みんな大好きアベンジャーズのラストの鍵を握ると評判の『キャプテン・マーベル』の感想です!
……
……実は色々とややこしいんだよなぁ
カエルくん(以下カエル)
「……ややこしい? 何が?」
主
「……ミズ・マーベルとキャプテン・マーベルって全くの別人なんだよね?」
カエル「いや、僕に聞かれてもなんともいえないんですが、そうみたいだね…なんか初代とかいるみたいで同一人物だったり違ったりするらしいけど」
主「いやー、困るわぁ……
また配信とか、のちの記事の時に『ミズ・マーベルが〜』って言ってしまって苦言を呈される未来がすでに見えるというか、この記事の中でも間違えてしまうような気がしているんだよなぁ……」
カエル「それはもう気を付けてくれ、としか言いようがないし、しかもマーベルファンにしてみればどうでもいい話だし……
ちなみに、最初に語りますがうちはアメコミ映画は極端と言ってもいいほどに音痴です。
一応MCUはシリーズ全作品見ている……はず! なんですが、それでも設定などの理解はあまりできていないようなところもあります」
主「どうしても相性が悪いし、ずっとリアルタイムで追いかけてきたわけではないから愛は足りない部分もあるし、その意味ではファンにはイライラする論調になるでしょうね」
カエル「まあ、そういう人の意見を聞きたい! という方向けの評になるかと思いますが……最初に言うと、いうほど酷評にはなりません!
でも褒めているかと言うと微妙かも……
そんな『キャプテン・マーベル』評価のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
マーベルコミック発のヒーローたちが大集結する『アベンジャーズ』シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では初めての女性ヒーローが単体で主役となったことも話題のアクション映画作品。今作ではアベンジャーズシリーズの一区切りとも言われている『アベンジャーズ エンドゲーム』につながる重要なキャラクター、キャプテン・マーベルが主役となっている。
監督はマーベル映画では初の女性監督となるアンナ・ボーデンと、コンビを組んできたライアン・フレックが担当する他、脚本にもクレジットされている。
主演は『ルーム』でアカデミー主演女優賞を獲得するなど、演技力を高く評価される若手女優のブリー・ラーソン。またアベンジャーズの司令塔であるニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンやジュード・ロウなども出演する。
1990年代、宇宙にて舞台に活躍していたキャロル(キャプテン・マーベル)は任務遂行中に敵であるスクラル人にとらわれてしまう。激闘の末に脱出するものの、地球に落ちてきてしまいレンタルビデオ店の屋根を突き破ってきてしまい、若い頃のフューリーに追いかけられることとなってしまう。
記憶をなくしていたキャロルはその痕跡を辿りながら、任務であるローソン博士を負うのだが、そこには変身能力を持つスクラル人が待ち伏せていた……
感想
では、いつものようにTwitterの短評からスタートです!
#キャプテンマーベル
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月15日
ブリーラーソンとサミュエル・L・ジャクソンとネコの可愛らしさを堪能する作品!
マーベル苦手な自分でも楽しめた娯楽作だったなぁ
しかし今回のSWのEPマーベルはジェダイが無双するんだなぁ…あれじゃルークの立ち位置が揺らぐ…え、あれSWの新作じゃないの!? pic.twitter.com/xRPxqTpzEG
意外と? 好きな作品かなぁ
カエル「どうだろう、やっぱり初の女性監督&女性ヒーローということもあって、現代のハリウッド的な要素が多い映画になっていたんじゃないかな?」
主「それもそうなんだけれど、自分がこの作品を気に入ったのは、単純にキャラクターが良かったからなんだよね。
マーベル映画ってキャラ萌え重視なところがあって、みんななんだかんだ言っても大好きなヒーローが活躍してくれればオールOK! みたいなところがあるでしょ?」
カエル「でしょ? って言われても、それはそれで偏見な気が……」
主「スタークにしろ、キャップにしろ、そのキャラクター性が1番受けていると思うんだよ。ちなみに自分が好きなのはスターク、スコット、そしてみんな大好きビーターパーカーなんですよ。つまり、ヒーローヒーローしていない、肩の力が抜けたお気楽なコメディ要素もあるキャラクター達。
その意味では、本作もまた気楽に見ることも可能な作品だったと思う。
自分はMCUのシリアス路線はその正義の描き方に納得することがあまりないので、これくらいお気楽に、娯楽に徹してキャラ萌え特化してくれた方がありがたいかな」
カエル「……えっと、じゃあキャラクターに関しては後ほど語るとして、その他の要素について簡単にまとめると?」
主「とても良い面がある一方で、ヒーロー映画としては欠陥が大きい作品だと思う。
これは……もしかしたら差別的な発言になってしまうかもしれないから注意をしたいけれど、この監督はアクションやSFの描写が本当はできないんじゃないかな?
それは女性だからというのは問題かもしれないけれど……やっぱり男性の趣味のようなところはどうしてもあるし、そのような描写に対するこだわりや愛はあまり伝わってこなかった。
でもさ、その一方でとてもいい描写もあるんだよ。
そして、そのある種の不器用さがこの映画のメッセージと合致するわけ」
今作の構造について
今作の基本的な構造について、ちょっと考えていきましょうか
まずここの説明が大事なんだ
カエル「本作は大きく分けて、以下の3つの要素が絡み合って生まれている作品でもあります」
- キャロルをはじめとした女性の問題などを絡めた人間ドラマパート
- SF的なガジェットを多く使ったSFパート
- ヒーロー映画らしいアクションパート
主「一応、コメディ要素も人間ドラマパートに含めますが……本作はとてもハッキリ血していて、人間ドラマパートはとてもいい。自分はこの映画の中盤にある、キャロルが自分の記憶の真相を知ってかつての親友であるマリアの家から飛び出して、自分のこれから先の生き方を迷うシーンがあるけれど、そのカメラワークや演出に震えた。
人間ドラマとして、1人の女性が迷い戸惑うシーンとしてとても美しく、彼女の心情が表現されていた」
カエル「あまり詳しく語るとネタバレになるので、この程度にしておきます」
主「そういった人間ドラマの描き方は素晴らしいし、この監督も本来はそちらが売りなんでしょう。ブリー・ラーソンも『ルーム』や『ショート・ターム』での演技が絶賛されているけれど、今作ではこのシーンでその理由がわかると思う。
このような人間ドラマのパートが好きだし、そこの魅力が強いからこそこの映画は好きと語る」
カエル「ふむふむ……一部では脚本の弱さを指摘する声もあるようだけれど……」
主「弱いといえば弱いけれど、人間ドラマとしてはそこまで弱すぎることはないんじゃないかな?
自分がこの描写と、あとはキャラクター萌えしすぎて激甘になっている部分はあるけれど、いうほど悪くはないと思っている。
ただし、その欠点も理解していて……むしろ、この映画が嫌いな人の方がヒーロー映画好きとしては正しいのかもしれないね」
本作の大きな欠点
その欠点って何?
単純に、人間パート以外がとても弱いんだよ
カエル「……人間パート以外というと、SF描写やアクション描写のこと?」
主「そうです。
自分はTwitterでも書いたし、これは近年のディズニー製作のSF描写のある作品は全てと言っていいほどに共通するけれど、もう今作はほぼスターウォーズでしょ?
EPマーベルって売り出してもいいんじゃないの?
異星人の造形、映像の見せ方、その宇宙船を始めとした形などにほぼオリジナリティを感じさせることがなかった。
もちろん、同じスタジオが制作しているし、そのノウハウを生かしているとはいえ、ここまで個性がない映画をどのように評するべきか? というのは議論の余地が大きくあるだろう」
カエル「ワープの仕方や爆発などもほとんど同じだったし、これをマーベルで描く必要性はあるのだろうか? って思いもあったもんね……ただ、これは今に始まった話ではないけれど」
主「そしてそれはアクションシーンもそうでさ、銃を撃ちあった描写やライトセーバーみたいな剣を振り回して戦うシーンは若干既視感があったし、面白みも薄かった。
というかさ……多分、ブリー・ラーソンってそんなに運動神経いい方ではないように見えるんだよね」
カエル「今作では過酷な肉体改造を経て撮影に臨んでいるようですが……」
主「もちろんアクションシーンは加工も入っているだろうし、明らかに見劣りするものではないけれど、ちょっとした仕草……例えば走るだけのシーンでも、なんか違和感があるんだよ。あ、この人多分運動がそんなに得意じゃないなってわかるというかさ。
まあ、それが自分の思いすごしの可能性もあるけれど……でも、アクションに関してはそこまで高く評価はしない。女性がアクションをする映画でも『アトミック・ブロンド』などはキレッキレだったし……それと同じようにやれ! とまでは言わないけれど、でもヒーロー映画の肝であるアクションがイマイチというのは、かなり問題があるのかな」
カエル「じゃあ、1番テンションが上がったシーンは?」
主「冒頭だね。本当に冒頭の冒頭。
自分はそこまでマーベル好きではないんだけれど、でもやっぱり影響は受けているんだなぁ……と強く感じたよ」
キャラクターについて
ここでうちが引き込まれたキャラクターについて語っていきましょうか
今回は吹き替え版で鑑賞したというのも大きいだろうね
カエル「やっぱりアニメ好きからしたら吹き替え版の方がハマるのかな……
今回は水樹奈々が主演の吹き替えだし!」
主「正直、水樹奈々も引き出しが多い声優ではないからどうなるかと思ったけれど、今作では結構あっていたんじゃないかな? 竹中直人はすでに声優業としても経験も長いので、一切問題なし!
芸達者なタイプではないものの、2人ともいい演技だったねぇ……
そして絶賛したいのが榊原良子がさすがの存在感を発揮していたし!
関さんと日笠陽子がまたいい味出していたんですよ……自分はキャロルとミンの関係性に声の影響もあって若干萌えました」
カエル「アニメ好きからすると竹中直人と榊原良子が出ているだけで『パトレイバー2』だからテンションが上がるという……いや、まあどうでもいい話なので、今作のは役者の話に戻りましょう」
主「単純に、ブリー・ラーソンってかわいいよね。
力強い女性を演じているかと思いきや、普通に可愛らしい面もあったりして、そのあたりがただ強いだけの女性ではなくて、とても良かった。
そして今作ではサミュエル・L・ジャクソンもかわいいんですよ!
予告にもある猫への仕草もそうだし、ちょっとしたバディ物要素も少しだけあるんですよ。その凸凹コンビ感がよくて……白人の美女と黒人のおじさんのコンビって新鮮で良くない?」
カエル「そういう目線で見ているんだ……」
主「やっぱり、人間ドラマやキャラクターの描き方はうまいとおもんだよ。
それがマーベル映画としての魅力に繋がっているかは微妙かもしれないけれど!」
以下ネタバレあり
作品考察
今作が描いた社会問題〜女性の社会進出について〜
では、ここからは真面目に考察していきましょう
まずはマーベル映画おなじみの社会性について語ろうか
カエル「今作が描いた社会問題は大きく分けて2つでしょう」
- 女性の社会進出に対する問題
- マイノリティに対する抑圧の問題
主「この2つに関してはアメリカが特に重要視している問題でもあるし、その描き方としても大きな問題はなかったと思う。ただし、自分は若干気になる部分もあって……というのは、キャロルが『女の子だからできない!』と言われていたけれど、それはまあしょうがない部分もあるのかなぁってさ」
カエル「え? 男女差別を容認するの?」
主「だってさ、男性と女性は同じフィールドで野球をしないでしょ?
比較的身体的な差が少ないゴルフなどの競技でも男女は分けられている。自分は女性プレーヤーが男子の場に参戦することは喜ばしいと思うけれど、それは難しい部分もあるのは実情でしょう。
確かに近年は軍隊でも男女間格差は少なくなり、女性パイロットも一般的になってきたけれど、1990年代が舞台である本作の時代の価値観を現代で断罪することが果たして正しいのだろうか? という思いはある」
カエル「実際問題として『女性だからできない!』というのは戦場の場合屈強な男性ばかりの場所において、筋力でどうしても劣る女性を前線にいると部隊が危機を招く危険性もあるという配慮もあるわけで……そのあたりはどうしようもない性差があるからなぁ」
主「もちろんそこに反感を持つのは正しいし、すべてがすべて配慮のためというつもりはない。
女性でも機械操作などであれば対応できることもあるでしょう。
だけれど、配慮でもあることを『女だから』という形で差別的だと解釈することは、疑問もあるかな」
今作が描いた社会問題〜マイノリティに対する問題について〜
そしてもう1つがマイノリティに対する問題についてです
今作で興味深いのは、その描き方なんだ
カエル「もうネタバレ全開なんですが、最初は敵だと思われていたスクラル人が実はマイノリティであり、被差別民族? であり、抑圧されている側だったというお話から一気に物語は加速していきます。
この描き方は”大国によって迫害されてしまう少数民族”を連想させるよね」
主「まあ、それがどこを指しているのかは別としても……考えようによってはイスラエル建国前のユダヤ人を救うアメリカの象徴の物語にも見えるというのが、この映画の味噌なのかもしれないな。
様々な捉え方があるとは思うけれど、自分は本作で注目するのが『キャロルがアメリカ空軍のパイロットだった』ということだ」
カエル「? アメリカにおいて空軍のパイロットなどの軍人って英雄の象徴じゃない?」
主「そうなんだけれど、本作はある種の大きな組織によって蹂躙されてしまうマイノリティの問題でもある。
もちろん、原作の問題もあるし地球を舞台として描くアベンジャーズで米軍を悪党のように描くのは難しいという事情もあるとはいえ、架空の組織を作ってまで米軍の立場を守りつつ、巨大な悪党を作るのってなんか面白くない?」
カエル「なんか面白くない? って言われても……」
主「地球においては大きな組織の象徴的存在とも言える米軍の立場を守りつつ、そこから派生した正義の味方を描くというのは、マイノリティを守るといいながらも実際問題としてマジョリティの理屈に迎合しているのではないだろうか? とうがってみればいうこともできる」
カエル「……その理屈は成り立つとは思えないんだけれど……」
主「とにかく!
自分は米軍や政府という大きな組織(マジョリティ)を悪にすることなく、マイノリティを保護するという物語が面白かったんだよ!
そこの描き方が弱いといえば弱いんだけれど!
一方で敵側の思想や抑圧の意味合いがあまり見えてこなかったのは残念かな。
ただし、そこを描くとまたややこしいことになるから、描かないという選択もありなんだけれどね」
今作が示した”挑戦”の意味
今作の最大の魅力は”挑戦する精神こそがヒーローである”ということになるのかな?
その精神は見事に発揮された映画だったんじゃないかな?
カエル「それは女性が監督・主演だからってこと?」
主「そこだけではないよ。
先にも語ったように、本作はヒーロー映画としては欠点も大いにあるし、ブリー・ラーソンもちょっと運動は苦手なのかな? と思うシーンもあった。
だけれど、それを乗り越えて大きな作品を作り上げたわけじゃない。
多分、監督もそこまでアクションやヒーロー映画が得意なわけではないと思う。
音楽の使い方なども決して上手いとは思わなかった。なんかただの挿入曲になってしまっていたかな。
だけれど、それを乗り越えて立ち上がり、この映画を完成させた……いろいろな意見があったと思うよ。実際、自分だってさっき『差別的な発言になってしまうかもしれないけれど』って言ったし」
カエル「女性初のマーベル映画監督ってだけでも、賞賛も非難も含めて色々言われてしまうからね……」
主「だからこそ、挑戦の価値を表明し、その心意気こそが大事なんだ! というこの映画にはぴったりだったんじゃないかな?
作品そのものがそのメッセージを発揮しているし、自分は不器用なところも含めてキャプテン・マーベルらしくて好きになったかなぁ。
これが仮にうまい映画だったら、また違う感想になったかもね」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- キャラクターや人間ドラマに魅力のある作品!
- 一方でアクション・SF描写には難もあるか?
- その難も含めて”挑戦する映画”に仕上がっているため好感度高し!
エンドゲームの前哨戦としていいスタートを切ったんではないでしょうか?
カエル「多分、重くなってしまうであろうエンドゲームに対して、軽くしたところもあるんだろうね」
主「いよいよ準備はととのった!
サノスめ! 首を洗って待ってろよ!」
カエル「……とか言いながら実際公開されたらサノスに感情移入しまくるんでしょうね」
主「あとは、彼女は強すぎるよなぁ……キャプテン・アメリカの完全上位互換すぎるし、もはや1人でもいいんじゃないの? ってレベルでもあって……このあたりのインフレがなぁ」
カエル「そのあたりも注目しましょう!」