 

主「この中で今作が勝っている要素は何かというと、1個もないんじゃないか。

 歌って踊るシーンも確かに良かったけれど、じゃあ上記の作品を見た後でも同じことが言えるのか? って言えば、自分はそうは思わない。

 TVアニメと劇場アニメは違うというのはよくわかるけれど……むしろTVアニメよりも快楽性が少ない映像表現になっているのではないか? ってことだ」

 

現在のアイドルアニメ全盛期に今作を出す意義

 

そして今のアイドルやバンドアニメ全盛の時代に、今作を出す意義はどこになるのかって話だね……

 

正直に言えば、今作に関してはほぼほぼないんじゃないかって思っている

 

カエル「でもさ、高山一実が描いたアイドルの現実とかっていうのは、他と差別化されているんじゃないの?」

 

主「う〜ん……自分はそうは思わない。

 そもそも今作の制作スタジオであるClover worksの前進となったA-1がかつて手がけた、アイドルアニメの金字塔である『アイドルマスター』のTVアニメ版があるわけじゃん。その内容は今作とは形こそ違うけれど、描いているアイドルの苦悩などは似ている部分も多い。

 そしてそれはアイドルアニメでは……例えば『ゾンビランドサガ』などのトリッキーな作品も含めて、扱ってきたテーマだ。

 それでは、今作が描き出したこの意味とは何か?」

 

 

 

それはやっぱり、高山一実というトップアイドルがこの作品の著者ってところだよね

 

逆に言えば、それ以外にこの作品の強みって何かあるのかな?

 

主「今作は高山一実にかかる負担が大きい。

 だけれど同時に、この作品を通して高山一実が描こうとしたことは『苦しいこともある世界だけれど自分らしく生きていこう』という、言ってしまえば当たり障りのないテーマだった。

 ”元アイドル”だからこその物語になっているのか? ということにも疑問、だから言ってしまえば”高山一実という名前”の映画であって、”高山一実というアイドルor人間”の映画ではない。

 その意味ではやはり、肩書きでしかなくて、顔がない作品ではないか」

 

原作者と監督・プロデューサーの関係

 

ここまでを話していると、そもそも原作があまり良くないって話だけれど……

 

だけれどさ、アニメ映画化を果たした以上は、責任者は現場は監督、製作はプロデューサーであるべきなんだ

 

カエル「もっともっと顔を……つまり個性を出していけってことだね」

 

主「はっきりいうと、自分にはこの映画はやっつけ仕事になっていないか? って思うわけだよ。

 元アイドルの原作で、そのまま出せばOKという作品になっているような気がしてくる。多分、自分が言った欠点なんて、映画を担当するクリエイターだったら、気がついているんじゃないか」

 

それはどのような部分に出ているの?

 

例えば、ゲスト声優だった高山一実と西野七瀬の使い方だよね

 

カエル「今回は原作者の高山一実に加えて、乃木坂1期性だった西野七瀬もゲストでサプライズ登場しています」

 

主「その使い方が最悪だと感じた。

 若い女性に高齢の男性を演じさせようとして、完全に違和感しかないノイズのある演技になっている。でも、これって本人たちが悪いわけではなくて、高齢男性を若い人が演じるっていうのは、それだけでハードルがある。

 この2人を効果的に使うのであれば、例えば同じモブだとしても電車前で話す女子高生2人とか、やりようはあるだろうに」

 

だからこそ、本作は原作の映像化を果たしているけれど、原作の魅力を引き出すことも欠点を減らすこともあまりしていない……つまり脚色が全くできていないように感じられた

 

主「ただ、ある意味ではそれは有名アイドル原作で売れた小説の映像化という意味で、商業的には正しいし、限られたリソースと期間の中である一定のクオリティのものは仕上げたという話にもできるから、その意味ではベストではなくても妥当な作品とも言えるけれど……でもさ、高山一実は、言ってしまえばプロの作家じゃないから、そのカバーをもっとすべきだったんじゃないかってのは、正直思っちゃう」