今回は『グリッドマン ユニバース』の感想記事になります!
オタク的には3月で最も楽しみにしていた作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
今作はTVシリーズもちゃんと鑑賞しての劇場へ向かっています!
亀爺(以下亀)
総集編映画もギリギリで駆け込んで見に行ったの
カエル「大注目の今作、評価はどうなるのでしょうか?
それでは、早速ですが、感想記事を始めましょう!」
この記事が面白かったり、感想があればTweet、
はてなブックマークをお願いします!
大手レビューサイト評価(3月26日時点)
Yahoo映画
4.7
映画ドットコム
4.6
Filmarks
4.5
ファン向け映画で点数が高くなりがちとはいえ、この高評価はすごい!!!
作品紹介
キャスト紹介
響裕太 (CV広瀬 裕也)
グリッドマン(CV緑川 光)
宝多 六花 (CV宮本 侑芽)
ガウマ (CV 濱野 大輝)
麻中 蓬 (CV榎木 淳弥)
南 夢芽 (CV若山 詩音)
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#GRIDMAN_UNIVERSE
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年3月24日
たった2作でユニバース、そこに込められたメタも含めた大きな意味の重なり合いと、これがTRIGGERだと言わんばかりの咆哮に次第に心が熱くなる…❗️
ユニバース構想だからこそ意味があり珍作・奇作でありながらも熱い心を与えてくれる大・傑・作❗️ pic.twitter.com/VgLwCxFS6z
とても熱くなることができる、まさにユニバースだからこその魅力に満ちた作品じゃな
カエル「『SSSS.GRIDMAN』シリーズはTVシリーズと総集編映画も観ていて、今回も楽しみに劇場に向かったけれど……もう、最高のファン映画! という作品に仕上がっていたね!」
亀「近年は色々なユニバース構想の作品が出てきているが、その中でも最も上手く成立している作品の1つだともいえるかの。
もちろん、今作はファン向けのアニメ映画なので、ここからシリーズに入ろうとすると少し難しいものがあるかもしれんが……それでも、ずっと作品を追いかけてきたファンからすると、垂涎ものの作品であることは間違いないの」
ちなみに、総集編版の印象はそこまでよくなかったりもします……
こればっかりはTVアニメを見る方が楽しめる、といってしまうの
カエル「最近は総集編映画でも趣向を凝らした作品が多くて、再編集の面白さを見出せる作品もあるのですが……『劇場総集編 SSSS.GRIDMAN』も『劇場総集編 SSSS.DYNAZENON』も、再編集ならではの面白さは見出せなかったという印象です」
亀「実際、ワシとしては今作に関しても前半に関しては同じようなことを思っていた。
しかし、後半はテンション爆上がりで……!
これこそが映画! と言いたくなるようなシーンの連続であった。
主など、後半は涙を堪えきれない様子であったからの。
それでいうと、実はかなりピーキーな作りの作品ともいえるし、Twitterでも述べたが出来の良し悪しに関わらず、珍作・奇作に足を踏み込んでいるともいえる。
しかし、それでもはっきりと見えてくる面白さがあった。
今回は、その面白かった部分について、重点的に語っていこうと思うかの」
以下ネタバレあり
作品考察
3つの階層
早速ですがネタバレありで語りますけれど、今作には3つの階層があるという話だけれど……
『ユニバース』とは何か? という話につながるものであるの
カエル「一言にユニバース作品と言っても、今作の場合はそれが複合的な意味を含んでおり、単一な意味ではないという評価だね」
亀「うむ。
これがただ単に『キャラクターを集めました』だけだと、それは言ってしまえばスパロボと大して変わらん。いや、スパロボはあれはあれで面白いのであるが、お祭りゲームだから許されるものであり、公式がやるものではないじゃろう?
なぜユニバース構想を行う必要があったのか……それはこの以下に語る3つの階層の面から説明することができる、というのがワシの解釈じゃ」
第1の階層 グリッドマンユニバース
まず、第1はもちろん原作の特撮であるグリッドマンシリーズを含めての、多くの作品が合流するという意味でのユニバース構想だね
この点が1番わかりやすく、多くの作品が行なっていることじゃな
カエル「それこそ、類似作品でいえば洋画で言えばマルチバースと呼称されてますか『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』が思い浮かびます。
色々な過去作のスパイダーマンの要素が登場していくという、近年のMCUなどのマルチバース構想、そしてそれらを統合するユニバースを象徴する作品ですね」
アニメでは『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』じゃな。特に2作目のアネモネの作品が、その印象が強い
今作に話を戻すと、過去に登場した色々なキャラクターが集合する物語だったよね
それに加えて、そのキャラクターたちの顛末が明らかになる作品でもあるの
カエル「『SSSS.GRIDMAN』チームでは中心になるのが裕太と六花の恋愛模様です。一方で『SSSS.DYNAZENON』チームの方は、TVシリーズで大団円気味に終わるので、ほぼガウマの話が中心となります。
というか、今更ながらダイナゼノンって主人公はガウマなんだね……ずっと蓬だと思ってた……」
亀「実質的に成長するのは蓬の方じゃからの。グレンラガンでいえば、カミナとシモンというべきかもしれんの。
ここの点に関しては映画を見ればより深く楽しめると思うので、詳しく説明はしないが、ユニバース構想らしく色々な物語の決着や、キャラクター同士の掛け合いや絡みが見ることができたの。
まさにユニバースだからこその楽しみ方ともいえるの」
第2の階層 創作(制作者とファン)と、そしてリアル&物語
次に語るのがこの第2の階層のユニバース構想です
ここはうちが時々触れるのであるが、わしがグッときたポイントでもあるの
カエル「実はこの映画は創作論の映画でもある、という話だよね。
やっていることはうちの2019年ベスト1位映画である『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた Fine(フィーネ)』と同じで”物語とは何か?”と”作り手と受け手の関係性”について語っている作品でもあります」
序盤から六花が二次創作である物語の脚本を書いているのが、象徴的であるの
カエル「そもそも『SSSS.GRIDMAN』の時点で、アカネが創造神(作者)として存在していて、それと作られたキャラクターである六花たちの関係性を描いた作品です。
つまり、作者を創作物が救うというメタ的な展開も内包しつつ、アカネは現実世界に帰っても、その創作物の助けを借りて生きていく相互方向の作品であったということですね」
亀「これはオタクであればわかる人もいるのではないじゃろうか。
確かにキャラクターは架空の存在であり、この世のどこにも存在しない。しかし、その存在しないはずのキャラクターに支えられて生きている感覚というのは、物語を愛する多くの人が抱いているものであるじゃろう。
その存在を空想だと唾棄することは、あまりにも乱暴じゃ。人によっては知人を棍棒で殴られたような衝撃を受けるかもしれんの」
今作の場合は二次創作のあり方、そしてファンと作品のあり方にも言及しているよね
この作品自体が原作のグリッドマンを元にした二次創作であるからの
カエル「作者が伝えたい描写や思いがあって、でもそれは他の人からはわかりづらいと不評で……というのは、普遍的な創作の苦しみだよね。
それで、他の人の意見を聞いて変更したら、それが受けて結局元の意図と全く異なるものができてしまうというね……」
亀「ワシとしては、まるでこの作品をそのまま自己批評しているようにも感じられた。
というのは……正直にいえば、わしは前半部分はユニバース的でありながらも、非常に退屈に感じられた。
ある種優等生的に作ろうとしすぎていて、TRIGGERが持つ出鱈目な面白さが発揮されていない、と感じてしまったかの。
それはワシ個人の思いかもしれんが、それもまた計算に含まれていたのではないか? と思うような部分もあり……だからこそ、彼らは中盤の戦闘であれほど苦戦する結果になってしまったのではないか、と感じている」
また、アカネの登場から3次元にいる現実の創作者&視聴者と、2次元世界のキャラクターの融合も見受けられたね
それも1つのユニバースだったかもしれんの
亀「つまり、3次元と2次元を繋ぐという意味での、の。
それでいうと今回の裕太や六花はキャラクターでありながらも、創作を行う創作者にもなっている。
この何重もの入れ子構造こそが今作の特徴であり、ユニバース構想の1つの核といえるものではないかの」
第3の階層 TRIGGERの意思
そして最後に語るのがTRIGGERの意思についてです!
ワシとしては、ここが1番グッときたポイントじゃな
カエル「これは色々と説明が必要だけれど……そもそも『SSSS.GRIDMAN』自体が、かなり過去の模倣に近いというか……
なぜ円谷プロという特撮の老舗の作品をアニメ化したのか? という点に関しては、多分TRIGGERの前身であるガイナックスの影響があるのではないかと。
もっと具体的に言ってしまえば、当然エヴァンゲリオンの影響だよね」
亀「エヴァは庵野さんが影響を受けたウルトラマンを、庵野流にアニメ化した作品だと言われておる。
そしてTRIGGERはガイナックスが前身となっており、そのエヴァに影響を受けたスタッフも多いじゃろう。
その影響を受けたエヴァを自分たち流にアレンジする……その意味合いを込めて作られた作品という解釈は容易に成立するのではないじゃろうか」
そして他にも指摘ポイントとしては、六花ママは『フリクリ』を模しているのでは? という意見が散見されています
声優も同じであるし、キャラクターデザインにも瞳の色などにも面影があり、少なくとも『そういう捉え方をされても構わない』とは、思っていそうじゃな
カエル「『SSSS.GRIDMAN』は、もちろん原案であるグリッドマンのリメイク作品でありつつも、同時にエヴァなどの過去のガイナックス作品を言及する作品でもある、ということだね」
亀「うむ。
その視点からだと、今作の……ワシが退屈だと思った前半部分はエヴァのような日常音を多用する演出なども含めて、多くの部分がエヴァの模倣だと感じていた。
なんなら、エヴァこそが実写を用いたアニメ作品の代表例でもあるしの」
TRIGGERの咆哮と進化
だけれど、それが模倣を大きく超えた瞬間が訪れる結果になるわけだよね
それがアカネの登場以降じゃな
カエル「後半になって現実世界のアカネが再び登場してから、ケレン味たっぷりに変身して、ロボットに乗り込むシーンだけれど……ここはデザインがコヤマシゲトということもあって、当然かもしれないけれど『プロメア』感もあったよね」
ここから、まさにガイナックスを超えたTRIGGERが登場した瞬間じゃな
カエル「もう『君を退屈から救いに来たんだ』の歌詞通り、一気に停滞した感覚がなくなって、盛り上がっていって!
これがTRIGGERだ❗️
これが、この熱さこそが最高の面白さなんだ! と言わんばかりだったよね❗️」
亀「TRIGGERは『サイバーパンクエッジランナーズ』がクランチロール・アニメアワード 2023でアニメ・オブ・ザ・イヤーに輝くなど、誰もが認める日本を代表するアニメスタジオである。
そしてその魅力は、バカバカしいまでの熱さとケレン味溢れる映像演出じゃろう。それを全面に出すことで、もはやガイナックスの模倣ではない、まさにこれこそがTRIGGERだと高らかに宣言するような映像表現になっておった」
そしてそれを象徴するシーンがあると……!
それがガウマの最後の手紙のシーンじゃな
カエル「姫に再会して、5000年の思いが吹っ切れるシーンだね。
あれはすごくオシャレというか、いいシーンだったなぁ」
亀「あそこで『いつまで引きずってんだ』というのは、もしかしたらいつまでもTRIGGERにガイナックスの面影を求めてしまう、ワシらのような観客といえるかもしれん。
もしかしたら、制作者の中にもいるのかもしれんの。
じゃが、もはやそれは5000年前の話。
すでに別れたのじゃから、いつまでもそこに囚われていてはいけないわけじゃな。
その思いも詰め込んだ、まさにガイナックス&エヴァとの別れを告げるような、TRIGGERの魅力と咆哮を詰め込んだ会心の一撃であった。
これこそがユニバース構想の3つ目にして、最大の革新である。
まさに、見事、という他ないの」
最後に
というわけで、今回はここまでとなります!
この作品を気に入った人はオーシマサヨシの『uni-verse』をぜひ聴いてほしいの
カエル「今語ったことが確信に変わる楽曲であり、すごく熱くて泣ける曲だったよね」
亀「全体としてはかなりピーキーな作りで、前半の退屈さは感じてしまった。しかし、そんな思いを完璧に晴らしてくれる後半部分の面白さで、傑作と言わざるを得ない作品じゃったな。
おそらく鑑賞するたびに色々と発見があると思う。
グリッドマンシリーズを追いかけてきた人には、たまらん作品じゃ。
ぜひ劇場で味わってほしい作品じゃな」