物語る亀

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物語愛好者の雑文

<辛口>『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(NWH)』ネタバレ感想&評価と実写スパイダーマン論

 

今回は超話題作『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム(NWH)』の感想記事になります!

 

超久々なmarvel &スパイダーマン記事ですよ〜

 

 

 

 

【映画パンフレット】スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム 豪華版 監督 ジョン・ワッツ 出演 トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ

 

カエルくん(以下カエル)

「先に説明しておきますと、うちはマーベル映画とは相性が悪いです。

 以前に『エンドゲーム』を批判して、多くのマーベルファンに批判されてしまったこともありました」

 

「それ以降、マーベル映画は見ても語らないって感じになっちまったからな……」

 

カエル「でもでも、今回はその沈黙を約2年弱ぶりに破り、この作品を語ろうと思います!

 まあ、今回は制作がディズニーじゃなくてSONYなのでご容赦をってことで。

 ちなみに、ちょっと辛口になるので、そこはご了承ください。

 それでは、記事のスタートです!」

 

考察記事はこちらです!

blog.monogatarukame.net

 

 

 

 

【映画パンフレット】スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム 通常版 監督 ジョン・ワッツ 出演 トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ

 


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感想の前に(状況説明)

 

まずは感想の前に、どんな状況でこの作品を見たのか、というのは説明しておかないといけないよね

 

スパイダーマンの知識がかなり問われる映画だからな

 

 

カエル「まず、うちのスパイダーマン歴を話すと、にわかですらないくらい無知です!

 今回のスパイダーマンノー・ウェイ・ホーム(以下NWH )が、実写映画過去作を見ていた方が絶対にいいという噂は公開前から流れていたので、なんとか1週間前からマラソンを開始した、という形です。

 なのでサム・ライミ版スパイダーマン3作、アメージングスパイダーマン2作、そしてMCUのホーム3作品をこれで鑑賞してはいますが、熱心なスパイダーマンファンではない、ということは先に言っておかなければいけません

 

主「なので、簡単にまとめると

 

  • サム・ライミ版→鑑賞済み
  • アメージングスパイダーマン→鑑賞済み
  • MCUホーム過去2作→劇場鑑賞済み
  • MCU(エンドゲームまで)→劇場鑑賞済み
  • その他のスパイダーマン→全く知識なし

 

 となります。

 記事の意図としては『ファン以外の人が見たスパイダーマンNWHの問題点』って感じになるのかな。また、前述のようにマーベル映画とは相性も悪いので、そういったにわかの思ったことを書いていくと思ってください」

 

 

 

 

感想

 

それでは、Twitterの短評からスタートです!

 

 

 

 

少しだけ辛口になりますよってところかな

 

 

カエル「世間では絶賛相次ぐ評価で、Filmarksでは4.7という超高水準の満足度、その他の映画評価サイトでも4点台後半も相次ぐという、とても高いものになっているよね。

 もちろん、MCUはファンが多くて熱いし、特にスパイダーマンということで、その熱量はとても高いものになるのは当然なんだけれどさ。

 ”年間ベスト”の呼び声も高くて、ファンの方が喜んでいるのはすごく伝わってくる作品だよね」

 

主「ただし、個人的には微妙な作品でもあった。

 正直に言えば『こんなところでしょうな』という気持ちと、『これは悪手ばかりだな』という気持ちが交差しているような状況だね。

 ただしアクションとか、そういった映画の映像としては悪いとは思いません。おそらくファンの人ならば熱くなるような音楽の使い方なんかもたくさんあったのだろうし。その意味ではファンムービーの範囲内で収まってしまう……そんな映画ですね

 

 

 

過去の実写スパイダーマン映画論

 

過去作の簡単な振り返り

 

そういえば、今回見てみて過去作(サム・ライミ版とアメスパ)についてはどのような認識でいるの?

 

とても上手くできた3部作と、そこから外れようと足掻いた続編だったな、という印象だな

 

 

カエル「まず、とても簡単に感想をまとめてみましょう」

 

  • サム・ライミ版→ヒーローの誕生譚と優れた3部作
  • アメスパ→サム・ライミ版から離れた上での別の面を見せつけた2部作
  • MCUスパイダーマン→過去2作の上に成り立つ発展系のスパイダーマン

 

まず、スパイダーマンという物語の基本となるフォーマットがとても強力で強固なんだよ。

 

主「サム・ライミ版が特徴的だけれど、学校で冴えないオタク青年が特別な力を経てスーパーヒーローになる……これは今のアニメ界風にいうならば”なろう系”に近いフォーマットだ。そこから異世界に転生するか、現実のNYで戦うかぐらいの違いしかない。

 他のアメコミヒーローと違うのは、最初から優れた存在ではないということだろう。

 バットマンのようにリッチでもない、スーパーマンのような異星人でも、なんでもない。『親愛なる隣人』という言葉があるように、隣にいてもおかしくない普通の青年がヒーローになるという構造そのものが、とても強固なものとなっている。

 だから共感しやすいし、熱狂しやすいのは間違いない」

 

カエル「ふむふむ……」

 

主「その上で語ると、サム・ライミ版はヒーローの誕生譚を描く上では完璧。

 1作1作にキチンとテーマがあり、それに沿ってうまく作られている。そして3部作通して見ると、各作品の欠点はあれども、キチンと1つの物語としてまとめられている。だからサム・ライミ版は、6、7時間ある1つの物語として昇華されるべき作品なんだよ。

 1作1作の評価は全てFilmarksで3.7をつけたけれど、3部作としては最低でも4.0をつける。それくらい、まとめてみた時に満足することができる、お手本のような3部作だろう

 

 

スパイダーマン (吹替版)

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スパイダーマン2 (吹替版)

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スパイダーマン™3 (吹替版)

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それじゃ、アメスパは?

 

あれは、やっぱりサム・ライミ版があって、そこから外れようとした結果の2作だよね

 

主「アメスパはピーター・パーカー像もお調子者というか、ちょい不良寄りの青年となっていた。つまりそれだけサム・ライミ版が強固だったからこそ、外れなければいけないから、スタイリッシュのエモーショナルな映像体験を重視した。

 だから物語としては……もちろんアメスパ3が誕生しなかったということも含めて考えると仕方ないけれど、サム・ライミ版ほどの完成度はない一方で、映像体験はさらに増している。

 スパイダーマンが画期的だったのは、やっぱり糸を使ったビルの間を駆け回るアクションだから、その映像体験を追求したというのは何も間違ってない

 

アメイジング・スパイダーマン (吹替版)

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アメイジング・スパイダーマン2 (吹替版)

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ふむふむ……

 

で、MCU版はその2作の下敷きがあり、多くの人がスパイダーマンの物語を知っているということを下敷きにした、発展系なんだよね。

 

主「ベンおじさんが出てこない、スパイダーマンになるきっかけを外す、その他の改変は『みんな知っているからやらないよ』という意味でしかないわけだからね。それだけ知名度がある作品になったということでもあるしね。

 ただ、MCU知識も必要だし、入門編には向かなかったなぁ……その点ではサム・ライミ版という下敷きが強固だからこそ、生まれたアメスパ、MCUだという印象があるかな」

 

 

MCUスパイダーマンの長所

 

じゃあさじゃあさ、MCUスパイダーマンの特徴ってどこになるの?

 

やっぱり過去2作に比べると政治を描いたところにあるのかな

 

カエル「サム・ライミ版が『大いなる力には大いなる責任が伴う』を基にして、力に溺れてしまうヴィランと、そこから抗うスパイダーマンを基本軸にしています。

 なのでスパイダーマン3があのような展開になったのは必然で、ヴィランであっても『大いなる力には大いなる責任が伴う』を認識し、更生できる。

 ヴェノムが敵になったのも”最大の敵は自分”であることを示すためのものである、という認識だよね。

 アメスパは……そこいら編の人間ドラマやテーマの弱さは感じつつも、科学技術の発展とその弊害というスパイダーマンのもう1つのテーマに向き合っていた印象かな」

 

主「その点で言えばMCUスパイダーマンは……これはディズニーの意向もあるだろうけれど、政治を描いてきた。

 特に明確なのは2作目の『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』なんだよ。あれはミステリオの問題があるけれど、明確にフェイクニュースという問題を扱っている。民主党寄りなハリウッドの論理で言えば、悪の存在であるトランプを信じてしまう人々を描いているともいえる。

 この”政治”という社会を描いてきたことが、スパイダーマンにおいて重要だった

 

 

 

MCUはずっと”政治や社会”の描写を取り入れてきたんだよね

 

単なるヒーロー映画にしなかった要因の1つだからね

 

主「ヒーロー映画って今までイロモノとして下に見られがちだったけれど、MCUやノーランバットマンの何が凄かったって、単なるキャラクターを魅せるのではなくて、政治や社会構造を描いたんだよね。

 つまり、単に変なキャラクターが暴れているというものではなく、キチンと現実の社会や政治に向き合って、社会性のある映画にした。

 だからこそ、ヒーロー映画は単なるオタク向けの1ジャンルから脱することに成功した。もちろん、今でも賞レースでは下に見られている部分はあるけれど、決して無視できない存在になったわけだ。

 MCUスパイダーマンの描いた政治はより強固なものになっており、1つの社会構造を語る映画でもあった。特に『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』は、キチンとした政治批判の映画だよ。

 だから自分も高く評価するし、スパイダーマンに興味が薄くても楽しんでみれる作品になっている

 

 

スパイダーマンNWHが描いた”政治”

 

じゃあ、今作が描いた政治ってどんなところなの?

 

まずは明らかなのは『アウティングの問題』だろう

 

カエル「アウティング、つまり秘密の暴露だよね。

 ゲイ・レズビアンなどが象徴的だけれど、本人が秘密にしていることを勝手に暴露してしまって社会的に傷をつける行為で……もっと広く言えば性だけでなく、犯罪歴とか、家族の事情とか、そういうことを勝手にバラしてしまう行為だね」

 

亀「冒頭のピーターたちを取り巻く状況というのは、間違いなくそれだったんだよ。

 あれは時代が時代ならば……それこそ60年前ならば『白人と黒人のカップル誕生!』なんて言って、大々的にセンセーショナルに取り上げられていたかもしれない。もしかしたら、今でも南部では続いているかもね。

 あとは今ならばゲイ・レズビアンの問題かな。

 実はあの冒頭は……見ている人は少ないかもしれないけれど、Netflix映画で自分も大好きな『ザ・プロム』と同じ状況なんだよ」

 

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南部地域でプロム(学園祭)に参加できないレズビアンの少女を取り巻くミュージカル映画だね

 

状況的にはかなり近いものがある

 

カエル「もちろん、スパイダーマンであるということの”秘密の暴露”だけれど、やっていることは勝手に暴露して大学にも影響を与えるという、人生を大きく変えてしまうという意味ではとても大変な問題だね」

 

主「冒頭で長回しで家の中を描写するカットがあるけれど、あそこは象徴的だよね。

 ピーターが頑張って外の状況を見せないようにする(秘密を守ろうとする)けれど、外の喧騒とかでその秘密がバレたことが発覚してしまう。映像的にも優れていたし、この作品の1つのテーマを提示していたよね」

 

 

以下核心的なネタバレあり

 

 

スパイダーマンNWHの最大の欠点(というか最近のMCUの欠点?)

 

ここまでは基本的に褒めできているけれど、良かったところはいくらでも他のブログとかで出てくるので、悪かったところはどこなの?

 

……単純にさ、魔法とかのご都合主義の問題なんだよね

 

カエル「……これはもう、ここ最近のMCUに対してずっと言っていることだよね。

 ストーンとか、ストレンジとか、色々な魔法の影響によって物語が破綻しているってことだよね」

 

主「結局はご都合主義になっちゃうんだよ。

 今作もマルチバースがやりたかったのはわかるけれど、それは本来禁じ手に近いんだよ。なぜならば、なんでもありになってしまうから。

 MCUの世界に急にハリーポッターが入ったようなもんでさ、その世界のルールすらも完全に壊してしまっている。本来は魔法物でも……例えば”人は生き返らない””時は戻らない”などのルールを設定するものなんだけれど、今作はそれが一切ないわけだ。

 だから大問題で、物語が破綻してしまう」

 

カエル「もっと具体的に言えば、このあたりがすごく気になってしまいました」

 

  • ピーターパーカー大集合
  • ネッドが魔法を使い始める

 

ここがやりたかったのはわかるけれど、ここまでいったら、もうなんでもありじゃん!

 

主「本当に見ていて『物語の都合でしかないよなぁ……』と半分呆れてしまったんだよ。

 ネッドまで魔法をなんの修行もせずに使い始めたら、それこそストレンジの修行ってなんだったんだよ? って思いもある。もちろん、使いこなせていないけれど、結局はピーターを呼ぶためのものでしかないわけでさ。その都合に合わせているだけ」

 

カエル「でもさでもさ、過去のキャラクターがやり直すところとかはテンション上がるじゃん!

 あのアメスパ2のシーンを再現するところとか、泣いたって意見もたくさんあるし!」

 

主「だったら、グウェンを呼んでこいよ!

 なんであいつらを呼ぶんだよって。

 あれがありだったら、ベンおじさんもグウェンもハリー・オズボーンも呼んでこいよ。なんなら別次元にいるトニー・スタークを呼んできてもいいじゃんよ。

 そこを制御できないんです! っていうのは、単なる物語の都合だよ。しかもちゃんと物語の途中から敵キャラクターは呼んできている都合のよさ。なのに、スパイダーマンは全員物語が終わった後から呼んでいる。

 結局、魔法を使うとそれがアリになっちゃうんだよね」

 

 

 

 

マルチバース化の欠点

 

それがマルチバース化の欠点なんだね……

 

二次創作ならば、これでいいかもしれない

 

カエル「今作も一部では”公式が作った二次創作”って言われているよね」

 

主「一時期のスーパーロボット大戦なんかがそうだけれど、このマルチバース的な色々な世界観をミックスするやり方って、かなり難しいんだよ。スパロボはいいよ、本来の物語ならば派手に散るキャラクターが隠しキャラクターとして復活することもあるし、物語の筋書きをハッピーに書き換える物語だから。

 その点はゲームだから、別にいい。

 だけれど、公式がそれをやってしまっては難しいことになる。

 なぜならば”公式”だから。

 今作はスパイダーマンの過去作の要素を否定にも繋がってしまうんだよ

 

カエル「アメスパ2の喪失を元にピーターが成長するわけで、そこをやり直して成長するとアメスパ2の感動というか、やろうとしたことが変わってしまうもんね……」

 

主「もちろん、助けようとした人物が違うなどがあるから、変わらないという人もいるだろう。だけれど、あれは単なる過去作の否定、あるいは改変の可能性がある。

 それを一般の人が二次創作でおこなったり、あるいは『スパイダーマン スパイダーバース』のように完全に別作品でやるのとは、今作は大きく違う。

 マルチバースってのは

 

  • なんでもあり
  • 過去作の否定

 

 という欠点を孕んでしまうものなんだよ。だから扱いには慎重にならないといけないけれど、今作はそれが雑だったと言わざるを得ない」

 

 

 

ラストの展開と今作が果たしたこと〜ヒーローがヒーローであるために〜

 

ここまでは厳しい意見が続いたけれど、褒める意見はなんかないの?

 

やっぱり『人生はやり直せる』というメッセージと、あのラストかな

 

カエル「今作で敵キャラクターの救済も済んだし、そこがやりたかったのはよくわかるよね。

 そのおかげで『失敗した人生でもやり直すことができる』というメッセージを含めたし、なんならば”ヒーローとは人々の失敗を救うために存在する”ということもできる。

 単に敵を倒す、捕まえるだけじゃない……スパイダーマンだからこその物語になっているのかな」

 

主「それと、今作ではスパイダーマンがラストにああいうことになる。

 あれは過去のスパイダーマンシリーズでも描かれてきたけれど、必ずスパイダーマンには喪失があるんだよ。その喪失の先に、英雄になるという展開が待っている。

 それは……なんというか、ヒーローの宿命にも近いものがあるよね。英雄が英雄であるかぎり、彼らは孤独にならざるを得ない。

 今回の騒動はピーターが都合のいい記憶改変を望んだからこそ生まれたわけで、そこを精算するためにも必要な犠牲だった。だけれど、この後にもつながるいい展開だったし……最悪、大人の事情だけれどSONYとの関係が拗れて、この先が作れなくても言い訳は成り立つし

 

カエル「……その考え方はどうなの?って思わなくはないけれど、こればっかりはどうなるかわからない部分もあるからなぁ」

 

主「今は良好らしいけれど、契約社会だからね。SONYが権利を持っている以上はスパイダーマンを中心にしたくても、なかなかできないだろうし。

 その辺りも含めてとてもいいラストだったのではないでしょうか」

 

 

 

最後に

 

というわけで、今回の感想はここまでとなります

 

半分くらいはスパイダーマン論になったのかなぁ

 

カエル「色々な意見があると思いますが、こういった意見も大事だと思ってくれれば幸いです」

 

主「別にスパイダーマンも、今作を楽しんだ人を否定しようとも思わないから。

 ただ、こう言った欠点もあるんだよって言いたかっただけです。悪しからず!

 じゃあ、自分はここで逃げるので!

 後よろしく!」

 

カエル「あ、ちょっと!?

 …………行っちゃったね」

 

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