DC作品の救世主なるか!? 世界中で大ヒット中のアクアマンの記事になります!
続編製作も決定しています
カエルくん(以下カエル)
「すごいよねぇ……全世界で1000億円超えのヒットだって!」
主
「最近、世界中でアメコミ映画の勢いが止まらないな。
ジャンプとか任天堂も映画作って攻勢に出れば、すごいことなるんじゃないの? アニメだけどドラゴンボールも大ヒットしているし」
カエル「やっぱりコンテンツ産業は強いよねぇ……正直アクアマンも、日本で普通に生活していると有名なヒーローとは思わないけれど、でも世界基準で見ると全然違うんだろうね」
主「日本は漫画やキャラクターコンテンツが多いからガラパゴスなところがあるんだろうな。
では早速、感想記事になりますが……絶賛評が読みたい人はここで引き返してください」
カエル「……え? 世間でこれだけ絶賛されているのにうちはこのパターンなの?
ヒーロー音痴、アクション映画音痴もここに極まれりって感じだね……」
感想
では、Twitterの感想からスタートです!
#アクアマン
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年2月10日
IMAX3Dで鑑賞も…やっぱヒーローやアクション映画との相性最悪だわ…
映像面すごい、演出やアクションは超一級品
だけど話があまりにも退屈すぎるし工夫が感じられずに眠気すら覚える
敵が来る→バトル→敵が来る→バトルの連続が辛く、しかも全体的に真面目すぎる印象もあった pic.twitter.com/4sGfH2L4Ih
超おもしろい! これはオススメしたい作品です!
主「何と言ってもアクションが最高です!
冒頭からトンデモナイほどグリグリとカメラが動きまわり、それがずっと続くのでノンストップで楽しめます!
さらに言えば主演のアーサー・カリー役のジェイソン・モモアの圧倒的な肉体美と、それに反比例するようなキュートな笑顔なども含めて可愛らしく、魅力がたっぷりあります!
また決めポーズなども多く、わかりやすくカッコつけているのに、ちゃんとカッコよくてもうすぐに惚れてしまうほど!
海中の表現なども素晴らしく、今作では海の中で戦うシーンもいくつもありますが、それが独特の浮遊感と共に、水の重さを感じさせてくれます!
これは宇宙の戦闘とはまた違う魅力があって、フワフワしているけれど重いという、ある種の矛盾した水中での動きを見事に再現しており、もちろん必見の内容です!
今回はIMAX3Dで鑑賞しましたが、こちらもオススメ!
何と言っても立体感のある映像もさることながら、海中世界の美しさ、また地上の風景の美しさも堪能できることが間違いなし!
いやー……これは今までDCってちょっとMCUに対して遅れをとっているというか、人気がイマイチなところもあるという印象の方も多いでしょうが、今作はそんなこともないので、ぜひ劇場でみてください!
というか、これほどの作品は家で見ちゃダメ!
絶対劇場でね!」
カエル「……うん、とりあえず今回はハイテンションで一気に褒めていくスタイルなのね……
まあ、ちょっとうちはアクション系やヒーロー映画との相性が悪いので、ここから先は否定的なことを多く語りますが、絶賛評を読みたい! という方は”日本で1番アクション映画を語れる映画ブロガー”であるしーまんさんのブログを読んでください。
本当にすごいです、お金払うレベルです」
とてつもないアクション描写
さて、ここからはちゃんとした本音のレビューに入りましょう
と言っても、最初に述べたことは本音だし、アクション描写はケチがつきづらいんじゃないの?
カエル「海中アクション描写などの見せ方も本当にうまい!
今年これからヒーロー映画やアクション映画が多く公開するけれど、これほどのアクション映画が登場してしまって、ハードルが高くなってしまったよ!」
主「詳しくはしーまんさんのブログで全て書かれているので自分はそこまで語ることがないけれど、鑑賞中はあまりのアクション描写に震えたのも事実。
今作はいくつもの映画ジャンルが魅力があって、もちろんアクアマンなどの格闘戦術にも大注目なんだけれど、海底世界での乗り物を使って旅する描写などはSF映画を思わせるし、世界中の海や地域を旅するロードムービー要素もある。
またトレジャーハンターのようなアドベンチャー要素だったり、カーチェイスのような海中レースシーンなどもあって、それらがうまく1つにまとまっていた印象だな」
カエル「1つの映画でこれだけ多くの要素が味わえるというのも、そうそうないよね。
そしてドラマ性も豊富で、神話の世界や今作の主人公の名前のアーサーからわかるように、アーサー王伝説を基にしたシナリオ、さらには親子愛などもふんだんに盛り込まれており、あまりにも詰め込みすぎなんじゃないか? と思うほどです!」
主「アクション映画だからこそできる魅力を最大限に詰め込んでいる作品でもあり、近年の暗い、シリアスと言われがちなDC作品との決別を果たしていると言えるのではないかな?
王道のハリウッド大作のようでもあり、それが大好き! という人にはたまらない作品になっています」
脚本の問題
だけれど……どうにも評価できないというのがうちの感想ですが……
脚本がなぁ……そんなに面白くないというかさ
カエル「結構評判もいいけれどね」
主「これは自分が致命的にアクション映画やヒーロー映画に向いていない理由だろうけれど、この手の映画って映像ばかりに目が向いていて、物語としてはそこまで面白くない、というものがある気がする。
本作もその意味ではかなりご都合主義であり、自分は看過できない展開も続いた。
ただ、その王道の展開がいい! という意見もわかるから……これは自分がうがちすぎだとも思うけれどね」
カエル「ハァ……?
それで、どのようなところがダメなの?」
主「1つはっきりと言えるのはアクションシーンなどの山場を作りすぎて、谷場が一切ないこと。
これによって、全力で走りすぎており、観客が息を抜くシーンができておらず、ドラマの山谷が浅いものになっている。
それが結果的に同じ流れの連続になっているように感じてしまい、今作は敵襲来→バトル→逃げる→敵襲来→バトル→逃げる……の連続となっていて、物語に変化をつけることがなかなかできていない。
だけどそれは演出面ではカバーしていて……例えば海中バトル→カーチェイス→アドベンチャー→ホラー演出……などのように見せ方を変えることで工夫はされている。だけれど、物語としては同じことの繰り返しだから、自分は中盤以降、飽きてしまった」
カエル「う〜ん……でもさ、アクション映画でありヒーロー映画だから、それを楽しむことは正しいんじゃないの?」
主「正しいよ!
だからこそ、自分とは致命的に相性が悪いな、と思う。アクション映画としての長所が、自分としては欠点に見えてしまったかな」
以下ネタバレあり
本作でのれなかった部分
序盤の圧倒的なうまさ
ここからはネタバレありのパートになりますが……今回は作品批判が多くなってしまうのかな
どうしても合わなかった部分の説明になるからなぁ
カエル「まずは、どういうところが合わなかったの?」
主「最初に褒めるところはちゃんと褒めますが、序盤は良かったんです!
というのも、今作では海の世界のお姫様と、陸の世界の灯台守りの父親のラブストーリーから始まるけれど、お互いの住む世界の違いをはっきりと描いていた。それは金魚を食べるシーンそうだし、初めて犬を見た時の驚きようも良かった。
そうだよね、海の中の人であれば犬を見たら恐怖心を抱くよなぁ」
カエル「ここはアクションもさることながら、見せ方が圧倒的にうまかったね!
水晶玉をすり抜けて灯台の恋愛シーンに入ることで、これが物語の中の甘酸っぱい思い出のようになっていて!」
主「今作って”物語”あるいは”神話””童話”を強く意識しているのが伝わってきて、スタートは明らかにアンデルセンの人魚姫伝説に近いところがある。陸にいる男に恋をしたお姫様は、海の中で泡となり消えてしまうという意味でもね。
その意味も含めて、本作は明確に”神話”であり、新たなる王=神様の誕生を祝おう! という物語にもなっている」
カエル「中盤ではピノキオからヒントを得ていたりもしていたよね」
主「それから何と言ってもアクションシーンの魅力、そしてシームレスに続いた海と陸の世界の壁を越えるカメラワークなども没入感を高めていた。
2つの世界で争い合う必要はない、という平和志向の物語であることは伝わってきたし、ここで大事なのは父親が灯台守りというところ。
灯台は陸の位置を知らせる目印であり、海を見守り続けている存在でもある。
それがお父さんの心境……母をずっと待ち続けますよ、という意思表示でもあり、同時に息子にも同じ意思を示し、彼の役割をも象徴していてすごくうまいと思ったね」
違和感の発生
じゃあ、どこからダメなのさ?
一番は……やっぱり潜水艦のシーンからかな
カエル「あ、やっぱりあのシーンかぁ……」
主「潜水艦、異常に広くない?
普通は人がすれ違うのも大変なくらい狭いもんだと思うけれど、今時は違うのかね?」
カエル「そこ!?
それはあまり詳しくないけれど……やっぱり映画ならではの嘘ってことで片付くのでは?」
主「まあ、それはいいんですよ。
実際、アクションシーンとしては良かったし、アクアマンという存在や力についての説明にはなっていた。
だけれど、やはりあのブラックマンタになる黒人の父親を見殺しにしたシーン……そこから違和感の始まりだった」
カエル「あ、やっぱりそこね。多分、引っかかるとしたらそこだよねぇ」
主「カントによると人間の理性というのは……なんて言い方をしたらボロが出るのでやめておくとしても、あの状況は以下の3つの点が大事だと考えられる。
- 彼は助けることができる能力があり、その状況にいた
- 彼自身は水で呼吸ができるため、あの状況に対する緊急性はあまりなかった
- 他に父親を助ける以上に緊急性の高い行為(救助や潜水艦の修理など)を行う必要性はあの映像を見る限りなかった
何が言いたいかというと『アクアマンは明確な意思を持って、自らの正義の元に父親を見殺しにした』ということだ。
もちろん、他の水夫を助けているけれど、あの父親が下敷きになった時点では天秤にかけるようなことはしていない」
カエル「まあ、でも人を殺した悪人であるわけだしね?」
主「殺したことがダメなのであれば、アクアマン自身もこの先、人を殺しているよね?
あれだけの大立ち回りで誰も死んでませんよー、というのは無理がある。
さらに言えば、あの海軍たちも人を何らかの形で殺している可能性自体はあるわけだ。
その差はどこにあるのか?
それは極論としても、彼は自身の理性を持って、冷静に、他のあらゆることを天秤にかけることなく見殺しにするという選択を下した。
その結果、ブラックマンタというヴィランが生まれてしまった。
つまり、アクアマンの正義とは”条件付きの正義”であるということだ。ということはこの場合、その条件とは何か? ということを示す必要があると思うのだが、残念ながらこの映画の中ではそれが出てこなかった」
えっと……難しく考えすぎなんじゃ?
でも、この視点は大事だと思うんですよ
主「彼が行った善行というのは、いわばアメリカの正義そのものであるわけ。
彼の価値基準の元に、一方的に”正義”を執行する。その結果、その大きな力に蹂躙された存在は、さらなる大きな力を欲して悪逆に走る。
これは現在のテロリズムを生む1つの流れでもあるとも考えている。
つまり、今作は中東情勢などでテロリズムが発生する理由の1つを端的に表しているとも言えるわけだ」
カエル「いや、絶対にそれは違うでしょ!
そこまで難しく考える必要はないって!」
主「アクアマンという巨大な力、ヒーローにはそれを執行するだけの理由が求められる。
ましてや、人命を損なうのであるのだから、それは特に重要だ。
警察や軍隊は法のもとに動かなければ、ただの国に認められたチンピラ集団に成り下がってしまう。
その意味ではアクアマンはその自らの正義を示すことできていない時点で、すでに正義のヒーローではなく、ただのチンピラになっているのではないか? という認識です」
敵にしたてあげられた印象
……次は何が不満なの?
相変わらずだけれど、今作のヴィランも無理くり作られているよなぁ
カエル「えっと、今作は結局は兄弟間の王位をめぐっての戦いに発展していくよね?」
主「う〜ん……この辺りは原作からしてそういう目的らしいけれど、でもこの映画からは地上と戦争して何がしたいのか? ということがあまり見えてこなかった。アトランティスの復活が〜とか言ってはいるけれど…
”ヴィランとして設定されたから悪に走っている”ようにも見えてさ……彼の魅力がよくわからんかったな」
カエル「そこはほら、こういった映画でおなじみの”世界を征服したい”とかいろいろあるんじゃないの?」
主「まあ、そういうことなんだろうけれど……環境問題を訴えたいのか、アトランティスには何かあるのか、それとも彼の正義は他にあるのかなぁ。それも口実にすぎないのか、よくわからんかった。
さらに言うとさ、”オームがヴィランだから誰からも愛されていない”みたいな描写もあったように思えたんだよね。
中盤でアクアマンがメラに向かって『愛のない結婚なんてやめるべきだ』と語っているけれど、愛がないなんて描写あった?
愛があるからこそオームの暴走を止めてもらいたいとか、色々あるじゃないの?」
カエル「そこも原作通りみたいだからね、そういうものなんですよ」
主「海溝王国だっけ? そこの違和感もあって……結局あいつらを言葉の通じないモンスターのように描く必要があった?
お母さんは彼らに愛を示し、みんなから見放されたあの王国を統べていたけれど、下手したら戦争になるからあの国に帰れなかった……とかの方がメリハリがつくし、良かったんじゃないかなぁ」
カエル「そういう感想はよく出てくるのね」
主「本作の疑問ってそういうことで、アクションシーンを大量に作ったからこそ物語のストーリー性が損なわれている。
描写の1つ1つの裏には激しい様々な思いや葛藤があるようにも感じられるか? と訊かれると、すごくフワフワしていた印象がある。
それは山場のアクションが続いたこともあるんじゃないかなぁ……キャラクターの深堀がどこまでできているのか、疑問も大きかった」
アクアマンの正義とは?
……それで、今作が決定的にダメになった部分はどこなの?
勝手に謝ってお終いにしているところ
カエル「あの船でメラに話していたシーンだっけ?
『俺も助けられる命を見捨てたんだ』ってやつ」
主「そこでさ『ああ、この作品のスタッフ陣はそこがわかっているんだ』って理解した。
それで、決定的に合わないと悟った。
というのも、自覚しているならばお話の中でどうにかするべきなんじゃない?
この作品はアクアマンをヒーローとして持ち上げるのに必死すぎて、ブラックマンタをはじめとしたヴィランへの愛が極端になさすぎる。
見殺しにしたという自覚もありそれを嘆いていながらも、ブラックマンタへの謝罪も何もないわけ?」
カエル「……それはほら、今後への伏線としても機能するからさ。
それにアクアマンはあの黒人がブラックマンタだって知らないわけだし……」
主「おそらくアクアマンが戦う理由は自分の父を傷つけた怒り、そして地上を守るためだと思うんですよ。怒りがある……肉親への愛がちゃんとある人間が、実は他人の父親を見殺しにしているんです。
つまり、その罪の重さはきちんと把握できる状況にある。
だけれど、彼はその点について独白するだけで全ておしまい。
それでトライデントにも選ばれて、自分は母親も生きていて、愛する人も見つけて、王になって全てを統べる……
そんな都合のいいお話ってありますか?」
カエル「いや、でも神話とか正義のヒーローってそんなものだし……」
主「その神話に対抗するために与えられた技術とはいえ、科学の力を使って自分で武器を製作するブラックマンタの方が、自分はよっぽど応援したい。
そりゃ、海賊行為という過ちはありましたよ。だけれど、それはこの映画ではアクアマンの罪とどう違うのか? という描写がない。
もしかしたら……今後はこの2人の融和があるのかもしれない。白人と黒人の融和を描いて、社会性を切り取るつもりもあるかもしれない。
でも、この1作としてみた場合は……アクアマンの描写に納得することもなく、ただ単に”ヒーローだから”という脚本やお話上の都合だけで作られた英雄像に、ブラックマンタとオームはお話上の都合で作られたヴィランにしか見えず、すごく可哀想な存在になってしまった」
カエル「……どこまでヒーロー映画に求めるのかなぁ。
そういうことをやっていたからこそDCは重いとか言われていたからこそ、今作の軽さに繋がったんだと思うけれどね」
映画に何を望むのか
多分、ヒーロー映画に望むものが決定的に違うんだろうな
主「自分の場合は”ヒーロー映画には正義とは何か、現代での大きな力の使い方とは何か?”ということを証明する必要があると考えている。自分が正義の味方であり、悪を倒すというのならば、その根拠を示してほしんだよねぇ」
カエル「……もうヒーロー映画見るのをやめた方がいいんじゃない」
主「それはマジで考えている部分もあるよ。
結局、アクション演出などを求めていないというのもあるのかなぁ……結局は演出というのは物語やメッセージ性をより明確に伝えるものであり、主になるものは物語だと捉えている。
だけれど、アクションこそが映画の華であり、映画でないとできないことだというのも納得なんです。
その意味でアクション映画そのものを否定するつもりはないけれど、そのアクションを通してもっとドラマやメッセージ、高揚感を与えてほしいなって思う。
端的に言えば本作は……なんかテンションが上がらないんですよ。
ああ、カッコイイな、映像すごいな、で終わってしまう。
繰り返すけれど、特にヒーロー映画には”なぜ彼がヒーローなのか”を示して欲しいし、それをしないのであれば……例えばジョーカーのように明らかに悪とわかり、倒すことに一切の躊躇もなく擁護する必要もない存在を敵にする方がいいと思う。
人間性を出すと、ヒーローがその悪を滅ぼす理由の説明をしなければいけなくなるからね」
まとめ
では、この記事のまとめです
- アクション最高! これ以上は今年でもなかなかお目にかかれないレベル!
- ヒーロー映画としてのDC復活を象徴1作になる!
- ただし、脚本は山などがなく”お約束”が多すぎるようにも……
面白い作品だけれど、自分は合わなかったです
主「あとさ、黒い王様や雷様もそうだけれど、王位継承を腕っぷしで決めるのよ?
それならば将軍でいいわけで、王が強い必要性は皆無だよね?
結局はアクアマンが軍事的に巨大な力を得てクーデターを起こし、新たな支配者になりましってだけでしょ?」
カエル「……それが神話らしさだと思うよ
世間評は絶賛ばかりだから、この否定意見は珍しいかもしれません。
まあ、書かれていることが正しいかどうかは別として、という注釈付きになりますが……」
主「まあ、みんな絶賛しているから、1つくらいはね。
どうせ、またひねくれた意見と言われるだけだし」
カエル「……そんなやさぐれるなら褒めるだけにとどめておけばイイのに……」