カエルくん(以下主)
「……いつも思うけれど、なんでこういう向いていない映画を見にいくのかな? キングコングを絶賛するような人が、 PとJKのような恋愛映画を見ても何も面白くないと思うんだけど」
ブログ主(以下主)
「いや、食わず嫌いが1番ダメだから。とりあえずは鑑賞してみないと、評価はなかなか下せないよね」
カエル「いや、そうかもしれないけれどさ……それで酷評するというのは何だかねぇ」
主「まだ酷評すると決まったわけじゃないだろう!?
ほら、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』とかも結構よくて……女子中高生に見て欲しい映画を挙げろと言われたら、チアダンも候補に入ってくるよ。
でも見る前は『どうせ広瀬すずが可愛いだけなんだろうなぁ……』って思っていたけれど、意外や意外、恋愛要素もそんなに多くないし、テーマが作中で一貫しているし……いい映画だったよ」
カエル「まあ、あの映画はそうだけど今回は土屋太鳳と亀梨和也だよ? ジャニーズ映画で恋愛映画だよ?
絶対主みたいのは対象外だって」
主「だけど対象外の人間だからこそ見えてくるものがあるんじゃないの?」
カエル「……まあ、そうだけどさぁ」
主「さあとりあえず映画の感想記事を開始するよ!」
カエル「……炎上しないといいなぁ」
1 ざっくりとした感想
カエル「じゃあまずは感想だけど……あ、オブラートに包んでね! あんまり強い口調は避けて、ジャニーズタレントの悪口はやめて……」
主「傑作だった」
カエル「ああ、そんなこと言っちゃダメだって……え?」
主「面白かった! チアダンの時も同じことを言っていたけれど、今年公開された邦画だとトップクラスに好きな作品だね」
カエル「……え? 恋愛映画なのに?」
主「ちょっと意外なんだけれど、この映画を『スイーツ映画』とか『胸キュン映画』だと思ってみると、目が点になるかもしれない。いや、それはそれで間違っていないんだよ。確かに土屋太鳳と亀梨和也の恋愛がメインにあるのは間違いないから……
だけど、この映画ってもしかしたらそういう恋愛目的やジャニーズタレント目当てに見に行った女子高生よりも、もう少し上の世代に……しかも、カップルで見に行ったら男の人の方がハマるかもしれない。
自分は『これって女子高生やジャニーズ目当ての女性が満足するのか?』って疑問に思ったくらいだもん」
カエル「もしかしたら男性向け映画かもしれないってこと?」
主「この映画をどういう目線で見るかにもよるけれどね。単なるカッコイイ男と女が云々かんぬんということじゃない。
もちろん、手放しに絶賛というわけではないよ? 会話がイマイチだとか、説明が多いとか、このシーンはもっと隠した方が面白くなるのに……といういわゆる『スイーツ映画』や大作邦画に多い『わかりやすさ』優先の、面白味を潰していく脚本とかもあるんだよ。
だけど、それを差っ引いても……というか、不思議な言い方をするけれど恋愛部分以外がすごく良いんだよ。
自分は途中から恋愛とかはどうでもよくて、別の視点で見ていたんだよ」
予告編で何度も見た土屋太鳳の敬礼
(C)2017「PとJK」製作委員会
不思議な構成
カエル「それってどういうことなの?」
主「はっきり言うけれど、土屋太鳳と亀梨和也の恋愛なんてどうでも良いの。というか、この映画ってそこに力を入れていない。
すごいのがさ、この2人が物語を動かすために会話をしているじゃない? 例えば『結婚しよう!』とかさ、そういうシーンは正直そんなに良くない。両親に挨拶に行くシーンとかは『退屈だなぁ』って思っていた。
だけど、それ以外のシーン……例えば冒頭の2人の出会いの街とか、徐々に仲良くなっていく様子とかは抜群に良いのよ! ちょっと引きの絵で撮られているけれど、その街並みやなどとんでもなく綺麗で」
カエル「今作は函館で撮られているけれど、環境ビデオかな? と思うくらいに美しい街並みなんだよね」
主「それがありとあらゆる場面でアピールしてくる。例えば主人公の暮らす家の窓から見える景色がとんでもない絶景だったりさ。ちょっとした景色を眺めるだけですごく癒される。
それはすごくこの映画で大切なことを表していて、周囲の環境が美しいからこそ、余計にキラキラ感というか、爽やかな恋愛であることが強調される。
だからさ……極端なことを言うけれど、この監督って今回恋愛を撮るつもりがないんじゃないか? って思ったほど。原作を読んだことがないからわからないけれど、少女漫画でこの映画みたいなテーマというのは……考えられないとまでは言わないけれど、結構珍しいものになるはず」
カエル「ふぅ〜ん。ちょっと珍しい感想だよね。明らかに恋愛映画だけど、恋愛部分はどうでもいいって」
主「たまにそういう作品ってあるの。三雲岳斗という小説家の『少女ノイズ』というミステリー作品があるのね。その解説が『図書館戦争』などで有名な有川浩なんだけれど、この人が『ミステリ部分、ぶちゃっけどうでもいい。』ってはっきり語っているの。
つまり、この作品はミステリーだけどその本質は少女と男が出会う恋愛にあるとはっきり言っちゃったの。そしてそれはまさしくその通りで……今作も似たようなものだと思う。
『恋愛部分、ぶっちゃけどうでもいい。この物語は男がどのように成長し、継承するかだ』とでも言おうかな」
カエル「それが女性にどう映るかわからない部分なのね」
2 キャストについて
カエル「じゃあ、本作のキャストについて語っていくけれど……」
主「いつも語っているけれど、若手俳優に演技力をあまり求めていない。演技力というのは経験がものをいうところもあるし、極端なことを言えばどれだけ演技力の優れた俳優であっても、おじさんやブサイクだったらこの映画は成り立たないわけじゃない?
『若い』ということや『かっこいい、かわいい』ということが何よりも求められるわけだから、正直演技力は度外視する」
カエル「それって裏を返すとあんまり上手い人がいないということ?」
主「演技レベルは一定だったと思うんだよね。演技の難しいところで、圧倒的に上手い人が1人いるだけで浮いてしまう。他の役者も同じくらいの演技力が求められるわけだから、その意味では本作はバランスがすごくいい。突出して上手い人もいないけれど、突出して下手くそな人もいない。
だから演技が気にならなかった」
カエル「……褒めているのかよく分からないね」
主「一応褒めているよ? 今回は自然な演技ではなくて、ドラマなどのような『演技らしい演技』が求められいるし、それがうまくマッチした役者陣だったと思う」
カエル「主演の亀梨和也についてどうだった?」
主「さすがに30歳を超えているから制服を着ていた時はコスプレ感があったけれど、でもこの作品は亀梨のキャラクターというか、イメージがあったからこそ成立した作品でもあると思っていて……
気になったのは岡田准一と演技の系統が似ているんだよ。別に同じジャニーズだから、というわけではないだろうけれど……怒るシーンは声を張り上げたり、リラックスしているシーンも似ていたかなぁ」
今作の主演の亀梨和也
(C)2017「PとJK」製作委員会
今作のMVP
カエル「今作のMVPを挙げろと言われると誰になる?」
主「……親友の矢口役の玉城ティナじゃない?
今回の土屋太鳳の演じるカコってオシャレすぎない女の子なんだよ。もちろん、年相応にはオシャレをしているけれど……それに対して矢口はすごくオシャレをしていて、美人だった。だけど、難しいのは土屋太鳳などの主役陣を引き立てなければいけないから、あんまり目立ちすぎてはいけないんだよね。
画面に出た時は華やかだったけれど、きちんと抑制されていたし、演技も気にならなかったし、自分は1番印象に残った女優かも」
カエル「……単純に好みというだけだったりして」
主「さっきも言ったけれど圧倒的に上手い人っていないから。
強いて言うなら山下部長役の田口トモロヲかな? この人は存在感もあったし、すごく良かった。あとは……ちょっと名前がわからないけれど、大神の父親とか。緊迫したシーンになっていたねぇ。ちょい役なんだけれどね。
あとは、府警の大政絢も綺麗だったなぁ」
カエル「……やっぱり顔じゃないか」
個人的にはMVPクラスの美少女でした。本作は制服も可愛いので女の子はみんな可愛く見える。
(C)2017「PとJK」製作委員会
以下ネタバレあり
3 不思議な構成
カエル「これは最初にも語ったけれど、この映画がすごく不思議な構成になっているというお話だよね」
主「そうそう。この映画って引きの絵やロングカットがすごく多いんだよ。ロケ地である函館市の美しさをアピールするためのPRドラマか! と思うほどに多い。
もちろん、映像としてすごく綺麗になっているから意味はあるけれどね」
カエル「普通はこういう恋愛作品って観客は役者を見に来ているわけだから、バストアップ……つまり顔を中心に撮るのが多いよね」
主「あとは2人の会話でも1つのカットに2人がギリギリ入るように画面調整をして、向き合って話しているように見せるとかね。だけど、この映画は2人が話している場面でも結構引きのシーンが多くて、役者よりも街の方が画面いっぱいになっている時がある。
このシーンが抜群にいいんだよ!
函館の……多分春か夏くらいだと思うけれど、キラキラした美しい画面が青春ということをさらに引き立てている」
カエル「爽やかな印象がさらに強くなるよね。
あとは結婚直後のシーンで音楽と一緒にキラキラと光などが入るようにカメラを回していて、土屋太鳳がニコニコしながら家事をしているシーンがあるけれど……PV的と言えるのかもしれないけれど、それがこの映画にマッチしていて、魅力的だった!」
大神役の高杉真宙
(C)2017「PとJK」製作委員会
『動かない』シーンの魅力
主「しかも、それって画面だけのお話ではないんだよね。
最初にも言ったけれど……例えば『結婚させてください!』というような、恋愛ドラマが動く時ってそんなに面白いとは思わなかった。だけど、そのドラマが動かない時……例えば2人が単純にイチャイチャしている時とか、仲良くなっていくシーンにこの引きのアングルが使われている。
一方で恋愛ドラマが動く時は脚本もそんなに面白くなくて、絵としても取り立てて挑戦的だなぁ……と思わせるところも少なかったんだよ」
カエル「極め付けはあの文化祭のシーンだよね」
主「そう。吹奏楽部がUNISON SQUARE GARDENの『ビターソングとシュガーステップ』を演奏している場面があるけれど、なぜかそのシーンはしっかりと見せてくれる。別に音楽映画でもなんでもないじゃん?
文化祭だって重要な場面ではあるけれど、2人の恋愛ということを考えればサラリと流してもおかしくない。
さらに、カメラがモブの1人1人を捉えていたりして……ちなみにあのコスプレシーンって映画好きが見ると遊び心がいっぱいあって、それはそれで面白いけれど今回は割愛」
カエル「これも変な話だよね。モブなんか写さないで、綺麗な俳優をもっと映せばいいのに……」
主「だけどこのシーンが抜群にいいんだよ! それから願いの灯篭が空に舞い上がる場面とか……そういう、なんでもないシーン、物語が動かないシーンでこの映画は魅せている。
じゃあ、それはなんで? という話だよね。その答えは後々に続く!」
4 恋愛作品の難しさ
カエル「これはいつも語ることでもあるけれど、現代における恋愛作品は作るのがすごく難しいという話で……」
主「恋愛が成就しない、または成就を妨害する障害って絶対必要なんだよ。じゃないとドラマにならない。
最近だと多いのが『病気』だよね。これは人間が生きている以上必ずなるものだから。あとは性同一性障害などの『LGBT』とかが今は人気かな。
ちょっと前まで『携帯電話の普及が恋愛作品を作りづらくした』と言われていた。これはいつでも連絡が取れるようになり、すれ違いなどが描きづらくなり、ドラマが成立しずらくなったことによる。
詳しくはこの記事を読んでね」
カエル「この映画は恋愛の障害が明確だよね」
主「そう。
今回はPとJK、つまり警察官と女子高生の恋愛話だけど、これは倫理の壁という障害がある。だからこの作品は恋愛作品として成立している。
この設定自体は秀逸だと思うよ。読者が感情移入しやすいから主人公は女子高生にしたいけれど、高校生の頃って1番性に関心がある頃じゃない? だけどプラトニックな関係にもしたいし……と考えたら、倫理観が強く問われる教師や警察官の仕事をしている男性と結婚をするという話はあり。
だけど、これが現実に映画化されると足かせになるんだ」
個人的にはMVPクラスのいい演技だった田口トモロヲ
(C)2017「PとJK」製作委員会
リアリティの問題
カエル「作中でも語っていたけれど『君はなぜすぐ結婚したいんだ!』ということになるもんね」
主「運命的な出会いを印象つけるために、昔から知る相手じゃない方が恋愛作品にはいいけれど……でもさ、冷静に考えてみれば功太ってなかなか危ないやつなんだよ。
だって、出会ってすぐに結婚しようっていうんだよ?
意味わからないじゃん。付き合うのが問題なのはわかるけれど、プラトニックな関係で恋愛しようとかさ、せめて高校を卒業するまでは待ちます! というのが普通の感覚じゃない? だけど、出会ってすぐに結婚という話になってしまう」
カエル「こういうことがあるから恋愛物語はどんどん作りづらくなっていくんだよね」
主「漫画だったらまだいいのかもしれないけれど、でも本作は実写の映画だからね。その違和感がどうしても付きまとってくる。
これは自分の考えだけど、おそらく監督をはじめとしたスタッフもここはどうしようもないと思ったんだよ。ここを削るとこの作品を作る意味がなくなるけれど、でも明確に結婚する理由は思い浮かばない。
だから……言葉は悪いけれど、有耶無耶にしたのかな? って思う」
カエル「前半の恋愛描写は捨てたんだね」
主「だけど、そこまでしてまで描きたかったものは何か? という話になってくるけれど……もちろん、それはあるんだよ」
5 三人の役割
カエル「この作品は亀梨和也演じる功太(P)と土屋太鳳の女子高生カコ(JK)そして高杉真宙演じる大神(O)の3人の物語ということができるよ」
主「だからここからこの3人の関係の変化について中心に語っていきたい。
不思議なことに、この映画の中盤は功太があまり出てこない。ほぼ大神とカコの描写で埋め尽くされていると言ってもいい。鑑賞中に思ったよ『これってPとJKじゃなくて、OとJKじゃない?』って。
でもそれにもキチンとした意味があるんだよ」
カエル「その意味って?」
主「簡単に言うと大神に与えられた役割は『10年前の功太』なんだよ。つまり荒れていた……やんちゃをしていた時の功太。不良なんだけれど、でも悪いやつということでもなくて……という存在。
この映画の最初の方で功太と大神は最初から知り合いだったことが明かされているけれど、あまり接点がない。その2人の接点になるのが、カコという存在なんだ」
カエル「そうだね。2人にとってカコはとても大切な存在になるもんね」
主「ここでカコと大神の交流を深く描き出すことに、実は大きな意味がある。
それまで他人のようだった大神と功太が少しずつ近づいていくんだよ。この同一化のために『OとJK』の描写って絶対に必要だった。功太にとってのカコはすでに奥さんだから説明不要だけど、大神にとってのカコはほぼ知らないクラスメイトだからね。
まあ、あの大神とクラスメイトやカコが急に仲良くなりすぎじゃない!? って思いはあったけれど!」
カエル「そこは見逃すとして次に行こうか」
PとO
カエル「次に語るのが功太なんだね」
主「大神が10年前の功太の象徴だとしたら、現在の功太は10年前の父親の象徴となっている。
だから、この物語って『やり直し』の物語でもある。
10年前にあんな事件が起きて、お父さんがあんなことになって初めて本当の気持ちに気がついた。案外人間ってそんなものだけど……今回はその2人をつなぐ存在であるカコがいることによって、功太と大神につながりができた」
カエル「そうだね。守りたい対象は一緒だもんね」
主「つまり、この映画って恋愛映画というよりは『功太の成長物語』という側面の方が強い。そのためには過去を振り返る必要があって、そのための存在が大神な訳だ。
大神が更生することができたのも2人がいたからであり、どちらか片方だけなら更生することができなかった。功太は自分の職務を全うし、カコと付き合うことで、さらに過去の自分を救うということもできたんだよ」
カエル「なるほどねぇ。この映画はPとOのお話でもあるわけだ」
6 終盤の儀式
カエル「この儀式ってなんのこと?」
主「別に呪いの儀式とかそういう意味ではなくて……この映画の終盤の展開って繰り返しなんだよね。
1つは当然父と功太の繰り返し。暴漢に刺されてしまった父親の役割をしているのが功太であり、守られる学生の功太がカコであり、大神である」
カエル「それは間違いなくあるよね」
主「だけど、実はもう1つ繰り返しの儀式があって……
それは序盤の展開を思い出して欲しい。最初に大神が暴れてしまった場面において、カコは功太をかばって頭を殴られてしまい怪我をする。功太にしてみれば本当なら守るべき存在を、守れなかったということだ。
だけど、この終盤ではその関係が逆になる。つまり、守るべき対象をしっかりと守った結果、ああいうことになるわけだ。
実はこの描写がこの映画においてすごく大事。たった1シーンで2つのことをしっかりと表していて、すごくうまい描写でもある」
カエル「……どういうこと?」
主「つまり『なぜこの映画の主役は警察官なのか?』ということだよ。倫理に厳しいというならよくあるようけれど、教師でもいいじゃない? だけど、この映画は警察官を選択している。もちろん原作がそうだから、というのが答えかもしれないけれど……その答えが一貫しているんだよね」
このシーンで胸キュンした人も多いのでは?
(C)2017「PとJK」製作委員会
作品のテーマ
カエル「では、ここから核心のお話に入りますよ!」
主「ここで全てがつながってくる。
なぜこの映画はモブや街並みを長回しで撮ったのか?
なぜ恋愛映画のはずなのに、恋愛描写が少ないのか?
それは、この映画が警察官が主役であることに由来している」
カエル「ほうほう」
主「つまりだ。警察官って『守る存在』なわけじゃない? じゃあ、一体何を守るのかって話だよ。
これが夫や父親だけならば家族を守ればそれいいかもしれない。だけど、警察官は家族を守るだけではない。それこそが、函館を代表する街であったり、モブの1人1人であったり……かけがえのない日常を守るんだよ。
だからなんでもないようなシーンを長く撮っていった。それこそがこの映画が伝えたかった『功太が守らなければいけないもの』だったからだ」
カエル「カコだけを守ればいいというわけではないもんね……」
主「終盤の事件が必要だったのは、あの時に功太はようやく『守る』ということをその身をもって達成した。
それは序盤と180度違っているよね? これこそが、この映画が描いた功太の最大の成長なんだよ」
7 パレードについて
カエル「そして最後のパレードに続くけれど……」
主「このパレードが素晴らしい! ここだけでもなんども見ていたいレベルだよ!
その前のシーンで、自分がなぜ警察官になったのかということを発表するけれど、そこで改めて気がつくんだよね、自分がどういう存在になりたかったのかということに。
予告でも使われているけれど『万が一君が傷つくようなことがあれば、俺は君と会わないことを選ぶ』というシーンがあるけれど、これって間違っているんだよ。本当は『万が一にも君が傷つかないように、俺は君を守る』というべき。だって警察官だよ? 市民を守るのが仕事なんだよ?
そのことにようやく気づいて、そして『守るべき存在』の代表であるカコに向き合う」
カエル「そこからモブもいっぱい引き連れての長廻しのパレードになるけれど……」
主「ここって祝福なの。本当は守るべき存在である市民かもしれないけれど、だけど違う形で守られているという一面もある。家族ってそうじゃない? お互いが支え合って生活している。
守るべき存在と守られるべき存在って実は表裏一体なんだよ。
そしてそのことに気がついたことにより『守られる存在』に祝福されながら『守るもの』を見つけ、パレードにつながっていくんだよ!」
カエル「あのパトカーの警察官としての自覚ということなのかな?」
主「多分ね。
ただの恋愛でくっつきました、という程度ではなくて、カコとくっつくことで警察官としての成長にもつながり、何を守るのか? ということも語り尽くした映画だよね」
継承の物語
カエル「そして何よりも主が感動したポイントがここなんだよね」
主「まとめると、この映画って
功太=10年前の父親
大神=10年前の功太
カコ=2人をつなぐ存在、守られるもの
という構図になっている。
父親の思い、守ったものが功太に受け継がれて、そしてそれを大神に受け継いでいくという継承の物語でもある。
だからこの映画って実は『胸キュン映画』でも『スイーツ映画』でもなくて、『クリード/チャンプを継ぐ者』のような男臭い継承の物語だ。それを女子中高生向けのようにやってしまったということに意義がある。
そして『OとJK』『PとO』を経て、ラストにはちゃんと『PとJK』になる。だけどそれは単純な恋愛のお話ではないんだよ!
功太はこの瞬間、本物の『P』になったんだ!
こんな映画、絶賛する以外ないじゃない!」
最後に
カエル「じゃあ、最後になるけれど……」
主「あー疲れた! 個人的な話になるけれど、この記事完成した時に1回トラブルで消えたので書き直していて……すごく疲れた……ボリュームたっぷりだし」
カエル「読む人には関係ない話だけどね」
主「この映画が示したことって実はキングコングとそんなに変わらない気がしていて、自分はあの映画を『男の復権』と『平和への祈り』だと言ったけれど、この映画もまた『男として守るべき存在を守る』ということを描いている。
近年は女性の社会進出が叫ばれていて……もちろん、それは今でも大切なテーマだけど、一方で男のあるべき姿がわからないじゃない?」
カエル「テレビで見るイケメンも中性的な人物が多いしね」
主「草食化が進んで、男がどのように振る舞えがいいのか正解が誰も見えていないのではないか? そんな中で、ある意味ではオールドタイプのような『守る男像』がここで出てきたのは面白い現象だなぁって思うよ。
世の女性たちがこの男像を理想としているなら、今までの中性化の流れはなんだったんだ? ってなる。
その意味ではこの映画を亀梨和也が演じたことって象徴的で、ジャニーズの中でも男らしい存在じゃない。あまり詳しくないけれど、KAT-TUN以降のジャニーズって中性化が進んでいるような気がしていて……それこそ亀梨世代が男らしい男像の最後の世代じゃない?」
カエル「もちろん興行もあるだろうけれど、ベストなキャスティングでもあったんだね」
主「というわけで、映画も好き嫌いしないで見ると思わぬ出会いがありますよ、というお話でした。めでたしめでたし」
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